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#3319 安倍晋三とはどういう人か:日銀破綻リスクが浮上  June 7, 2016 [8. 時事評論]

 小学校、中学、高校、大学時代、社会人と、一人の人間を通してみるとほとんどの人が中学校時代のころまでに根っこの部分ができあがっているようにみえる。社会的地位が人を変えるといっても、それは根っこの部分を変えるわけではない。
 総理大臣である現在の安倍晋三氏は強引でワンマン、演説に酔いしれる人、世襲3世議員、G7サミットではアベノミクスを正当化するために「世界経済はリーマンショック前夜」というトンデモ説を披露して各国首脳を仰天させた人、そういうところがわたしたちが彼に貼っているラベルだろう。
 社会人になる以前、大学時代に安倍晋三氏はどういう学生だったのだろうか、そこに現在の彼の原像を垣間見ることができるだろう。

 アベノミクスはマクロ経済理論に基づいている。50年も昔のしかも米国のマクロ経済学を学んだ浜田宏一氏(東大名誉教授)を内閣参与として経済ブレーンに選んだことから、かれが「経済学音痴」であることはすでに何度か指摘した。縄文時代以来1.2万年の歴史のある日本列島で、少子高齢化によってはじめて長期にわたる人口減少が進行しているが、そういう日本の現実に50年前の米国経済学が役に立たぬことは中学生でもわかる理屈だが、それすらお分かりにならないのはなぜかという疑問があった

 それに答えてくれたのが、雑誌アエラの大学時代の恩師へのインタビュー記事である。彼の出身大学(成蹊大学法学部)の3人の教授の安倍晋三評を読めば、彼の性格の一端がわかり、別の面からアベノミクスの評価ができるだろう。大学時代から基本的な部分は変わっていないのである。
 6月5日のライブドアニュースに載っているので一部抜粋して転載する。

*http://news.livedoor.com/article/detail/11606704/
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意外な人たちが痛烈な批判を口にし始めた。それは、学生時代の安倍晋三を指導していた出身大学・成蹊大学の元教員たちだ。

 たとえば、安倍首相の出身学部である法学部で当時、教鞭をとり、安倍首相も授業を受けていたはずの加藤節名誉教授は、こんな厳しい言葉を投げかける。

「大学の4年間などを通して、安倍君は自分自身を知的に鍛えることがなかったんでしょう。いまの政権の最大の問題点は、二つの意味の『ムチ』に集約されていると私は思っています」

 そのうえで、加藤名誉教授は2つの"ムチ"とはignorant(無知)とshameless(無恥)のことだと説明する。母校の恩師とは思えない手厳しさだが、加藤名誉教授の批判はそれだけに止まらない。安倍首相が2013年3月の参院予算委員会で憲法の最高権威である故・芦部信喜氏を「知らない」と言い放ったことを挙げて、さらにこう指摘している。

「(晋三氏は)政治学科ですし、憲法もしっかり勉強しなかったんでしょうね。しかし、改革を訴えているのに、(芦部を)『知らない』なんて言うべきではない。まさに無知であることをまったく恥じていない」
...

元外交官で中国政治史を軸とする国際政治学者、そして成蹊学園専務理事まで務めた学園の最高碩学といえる宇野重昭名誉教授だ。宇野氏は、「AERA」連載ルポの最終回(5月2・9日合併号)で青木氏の取材に答え、教え子である安倍首相との関係についてこう語っている。
...
宇野氏はなんと、このインタビューで涙を浮かべながら安倍首相をこう批判したという。

彼は首相として、ここ2、3年に大変なことをしてしまったと思います。平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった
「現行憲法は国際社会でも最も優れた思想を先取りした面もある。彼はそうしたことが分かっていない。もっと勉強してもらいたいと思います」
彼の保守主義は、本当の保守主義ではない(略)彼らの保守は『なんとなく保守』で、ナショナリズムばかりを押し出します(略)私は彼を......安倍さんを、100%否定する立場ではありません。数%の可能性を、いまも信じています。自己を見つめ直し、反省してほしい。もっとまともな保守、健全な意味での保守になってほしい。心からそう願っています」

...
 安倍首相の所属ゼミの指導教授は、成蹊大学の看板教授で日本行政学会の会長などを歴任した佐藤竺氏だが、佐藤氏からその様子を聞かされた元教員が安倍首相の学生時代について、こう語っている。

ゼミの場で彼(晋三)が発言しているのを聞いたことがない。(略)ゼミで彼が熱心に自分の主張を口にしたとか、リーダーシップを発揮して議論をリードしたっていう記憶は皆無です。彼が卒業論文に何を書いたのかも『覚えていない』って佐藤先生がおっしゃっていました。『立派な卒論はいまも大切に保存してあるが、薄っぺらな卒論は成蹊を辞める時にすべて処分した。彼の卒論は、保存してある中に含まれていない』って」

