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#3257 NHKスペシャル「原発メルトダウン」:真実が見えてきた Mar.14, 2016 [13. 東日本大震災&福島原発事故]

 3月13日(日曜日)午後9時からのNHKスペシャル「原発メルトダウン」を見た。3基の原子炉が次々にメルトダウン、メルトスルーするという世界ではじめての深刻な原発事故災害の危機が深刻化した88時間をドラマ仕立てにした番組だったが、随所で実際の映像が使われていた。
 1号原子炉建屋の爆発の後、3月14日午前11時1分に3号原子炉建屋が爆発を起こした。両方の実際の映像を見たが、1号炉建屋が爆発と同時に全方向に白煙が広がっただけなのに対して、3号炉建屋は噴出した黒煙を切り裂くように斜め右方向へオレンジ色の閃光を発し、その後垂直方向に煙を噴き上げた。午前11時1分なのに、黒煙の中からオレンジ色の閃光がはっきりと(10km以上離れたところに設置されていたビデオカメラに)写った。
 水蒸気爆発ではあの黒煙とオレンジ色の閃光は説明がつかない。1号機の水蒸気爆発では全方向に白煙が広がっただけで、瓦礫が真上に吹き上げられて落ちてくることはなかった。3号機の爆発を見た後では、1号機は実に穏やかな小爆発に見える。
 番組の実映像をしっかり見て、coolに考えれば事実がどのようなものであったのかわかるように作られているように感じたのはわたしだけではないだろう。番組制作の現場にはまだ、報道機関としての魂を持ち続けている人たちが少数いるようだ。番組を作った人々の秘められたメッセージをちゃんと読み取ることが、わたしたち視聴者に課せられた役割だろう。わたしたちは原発事故の真実をこの番組から読みとらなければならない。

<facts>
 3/12 15:36 1号機爆発
 3/14 11:01 3号機爆発(爆発音は3度あり)
 3/15 10:22 3号機周辺で400mSV/hの放射線量を検出
 3/15 6:10  2号機で異音発生
 3/15 6:14  4号機建屋爆発
 3/16 8:37  3号機建屋から白煙が上がり、水蒸気噴出を確認

<民放「バン記者」>
 同日の民法テレビ「バン記者」は浪江町津島地区を取材していた。3号原子炉建屋の爆発崩壊の音は11km離れた浪江町の消防団員佐々木茂さん(61歳)も聞いた。とても大きな音で驚いたという。戦艦大和の42インチ砲よりも、原子炉圧力容器の直径は10倍は大きいし、爆発力も桁違いである。浪江町の消防団員が「終わりかもしれない」と考えたのも無理はない。ふだん30分の距離の津島地区への避難に、国道が混み3時間かかったという。体育館に入りきれなくて、車の中や外で待機していた人々が大勢いた。午後6時に風向きが浪江町方向に変わった。
 このとき避難した吉田あゆみさん(15歳)は当時小学4年生だった。避難するときに反対車線の車から防護服の警察関係者が出てきて、「なんであんたたちここから逃げないんだ」と住民に告げたという。警察関係者は深刻な放射能汚染が起きていることを知っていたが、町役場には通知がなかった。町長は次のように述懐していた。
「あれだけたくさんの子どもたちが、全国に離れ離れ、いま元気にしているのかなって・・・」、悔やんでも悔やみきれない思いを吐露していた。

