#3245 福島第一原発3号炉写真:格納容器が写っていないのはなぜ? Feb. 24, 2016 [13. 東日本大震災&福島原発事故]
福島第一原発3号炉の事故後の写真には原子炉格納容器が写っていません。写っていなければ少なくとも原子炉上部が原子炉は吹き飛んだと考えるしかありません。
原子炉格納容器は派手な黄色だから無傷で存在していればすぐ目に付きます。なぜ、写っていないのでしょう?
論より証拠、2枚の写真を見比べてください。沸騰水型軽水炉の写真と建屋構造図のURLも貼り付けておきます。
*「東電:メルトダウン「判断基準あった」 福島原発事故当時 」毎日新聞
http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e6%9d%b1%e9%9b%bb%e3%83%a1%e3%83%ab%e3%83%88%e3%83%80%e3%82%a6%e3%83%b3%e3%80%8c%e5%88%a4%e6%96%ad%e5%9f%ba%e6%ba%96%e3%81%82%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%80%8d-%e7%a6%8f%e5%b3%b6%e5%8e%9f%e7%99%ba%e4%ba%8b%e6%95%85%e5%bd%93%e6%99%82/ar-BBpV8qv
写真の右端が切れてしまうが、URLをクリックしていただければ、建屋の端から端まで全部写っています。
福島第一原発の原子炉格納容器は黄色です。タイプは違いますが、東北電力の原子炉格納容器の写真がネットにあったので、比較のために転載します、ご覧ください。
*原子炉格納容器の写真 の画像検索結果
東通1号機原子炉格納容器組立工事
*沸騰水型軽水炉の写真
http://nagomi-web.com/hotnews/genpatu/genpatu_7.html
こちらには写真と、建屋構造図が載っていますから、建屋の高さと原子炉格納容器の高さのおおよその割合がわかります。
原子炉圧力容器の残骸と思われる場所から、大量の水蒸気が上がっています。溶鉱炉で融けた鉄をプールに流し込んだようなすさまじい量の水蒸気です。ちょうど原子炉圧力容器の位置から上がっています。写真では原子炉上部が吹き飛んでしまっています、吹き飛んだからこそその位置から水蒸気が立ち上っているように見えます。
写真にはあるべき場所に黄色い原子炉格納容器が写っていないのです。黄色い色がどこにも見えないでしょう?
原子炉格納容器は、原子炉建屋の高さのおおよそ3/4ありますから、原子炉格納容器が吹き飛んでいなければ、瓦礫の中に黄色の原子炉格納容器が写っていなければならなりませんが、東京電力が提供した事故後に瓦礫と化した原子炉建屋の写真には、原子炉格納容器はどこにも写っていません。半分くらいの高さのところに円筒形の物体が写っていますが黄色ではありません、鋼鉄の色をしています。おそらく原子炉圧力容器の残骸でしょう。その中心の位置から大量の水蒸気が噴出しているということは、原子炉圧力容器の上部も、原子炉格納容器の上部もないということ。あったとしたら、その周りから水蒸気が立ち上るはず。
構造図を見ると、原子炉圧力容器の上部と原子炉格納容器の上部には隙間が2m程度のようです。原子炉格納容器の上部と使用済み燃料プールの底がほぼ同じ高さにあります。格納容器の上部が吹き飛べば、燃料プールも損傷を受けます。一部が吹き飛び残りが下の方へ崩れ落ちます。
圧力容器の上部が吹き飛んだので、一緒に格納容器の上部も吹き飛び、使用済み燃料プールが崩れたのではないでしょうか。黄色の瓦礫(格納容器の破片や残存構造物)がまったく見えないのは、他にどういう事態を想定したら説明がつくのでしょう?