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 法学部ですから、大学時代に経済学の専門知識はなかったでしょう。専門のはずの法学にさえまるで関心がなかったようですから、社会人になったからでも経済学の勉強をやったはずがないと判断してよいのでしょう。G7サミットでの「世界経済はリーマンショック前夜にある」というのは、消費税値上げ延期の理由こじつけのための、我田引水、牽強付会な論でした。
 じつにお粗末、いやはや、こんな程度の人間が総理大臣になれるほど日本という国が劣化してしまったのは驚きです。
 偶々(たまたま)だと思いたいのですが、昨日(6/6)にあった舛添東京都知事の公私混同問題の釈明会見をみると、首都東京の知事も劣化してしまっています、しかも2人(猪瀬都知事)続けて。舛添氏は全国模試で2番や3番だったことがあるそうですが、偏差値が高くても人間としてはダメだという人物を絵に描いたようなもの。
 甘利元大臣が不起訴処分を受けて、ようやく顔をだしました。ご本人が50万円受け取り内ポケットにいれ、秘書が500万円受け取っても不起訴処分ですから、何をやっても大臣クラスはお咎めなし、自民党内部にも議員辞職を迫るものなしの体たらく。政治家と庶民の感覚がこんなに乖離してしまっていることにも驚きです。

 第二次安倍政権は民主党がつくりました。あれだけ政権奪取前に言ったことと政権奪取後にやることが違ったので、国民があきれてしまいました。仕事もできなかった。それで、自公政権へのゆり戻しが起きてしまいました。民主党が普通にやっていれば、自公政権の復活はなかったはずです。野党も劣化していました、政権をとらなかったからそれが表面化しなかっただけでした。国民は野党の正体も見てしまったのです。

< 政府財政破綻と日銀破綻リスクが浮上 >
 一部の経済評論家やアナリストは無責任なもので、財務省が国債を増発しても、財務省がお札を印刷して日銀が発行することで無限に国債買い入れができると主張していました。ネットで「政府の借金は国民の資産」というキーで検索してみてください。簿記の基礎にすら無知な論がいくつも出てきますが、そんなトンデモ説を信じている国民がたくさんいます。返済しなくてよい借金はありません。政府に返済する気がなければ、国民にそのツケがまわされるだけのことで、後で述べますがそれが歴史的事実です。
 一部の経済評論家が日銀リスクを言い出し始めました。日銀の国債保有残高が350兆円を超えていますから、すでに発行残高の1/3を超えました。昨年は81兆円も買い入れていますが、いずれ債権市場から買い入れるべき国債がなくなるので、このまま買い入れを続けられるはずがありません。
 マスコミは報じませんが、日銀は出口戦略で出るであろう莫大な損失に備えて2.7兆円の引当金を積んでいます、日銀の純資産は7.7兆円です。
 いずれ日銀が買い入れられなくなったら、国債は金融市場で消化しなければいけませんから、金利が暴騰します。暴騰する金利がどこまでなのかにもよりますが、日銀は数十兆円から百兆円単位の損失を出すことになるでしょう。計算は専門家にしてもらいたい。市場に任せたら金利は5~7%になることは海外の事情を見ればわかります。
 ことの重大性を指摘している経済学者や財政学者が一人もいないので、簡単な例を挙げて、何が起きるのか、そのメカニズムを説明しておきます。
 いま100兆円の国債(10年もの)を持っているとします。簡単にするために金利はゼロとします。それが5%に上昇したとき、この債券価格はいくらになるのでしょう?
 10年後0金利では100兆円です、金利が5%なら10年後は150兆円です。「150-100=50兆円」が金利がゼロから5%に上昇したときの損失額(評価損)になります。満期まで持っていれば、一時的な評価損計上だけで損失が現実にはなりませんが、日銀の信認低下は起きます。
 2年後の2018年には日銀の国債保有額がGDPの500兆円を超えることになります。債券相場が暴落するという事の重大さがおわかりいただけましたか?

 信託銀行を通じて買い入れた数十兆円の株式も放出することになるので、東京株式市場がどういうことになるのか想像するのもおぞましい。為替相場もどんなに振れるのか予測がつきません。慥かなことは「日本売り」が起きることです。世界で始めて中央銀行の経営破綻が現実になります。もう逃げるすべはほとんどありません。
 自民党支持者も公明党を支持している日蓮の僕(しもべ)である敬虔な創価学会員も、自分たちが日本政府と日銀の破綻に手を貸しているなんて考えている人はおそらくいないのでしょう、ですが、事実はそういうことになります。
 アベノミクスは健全な保守主義に基づく経済政策ではなく、急進主義です、別の言葉で言い換えると「過激派の思想」です。第二次安倍政権がなにもかも変えてしまいました
 いま一度、アベノミクスの3年間をよく振り返ってこれからのことを考えてください。
 リーマンショックをはるかに超える経済・財政ショックは日本発で起きます。アベノミクスが引き起こしつつあるのです

 そういうわけで数年のうちに日本経済に明治以来戦後最大の災厄がもたらされるリスクが高まっています
 加藤教授が指摘した無知と(厚顔)無恥」がこの未曾有の災厄を引き起こすのです。この災厄はすべての国民にツケを支払うことを要求します
 預金封鎖と凍結は敗戦前後に2度ありました。戦後のものは同時に新円切り替えが行われています。交換できる金額はわずかです。預金がパーになります。これが歴史的事実です。弊ブログですでに取り上げました。為替相場がどういうことになるのか、想像がつきません。国際主要通貨の地位から円が消える日がきます。

 日本が目指すべきは健全な保守主義です。健全な保守主義には日本の伝統的な勤労観に基づく新しい経済学が必要です。
 日本経済の復活には30年がかかりますが、心配要りません。苦難の30年が過ぎた後には平穏な時代が訪れます、そのときに慢心しないことです。長い道のりですからゆっくり歩きましょう。
 昨年弊ブログで公表したカテゴリー「資本論と21世紀の経済学」を道しるべにして歩んでもらいたい。子どもたちや孫たちの苦難の未来に希望の灯がありますように。


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