<NHK「原発メルトダウン」を見ての推測>
 改めて1号炉建屋と3号炉建屋の爆発映像を比べてわかったことがある。3号炉建屋の爆発は原子炉圧力容器が爆発して原子炉格納容器の上部を吹き飛ばしたのだ。円筒形の形状をして、厚さが15-30cmの鋼鉄製の原子炉圧力容器がいわば「砲身」となって、大砲を垂直に撃ったようなもので、ボルトでとめられた圧力容器の上蓋と格納容器の黄色い蓋を吹き飛ばしたのだ。だから、大きな瓦礫(原子炉格納容器と圧力容器の上部)が爆発の後でガラガラ落ちてきた。垂直方向に吹き飛ばされるもので大きな塊は、原子炉格納容器と圧力容器の蓋の部分以外にはありえない。天上部分のコンクリートは構造上厚いはずがないから、他には考えられない。建屋の2/5が崩れたから、圧力容器の円筒形の部分の上1/3くらいが爆発で吹き飛んだと考えるしかない。
 1号建屋の爆発では、垂直に吹き上げてはいなかったから、爆発の後にあのような瓦礫が降ってこなかった。建屋全体が白煙に包まれた。もちろん原子炉格納容器は無事で、黄色い原子炉格納容器の上部も写っていた。
 3号機は圧力容器が「砲身」となって格納容器の上部を吹き飛ばしたから、爆発後のどの映像を見ても建屋の瓦礫の中に格納容器の黄色い蓋の部分が存在していない。黄色くペイントされた大きな瓦礫を片付けた作業員が何人もいるはずだ。わたしが想像する機序は次のようなものだ。

  メルトダウン⇒爆発⇒メルトスルー

 メルトダウンした核燃料は液体状になっていますから、15-30cm厚の鋼鉄製の圧力容器内で比重別に分かれ、純度が高くなって即発臨界爆発を起こしたと考えるのが、すべての現象を合理的に説明できるのではないか。現場の作業員の証言では3回爆発音がしたということですから、さらになにかの現象が起きたのでしょう。
 鋼鉄製の圧力容器が「砲身」となってMOX燃料の一部も空中高く飛ばすには、爆発のときに圧力容器の底の部分があったということ。垂直方向への噴煙の吹き上げはそうして起きたと考えられる。オレンジ色の光は斜めに出ていたから、「砲身」の上部が爆発で裂けたと考えるべきだ。爆発と同時か直後にメルトスルーがあった。
 41km離れた場所からプルトニウムの小片が発見されている。

 NHKの番組は2号炉のベントによる放射能放出が一番深刻だったというつくりになっていた。ベントの後にSR弁が開かなくて、水位が下がり続け炉心が融け始めたときに爆発音、吉田所長は2号炉が爆発したと思ったが、4号原子炉建屋の吹き飛ぶ音だった。2号炉があの程度で済んだのはまったくの偶然であった。薄氷を踏み、吉田所長がもう終わりだと覚悟を決めた瞬間があった。「おれと一緒に死んでくれるのはあいつかな」と当時を振り返って、食道癌で亡くなった吉田所長が証言している。原発事故後、半年間も現場に踏みとどまり指揮したからそのストレスの大きさはいかばかりであったか。限度を超えた被爆とストレスが食道癌の引き金になったのだろう。

<3号機爆発の解明をなぜしなければならないのか>
 5年経っても3号機の爆発の様相はまったく明らかにされていない。東京電力は3号機の爆発に関して何か重大な情報を隠している。5年経っても公表できないほどのものなのだろう。
 圧力容器の上部と格納容器の上部が爆発で吹き飛んだとは公表できないのだろう。撒き散らされた放射能の計算値は大きく違ってくるのではないのか?小児甲状腺癌のリスクも再評価しなければならない。3号炉の圧力容器の上部が吹き飛んだとしたら、それだけでチェルノブイリよりも放出放射能量が多いということになりはしないだろうか?
 どなたか専門家の方が、大まかな放出放射能量の再計算をし直してもらいたい。
 民放テレビ番組「バン記者」によれば、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)の情報が隠蔽され、子どもたちが汚染のひどい地域(浪江町津島地区)に置かれた。馬場有(67歳)浪江軒町長がSPEEDIの情報を知ったのは3月下旬である。町長はいまも子どもたちを津島地区へ「避難」させたことを悔やんでいる。子どもたちは放射能の降り注ぐ津島地区で外で活動していた。
 これから子どもたちに何がおきるかわからない。ベラルーシでは0-5歳児に小児甲状腺癌が多発しだしたのは7-8年後からである。ちゃんとケアするために、そして次の原発事故で、多数の小児甲状腺癌や成人の癌多発を防ぐためにも、航空機を使ってなされなかった実測データの重要性を知るためにも、精確な放出放射能量を計算することが必要なのだろう。
 菅直人総理(当時)は3月12日福島第一原発10km圏内からの避難を指示したが、その外側(11km)にあった浪江町津島地区に避難した子どもたちとその親たちは放射能が降り注ぐ地に居続け、深刻な被爆をした。枝野官房長官は「ただちに健康に影響があるわけではない」と何度も言い続けた。その後一度も真摯な反省の弁を聞いたことがない。政治家として云々するより前に、人として問題がありはしないか?
 156名の子どもたちから小児甲状腺癌が発見されている。2巡目の検査で55人が発見されたのは、チェルノブイリ事故とは別な何か特別なことが福島県の子どもたちに起きていることを示唆するものである。甲状腺癌を摘出した子どもたちは、その後一生、甲状腺ホルモン剤を飲み続けなければならない。そして他の臓器の癌発症の不安を抱き続けることになる。馬場浪江町長は子どもたちを津島地区へ避難させたことをいまも悔やみ続けている。今後、数千人の子どもたちが小児甲状腺癌を発症する可能性を否定できない。