遠くからの映像ですが、爆発の瞬間のビデオがありました。オレンジ色の閃光と黒い煙が上がり、大きな瓦礫がばらばらと落下している様子が写っていました。他の原子炉の爆発は白煙が上がっただけですが、3号炉はオレンジ色の閃光と真っ黒い煙が上がり、その後に大きな瓦礫が降ってくるのが(遠距離から望遠レンズで写したビデオに)はっきり写っていたのです。そうとう大きなものが落ちてきました。1,2,4号機の爆発とはまったく様相が違っていました。
あれが原子炉格納装置の上部だとしたら、それを片付けた作業員がいるはずですし、指示を出したのは東京電力の人間です。写真にも原子炉格納容器の上部が存在しませんから、どこかにあるはずです。東電がこれらのことを隠蔽してしまったとしか考えられないのです。見事な隠蔽工作です、マスコミも原子炉格納容器がどこへいったのかスクープで来ません。東京電力に説明を求めたらいいだけのように思います。返事に窮するでしょう。
事故後に飛行機から撮ったと思われる映像が流されたときにも、原子炉格納容器が確認できませんでした。
プルサーマルでMOX燃料を使っていた原子炉が吹き飛んだとしたら、プルトニウムも飛散したはずです。実際に45km離れたところから、プルトニウムを含む燃料の小片が見つかっています。
*#1677 福島原発45km地点でプルトニウム検出 Oct. 5, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-10-06-1
あらゆる状況証拠が原子炉本体が爆発して吹き飛んだことを示しているように思えますが、マスコミはどうして追跡取材しないのでしょう。
放出放射能量の計算も、放射能被害の大きさもまるで違ってくるのではないでしょうか?
小児甲状腺癌の患者が100人を超えました、チェルノブイリよりも多いということとも整合性がとれます。チェルノブイリの1/10の放射能放出量という前提自体が大きな間違いではないでしょうか。福島第一原発で放出された放射性物質はチェルノブイリ原発事故によるものよりもずっと多いと考えるしかなさそうです。MOX燃料を使用していた原子炉が臨界爆発を起こしたなんてことは世界初の大事件です。
3号建屋の瓦礫写真に原子炉格納容器が写っていないことは2011年4月ころに弊ブログで採り上げています。わたしは今回初めて鮮明な3号建屋の写真を見ました。
皆さんはどう判断しますか?
他に合理的な説明があるだろうか?
どなたか、わたしの素朴な疑問に答えていただけたらありがたい。
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**#1460 「原子炉圧力容器損傷か?:写真で検証」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-03-1
*#1462 「裸の王様:原子炉圧力容器は破損している 論より証拠、よく写真を見てごらん 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05
*「#1463 福島第1原発3号炉はもう無い:東京電力社員退去要請の意味」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-06
#1506 3号機爆発は使用済み燃料の即発臨界爆発だったという假説 May 7, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-2
#1655 あらら、何を隠そうとしているの?:原子炉建屋にコンクリートの覆い Sep.21, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-09-21
*#1752 3号炉の原子炉格納容器上部は吹き飛んでいる Nov. 26, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27
#2387 次の原発事故のために(8):トリチウムの問題 Aug. 29, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29
#3239 内部被爆の恐怖:福島原発からガラス状の微粒子となってセシウムが飛散した Feb. 16, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-15
70% 20%
<反対意見あり> 2016年3月12日追記
「福島第一原発3号機は核爆発していたのか?――原発事故のデマや誤解を考える
菊池誠×小峰公子」
*http://synodos.jp/science/15807
燃料がウラン238が主体で、連鎖爆発を起こすのに必要なのはウラン235だから、原発の「核爆発」はありえない。MOX燃料の3号機も同じ理由で「核爆発」も「臨界触発」もありえない。
半減期に関しては世間の誤解について言及しているが、これはその通りだろう。
わからないのは、3号機の燃料プールが無事で水中の撮影映像が流れているということや、3号機の原子炉が撮影されているという点です。わたしは一度も見たことがありません。
