#3315 根室の水道料金はなぜ高いのか? June 4, 2016 [87.根室の話題]
サリーさんが突然病に罹り心配していましたが、ブログには旬のおいしそうなご馳走をたくさん並べて次々と平らげている様子がアップされており、食欲があるなら大丈夫だと安堵していました。「生き生き生きる・癌友の会」へようこそ、あなたとわたしは場所は違いますがステージはほぼ一緒でした。(笑)
水道水が黴臭いという話をアップして、ソムリエのサリーさんは水の問題にどういう意見をもっているのか気になり、午前中に「極東のノムリエ日記」を読んだら、以心伝心お昼に投稿欄へコメントがありました。赤い糸でつながっていたのかな?
黴臭いと感じているのはわたしだけではありません。ワインをティスティングするソムリエの鼻と舌でもやはり根室の水は黴臭いのでした。#3314の投稿欄にサリーさんのコメントがありますのでご覧ください。
牧の内の原野に溜めた水だから、家畜の糞尿が肥料としてばら撒かれる5月ころから、根室の水は黴のような臭いがし始めます。水質は悪いのに根室の水道料金は東京の2.5倍も高いことを根室人はあんがい知らないのではないでしょうか。「根室の水道は水質が良い」と豪語する根室人も慥かにいますが、臭いに鈍感か世間(他地域の事情)をご存じないだけです。
なぜ根室の水道料金が高いのかと、サリーさんから質問があったので調べてみました。
ちょっと古いのですが事情はほとんど変わっていないと思うので、手許にある「平成20年度根室市公営企業会計決算書」をみながら解説します。
収益は水道料金が95%で7.6億円、営業費用が6.8億円かかっています。営業外費用である支払利息の1.4億円の負担が大きい。一般会計から0.25億円繰り入れがなされています。
それにしても、市立根室病院の年間赤字額17億円は大きすぎます、前市長時代よりも9億円も増えたまま。建て替えにお金をかけすぎました。市が招聘したコンサルタントの提言では30億円以内での建て替えでしたが、2倍以上もかけてしまいました。償却負担増だけでこれほどの赤字拡大は説明がつきませんが、合理的な説明は一度もなされていません。経営改善努力があるのかないのかも市民へは説明会がなされたことがありません。病院長も市長も、市民と経営改善についてコミュニケーションをするべきです。
営業費用6.8億円の内訳を附属明細表でみると、2.0億円が人件費で、減価償却費が2.97億円あります。この2項目で営業費用の72.3%を占めています。人員は26名です。
主な減価償却資産の金額は以下の通りです。
取得原価 償却累計額 未償却残高
建物 12.3億円 3.4億円 8.9億円
構築物 91.2 23.0 68.0
機械及び装置 17.2 10.7 6.4
減価償却費が年額2.97億円ですから、これら3つの固定資産勘定の未償却残高83.3億円を割り算すると、償却が終わるのは28年後、H48年になります。耐用年数近くなれば、メンテナンス費用がうなぎのぼりになるのでしょう。次の世代のためにお金を積み立てておく必要があります。
牧の内の水道用ダムはも水道用配管も勘定科目は構築物のはずですが、それぞれがいくらになっているのか決算資料からは不明です。
附属明細表の「企業債明細書」の備考欄をみても「水道用ダム」の表示がありません。ちなみに、企業債は発行価額70.4億円、未償還残高58.2億円です。
水質が悪いので他の町の水道よりも多くの薬品を投入しなければなりません。年間2365万円使っています。このうちの1/100くらいはわたしたち根室に住んでいる人間の体に毎年入って来ます。原水の質が悪いというのは、長期的にみると健康にもさまざまな影響があると考えなければなりません。塩素を使わないオゾン殺菌や活性炭濾過は高コストになるのか、導入されていないようです。市営プールですらオゾン殺菌設備がありません。
たまり水なので地下を通ってませんから、ミネラル分やカルシウム分が欠乏した水です。そういうを長期にわたって飲み続けたら健康によいわけがありません。歯に影響したり、骨粗鬆症の発症リスクを高めているのでしょう。
水についてしっかり考え、これから30年後にどのように変えていくか市民の間でコンセンサスをつくりましょう。市民が発言しないと市政はいつまでたってもよくなりません。
明治時代の自由民権運動の理論的指導者の一人である植木枝盛は国民が政府を監視して批判していなければ「良政府」はないと言い切っています。植木枝盛が『世に良政府なる者なきの説』を書いてから139年がたちますが、ちっとも変わっていないことは、G7サミットの安倍首相発言や舛添東京都知事の公私混同問題をみてもわかります。植木枝盛の論につきましては#3310をご覧ください。、
H48年に構築物の減価償却が終わります。その20年前には水源をどうするのか、劣化した配管をどうするのかを決めておかなければなりません。H48年の20年前とはH28年、今です。仮に別海町や摩周湖の水を引っ張ってくるとした場合に、水道料金を3割ダウンさせるとしたら、いくら水源の町に支払えるのか試算して交渉に入らなければなりません。
その場合に敷設する大口径の水道管をどうするのかもコスト上大事なことです。現在やっている高規格道路工事と一緒に水道管を埋設しておけば工事費が単独でやるよりもずっと安くできます。
だから30年先を見通した具体的な計画が大事なのです。
さて、根室の水道料金が高い理由がお分かりいただけたでしょうか?注目すべきは減価償却費と支払利息です。本をただすと、借金が大きすぎます。
これを長期的な視点で減らすためには、長期的な水源確保のビジョンが必要です。いま策定しないと、人口減少が進むので、30年後には全道一水質の悪い水道水を現在の2倍以上の水道料金を支払って、子どもたちや孫たちが飲まなければならないことになります。
8年前の資料ですが、事情は大きく変わっていないようですから、そのまま使って差し支えないでしょう。人口が当時よりも3000人ほど減っているので、水道料金の収入も1割ダウンしていると推測されます。老朽化でメンテナンス費用は徐々に増えていきます、水道事業の採算は年々悪化しているのではないでしょうか。
根室市水道課の皆さん、そして市議会議員の皆さん、根室に暮らす次の世代のために水道事業の広域化を検討してみてくれませんか?
根室の経済諸団体の皆さんも、オール根室の皆さんも、世のため人のために一緒に汗を流しませんか?きっと気分がよいと思います。
クリックして、味と臭いのプロ、ソムリエ・サリーさんの意見をご覧ください。↓
*#3314 水道事業の広域化を望む:根室は春、水道水が黴(かび)臭い June 3, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-03
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