 ところで、NHKの番組では原子炉の位置が建屋内の低いところにあるようにイラストが描かれていたが、構造図と位置が異なっていたので、作為を感じた。低い位置にあるから、建屋の2/5の高さまで吹き飛んでも、原子炉格納容器は無事だと思わせたかったのだろう。
 ところが構造図では建屋内の最上部に近いところに、格納容器の蓋の部分がある。4号建屋の瓦礫にはっきりと黄色い構造物が写っているが、建屋の上部にある。屋根の下にあるフロアに黄色い格納容器の上蓋があったはずである。屋根が鉄骨を残して吹き飛べば、黄色い格納容器の上蓋が丸見えになる構造になっている。

*上部が瓦礫と化した4号機建屋に、上から2段目の位置、柱の影に黄色い原子炉格納容器が見えている。⑥をクリックして見て下さい。

⑥構造図http://www.asahi.com/photonews/gallery/infographics/npp318a

 3号原子炉建屋が瓦礫と化した写真を掲載しているURLを#3245に貼り付けてある。東京電力が公表した毎日新聞掲載の横からとったものと、無人機で上空から撮影したものがある。鮮明な写真だが、黄色い構造物を確認することができない。つまり、格納容器の上部が存在していない。よく見ると、黄色い瓦礫の小片が3点確認できた。

*無人機から撮影した写真(3号原子炉建屋)
http://www.asahi.com/photonews/gallery/fukushimagenpatsu/20110329TNGA0061AGOC_650px.html

 オレンジ色の閃光と垂直に上がった黒い煙はいったいなんだったのだろう?何がどうなればあのような爆発が起きるのかを解明し、防止手段を講じなければ、次の原発事故でまた同じ現象が起きて、大規模な放射能汚染と放射能感受性の高い子どもたちの深刻な被爆が起きてしまう。
 未来に起こる2度目の深刻な原発事故の被害を最小限にするために、3号炉の爆発がどのようなメカニズムで起きたのかを解明し、防止措置を施さなければならない。原発再稼動はそういう作業が終わった後で議論すべきだ


 泊原発で類似の原発事故が起きれば、浪江町津島地区で起きたことが小樽市や石狩市や札幌市で起きる。福島第一原発事故の様相を明らかにして防護策を講じておくことは、540万人の道民にとっても必要不可欠なことなのである。日本の食糧庫である北海道が放射能汚染にさらされたら、日本人の食糧自給は土台から崩れてしまうだろう。
 石狩平野も十勝平野も根釧台地も深刻な放射能汚染に見舞われる。表土を取り除いても汚染土の保管場所がないから、百年も2百年間も周辺に積み上げたままになる。煮ても焼いても放射能が消えることはない。東北各地で10000Bq/kgを超える汚染稲藁が3114tも未処理のまま放置されている。放射性廃棄物として申請し焼却処分しても、放射能は焼却灰に濃縮されて残る。稲藁に含まれている放射能の一部は、焼却の際に周辺へ放出されてしまう。



