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#3303 G7サミット:お互いに不都合なことは言わない May 27, 2016   [91.経済]

<更新情報>
5/29 1時 余談「海外メディアが「リーマン級」に批判相次ぐ」追記

 G8のロシアを外してG7でサミットを開催している。BRICsとは、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国だが、これらの国を除いて先進国だけで首脳会議を開くことに大きな意味があるだろうか?

 我田引水、なにが三本の矢かと思う。
 ゼロ金利では効果が出なかったので、マイナス金利導入による異次元の金融緩和で円安誘導と株高を演出。GPIFの資金も株式市場に投じて株高の演出。3年間に渡って毎年新規国債40兆円発行による財政出動すれども、消費は伸びず、インフレターゲット2%も達成できなかったのだから、経済政策としてアベノミクスは失敗というのが定着した国際的な評価である。
 ゼロ金利による円安誘導で株価を上げ、さらに財政出動もしたが、肝心の経済成長がない。少子高齢化による人口縮小時代に突入した日本で、金融政策では経済成長が実現できないことがはっきりした。
 それは数字にも表れている。リーマンショック後に日本のGDPは低下しているが、米国は増大している。潜在経済成長率は日本が1%~マイナス、米国は1~2%である。
*図表13 潜在成長率の推移 (左:日本、右:米国)
http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1045_01_01.pdf

  米国も日本も所得格差の拡大が大問題となっているが、それが議題にない。米国に遠慮したのか、自分に都合が悪いのか、肝心要の問題を議題にあげない。
 所得格差緩和のためには、資産課税制度の導入による所得再分配(ピケティ)や相続税率や法人税率の引き上げによる所得再分配を検討すべきであるがそうした議論もなかった。

 三本の矢、金融緩和をすれば景気がよくなるなんてばかげた話はとっくに破綻している。一部大手企業の業績はよくなっているが、非正規雇用割合が増え続けて国民の一人当たり所得は依然として下がり続けている。そういう中で、金融緩和により物価が上がりだしたら、国民生活が困窮の度を増し、消費がさらに冷え込み、景気が悪くなる。
 そんなことを経済政策の目標に掲げているのである。

 もうひとつの大きな国際問題は、タックスヘイブンである。課税逃れが合法なら、国際法で禁止するか、国境を越える資金移動に金融取引税を課すべきだ。そういう問題を議題にあげるのが当然だろう。これも議題になかった。

 タックスヘイブンは、その多くが英国連邦諸国に存在し、あろうことかキャメロン英国首相がその一つに資産を保有していたことがパナマ文書で明らかになっている。英国に遠慮して大事な議題が消えたのなら、議長国の器量が問われる。ダメなことはダメとはっきり言うべきだ。

 各国の利害は複雑である。
 我が国はエネルギーのロシア依存が高まっている。すでに8.7%がロシア産原油やガスである。サハリン天然ガスやシベリア・パイプラインでエネルギーのロシア依存は近い将来20%を超えることになる。ロシアへのエネルギー依存が高まれば、北方領土問題への負の影響がいや増すだろう。北方領土を返せと言いながら、他方でエネルギー依存を高める、これでは日本政府の外交戦略はちぐはぐに見える。北方領土問題が解決しない限り、経済協力はしかねるというのが、本筋ではないのか?
 米国やEUと対ロシア政策でいつまでも協調できない状況が生まれているから、対ロ政策でスタンスの違いが大きくなっている。
 英国はEU離脱国民投票が来月に迫っているから、EU諸国とは温度差がある。ドイツとフランスもEU内で立場の違いが鮮明になってきている。
 それぞれの利害を抱えてG7各国は協調して動きづらくなっているというのが本音だ。

