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#3163 Vampire Blood : chapter-1 (2)  Oct. 25, 2015  [46. 原著で読むダーレン・シャンの大冒険]

 風が強く家が揺れる。朝の5時ころから風の音がうるさくて目がさめてしまった。18~20m/秒の風が吹いていた。根室東海上に970hpaの低気圧がある。

 高校生の要望でダーレン・シャンの小説を読み始めたが、今度こそ続きそうなので、2日前にamazonで本を注文し、セブンイレブンで代金を支払った。授業で質問のあった箇所をとりあげて紹介するために、専用カテゴリー「原著で読むダーレン・シャンの大冒険」を設けた。辞書を引きながら、3ヶ月くらいで90%の文が自力で読めるようになってもらえたらうれしいが、ハードルが高すぎるかも、嫌いな英語が、嫌いでなくなるだけでもいいかな。

 2回目は、ダーレンの友人のスティーブが登場し、その性格描写がなされる箇所をとりあげてみたい。授業の途中で、お腹の具合が悪くて、先生にトイレへ行く許可をもらったダーレンが用がすみ、ズボンを上げてから座りなおして暇をつぶしている。そこへ授業が終わって、トイレへスティーブが様子を見に来て、「ダーレン、どこにいる?」とたずねるシーンで、この新しい登場人物がどのような性格の人物かを作者が紹介する。

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 Steve used to be what my mum calls, "a wild child".
 One day - he was still in a pushichair - he found a sharp stick and prodded passing woman with it ( no prizes for gussing where he stuck it! )  [page 14]
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 代名詞のhe、he、it、he、it、itがそれぞれ何を指すのか意識して読んだだろうか?英語だから代名詞で置き換えなければならないが、日本語は元の名詞を当てて訳したほうがよい。代名詞がそれぞれ何を指しているかがわからなければ、文の意味が理解できない。

  動詞を青色に変えてみよう。
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  Steve used to be what my mum calls, "a wild child".
  One day - he was still in a pushichair - he found a sharp stick and prodded passing woman with it ( no prizes for gussing where he stuck it! )
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 ここで使われている 「used to+動詞」 は過去の習慣をあらわし、「現在はそうではない」、あるいは「現在の状態とは距離がある」という含意の用法だ、受験英文法でもおなじみの表現。類似表現のwouldで代用できる場合とそうでない場合があるから、ついでに参考書を確認しておこう。
 過去形を使うことから、単純に現在の状態とは異なるというニュアンスが生まれると考えてよい。用例をひとつ挙げておく。
 
 David used to spend a lots of money on clothes. These days he can't afford it.
  (デービッドは 着るものにいっぱいお金をかけていた。このごろそんな余裕がない。)

 昔はお金があって着るものにたいそうお金をかけていたが…いまは違う状態にある。
 スティーブは昔はお母さんが呼んでいたようにただの悪ガキだったが、いまは善人なのか一丁前の悪党になってしまったのか、とにかくいまは悪ガキではないということ、そうしたニュアンスは仮定法の得意とするところである。現在の状態とことなることを仮想して、「お金ありましかば、着物買えまし」という、古典文法の"反実仮想"と機能が似ている。現実にはお金がないのだが、「お金ありましかば…」と現実と反対のことを仮定して述べるのである。ハンドルネーム「後志のおじさん」が以前弊ブログコメント欄で鋭い分析を披露してくれた。
(「仮定法」をキーにして弊ブログ内を検索してくれれば、さまざまな関連トークが出てきます。4人の英語好きのブロガーが延々と英語談義をして、ebisuの蒙を拓いてくれました。ぜひお読みいただきたく、末尾にURLを掲げておきます。)

 さて、次はwhatだ、英文法的には複合関係代名詞だが、ここではさらに慣用句になっているから、他の用例を示しておく。

 They are what we call a motorcycle gang. 
 (いわゆる暴走族です) 
     江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』p.62

 名詞句の a wild child をどのような日本語にするかは一考を要する。わたしは最初に「やんちゃ坊主」と訳してみたのだが、次に続く文と合わない(お茶目なところがひとつもなく、悪意の塊にみえる)ので「悪ガキ」と訂正した。続く文はスティーブの根っからの悪質さを感じさせるエピソード。

 (スティーブはわたしの母が呼んだところのものだ、それは何かというと"悪ガキ")

 後に続く句は、直前の句の言い換えである。だから、後ろに続く部分が同格なら、つねに前の句の補足説明として捉えたらいい。

 pushchairを「乳母車」と訳したら、後の文と意味が文脈が合わなくなる。pushchair=strollerで、The Oxford Picture Dictionary で調べたら、乳母車carriageではなくて、折りたたみ式(usually folding)のバギー(buggy)だ。バギーの中に乗っているときに棒を見つけて拾ったのか、それとも歩いていたときに棒を見つけて拾ったのかははっきりしない。babyとは書いていない、childと書いているからスティーブが2-3歳でまだバギーに乗っていた時分の話だ。

 慣用句がまた出てきたが、知らなくても意味の見当がつく。

 (there are) no prizes for gussing ...   (...なんて誰にでもわかる)

 (there are) no prizes for gussing where he stuck it!  
  (スティーブがそのとがった棒をどこに突き立てたかは、だれにだったわかる場所だから当てたって賞なんてない!)

