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#3186 教育シンポジウム(11): パネルディスカッション Nov. 22, 2015 [66. 教育シンポジウム北海道]

 パネルディスカッションは武藤さんの基調講演(1時間)のあとに行われました。

【パネルディスカッション登壇者】
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司会:千葉敬愛短期大学長 明石要一
パネリスト
 ●JA浜中組合長 石橋榮紀
 ●文部省初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室 室長補佐 武藤久慶
 ●くしろ子ども未来塾代表 吉田敦子

*JA浜中農業協同組合ホームページ
http://www.ja-hamanaka.or.jp/modules/top0/

 くしろ子ども未来塾
https://www.facebook.com/Kushirokodomomiraijuku/

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【それぞれの方のご意見】
  司会の明石さんは一番左側のパネラー、石橋さんに最初に話をふりました。
 石橋さんはJA浜中農協の組合長としてさまざまな改革に取り組んできた人です。1981年に酪農技術センターを設立して、一つ一つの牧場の土壌分析をして必要な肥料をデザインし、牛乳の品質改善を徹底してきました。農協としては規模の小さいJA浜中農協が先進的な酪農技術センターを34年も前に設立して技術指導の拠点にしてきたことは驚異です、その先見性に驚かざるをえません。
 石橋さんはこれからの農業は勘に頼るものではダメで、しっかりした科学的データに基づいた農業を展開しないと未来はないと確信し、農協がそんなものを作ってどうすると周囲が反対する中、40歳代のときに酪農技術センターを立ち上げたのです。全国初事例のようなことをやろうとしたら、全国農協も農林省も反対にまわります、資金的にも大変な冒険だったことは想像に難くありません。
 酪農センターでは土壌分析だけではなく、牧草の分析もします。「草の分析を通して、その草の栄養素から、この牛は1日30キログラム絞れるとしたら、この草だけでは何と何の栄養分が足りないから、そのためには購入した配合飼料を何キロやればいい、と、そういう計算まで行えるセンター」なのです。
 酪農技術センター設立に至った経緯を話してくれました。あるとき、職員がヨーロッパの酪農技術センターの話をしたのだそうです。5時を過ぎたら、無礼講、肩書きを外して職員と話す、職員の提案はとにかく聴くことにしている、聴いた上で、やるかどうかは自分の判断でやる、そう普段から職員に話しています。
 職員が話した酪農技術センターの本をもってこさせ、読み漁ります。とにかく人の話は聴く、そしてできるかぎり調べてやるかやらぬかの決断は自分が下す、と職員に公言しています。決断したことに対しては自分が責任を取るということです。権限と責任は一体、子分に責任転化はしない、立派な親分です
 民主党が政権をとって失敗した原因のひとつに、思いつきの人ばかりで、仕事としてそれを軌道に乗せることのできる人材がいなかったことを挙げておきたいと思います。

 人の話を聴き、資料を自分で読み漁って確認し、そしてやるべきと思ったら果敢に決断して、必要な資金を用意し、プロジェクトを進める。同じことを根室の3漁業協同組合ができたら、根室の水産業は大きく変わる可能性を秘めています。

 ハーゲンダッツが日本に工場をつくるに当たって、原料牛乳確保のために全国各地の牛乳の品質検査をしました。各地の牛乳が品質に問題ありとされる中で、浜中の牛乳には一発でOKが出たのは、酪農技術センターの科学的分析に基づく肥料設計や、牧草分析によって配合飼料の調整をしてきたからです。牛の固体も科学的な調査分析の対象です。とことん科学的な調査分析を重ねています。このようにして浜中の牛乳は品質に科学的データのトレーサービリティが担保されていました。全国でもっとも先進的な酪農を支える仕組みが浜中町に育っていたのです。
 必要なものは必要になってから準備するのでは遅いのです。何もないときにこそ先を読み、具体的な手を打っておかなければ、それが必要になるタイミングに間に合いません、仕事とはそういうものですビジョンそれを実現する戦略、そして実行力の三つが揃わなければ仕事は成らないのです。

 1990年には就農者研修牧場を設立しています。他地域の酪農家が後継者がいないために耕作放棄地が増えているのに、浜中は新規就農による牧場がしっかり経営されているのは、この就農者研修牧場による支援があるからです。183戸の組合員のうち37戸が新規就農者です。この実績もすごい。実績を保障する仕組みをちゃんと用意しています。

 石橋さんは工業大学の出身者で、大学4年生のときにお父さんが倒れ、家を継ぎました。そのときに酪農について猛勉強したそうです。小学生の時には腕白坊主でしたが、図書室の本を全部読むほど読書が好きだった。
 酪農技術畑の本を読むための専門知識がありました。酪農に必要な専門知識を本気で習得し、酪農経営改善に強い熱意を抱く石橋さんのいたことが浜中町の酪農家にとって幸いでした。
 面白いことを言ってました。

