福島県内の森林で採取した放射性の微粒子を分析したところ、ガラスの中にセシウムが溶け込んだ構造であることが分かったと、小暮敏博・東京大准教授らの研究チームが発表した。

 微粒子は、東京電力福島第一原子力発電所事故の際、原発の内部にあった物質が高温状態で混じってできたものとみられ、炉内で起きた反応などを知る手がかりになる可能性がある。英電子版科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に論文が掲載された。

 微粒子は2011年夏、杉の葉の表面で見つかった。大きさは数マイクロ・メートル程度。電子顕微鏡などで分析したところ、窓ガラスなどと同じケイ酸塩ガラスが主成分で、放射性セシウムのほかに鉄や亜鉛などが含まれていた。セシウムは微粒子の外側ほど高濃度で、徐々に粒子外へ溶け出すことも実験で判明した。

 小暮准教授は「飛散した微粒子の量や、セシウムが溶け出す条件などを詳しく調べれば、環境への影響の解明につながる」と話している。
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毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160216/k00/00m/040/088000c
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福島の子ども「数十倍」…放射線の影響否定的

 東京電力福島第1原発事故後、福島県が当時18歳以下の子どもらを対象に実施している県民健康調査で、県の検討委員会は15日、甲状腺がんと確定した子どもが100人を超え、全国の甲状腺がんの罹患(りかん)率(がんと診断される人の割合)に基づいた推計を大幅に上回ることから、「数十倍多い甲状腺がんが発見されている」との中間まとめの最終案を大筋で了承した。放射線の影響については「考えにくい」と評価しながらも、「完全に否定できない」としている。

健康調査で100人超

 検討委は疫学やがんの専門医ら有識者で構成。2011年10月から今年4月末まで対象者約37万人のうち約30万人が受診した1巡目の検査結果を基に最終案をまとめた。1巡目では100人ががんと確定し、15人が「がんの疑い」とされた。

 全国の患者の推計に基づくと、福島県の18歳以下の甲状腺がんの人数は2人程度とされる。最終案では「将来的に診断されたり、死に結びつかないがんを多数診断している可能性がある」と明記。検討委の星北斗座長は会議後の記者会見で、「一斉検診したことで数として多く見つかった」と述べた。

 放射線の影響を考えにくいと評価した理由について、最終案は、チェルノブイリ事故に比べて被ばく線量が少ない▽当時5歳以下からの発見がない▽地域別の発見率に大きな差がない−−などを挙げた。ただ、放射線の影響の可能性は小さいとはいえ完全には否定できず、将来発症しないがんを見つけて不安を患者に与えるリスクも受診者に説明した上で、検査を継続して実施すべきだとした。最終案は3月中に正式にとりまとめる方針。

 14年4月から始まった2巡目の検査では、昨年末現在で1巡目で「がん」や「がんの疑い」と診断されなかった16人ががんと確定。35人ががんの疑いがあるという。【岡田英】
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 3つの原子炉がメルトダウンして、チェルノブイリよりも放出放射能が少ないというのはどのような計算根拠に基づくのかを検討委員会は明らかにすべきだ。チェルノブイリの2~20倍という計算値がある。
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*「福島事故による放射能放出量はチェルノブイリの2倍以上
――福島事故による放射性物質の放出量に関する最近の研究動向が示すもの」
  山田耕作 渡辺悦司
2014 年5 月16 日
http://acsir.org/data/20140714_acsir_yamada_watanabe_003.pdf
論文全体は次のURLで閲覧できる。
http://blog.acsir.org/?eid=29

