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#3313 G7トンデモ資料は誰が創ったのか?:人を使えぬ安倍首相 June 2, 2016 [92.G7サミット]

 リーマンショックは高金利(サブプライムローン)の住宅担保ローンに関わって起きた深刻な経済不況でした。そのきっかけは、Lehman Brothersという米国4位の投資銀行の経営破綻です。世にリーマンショックと呼ばれた金融恐慌は次のような機序で起きました。
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①高金利(サブプライムローン)住宅担保ローンの販売
②LB社がハイリスク・ハイリターンの金融派生商品へ組み込んで販売
③不動産バブルの崩壊
④借り手が返済不能となり家を処分
⑤LBに巨額損失の発生
⑥LB社の経営破綻
⑦各銀行が保有していたLB社発行の金融派生商品やLB社の社債が紙くずとなり、各国金融機関が連鎖的に巨額損失計上、連鎖倒産が起きた。日本の金融機関も合計10.3兆円の損失計上。
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 日本と米国の制度の違いに触れておかないといけません。
 ひとつは、返済不能になったら家を処分すれば、残債務が残らないというのが米国の不動産担保ローンの特徴です。差額の損失は貸手の金融機関がかぶります。そうしてみると、日本の住宅担保ローンは借入条件が過酷で、貸手にはリスクが小さい特殊なものだということがわかります。米国では連帯保証はありません。日本の連帯保証精度は法律で禁止すべきです。個人の住宅ローンに関しては貸手責任がないがしろになっているというのが日本の金融の特徴です。その一方で、自行から一部上場会社へ数人役員で天下りさせている場合は、2000億円の借金棒引きに応じたりしています。モラルハザードの元を作っているようなものですから、個人の住宅ローンは米国と同様に、連帯保証の禁止と返済ができなくなった場合には残債については貸手責任とすべきではないでしょうか。
 二つ目の違いは、住宅価格が値下がりすると、担保価値が下がった分の返済を直ちに迫られるということ。不動産バブルのときは担保価値が上がっていくので、金融機関は上がって分だけ「追い貸し」をします。サブプライムローン利用者の多くは、借金の額を増やして自動車を買うことになります。
 三つ目の違いは、銀行と証券会社の業務に垣根がないということ。日本の銀行も数年前から国債などの債権を扱えるように変わりました。

 そういうわけでリーマンショックは高金利の低所得者向け不動産担保ローンとそれを証券化して販売した投資銀行、そして不動産バブルがはじけたことによるものでして、商品市況の下落とは何の関係もありません
 安倍首相がG7で各国首脳に配布した商品市況のグラフはリーマンショックとは無関係だったのです。それなのに商品市況下落グラフを掲げて「リーマンショック級の事態が迫っている」とぶったのですから、各国首脳はビックリポンだったでしょう。テレビニュースを見たわたしも驚きました。時代劇なら「殿ご乱心!」という台詞が登場するシーンです。

 そこで大きな疑問がわきました。
 
 あのグラフは誰がどういう経緯で「創った」のでしょう?シナリオはどなたが書いたのでしょう?

 経済について専門知識を持ち合わせていない方がグラフとシナリオを「創った」としかわたしには考えられません。正規のチャンネルを通して資料作成していたら、関係省庁が協議するので、あのようなばかげた資料をサミットの場で披露して大恥をかかずに済みました。
 首相官邸サイドの「お友だち」が作成したのではないかと推測します。第1次安倍内閣のときに、数人のお友達を閣僚に任命して、次々とスキャンダルに見舞われたことを忘れたのでしょうか?
 仕事のできない者に大事な仕事を任せてはいけないのです。安倍首相は人の使い方を前回の失敗から学んでいないようです。

 首相官邸サイドでこらからも秘密裏に大事な仕事をやるのでしょうね。国益を損ないます。

 G7各国のメディアが「リーマンショック級のリスクがある」という安倍首相の発言にいっせいに火を噴きました。英国タイムズ紙が風刺漫画の載せましたが、そこには「Bioody Idiot」(底抜けの頓馬)と書いてあるそうです。
*「サミットにおける安倍総理の『リーマンショック前夜』偽装の茶番」
http://blogos.com/article/177517/


 つまるところ、あのような事態を引き起こしたのは、約束した経済成長を実現できず、消費税増税環境を作れなかったことに第一の原因があったからです。そしてそれを自分の失政ではないと言いくるめようとした、総理の心の在り様に第二の問題がありました。自分の失敗を素直に受け止められない心が弱い人のように感じます。
 円安誘導すればインフレになり、その結果自動的に経済成長ができると、経済用語を知りたての高校生のような夢を見て、できもしない「経済成長」を三本の矢に加えたことがそもそもの間違いでした。
 自分の能力以上に見栄を張るのは間違いのもとです。見栄を張りすぎた経営者が会社をつぶすことはよくあることです。一介の会社経営者ではなく、一国の総理大臣なのですから、もっと心を磨くべきです。アベノミクス三本の矢のうち、2%インフレターゲットと経済成長は失敗でした。少子高齢化に加えて、この数年間団塊世代のリタイアで、生産年齢人口が最近4年間で448万人も減少しているのですから、国民所得もGDPも消費も漸減してあたりまえです。データを見ないでアベノミクス三本の矢なんてぶち上げるから失敗したんです。自分の都合のよいデータだけ見るというのは間違いのもとです。データは虚心に見ないと、見たい(つまり自分の主張に合致しそうなデータ)データだけを見て、判断を誤るのです。金融政策で経済成長ができるなんて誰が吹き込んだのですか?
 国内の失政は失政と素直に認めて真摯に対処していたら、あのように国際会議の晴れ舞台で赤っ恥をかくことはなかったのです。
 昨年還暦をお迎えになったはずですがナィーブ過ぎます。
 さて、安倍総理は今度の手痛い失敗から何かを学べるでしょうか、人間60歳を過ぎたらよほどのことがない限り変われないものですが、今回の失敗は変わらなければならぬほど大きなものでした。


< 余談 >
 安倍総理がちょうど10年前の7月に『美しい国へ』という新書を出しましたが、経済オンチのあなたはあの本の中では経済問題には一言も言及しませんでした。あろうことかマクロ経済学に飛びついてしまった。50年も前の米国マクロ経済学なんて欲望暴走の経済学ですから美しい国日本に似つかわしくありません、さっさと棄てたほうがよろしい。
 いまでは「美しい国日本」の伝統的な価値観に基づく経済学があります、弊ブログの「資本論と21世紀の経済学」をダウンロードしてぜひお読みください。
 間違えたら素直に反省して、やり直せば良いのです、落ち着いた保守主義に還りましょう。
 でも、還暦を過ぎたあなたに変われというのは無理でしょうね、さらにひどい事態を引き起こさぬように十分に注意してくださいとだけ申し上げておきます。


*#3311 有効求人倍率1超はアベノミクスの成果?:ご冗談を(笑) June 1, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01-1

 #3312 迷走する安倍発言  June 1, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01-2

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