私はいつも言うんです。ムダに不安がるより、根拠のない自信をもってみろ
背伸びする必要はないやれることを一つ一つやっていけば活路は見出せる

*「企業物語」をご覧ください。「JA浜中町 石橋榮紀組合長 ムダな不安より、根拠のない自信を持て!ハーゲンダッツの原料となる最高品質の牛乳を提供
http://biglife21.com/pantheon/823/

 一つすごいことを言いました。釧路管内と根室管内で中小企業家同友会の統合の話を進めているというのです。狙いは農業と水産業の広域ブランドを確立することです。実際にその方向で動いて、来年5月をめどにしていると語りました。釧路・根室管内をまとめる大きな構想をもち、それを実行する人材がの浜中町に現れました。
 これからの農業こそ、科学的データに基づく改革を進めなければならないから、大企業よりも優秀な人材が必要ですという意見を聞いて、隣にいたパネラーの武藤さん、「すごい人がいるな」とびっくりした顔をしていました。

 武藤さんへは司会の明石さんがどういう少年だったか尋ねましたが、プライバシーに関わるお答えだったので、書きません。教育に関する主張は基調講演ですでに語られたものですから、再録の必要はないでしょう、そちらをお読みください。

 三番目は紅一点のパネラー吉田さんです。他の人から聞きましたが、吉田さんは従業員400名の企業の清掃会社の副社長です。事業はいいときばかりではありませんから、子育てと仕事の両立は困難な時期があったことでしょう。
 あるときに知り合いからこう言われたそうです。

 「子育てはやり直しがきかないのよ

 そうして自分の子育てに励むと同時に、自分の子どもたちだけでなく、地域の教育を何とかしなければと思ったそうです。
 未来塾は有料です、日曜日の午前中2時間、300円で何講座でも受けることができます。それぞれの講座はその道のプロがボランティアで指導しています。食事担当8名総勢60名のボランティアで支えられています。
 彼女は自分の子どもには「大きな夢を見なさい」と言い続けたそうです。一人は総理大臣になりたいと言ったとか、かわいいじゃありませんか。勉強しなさいとは言ったことはないが、夢を実現するためにはいま学力はどれくらい必要かと問いかけたそうです。躾で意を砕いたのは、縦社会のルールをしっかり教えることでした。

 家庭においては父を、学校においては先生を敬(うやま)

 吉田さんはそう教えました。子育てには方針のぶれないことが大切ですね。これは語られなかったことですが、息子さんの一人は医者だそうです。そういう夢を抱いて、どれくらいの学力が必要か自ら考えて勉強したということでしょう。

 明石さんは、次のようにまとめました。
  ①グローバルに考えて、ローカルに行動する
  ②大人は夢を語れ
  ③田舎に残り、ふるさとを盛りたてるためには高度な知識が要る

 田舎こそ、教育を重視しろというわけです。
 明石さんは大学、石橋さんは農協、武藤さんは官、吉田さんは民間企業、それぞれ立場の異なる人が、人材教育について話をしました。こういう人選はなかなかないし、なされた議論の中身もじつに濃いものになりました。登壇者の皆さんにあらためて拍手を送ります。ありがとうございます。

 さて、これで11回にわたって、金安潤子さん主宰の「キッズロケット」公演、武藤さんによる基調講演、そして最終回がパネルディスカッションと、一連の「教育シンポジウム北海道」の報告を終わります。
 最後までお読みいただきありがとうございます。
 
(なお、本欄左側に並んでいるカテゴリー欄の「教育シンポジウム北海道」をクリックして戴くと、11回分が並んで出てきます)


*#2214 北海道庁教育局義務教育課長「講演会」でどよめきあり Feb.16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-17

 #2218 論旨の違う新聞報道:市PTA連合会主催講演会 Feb. 19, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19

 #3178 教育シンポジウム(3): 武藤久慶氏による基調講演① Nov. 18, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-17-1

 #3179 教育シンポジウム(4): 武藤久慶氏による基調講演② Nov. 18, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-18

 #3180 教育シンポジウム(5): 武藤久慶氏による基調講演③ Nov. 19, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19

 #3181 教育シンポジウム(6): 武藤久慶氏による基調講演④ Nov. 19, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19-1

 #3182 教育シンポジウム(7): 武藤久慶氏による基調講演⑤ Nov. 20, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19-2

 #3183 教育シンポジウム(8): 武藤久慶氏による基調講演⑥ Nov. 20, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-20

 #3184 教育シンポジウム(9): 武藤久慶氏による基調講演⑦ Nov. 21, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-21

 #3185 教育シンポジウム(10): 武藤久慶氏による基調講演⑧ Nov. 21, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-21-1

 #3186 教育シンポジウム(11): パネルディスカッション Nov. 22, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-22

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