福島原発事故による放射性物質の放出量に関して一連の新しい研究が発表されている。青山道夫氏(当時気象庁気象研究所)注1らのグループは、2013 年9月に刊行された著作で、福島原発事故による放射性核種の放出量・率の検討に一章を割き、①大気中への放出、②汚染水中への漏出、③海水への直接の流出を一体として評価するという方法論を提起している[参考文献1]。さらに、2014年4 月には、チャールズ・レスターらによる米国カリフォルニア州政府資源局沿岸委員会の福島事故による放出量に関する報告書が公表され[参考文献4]、事故の規模の比較の際に一般的基準とされるセシウム137 について見ると、①の大気中への放出量および③の海水への直接放出量に、青山氏らよりさらに大きな数値を採用している。ただ残念なことに、青山氏らは提示した方法を結論にまで進めておらず、レスターらは汚染水中への放出②を考慮していない。
われわれは青山氏らの方法やレスターらの数字を基に、福島事故による総放出量を①②③の合計として計算し、チェルノブイリ事故との比較を試みた。その結果、福島事故は、政府・マスコミの事故直後からの評価のようにチェルノブイリ事故の「約1 割」「10 分の1 程度」「1 桁小さ」ものでは決してなく、チェルノブイリ事故に関する国科学委員会を含む主要機関のどの推計と比較してもチェルノブイリ事故を上回り、2 倍超から20 数倍の規模であることが明らかになった。また米ネバダ核実験場での地上核実験の爆発総出力と比較しても、福島の大気中放出量の換算爆発出力は、ネバダの合計を上回り、その3.6倍であった。福島県における子どもの甲状腺ガンのアウトブレイクの立ち上がりがチェルノブイリに比べて非常に速いが[参考文献17]、このことはチェルノブイリ事故と比べた福島事故による放射性物質の放出量の大きさと関連している可能性があるわれわれは、福島事故によるものと考えるほかない健康被害や人口減少が大規模に現れ始めている現在、あらためて放出量の推計に注目すべきであると考える
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**トリチウムの恐怖(前編)と(後編)・・・私設原子力情報室
http://nucleus.asablo.jp/blog/2013/05/04/6799143
http://nucleus.asablo.jp/blog/2013/05/04/6799155

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グアニンとシトシンをつないでいるのは、3つの水素原子。アデニンとチミンは2つの水素原子でつながっています。つまり、DNAの二重らせんは水素を仲立ちに成立しているものなのです。そして、一塩基対あたり平均2.5個の水素原子が必要ですから、一細胞内のDNAで見ると、77億5千万個もの水素原子が関わっています。

トリチウムは、12.32年という半減期を経て、β線を出しながらヘリウム3に変わります。このトリチウムが、DNAの塩基対に組み込まれている水素だったらどうなるでしょうか?
突然、水素がヘリウムに変わってしまうわけですから、塩基対は壊れてしまいます。トリチウムによるDNAの塩基対の直接破壊です。もちろん、その部分の遺伝情報は破壊されてしまいます。

DNAを構成する原子は水素に限らず、複製を重ねるごとに、飲食や呼吸によって人体外部から取り込まれた原子に置き換わります。トリチウムが多い環境で暮らせば、DNAの塩基対にトリチウムが入り込む確率も高くなるということです。
・・・
たとえば、水素の0.001%がトリチウムである環境を考えましょう。水素原子のうちの10万個に1個がトリチウムである状態です。
1つの細胞内では7万5千個のトリチウムが塩基対に関わっています。うち半数の3万7500個が12年ほどのうちにヘリウム3に変わって、あっちこっちでDNAを破壊するという恐ろしい事態になるのです。これは、たった1個の細胞内での出来事です。人体は60兆個もの細胞で出来ているのだということを忘れてはなりません。
福島第1原発ではどうでしょうか?
メルトダウンした炉心の冷却に使用した汚染水に大量のトリチウムが含まれていることは、東京電力も認めています。「漏れ出した汚染水は、地下水にも、海にも流れ込んでいない」と言いますが、じゃあ、どこに行ってしまったのでしょうか?大量のトリチウムを含んだまま。
さらに、今、福島第一で使っている水は、密閉されているわけではありません。大気に露出した状態です。ということは、蒸発して水蒸気になっている分も見逃すことは出来ません。
福島第1周辺の地下水、海水、大気に関して、徹底した調査を行い、トリチウムの濃度を監視する必要があります。

トリチウムを生まない技術はないし、トリチウムを取り除く技術もありません。
「内部被ばく」と「DNAの塩基対の直接破壊」。
人類が核兵器や原子力発電と決別しない限り、トリチウムの恐怖は、大きくなり続けます。

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*#2387 次の原発事故のために(8):トリチウムの問題 Aug. 29, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29



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