先ほど確認したら、毎日新聞が掲載した写真はもうネットから削除されてしまっています。わたしはWORDにコピペしてあるので、もう一度確認してみましたが、燃料プールは原子炉上部の横の高い位置にあるはずが、写真を見る限りその部分は吹き飛んでしまっています。原子炉も黄色に塗られているはずですが、3号建屋の写真を何回見ても、黄色い原子炉格納容器はありません。
東京電力提供の同じ画像を掲載している別のサイトを見つけました。
*http://mainichi.jp/graph/2013/02/02/20130202k0000m020099000c/001.html
①http://mainichi.jp/graph/2013/02/02/20130202k0000m020099000c/606.html
上空から撮った画像をアップします。この写真にも黄色い構造物(原子炉格納容器)は見えません。URLをクリックすると拡大画像があります。東電提供画像ではなく、エア・フォート・サービスの提供です。
②*http://www.asahi.com/photonews/gallery/fukushimagenpatsu/20110329TNGA0061AGOC_650px.html
事実は3号炉の原子炉格納容器が爆発で吹き飛んでしまって存在していないことです。横から撮影した東京電力提供の写真にも、上空から撮った「エア・フォート・サービス」の写真にも黄色の原子炉格納容器が写っていません。水素爆発で原子炉格納容器が跡形もなく吹き飛ぶものでしょうか?圧力容器も確認できません。横から見る限り、圧力容器も上部が吹き飛んだように見えます。
ずいぶんはなれたところから爆発の様子を映したビデオがネット上にありましたが、爆発直後に大きな瓦礫が黒い煙の中にがらがらと落ちてくるのが見えました。あの画像はどういうわけかネット上から消えてしまっています。
3号機の燃料プールの画像を見つけました。東京電力公表のものですが、NHKが報じたようです。
③*http://saigaijyouhou.com/blog-entry-7479.html
東京電力が公表した瓦礫と化した3号建屋は3層のうち、上2層が瓦礫と化しています。燃料プールは一番上の層ですが、爆発直後の写真には何もありません。吹き飛んでいます。2層部分すら瓦礫ですから、東京電力の燃料プールの水中写真が捏造でないなら、爆発直後の写真では上層部分が吹き飛んでいるのと整合性が取れません。斜め上空からの写真にも水の入ったプールは写っていません。爆発直後に吹き飛んで写っていない燃料プールなのに、なぜ一ヵ月後に水中写真が撮れるのでしょう?東京電力提供の爆発直後の写真をもう一度ご覧ください。水の入った燃料プールなんて、跡形もありません。
④*http://ryuma681.blog47.fc2.com/blog-entry-471.html
いつの写真かわかりませんが、燃料プールの位置の真ん中辺りに水のようなものが映っています。面積が非常に小さい。原子炉格納容器があるなら右側の赤線付近に黄色い構造物が写っていなければなりません。すくなくとも3号炉の原子炉格納容器の上部は存在していません。燃料プールもなくなって、小さな水溜りが最下層の部分辺りにできているようにみえます。
鉄筋が熱で曲がるほどの爆発が水素爆発で起きるとは考えられないと書いてありましたが、ではどういう爆発だったのか、ほんとうのところがわかっていません。原子炉格納容器の上部と圧力容器の上部をともに吹き飛ばしてしまう爆発が何であったのか、福島第一原発事故はその概要すら判明していないように見えます。情報を小出しにするから、不審を生みます。メルトダウンもありえないといってましたが、認めたのは5月でした。情報を小出しにする東京電力の姿勢が国民の不審を生んでいます。
⑤http://www.asahi.com/photonews/gallery/fukushimagenpatsu/20110329TNGA0062AGOC_650px.html
⑥構造図http://www.asahi.com/photonews/gallery/infographics/npp318a.html
⑤は4号建屋を無人機から撮影したものですが、柱の間から瓦礫の中に黄色い原子炉格納容器がはっきり写っています。そのページの「前へ」をクリックすると3号建屋の写真がありますが、黄色い構造物はどこにも写っていません。
③の東京電力の燃料プール解説図と④の写真と⑤の3号建屋の写真、そして⑥の構造図を見比べてもらえば、3号建屋の燃料プールが吹き飛んでしまってないことがわかります。写真の左側、つまり燃料プールの場所の方が損傷が大きい、崩れてしまっています。構造図は写真④と反対側からの見取り図ですから、燃料プールの位置が逆(右側)になっています。
構造図によれば、燃料プールは原子炉建屋の最上階にあります。何でこんな危ないところに燃料プールを造ったのでしょう?何かあったら(たとえば亀裂が入れば)水が抜けます。素人のわたしには欠陥設計にしか見えません。下側はチャンバーがあるので造れなかったのでしょうね。原子炉建屋内に燃料保管プールを造ったこと自体が、安全への配慮が欠けていたとしか言いようがありません。このような安全管理が杜撰な会社に危険な原子炉を運転する資格はないでしょう。専門家と称する人たちが寄ってたかって、造ったものがこれではお粗末過ぎます。
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