 安倍総理が声高に叫んだ「リーマンショック並みの経済危機」に対しても、あまりにエキセントリックな主張と感じたのか、サミット後の記者会見で、オランド仏大統領のように「現在は経済危機ではない」とはっきり異論を言う人もいた。
 リーマンショックではリーマンブラザースのほかにも金融機関がいくつもつぶれたし、サブプライムローン返済不能で自己破産した者も多かった。リスクの大きな金融証券を買っていた日本の大手銀行は10.4兆円の不良債権処理をせざるをえなかった。そうした類似の症状はどこにもないのに商品価格の低下(マイルドなデフレ)現象をグラフで示して「リーマンショック並みの経済危機」とぶち上げたのだから、すこし頭がおかしいと思われたのかもしれない。いくら7月に参院選挙が控えているからといって、牽強付会なグラフを掲げて経済危機を叫ぶ姿は、「殿、ご乱心」である。経済ブレーンは何を血迷ったのだろう。
 現行の経済状況判断において、各国首脳と安倍総理との温度差が大きいことがはっきりしてしまった。
 ドイツのメルケル首相は緊縮財政を維持する方針だから、財政出動には反対である。財政出動のできる国はEUではドイツくらいなものだろう。EU諸国は国債発行が度を越せば金利が上がるから、ストップがかかる。ギリシアがその好例である。主要国債通貨の発行国である国以外は、国債発行による財政出動は金利上昇を招いてブレーキがかかるのである。
 日本のような野放図な財政出動はリスクが大きくてできない。財政出動で協調できるのは主要通貨国である米国だけだろうが、その米国経済は成長を続けており、そもそも財政出動する必要がない。
 安倍総理の演説は、参院選を意識しすぎたもので国内向け、G7を消費税増税延期の理由付けと成長戦略が出てこないアベノミクス失敗を糊塗するために大風呂敷を広げただけ、という選挙対策が露骨過ぎた。各国の経済情勢や場の空気が読めずに見当はずれの強引な自己主張、G7サミットを選挙対策に利用するのはセコ過ぎた。
 国際的に注目されている会議だから、自分の利害をひとまず棚上げにして、もっと堂々と正論をぶってほしかった。「さすが日本」とG7以外の国々の首脳から言われたい。

 どこかの国の首都の知事が記者会見で、独りよがりな説明をしている姿が脳裏に浮かんで消えていった。

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*「焦点:サミットで経済認識一致せず、危機強調の裏に増税延期模索の声」MSNニュースより
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e7%84%a6%e7%82%b9%e3%82%b5%e3%83%9f%e3%83%83%e3%83%88%e3%81%a7%e7%b5%8c%e6%b8%88%e8%aa%8d%e8%ad%98%e4%b8%80%e8%87%b4%e3%81%9b%e3%81%9a%e3%80%81%e5%8d%b1%e6%a9%9f%e5%bc%b7%e8%aa%bf%e3%81%ae%e8%a3%8f%e3%81%ab%e5%a2%97%e7%a8%8e%e5%bb%b6%e6%9c%9f%e6%a8%a1%e7%b4%a2%e3%81%ae%e5%a3%b0/ar-BBtygPS?ocid=iefvrt

焦点:サミットで経済認識一致せず、危機強調の裏に増税延期模索の声

[伊勢/志摩 27日 ロイター] - 今年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、世界経済の将来的な下方リスクを踏まえ、柔軟な財政政策や構造改革を進めるとの首脳宣言採択にこぎつけた。ただ、他の参加国からは、議長国・日本が提示した「世界経済が直面する危機」との認識に対し、異論も表明され、その溝は埋めきれなかった印象だ。日本の議事進行の裏には、消費増税延期の思惑があったのではないかとの疑念もくすぶっている。

<危機共有で増税延期>

安倍晋三首相は27日午後、閉幕に当たって記者会見し、主要7カ国(G7)が世界経済について「強い危機感を共有した」と表明した。冒頭発言では「リーマン・ショック」との言葉を繰り返し使ったうえで「最も懸念されることは世界経済の収縮」と強調し、世界経済がはらむリスクについて力説した。

しかし、首脳宣言では「新たな危機に陥ることを回避する」との認識にとどまり、現在は危機的状況ではないとの見方で一致。オランド仏大統領も、サミット終了後の記者会見で「現在は経済危機ではない」と明言した。