 まだバギーに乗っているくらいのちっちゃなころから、通りすがりの大人の女性にスティーブはそんな悪さをしたのである。成長したスティーブがどのような大人になるかは、この性格描写で読者にも想像がつく。わかりやすいキャラクターである。

 省略されている(there are)を補って読めば、おなじみの表現(There is no xxx ...)に行き着きます。こういう圧縮はよくなされるので、文法工程指数が高くなればなるほど、句構造の文を完全な文章に復元して意味を考えればよいのです。生成変形英文法の知識がすこしあれば、「情緒的な理解」を排除して、意味に忠実な解釈が可能になります。

 慣用句部分を茶色にしてみる。
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 Steve used to be what my mum calls, "a wild child".
 One day - he was still in a pushichair - he found a sharp stick and prodded passing woman with it ( no prizes for gussing where he stuck it! )
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<参考訳>
 スティーブは昔は"悪ガキ"だった、母がそう呼んでいた。ある日-まだスティーブがベビーバギーに乗っていたころ-とがった棒を見つけ、大人の女性にそれを突き立てた。(どこに突き立てたかって、言わなくてもわかるだろう、あそこだよ!とんでもない悪ガキだった)


*#3161 Vampire Blood : Chapter-1 (1) Oct. 22, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-10-22-1


<余談>
 自分で楽しみで読むのと、生徒に教えるために読むのではずいぶんと手間が違うものだ。質問のある箇所を、その都度ブレイク・ダウンして解説する必要がある。
 質問攻めにあうので、生徒になぜこの小説を原著で読む気になったのかこちらの方からも質問してみた。小学生から中学生にかけて、ダーレン・シャンの小説を読んで楽しかったからと話してくれた。話の筋が頭に入っていたらかなり読みやすい。
 その生徒の古い記憶だと、スティーブは魂が汚れている(悪すぎ)ので、バンバイヤーから拒絶され、心がきれいだからという理由で「半バンパイヤー」になれたダーレンと闘争を繰り広げることになるという。
 どうやら『ソードアートオンライン』のような児童書レベルの本である。語彙数が少ないから、日本人の高校生や大学生がチャレンジするには適している。大学3年生になったら、自分の専門分野の本を原書で読むぐらいのことをすべきだ、いつまでも児童書レベルではさみしい。


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*#2423 'IAEA members give grief over leaks' Sep. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-29

 #2435 "#2423の一文解説" Oct.4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04-1

 #2443 仮定法ってなんだろう?(1):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09-1

 #2444 仮定法ってなんだろう?(2):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-1

 #2445 仮定法ってなんだろう?(3):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-2

 #2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11

 #2447 仮定法とは何か(2): 概念規定と基本型 Oct.13, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-12

 #2449 假定法とは何か(3): Swanの説明 Oct. 14, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-13-1

 #2452 仮定法とは何か(4):国文法学者の見解 Oct. 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-16

 #2453 仮定法とは何か(5) : 国文学者の見解ー2  Oct. 17, 2013
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 #2991 中学英語教育わいわいがやがや(1) Mar.5,2015 [英語談義 (コメント欄から)]
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-04-1

 #2992 中学英語教育わいわいがやがや(2)  Mar.6, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-05

 #2996「中学英語教育わいわいがやがや(3) :51~74まで」投稿欄より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-10

 #3002 中学英語教育わいわいがやがや(4):#75~96 英語力養成基本トレーニングメニュー公開 Mar. 18, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18

 #3009 中学英語教育わいわいがやがや(5):#97~130 withとas Mar. 22, 2015  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-22-3

  #3010 中学英語教育わいわいがやがや(6):#131~160 withとfrom Mar. 23, 2015 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-22-1

 #3013 中学英語教育わいわいがやがや(7):#161~180  Mar. 25, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-03-24-1



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 10月25日午後2時ころ、注文していた本が届いた。3冊分がひとまとめにされた分厚い(511ページ)方を、中古で送料込み800円で手に入れたのだが、新品と変わらない。ページ数を記すときはこちらの本を使います。

The Saga of Darren Shan (Vampire Blood Trilogy)

The Saga of Darren Shan (Vampire Blood Trilogy)

  • 作者: Darren Shan
  • 出版社/メーカー: HarperCollins Children's Books
  • 発売日: 2003/09/01
  • メディア: ペーパーバック





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