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#3287 アンバランスな授業時間配分は学力低下をもたらす May 12, 2016 [71.データに基づく教育論議]

 中学校の数学の授業は、1学期は全学年で計算に関する章に充てられています。2年生の授業で1年生の正負の数の四則計算復習に時間を割いている先生もいます。わからないではありません。でも、学力テストで生徒の半数が33点(3年生は60点満点ですから20点)以下であるというのは、自分が教えそこなったということですから、土日を返上して補習するか、平日の7時間目を設定して補習するのがあたりまえと考えるのが、普通の民間企業で働く人の感覚です。
 得点が満点の1/3以下である生徒は補習のある期間は部活停止で、補習授業に強制参加とすべきです。それがプロの仕事上の責任というものでしょう。文武両道、学校ですから学業優先はあたりまえです。いけませんか?わたしは民間企業人の常識の範囲で書いています。
 前年度に教えそこなったところを、通常の授業時間を利用してカバーしようとすれば、当年度の授業時数が足りなくなるのは計算しなくてもわかります。その結果、三学期になると時間数が足りなくなり、復習の時間が取れなくなります。
 この3年間で根室の市街化地域の学校の授業の進捗管理はずいぶん改善されましたが、それでも三学期末テストの範囲が教科書の終わりの章をカバーしていなくても、平気な先生が一部にいます。授業の進捗管理が悪いというより目標値の設定がおかしい、言い換えると、1年間学んだ内容の復習に1ヶ月間の授業時間を充てられない先生がいます。
 2月の授業を復習時間に充てなかった生徒の学力がどうなるかははっきりしています。4月のお迎えテストの平均点が低くなります。どれくらいかは、3回目に書きます。
 授業の進捗管理をしっかりおやりになって、1月末までに、教科書を終えて、2月を復習に充てた授業を受けた生徒たちと、3月の終業式の直前になってようやく教科書を終わり、復習なしの生徒たちとでは平均点に大きな差が出るのは、だれが考えたってあたりまえですね

 2回続けてブログ「情熱空間」から引用して、釧路の中学校の実情をご紹介しますが、3回目に根室の中学校がどうなっているのか、悪いほうの例を学校名を出さずに紹介します。先生の授業進捗管理の巧拙と生徒の学力に関連があることを、データが雄弁に物語ります

 仕事のスケジュール管理がちゃんとできなければ、民間企業ではペケ社員です。ボーナスの査定は下がりますし、昇格ももちろんありません。2年続けたら、上司から、「2年続けてスケジュール管理ができなかったね、君にはこの仕事は向かないのじゃないか?転職を考えたら?」それくらいのことは言われます。それくらい仕事の進捗管理は大事なことなのです。

 「隠れたカリキュラム」という言葉があります。三学期の期末テストで教科書の最後の章まで授業が終わらなかった先生から生徒たちは何を学ぶと思います?仕事の進捗管理なんていい加減でいいということを学んでしまいます。ほとんどの生徒たちが民間企業に勤務するでしょう。どうなると思いますか、社会に出てから病状が現れます、「隠れたカリキュラム」の副作用がどのようなものかを想像してみてください。
 

ブログ「情熱空間」より転載
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8449133.html
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2016年05月11日

やたらに多い計算練習

まさにまさに、ストライクど真ん中。

まったくもってその通りなんですね。やれば大半の子ができるようになる計算部分に、やたらめったら時間を費やし、その後の文章題等の応用問題を端折る。だからいつまで経っても数学の力が低いまま。それがこの地ではスタンダードと化しています。

ただ、そこにはこうした事情があります。分数・小数の計算をきちんとできない子が多いから。はい、小学校卒業時点での力がかなり弱いんですね(以前よりはだいぶまともにはなってきましたが、まだまだです…)。それに国語力も弱いので設問の意図するところを理解できない。なので、指導レベルそのものを下げて対応し、誰でもできる計算部分に力を入れ過ぎている。

しかし残念なことに、肝心の教えている側にその「自覚」がないんですね。なぜなら他の地域のことを知らないから。そこがまた大問題なんですね。いつもながら、ちょっときつい言い方(笑)をしますが、だから教科書をなめている。だって、教科書内容を「ちゃんと消化」なんかしないんですからね。そしてそのことは、定期試験の出題を見れば一目瞭然。「これ、いくらなんでも易しすぎでしょう…」ってなものがやたらめったらに多い。故に上が伸びない。

合格先生が示す改善策。なんのことはなくて単元テストを多用して、今より少しハードルを上げてやれば、それだけでかなり改善されるはずなんですね。「できない子に、授業中にいつまでもつき合う」というやり方はNGです。他に機会を設けて個別に教えてあげればいいんですよ。

1ヶ月とか2ヶ月とか伴走して個別対応してあげて、できるようになるまでつき合ってあげればいいんです。そうしてあげて、できなかったことができるようになった子は、そのことを恩義に感じてくれるものです。ですから、結果として自分のファンを増やすことにもなるわけで、そうした子がクラスに増えてくれると、できるようになることに加え、授業が格段にやり易くなるものです。

ここが変わったなら、まさしく激変するはずですよ。

●数学、スタートのつまづき
http://www002.upp.so-net.ne.jp/singakukouza/jijimonndai.html#Anchor-10687

