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#3236 株価暴落で日銀総裁と安倍総理が会談 Feb. 12, 2016 [91.経済]

 株価が暴落しているのであわてて、日銀黒田総裁と安倍総理が1時間の緊急会談をしたニュースが流れています。よほど慌てたようです。
 日経平均は760.78円下落して、14,952.61円でした。バブルがはじけただけのことです。安倍政権が始まったときが1.5万円台でした。それがGPIFの資金投下でバブルの現出となったのですが、はじけました。これでいいのです。

読売オンラインニュース
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160212-OYT1T50100.html
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安倍首相は12日昼、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁と首相官邸で約1時間会談した。
 黒田総裁は会談後、急速な円高・株安など市場の混乱について記者団に「為替を含め、国際的な金融市場の動きについてはしっかり注視していきたい」と述べた。
 マイナス金利政策の導入については「物価に関するリスクが高まっていると見て実施した」と説明・・・
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 日銀政策決定委員会は4対5でマイナス金利導入を決めましたが、なにを目的としてマイナス金利を導入したのでしょう?ぜひ、政策決定の過程でどなたがどのような意見を出されたのか、公表してほしいと思います。でたらめな意見を吐いた委員と、真実を語った委員の仕分けができます。
 大方が考えるマイナス金利導入の狙いは、次の五項目でしょう。

 ①ドル金利と円金利の差を拡大することにより、円安促進を狙った
 ②日銀にブタ積みされている250兆円に順次マイナス金利を適用していくことで、株式市場へお金の流れを誘導しようとした
 ③金利を低くすることで民間企業の設備投資を増やそうとした
 ④2%のインフレターゲットを何とか実現したかった
 ⑤政府財政破綻を回避するためにマイナス金利を導入した
 
 FRBが米国景気の先行き不安から、金利上げを延期したので、米国FRBの利上げを前提に導入された日銀のマイナス金利は、効果がありませんでした。円安どころか4円ほど円高に走っています。この点は専門家の予測が完全に外れました。金利裁定機能が働いて、円高になるというのが外国為替と金利の関係についてのよく知られた理屈ですが、現実は逆になりました。
 現実の変数をすべて網羅したモデルは理屈上は不可能ですから、常に予測の外へ現実が転がってしまいます。

 GPIFはすでに株式市場へ50兆円近くも投下済みで、あらたに株を買う資金がありません。株価を上げるブースターがすでに燃料切れを起こしています。
 もうひとつあらたなブースターを確保したくて、政府は農林中金の資金を株式投資にまわす細工をしはじめています。
 このまま3月の年度末を迎えたら、国内株式投資だけでGPIFは10兆円ほどの評価損を出します。年金支給額を減らさざるをえなくなるのでしょう。
 外国株式も同じだけ購入しているので、米国株式市場の下落と円高進行でダブルパンチが襲います。弱り目に祟り目とはこういうことを言うのでしょう。無理に無理を重ねた結果です。

 WTI原油が26ドル/バーレルの安値をつけました。サウジアラビアをはじめ、産油国は歳入不足を補うために、いままで買いためた株式を市場で大量に売却しています。それで、世界的に株の下落が進んでいます。サウジとイランが喧嘩状態ですから、オペックも生産調整の話をまとめることができません。イランもサウジも増産しています。どちらもお金がほしいのです。
 シェールオイルは30ドルを下回ると、赤字になるといわれています。設備投資はジャンク債でまかなわれていますから、このまま原油が安値を続けると、銀行や証券会社に巨額の損失が生じます。
 投下資金を回収するためにシェールオイル企業はますます産出量を減らせません。安値になればなるほど、個別企業は単価の下落を量で穴埋めせざるをえないのです。したがって、中東の産油国の株売り圧力は当分おさまりそうもありません。そして、シェールオイル採掘企業の破綻リスクが拡大していきます。

 金利を下げても、消費拡大がないので、企業は積極的な設備投資をしません。供給過剰になるだけです。市中の流通資金量は増えていないのです。

 アベノミクスの指南役である内閣参与浜田宏一氏(元東大教授)は白(川総裁)を黒(田総裁)に変えれば3ヶ月で2%のインフレを実現できると言明しましたが、3年経ってもその気配すらありません。マイナス金利が意図に反して円高を招いているので、原油安と円高で2%インフレはますます遠のいたようにみえます。50年も前にトービンに師事してマクロ経済学を学んだご老体の浜田先生を内閣参与にしたことが間違いのもとです。米国の50年も前の経済理論が、少子高齢化で人口縮小時代に突入した日本に合うわけがないことぐらい、経済学部の学生にだって理解できますが、そういう簡単なことが欲に目がくらんだ政治家にはわからない。

 ご覧の通り、①②③④のどれも狙いを外しています。

 政府の債務はすでに1000兆円を超えています。借り換え国債と新規国債をマイナス金利で発行できたら、国債の金利負担をゼロにできます。そういうことを考えたとしたら、日銀は財務省の一部局で、独立性などかけらもありません。金利の調節作用というブレーキを失った放漫財政は暴走する機関車で、破綻に向かってまっしぐら。