日本との温度差が鮮明になり、最大のテーマだったはずの世界経済で、G7の結束が揺らいだ格好だ。

経済の認識をめぐる差は、安倍首相が26日の討議で各国首脳に提示した資料に端を発する。

資料は、コモディティ価格の下落幅がリーマン・ショック級などと指摘したが、ある首脳からは「クライシスとまで言うのはいかがなものか」との異論も浮上。首脳の補佐役を務めるシェルパ間での協議に決着が持ち越された経緯がある。

あるG7外交筋は、匿名でロイターの取材に応じ、安倍首相がことさら経済の弱さを指摘するのは、消費増税を延期したい思惑があるからだと指摘した。危機感を世界で共有することで、安倍政権が増税延期の大義を得ようとしているのではないかとの見方だ。
・・・・・(以下省略)

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 案の定、海外メディア(英国:フィナンシャルタイムズ、BBC)(フランス:ルモンド)(米国:CNBC)(中国:新華社通信)が安倍首相の「リーマン・ショック級」という表現に噛み付いている。自国内でもアベノミクスは破綻しているのに、G7であんなたわいもない表をだして「リーマン・ショック級」と演説するようでは、首相も内閣参与の経済ブレーンも頭がおかしいのではないかと海外から疑われてしまったようです。まことに残念なことに、わたしが懸念した通りになりました。

毎日新聞 http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e4%bc%8a%e5%8b%a2%e5%bf%97%e6%91%a9%e3%82%b5%e3%83%9f%e3%83%83%e3%83%88%e3%80%8c%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%b3%e7%b4%9a%e3%80%8d%e3%81%ab%e6%89%b9%e5%88%a4%e7%9b%b8%e6%ac%a1%e3%81%90/ar-BBtAhQM?ocid=iefvrt#page=2
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伊勢志摩サミット:「リーマン級」に批判相次ぐ

  27日閉幕した主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)で、安倍晋三首相が「世界経済はリーマン・ショック前に似ている」との景気認識をもとに財政政策などの強化を呼びかけたことに対し、批判的な論調で報じる海外メディアが相次いだ。景気認識の判断材料となった統計の扱いに疑問を投げかけ、首相の悲観論を「消費増税延期の口実」と見透かす識者の見方を交えて伝えている。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は「世界経済が着実に成長する中、安倍氏が説得力のない(リーマン・ショックが起きた)2008年との比較を持ち出したのは、安倍氏の増税延期計画を意味している」と指摘した。首相はサミット初日の26日、商品価格の下落や新興国経済の低調ぶりを示す統計などを示し、自らの景気認識に根拠を持たせようとした。しかし、年明けに急落した原油価格がやや持ち直すなど、金融市場の動揺は一服している。米国は追加利上げを探る段階だ。英国のキャメロン首相は26日の討議で「危機とは言えない」と反論。FTは英政府幹部の話として「キャメロン氏は安倍氏と同じ意見ではない」と指摘した。

 英BBCは27日付のコラムで「G7での安倍氏の使命は、一段の財政出動に賛成するよう各国首脳を説得することだったが、失敗した」と断じた。そのうえで「安倍氏はG7首脳を納得させられなかった。今度は(日本の)有権者が安倍氏に賛同するか見守ろう」と結んだ。

 仏ルモンド紙は「安倍氏は『深刻なリスク』の存在を訴え、悲観主義で驚かせた」と報じた。首相が、リーマン・ショックのような事態が起こらない限り消費税増税に踏み切ると繰り返し述べてきたことを説明し、「自国経済への不安を国民に訴える手段にG7を利用した」との専門家の分析を紹介した。首相が提唱した財政出動での協調については、「メンバー国全ての同意は得られなかった」と総括した。

 米経済メディアCNBCは「増税延期計画の一環」「あまりに芝居がかっている」などとする市場関係者らのコメントを伝えた。

 一方、中国国営新華社通信は「巨額の財政赤字を抱える日本が、他国に財政出動を求める資格があるのか?」と皮肉った。首相が新興国経済の減速を世界経済のリスクに挙げたことへの反発とみられ、「日本の巨額債務は巨大なリスクで、世界経済をかく乱しかねない」とも指摘した。【清水憲司、宮川裕章、井出晋平】
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