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#3180 教育シンポジウム(5): 武藤久慶氏による基調講演③ Nov. 19, 2015 [66. 教育シンポジウム北海道]

 文科省初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室・室長補佐武藤さんの基調講演【基礎学力保障論】、3回目のレポートです。
 前回は全国学力テスト問題とデータを用いて、全道の小学校6年生の国語と算数の学力がどういう状況にあるのか前回紹介しました。
 今回は、全国25パーセンタイルに北海道と秋田県の生徒たちの何%が入っているのか数値を挙げて比較します。

 中学生は数学で統計を習うようになっているので、25パーセンタイルは第一四分位数といったほうがわかりいいかもしれません。データを小さいほうから並べて、1/4に当たるところです。小6国語A問題を例にとると、15問中9問正解というのが28.2%ですから、25パーセンタイルに一番近い得点層ということになります。

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  データの並びはいままでどおりです。(北海道、全国、秋田県)

H26 小学校国語A (29.7、28.2、19.0)
H26 中学校数学A (26.6、24.2、16.6)

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 小学校6年国語Aでは、正解が9問以下というのは、北海道が29.7%、秋田県は19.0%と10.7%も開いています。全国平均の約25パーセンタイル(成績下位層)が、北海道は秋田県よりも5割ほど多いことになります。散布図で確認すると、北海道の上位40%ほどのところに秋田県のデータのほとんどが入ってしまいます。
 根室市内の市街化地域の中学校3校では、3割の生徒が日本語の読み書き能力に問題が生じています。
 普段の学力テストの国語と数学の結果データから推して、小4年生程度の日本語語彙力の中学生が10~20%存在しています。この12年間でそういう生徒が5割ほど増えてしまいました。それが、全般的な学力低下の根幹をなしています。「読み・書き・計算」という基礎的学力が落ち始めているのです。以下はわたしが最近3年半ほど書き溜めたエビデンスです。

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*#1829 中1の語彙力の実例これでは授業も理解できぬ  Feb. 5, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-05

 #1837 中学1年生 日本語語彙の現実  Feb. 10, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-09-1

 #1839 中2成績中位層の日本語語彙 Feb. 12, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-12

 #2621 中3学力下位層の読み書き能力:大谷翔平「文武両道」 Mar. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-18

 #2899 問題のすり替え:数学問題文の漢字が読めないのは誰のせい? Dec. 9, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-09

 #2983 書き取りスピードアップ・トレーニング Feb. 18、2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-02-18-1

 #3028 C中学校1年生と2年生の学力テストデータ比較分析 Apr. 18, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-17

 #3030 低学力の実情:中学2年生4/10学力テスト問題から Apr. 19, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-19

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 武藤さんが示してくれた(全国学力テスト結果データから)北海道という「特殊な地域」を切り出した分析に、ebisuが観察している「根室の個別データ」をぶつけることで、北海道で進行中の子どもたちの学力低下の実態がより鮮明になります。そして解決すべき根本的な課題もしだいに姿を現してきます。2年前に北海道教育文化研究所副所長の任を引き受けた理由がようやく見えてきました。

 中学校3年数学Aでは18問/36問正解が全国平均の24.2パーセンタイルですが、北海道は26.6%、秋田県では16.6%がその範囲に含まれます。これも北海道と秋田県では10%離れています。北海道は秋田県に比べて低学力層が著しく厚いといえます。もちろん、高学力層が少ないということもいえます。

 国語も数学もそれぞれ基本問題Aですから、「読み書き」と「計算」能力が秋田県の子どもたちに比べて、北海道の子どもたちは著しく劣っています
 基礎学力が優れている学校と、劣っている学校には取り組み方に大きな違いがあります。学力テストと同時のなされている「生活習慣アンケート」のデータを付き合わせることで、なにをすればいいのかということを、基調講演の後段で示してくれています。
 小6国語B問題、算数A、算数B問題、中3国語A問題、B問題、数学B問題の25パーセンタイルが示されていませんが、1時間という時間制限の中で割愛せざるをえなかったのでしょう。わたしはやりませんが、探せば公表資料から計算できるはず。

 武藤さんのお話では、これでもこの数年間でずいぶん改善したそうです。平成19年度の全国学力テストデータをモニターしているようですから、8年間のデータを整理して眺めた上での率直な感想で事実です。でも、学校の取り組みが改善されてきただけで、「読み・書き・計算」というスキルが上がってきたとは思えません、あいかわらずじわじわ下がり続けています