 EUの優等生であるドイツ銀行が2015年度決算で8000億円の赤字を計上しています。ECBがマイナス金利を導入して、金融機関の収益が圧迫されています。この事情は日本でも同じで、銀行株が軒並み下落しています。

 ヨーロッパ(ECB)はマイナス金利導入、米国(FRB)も超低金利で量的緩和を継続、日銀がマイナス金利導入と、世界中の主要な中央銀行が揃って過剰な量的緩和をやりすぎたために、バブルがはじけたのでしょう。「みんなでわたれば怖くない」とでも思ったのでしょうか、思考停止、お粗末過ぎます。
 中央銀行の役割は、通貨の安定だったはずです。それが金利の調節作用を破壊するほどの量的緩和を続けたために、市場機能が麻痺して、不安定の度合いを増しています。異常気象の世界が各国の経済に現れています。

 10年もの国債が今週ついにマイナス金利をつけました。長期金利は10年国債に連動していますから、住宅金利が下がり始めました。貸出金利がマイナスになったら、銀行は利益の源泉を失います。銀行は預金者に金利を支払い、それを貸し付けて金利を稼ぐのが本来業務です。マイナス金利で利ざやが無くなれば、巨額の固定費をまかないきれなくなります。大手都市銀行の人件費は高いのです。20年ほど前の話ですが、30歳代半ばで1000万円を超えていました。銀行もご他聞にもれず非正規雇用の拡大で一人当たり平均人件費を切り下げることでしのいでいます。
 出口戦略のない量的緩和をこのまま続けたら日本の銀行がつぶれかねません。そのまえに取り付け騒ぎが起きます。ギリシアでは預金の海外流出で、取り付け騒ぎと預金封鎖が起きました。日本でそういうことが起きれば、預金の流出はドル買い・円売りとなるので、円が暴落し、輸入物価が暴騰することになります。預金は下ろせない、物価は暴騰する、つまりギリシアと同じことが起きます。
 異次元の金融緩和やマイナス金利は異常気象のようなもの、日本経済が安定性を失い、世界経済に大きな影響が出ます。ECBのマイナス金利と日銀のマイナス金利はどちらの方が世界経済への影響が大きいのでしょう。ECBのマイナス金利は局部的なものでしたが、日銀のマイナス金利導入は局部的だったものを、拡大する引き金になった可能性が大きい。

 金利を上げようにも、政府財政破綻リスクがあるので、日銀はとっくに身動きがとれないのです。

 TPPに背を向け、強力な管理貿易によって、国内に生産拠点を再構築して若者に安定した職を保障し、年金支給額と公務員給与を3割削減し、法人税を40%に上げ、公共事業は半減、そして金利を徐々に上げて歳出抑制を図り、国債残高を減らす。借金を返すという当たり前のことをするだけです。
 40年前の米国の経済理論を今頃振りかざすおバカな経済学者や政治家の甘言に乗ってはなりません。世界で初めて少子高齢化が急速に進む日本の現実に合うはずがありません。いまは苦しくとも、子どもたちや孫の世代が楽になればいいではありませんか。
 
先の大戦では、自分たちの親兄弟、子どもたちを白人国家の奴隷にしないために戦い、死んでいったたくさんの兵士たちがいます。
 「加藤隼戦闘隊」という戦時宣伝映画の撮影の際に降下訓練撮影で右腕複雑骨折の怪我を負ったオヤジだけを残して落下傘部隊の戦友たちのほとんどが戦死しています。「命のいらない者集まれ!」という募集の文言に、「どうせ散るなら、ぱっと散りましょう」と応じたそうです。隊員に長男は一人もいませんでした。死ぬのがあたりまえの落下傘部隊員は、家を継がねばならない長男の採用はありませんでした。
 白人の植民地から次々と独立を果たした東アジアの国々も、そうした日本兵の尊い犠牲なくしてはいまでも白人国家の植民地だったでしょう。
 臥薪嘗胆の思いをあえてしても、何かをなさねばならぬときというのはあるものです。少子高齢化に最初に突入した日本が世界に先駆けてやって見せなければならないことがあるはずです。やって見せさえすれば、後に続く国が現れます。


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<余談:ブログ開始3000日目>
 11月27日にebisuビールを飲みながら書き始めたブログもなんとか3000日目を迎えました。時に偏見と独断の論を吐き、ながながとキレの悪い文を並べる弊ブログを忍耐強くお読みいただきありがとうございます。
 ページビュー数は累計3,890,050、すいぶんたくさんの回数を読んでいただいたことに驚いています。
 頻度は落ちますが、まだ当分書き続けますので、よろしくお付き合いください。

 なお、独断と偏見へのご叱正があれば、耳を傾けてその都度考えたいと思います。ふざけたものやめちゃくちゃな論でない限り、これからもご返事は書きます。



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