<追記>3/14 12時半
 原子炉は即発臨界爆発の必要条件をすべて満たしていることが述べられています。低レベルの核爆発はあんがい簡単に起きますが、知られていないようです。即発臨界に疑念を持っている方はぜひお読みください。
*即発臨界爆発について
http://ameblo.jp/64152966/entry-12015254966.html
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核兵器製造には高濃縮ウラン、プルトニウムが必要と
刷り込まれてきましたが、それは本格的核爆弾の話で
あって、ビルを一棟吹き飛ばすぐらいなら、
核燃料を水に浸けるだけで十分
「核燃料はそのまま核爆弾になる」
これこそ原子力業界が今までずっと隠し、
ごまかしてきた真実でした。

槌田敦さんの指摘は、つまり、今日本で稼働してる、
すべての原発が、そのまま核爆発を起こすことができる
という真実
水のなかに核燃料を置き、周囲をベリリウムで囲って
爆発的圧縮をかければ、そのまま核爆発する

【反原発派も触れようとしない原子力最大のタブー】
http://ameblo.jp/64152966/entry-11565424020.html
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* 核兵器には3種類ある。
  一つは10%低濃縮ウランと、水を中性子減速材に使う初期の原爆で、核反応の熱で水蒸気爆発を起こさせるもの。
  もう一つは改良型で高濃度ウラン・プルトニウムを使う核爆弾(広島・長崎に落とされたもの)。
三つ目は、強化型の爆弾(水爆、中性子爆弾)

* 臨界は簡単には起きないというのはウソ。
  5-10%低濃縮ウランは、水があれば核分裂を起こして爆発する。

* 戦時中、理化学研究所・仁科教授が研究していた原爆も水を使う初期型のもの。

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 このブログに貼り付けられている3号機の爆発ビデオをみると、斜め方向に黒煙とオレンジ色の閃光が同時に走り、ダーンと音がしたあと、黒煙が垂直に吹き上げ、続けて2度、ダーン、ダーンと爆発音がしている。爆発の種類は3つしか考えられない。水蒸気爆発と水素爆発、そして低レベルの核爆発である。どういう機序で起こったのかについてはわたしにはわからぬ。慥かなことは爆発音が3度して、斜め方向、そして垂直方向の爆発があったことだけ。
 このビデオはネットから消滅している。珍しく残った貴重品だ。

<物理学者槌田敦先生:>
 ユーチューブ映像
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-477.html

☆反原発派も触れようとしない原子力最大のタブー 槌田敦氏が追及
URL http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/357.html


*#3245 福島第一原発3号炉写真:格納容器が写っていないのはなぜ? Feb. 24, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-24-1

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**#1460 「原子炉圧力容器損傷か?:写真で検証
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-03-1

*#1462 「裸の王様:原子炉圧力容器は破損している 論より証拠、よく写真を見てごらん
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05

*「#1463 福島第1原発3号炉はもう無い:東京電力社員退去要請の意味」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-06

 
 #1506 3号機爆発は使用済み燃料の即発臨界爆発だったという假説 May 7, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-2

 #1655 あらら、何を隠そうとしているの?:原子炉建屋にコンクリートの覆い Sep.21, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-09-21

*#1752 3号炉の原子炉格納容器上部は吹き飛んでいる  Nov. 26, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27

 #2387 次の原発事故のために(8):トリチウムの問題 Aug. 29, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29

 #3239 内部被爆の恐怖:福島原発からガラス状の微粒子となってセシウムが飛散した Feb. 16, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-15


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メルトダウン 連鎖の真相

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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/06/15
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 作家の立花隆が「圧倒的に情報量が多い。内容的にも最良」(2013年7月11日号)と絶賛している」



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