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#3293 授業進捗管理の徹底(1):教科書会社の「年間指導計画」と比較  May 17, 2016 [71.データに基づく教育論議]

 はじめにこの問題を取り上げるわたしの基本的なスタンスを書いておきます。
 それは民間企業の仕事の進捗管理をベースに考えるということです。「学校の常識は世間の非常識」と言われることがありますが、「学校村」あるいは「教育村」という村社会に引きこもっていると、世間の常識が見えなくなります。いや、見えなくなるのではなく、知らないのでしょう。大学を卒業すると同時に先生になった人は、民間企業勤務経験がありませんから、民間企業の「常識」を知らないのは当然だろうと思います。
 民間企業経験のある先生も少数ですがいらっしゃいますから、その先生たちは民間企業の仕事の進捗管理については経験済みのことですからよくご存知です。わたしの主張に頷けるところがあるでしょう。 
 新学期が始まって1ヶ月が過ぎました。話を単純化するために、数学を例に挙げて授業進捗管理を論じますが、他の科目も同じ問題をはらんでいます。
 それでは、仕事の進捗管理のやり方について具体例を挙げて説明してみます。

 文協学力テストの出題範囲スケジュール表が配られていますが、根室の中学校はそれを基準に授業がなされているようにみえます。教科書会社が公表している「年間指導計画」をつき合わせたら、遅すぎることがわかります。
 学力テストで科目によっては、テスト範囲の消化が間に合わずに、問題の差し替えがなされることが頻繁に行わる学校もありました。過去の例ではB中学校がとくに多かった。

 教科書会社が公表している「年間指導計画」があります。東京書籍のものをみると、月ごとにやるべき章が載っています。URLを貼り付けておくので見てください。

*https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/keikaku/sugaku/index.htm

3年生:https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/keikaku/sugaku/files/keikaku03_nencal.doc
2年生:https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/keikaku/sugaku/files/keikaku02_nencal.doc

 3年生だと1月半ばに教科書全部が終了するスケジュールとなっており、それ以降は「予備時間」です。「予備時間」はインフルエンザで休校になったときの予備にも充てられますが、受験が2月から始まるので、半月~1ヶ月間の復習時間を考慮しているのでしょう。学校行事で予備時間を浪費してはいけません。
 2年生は2月半ばに教科書全部が終わるスケジュールになっているので、学年末テスト範囲に積み残しの余地はありません。やはり1ヶ月間(2月半ばから3月終業式まで)の「予備時間」が設定されています。この期間に1年間の復習問題をやれるようなスケジュールになっています。学年末テスト範囲が教科書の終わりの章を含んでいなかったら、要注意です。管理職は数学担当の先生に注意喚起すべきです。
 根室の中学校は、「式の計算」と「連立方程式」の計算に時間を割きすぎて、それ以降の「1次関数」「平行と合同」「三角形と四角形」「確率」の章をやる時間が短くなる傾向があります。最後の章の「確率」は基本問題だけでさーっと流してしまいますので、ほとんどの高校生が数Aの「順列・組合せ・確率」の章が苦手になります。後遺症があるのです。

 3年生は夏休み前までに、次の章をやります。
「多項式の計算」
「因数分解」
「式の計算の応用」
「平方根」
「根号を含む計算」
「2次方程式とその解き方」
「2次方程式の利用」
 ⇒ 途中まで

 そろそろ「平方根」に入っていなければなりませんが、5月17日の時点で平方根の章をはじめた学校はありますか?
 教頭先生や校長先生は、教科書会社が提供している年間指導計画を参考にして5教科の授業の進捗チェックをすべきです。
 担当(の先生)がちゃんと管理し、それを管理職がチェックするのは民間会社ならあたりまえです。管理職ならだれでもそういう仕事の仕方をしています。年2回、賞与の査定があるので、仕事の進捗管理の現況については面談でチェックがなされます。

 2年生は、そろそろ連立方程式の章に入らなければなりません。6月下旬から「1次関数」の章をやるスケジュールになっていますが、これが夏休みの後にならないようにチェックを入れる必要があります。

 仕事の進捗管理は、担当者がやるのがあたりまえですが、民間企業では「報告・連絡・相談(以下、報連相と略記)」が日常行われるので、上司が必ずチェックしています。賞与の査定でも仕事の進捗状況はチェックされます。

