SSブログ

#3193 こんなものではすまない GPIF損失7.9兆円  Dec. 1, 2015 [91.経済]

 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が7.9兆円もの損失を出しました。安倍総理のごり押しで、株式運用の割合を2倍に増やした結果です。自民党内ではあのときも異論が出てきませんでした。総理の言うことに異論を唱えたら、選挙での公認の保証がなくなるから国会議員たちは異論がいえません。健全な保守主義が失われて、独裁政治がはじまっています。
 独立性が失われたのは、GPIFだけではありません、日銀もその独立性が失われ、異次元の超低金利政策で政権に迎合しています。じつにあさましい姿です。
 年金積立金は年金支払いで取り崩されるから、GPIFが買い込んだ株式も国債も長期にわたって売り続けられ、値崩れを起こすことになりますから、もうこれはどうにもなりません。
 株式は都市銀行がBIS規制強化で持ち合い株9兆円を市場で処分するさいに値崩れを防ぐためにGPIFで買い支えた経緯があります。
 円安誘導による株高は日銀の「異次元のゼロ金利政策」で演出されました。円は安倍政権直前の80円/ドルから50%も円安になったままでです。そういうバイアスを除けば、日経平均はまだ5000円以上高いので、日銀の金融政策に破綻が来れば株価は一気に半分程度に落ち込むリスクを抱えています。予想される損失額が最終的にどれくらいの大きさになるか、日経新聞記事の一番下に書かれた運用割合を見てください。リスクの大きい国内株式と外国株式は9月末積立金残高135.1兆円にそれぞれの割合を乗じて、金額を付け加えて起きました。

11/30 日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL30HTU_Q5A131C1000000/
=======================

GPIF、運用赤字7兆8899億円 7~9月期、足元は改善か


 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が30日発表した2015年7~9月期の運用実績は、7兆8899億円の赤字だった。期間収益率はマイナス5.59%(4~6月期はプラス1.92%)となり、14年1~3月期以来、6四半期ぶりのマイナス運用となった。世界的な株安が進んだのに加え、円相場の上昇で海外資産の評価損が出た。10月以降は株式相場の持ち直しで運用収益は改善しているとみられる。

 GPIFは国民年金と厚生年金の積立金を国内外の株式や債券に分散投資している。運用資産額は9月末時点で135兆1087億円。自主運用を始めた01年度以降で最高だった6月末時点(141兆1209億円)から減少した。

 資産構成別の収益の内訳(市場運用分)は、国内株式が4兆3154億円、外国株式が3兆6552億円、外国債券が2408億円の赤字だった。一方、国内債券は3022億円の黒字だった。

 9月末時点の積立金全体の資産構成は、外債の比率が13.60%と6月末時点(13.08%)から上昇し、これまでの最高(14年12月末、13.14%)を更新した。GPIFが目安の中心値とする15%にやや近づいた。国内債は38.95%と6月末(37.95%)から上昇し、目安の中心値である35%を上回っている。一方、国内株式は21.35%(6月末23.39%)、外国株式は21.64%(同22.32%)と、いずれも前四半期から低下。それぞれ目安中心値の25%には達しなかった。

 7~9月期の収益率(市場運用分)は、リーマン・ショック後の2008年10~12月期(マイナス6.09%)以来の下落幅となった。もっとも10月以降は株式相場が持ち直し、GPIFの運用収益は改善しているとみられる。野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストは11月27日時点で、昨年度末と比べ約1.9兆円の運用黒字が出ていると試算。SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは四半期別にみると、4~6月期の落ち込みが足元までに一巡し、今のところ収益はほぼ均衡したとみている。

【GPIFの資産構成】

      9月末(6月末)

国内債券  38.95%(37.95%)
国内株式  21.35%(23.39%) ⇒28.8兆円
外国債券  13.60%(13.08%)
外国株式  21.64%(22.32%) ⇒29.2兆円
短期資産  4.46%(3.27%)

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
=======================

 日経新聞記事によれば、GPIFは7.9兆円の損失を出し、運用資金を141兆円から135兆円に減らしてしまった。公務員共済年金基金の残高は80兆円ほどあったはず、これがどれくらいの損失を出したのかニュースに流れていません。運用は右へ習いでしょうから、5兆円近い損失が出ているのはないでしょうか?
 仮にGPIFが140兆円、公務員共済年金基金が80兆円、それぞれの原資をの21%を昨年10月以降、日本の株式市場に投じたとすると、
   220兆円×21%=46.2兆円
 42兆円もの資金が日本の株式市場に投じられたことになります。これと日銀の異次元のゼロ金利政策による円安演出がなければ、BIS規制強化で都市銀行が9兆円もの持ち株を売りに出したときに、日経平均は12000円割れをしていたでしょう。
 今日(12/1)の日経平均終値は20,012.40ですが、安倍総理は政権維持のための株高演出がお上手です。

 GPIFは「長い目で見てもらいたい」と言い訳をしていますがとんでもありません、長い目で見たら、年金積立金を取り崩して年金支払いに充当しなければならないから、株式市場にとっては恒常的な売り圧力となり、日経平均株価は1万円以下に値崩れを起こすことになります。最大で、株式運用した分のおおよそ半額程度が毀損してしまうリスクがあります。そのリスクは時間の経過と共に現実に転化します。すべては自公の政権維持のためですが、自民党も公明党も支持者たちの大半はそのようなことを望んでいないでしょう。
(でも、そういう人を結果として選んでしまったのです。同じことを繰り返さぬためにはここはよく考える必要があります。)
 買い入れた株式の売却の時期が来れば、さらに巨額の損失が生じて、その分だけで2割程度の年金支給額減となりそうです。
 安倍政権は自分の経済政策(アベノミクス)を正当化するために、国民の年金積立金を博打に投じたと言ってよいでしょう、そのツケは国民に回ってきます。
 後の人たちの負担を小さくするために、わたしたち団塊世代はあまり長生きしてはいけません、お迎えのときがきたらじたばたせずにさっさとおさらばしましょう。食べられなくなったらそのまま死ぬのが自然です、苦しくありません、幸せな死です。家族の誰かが看取ってくれればそれだけで十分ではありませんか。延命治療はいらぬと書いて、わたしは妻と子どもに預けておきます。

 自民党内部からでも外部からでも構いません、世のため人のために健全な保守主義を標榜する勢力が台頭してきてくれることを期待しています。


*GPIFのポートフォリオ方針変更
http://fis.nri.co.jp/ja-JP/service/keyword/2015/201501.html

------------------------------------------------------
【GPIFの株式運用増額とそのリスクに関連する弊ブログ・トピックス】

*#3114 年金機構に数兆円規模の評価損がでるのか? Aug. 25, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-08-25

 #3087 外国人持ち株比率3割の意味するもの:金子勝慶応大教授 July 21, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-07-20

 #3019 株価と経済:立教大山口義行教授の論 Apr. 8, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-07-1

 #2729 年金基金の運用資産が130兆円から210兆円に増える:危うい株式投資 July 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

 #2715 GPIFの株購入と銀行保有リスク資産に関わるBIS規制変更 June 25, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17


      70%       20%      
 
日本経済 人気ブログランキング IN順 - 経済ブログ村教育ブログランキング - 教育ブログ村


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0