 学力テストの結果データの分析はこれで終わりです。
 次回は全国学力テストと同時になされている生活習慣に関するアンケート調査のデータと先に分析した個別の問題ごとの平均正答率をつき合わせて、小学校の低学力層が中学生になったら、どういう状態になっているのかに話が及びます。
 25パーセンタイルに含まれる低学力層は「どんな子たちなのか?」というサブタイトルがつけられています。

*#2214 北海道庁教育局義務教育課長「講演会」でどよめきあり Feb.16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-17

 #2218 論旨の違う新聞報道:市PTA連合会主催講演会 Feb. 19, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19

 #3178 教育シンポジウム(3): 武藤久慶氏による基調講演① Nov. 18, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-17-1

 #3179 教育シンポジウム(4): 武藤久慶氏による基調講演② Nov. 18, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-18

 #3180 教育シンポジウム(5): 武藤久慶氏による基調講演③ Nov. 19, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19

 #3181 教育シンポジウム(6): 武藤久慶氏による基調講演④ Nov. 19, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19-1

 #3182 教育シンポジウム(7): 武藤久慶氏による基調講演⑤ Nov. 20, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19-2

 #3183 教育シンポジウム(8): 武藤久慶氏による基調講演⑥ Nov. 20, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-20

 #3184 教育シンポジウム(9): 武藤久慶氏による基調講演⑦ Nov. 21, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-21

 #3185 教育シンポジウム(10): 武藤久慶氏による基調講演⑧ Nov. 21, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-21-1

 #3186 教育シンポジウム(11): パネルディスカッション Nov. 22, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-22


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コメント 2

tsuguo-kodera

 しばらくコメントを控えていました。山梨周辺の歴史や教育を、温泉旅行、美味しい食事をしながら楽しんでいましたので。勉強が好きでもなく、難関大学を受験し、負けず嫌いだったため、雑学なら人に負けないと自負しています。管理人様には負けているのですが、思考法が違うのか、発想ではあまり負けておらず、似た結論になっているのでしょう。
 講演会の事務局やその宣伝記事、まとめ記事、会議などなどご苦労様でした。まさに植木等の歌のようにコツコツやる奴、ご苦労さん、と言いたくなります。失礼な奴ですので、ご容赦ください。
 データを集め分析し解析的に思考するとやるべき課題がたくさん見えてきます。でも、人生も貧乏な地方も資源は限られています。解析的な、なぜなぜ思考法では限界が来ているのかも。
 私はもうデータは重視していません。むしろ昔の教育や明治大正の教育を学び、心に響いた手法からやるべき課題を導き出しています。演繹的な思考より、閃きや発想を信じているわけで素。後は人への優しさだけ。
 以上で創造性開発の観点では必要十分なのだと信じています。ダメな先生でも熱心であれば、補完できると思っています。
 ぜひ、データ分析はほどほどに、管理人さんの創造性を自身が信じて、課題解決を実践して欲しいと願っています。人には願うしかありません。だから南無阿弥陀仏なのです。
by tsuguo-kodera (2015-11-19 06:23) 

ebisu

koderaさん

おはようございます。
山梨方面へお出かけでしたか。

シンポジウムのお手伝いは、実際のところ、日本教育文化研究所の人たちと、再三お酒を飲んで懇親会をしていただけで、ほとんどお役には立てませんでした。もう66歳ですから、それでいいのでしょう。若い人たちががんばっているのを横から眺めて微笑むだけ。

解析的な方法も演繹的な方法も、問題の解決には距離があるのは民間企業で働いてきたわたしたちには当然のことですね。データの分析は問題の解決ではなく、問題の共有に力点があります。

問題解決に必要なのは仰るとおり「閃きや発想」です。わたしも仕事でそうしてきました。

ふだんは興味を抱いたことにこつこつ努力します。関係のないことに努力を傾けているうちに直感が働きだします。どこからくるのかまったくわかりませんが、関係のなさそうなことをこつこつやり続けることが予期せぬ方向からの解決を呼び込むようです。

武藤さんとわたくしの北海道の教育の現状に関する認識は数年前から一致しています。
次のステップは北海道の学校の先生たちや教育行政、そして保護者の皆さんと現状認識の共有化を進めたいのです。
解決はわたしの仕事ではなく、教育に関わる人たちの中から解決を担う人が現れてくれるのでしょう。

「資本論と21世紀の経済学」がどこかで教育の状況を根底から覆す鍵になりそうです。武藤さんの講演を聴いてそう感じました。

>ぜひ、データ分析はほどほどに、管理人さんの創造性を自身が信じて、課題解決を実践して欲しいと願っています。

はい、そうします。

by ebisu (2015-11-19 09:11) 

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