 授業の進捗管理をちゃんとやって、半数以上を占めている得点1/3以下の生徒には放課後補習をすれば、全国学力テストの全国平均値はクリアできます。当たり前のことを当たり前にやるだけで達成できます。
 低学力層の生徒には手間をたっぷりかけるしかないのです、できる生徒の何倍も手間がかかります、惜しみなく手間をかけましょう。根気の勝負です。 

<校長室撤廃のススメ>
 大企業の社長ではないのですから、生徒数300人以下の中学校は校長室を撤廃すべきです。理由は二つあります。一つは校長室をあてがわれることで特権意識を生み、勘違いが起きます。もう一つは、職員とのコミュニケーションを阻害すること。
 授業の進捗は、朝、次のようにやれば簡単です。
「数学担当の鈴木さんと田中さん、中3の進捗状況を報告してください、指導計画によれば、○○の章です」
「中2と中1はどうですか?」
 こういう風に科目ごとに毎日やれば、五科目は1週間で終わります。毎月初に繰り返します。簡単でしょう?


 英語と社会科も同じ方法でチェックを入れてみてください、理科と国語はその後でよい。

 次回は、定期テストの難易度に関する問題点を取り上げ、提案をする予定です。


*#3290 授業の進捗管理と学力テストの平均点には因果関係がある May 13,
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12-2
 
 #3287 アンバランスな授業時間配分は学力低下をもたらす May 12, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-05-11-1



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コメント 2

ZAPPER

進度が遅いだけではなく、我々に言わせたなら演習の絶対量がまずもって不足しています。現場の先生方は無自覚なのでしょうけれど、問題解決型学習の流れで、特に算数・数学の教科書の導入部分などはやたらに「しつこい」ものになっていますね。

ゆっくり丁寧にやれば理解が深まるという思い込み、それに問題解決型学習が火に油を注いでいるように私には思えます。習うより慣れろという考えがすっかり欠落してしまっているようです。

知識・技能の習得は、学習指導技術云々以前に、まずはこなした問題の量によること。その常識を取り戻していただきたいと思います。

高速道路から一般道に下りると車の流れがやけに遅く感じるわけですが、通塾組の(普通以上の学力)子の多くは学校の授業をそのように捉えてしまっています。
by ZAPPER (2016-05-18 00:29) 

ebisu

ZAPPERさん

>知識・技能の習得は、学習指導技術云々以前に、まずはこなした問題の量によること。その常識を取り戻していただきたいと思います。

この点はまったく同感です。
先生たちは一般道を時速40kmで走ることになれてしまっているのでしょう。

せっかくですから、もうすこし具体的に検討してみます。
生徒の7割が満点の1/3の得点以下の学年では、時速を落とさなければ大半の生徒が理解できない現実があります。いや、それでも理解できない。大半の生徒に家庭学習習慣がないからです。

問題量不足は事実ですね。学校でやる問題数が少ないので、家庭学習をしない生徒は消化する問題量が足りません。教科書準拠問題集だけでは量が不足しています。成績最下層の生徒たちは、解答を見て答えを写すだけですから、学力が上がりません。
『カルク』という根室市教委が作成した問題集がありましたが、配っただけでは効果がありませんでした。家庭学習をしない生徒が『カルク』をやるはずがないのですから。

高速授業と家庭学習はセットではないでしょうか。C中やB中の2年生に高速授業をしたら、大量のおちこぼれをだすだけです。
この生徒たちに問題量が不足しているというのは、勉強時間量が不足しているということと同義です。
家庭学習習慣が身についていないまま、勉強時間量を増やすためには、週に2日ほど低学力の生徒に部活を禁止して、放課後補習しかありません。

武修館の中等部では7-8時間授業だそうで、土曜日も隔週の授業をやっているようです。
需要時間量が3割り増しくらい確保されています。
厳しい環境で育てないと、人は育たないのかもしれません。
そういう目で見ると、公立中学校はとても生徒に甘い。
そして、低学力層の生徒は、保護者が小学校低学年での家庭学習習慣の躾に失敗した結果ではないでしょうか。
なかなか根が深い問題がありそうです。
by ebisu (2016-05-18 01:10) 

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