《引用開始》
ここは毎年変わりません

 今、中学校3年生だと、5月に入って、まだ「展開の計算をやっている」なんていうのは、論外です。遅すぎです。中学2年生だと、もう単純な計算部分は終了して、利用の方に入っていなければ論外です。遅すぎです。
 この辺の計算内容がいつまでもダラダラ遅いのが釧路のスタンダードになっています。この調子では数学の学力はつきません。どうしてかと言うと、計算に必要以上に時間をかけてしまうため、難易度の高めの内容を端折って行くからです。結果、数学の学力はいつまでも低いまま。

 単純な計算内容は、サッと進めて「単元テスト」などで基準点を決め、出来ていない子は居残り対応するのが一般的~補習・再テストなどで対応するべき~で、それが行われず、分数・小数の出来ない子にいつまでも付き合っているから、計算力がつかないまま、ただダラダラと時間をかけてしまっているというのが実状です。結果、時間数が足りず、道教委からお目玉を食らう、という学校も出てくる訳ですね。
 だから、6月に定期テストが行われる学校であれば、数学の試験範囲は少なくても「1章全部」ですよ。2ヶ月かけて、1章も終わっていないなら、そのあと、どうやって進める気でいるのか、疑われるでしょ。当たり前の話です。何度か、このコーナーで言ってきましたが、当たり前のことを当たり前にやるだけなんです。

 ちなみに、小数・分数が出来ないのは、小学校の責任が大きいわけで、中学校でも出来ない子が大量にいるのなら、小学校の教師に、中学校の「補習や再テストの手伝い」をさせて、自分が教えてきた子が中学校でどんな状況になっているか、というのを見せるというのはどうでしょう? そのくらいの事をやってもらわないと、自分の教えた子がどういう状況になっているかという認識が出来ないまま、とりあえず「卒業してしまったら、後は野となれ山となれ」状況で放り出す事が無くなると思うんですが。
 さらに言うと、この状況での一番の被害者は高校の教師かも知れません。高校で「小数・分数・アルファベット」をやっているのが過半数なんですから。もう、こういう状況をそろそろ終わりにしませんか?
《引用終了》
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コメント 4

tsuguo-kodera

 いえいえ、大学の情報リタラシーの先生の方がもっと被害者です。分数の計算をできない大学生にUNIXのオープン思想を教えるのだからです。
 管理人さんの私のブログへのコメントへの今日のコメントバックでも40年前と変わらない、いいえむしろ増した悲惨な状況を読めるかもしれません。(笑)
 やはり私はすべての基盤に小学生の小論技法と情報リタラシーとシチズンシップ教育が必要になった時代のように思えます。
 やっと孤立していた変人の説が中心にきたように思えた瞬間、首になったのが不思議でした。ですから私はUNIXに戻り、たっかの先生に本を買っていただく努力を始めたのです。
 これはまだ営業秘密、吉報公開を待って居てください。映画やAKBの手法かも。(笑)
by tsuguo-kodera (2016-05-12 07:00) 

ebisu

おはようございます。

トロンの坂村健も小寺さんの周辺の人でしたか。面白い話を聞かせていただきました。

http://blog.goo.ne.jp/tsuguo-kodera/e/73fa79f1feb4fd5246b29a3565ec1343#comment-list

AIもまだ取り返しがつくほど、人材の厚みが日本にはありますか。ロボットは鉄腕アトムからの長い実績があります。(笑)
あれはあんがい重要かもしれません。鉄腕アトムが日本人のロボットのアーキタイプとして心の奥に刻まれています。

> やはり私はすべての基盤に小学生の小論技法と情報リタラシーとシチズンシップ教育が必要になった時代のように思えます。

昨日、中2の生徒が弁論のテーマを変更して、書き直していましたが、聖書の字もきれいだし、論旨もすばらしいものでした。本を読むのが嫌いな生徒ですが、良書をピックアップして音読トレーニングしているうちに、小論は(注文に応じて)説得力のあるものが書けるようになっていました。
同期の3%の人間が高い能力を持てば、なんとかなるのでしょう。
小寺さんの説を伺って、気が楽になりました。
次の時代は、次の世代が切り拓いていくのでしょう。
ケセラセラ。
by ebisu (2016-05-12 08:18) 

ZAPPER

ご紹介ありがとうございます。

ゆっくりていねいに。

小中学校の先生方に是非ともご理解いただきたいのは、その考え自体が大間違い。世間一般のあまたの職業人の常識と大きく乖離しているということです。

ラーメン屋だって定食屋だって、注文してから出てくるの、そりゃ速いものです。事務職だって職人仕事だってみなそうです。仕事が上達し、プロになればなるほどに仕事は速く正確になるもの。

スピードって重要なんです。学習指導もまた同じで、少し速いぐらいがちょうどいいんです。速めに進んで復習を入れる。その繰り返し。それが「まっとうな学習指導」なんです。

いよいよ「最後の砦」に近づいてきたでしょうか(笑)。おかげさまでやっとこさ、こうした「あたりまえのこと」を論じられるようになってきました。ありがとうございます。^^
by ZAPPER (2016-05-12 11:46) 

ebisu

このテーマは合格先生とZAPPERさんとebisuの三重奏です。(笑)

職人仕事が日本人の伝統的なスタンダードです、速く正確にというのが腕のよい職人には当たり前のことです。

低学力層に焦点を当てた授業が、さらなる学力低下をまねくというメカニズムが学校の先生たちに共有されるとうれしいですね。

データに基づいて議論すると、具体的な対処法も見えてきます。実にシンプルな話です。

3回目で使うデータをEXCELで作成し終わったので、明日の朝にはアップします。

by ebisu (2016-05-12 12:17) 

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