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#3061 「釧路の教育を考える会」年次総会 June, 15, 2015 [64. 教育問題]

<更新情報>
6/15 朝8:40追記 前市長藤原さんは道庁出身者だったが市民の評価が高いのはなぜ?、
6/15 朝11時追記 <余談-2:人脈づくり> 


 「釧路の教育を考える会」(以下「考える会」と略記)の総会が6/13土曜日に開かれた。

 平成24年4月3日に始まったFM釧路の教育問題番組「ストップ・ザ・学力低下」はすでに76回を数えている。今年度末には100回となる予定だ。スポンサーがしっかりついてくれて、毎週1回番組収録が行われている。「考える会」のメンバー+教育関係者が交替で"ナビゲータ"役を務めている、司会は大津桃子さん。
 ブログ「情熱空間」の右側の欄に76回全部の放送原稿がアップされているので、興味のある方はクリックしてお読みください。

 超党派の釧路市議会基礎学力問題研究議員連盟とのコラボレーションで全国に先駆けて取り組んだ基礎学力保障条例の制定は2年前に実現している。
 今後は、具体的な教育政策にさまざまな形で関与していくことになるだろう。秋には「考える会」主催の教育講演会とパネル・ディスカッションをやりたいという意見が出た。言いだしっぺが調整作業をすることになったから、ネット上で報告しながら準備作業が進む。2年前に一度開いているからメンバーはおおよその段取りと役割分担を承知している。
 
 釧路市ではいま「教育大綱」の検討がなされつつあるが、「考える会」では実務レベルで担当部門と意見交換したいと考えている。

<主要メンバー>
 会長の角田憲治氏は元釧路教育長であり、副会長の月田光明氏は4月の選挙の後に釧路市議会議長に任ぜられている。
 もう一人の副会長の三木克敏氏は7月から釧路西ロータリクラブ会長となって活躍の場をさらに広げる。釧路と根室という枠を超えて広く教育問題を捉えようと、副会長にはもう一人マゼラン銀河からの旅人のM氏が加わって3人。ときおり旅先からFBを通じて旅の写真とメッセージが届く、不思議な人だ。
 角田さんの視野の広さと器の大きさに惹かれているメンバーは多い、わたしもその一人だ。
 議題の最後に載っていた「役員改正案」は異議なく承認され、全員再任された。

 「考える会」のメンバーには釧路市議が数人いる。金安潤子さんという教育問題に強い関心をもつ市議はキッズロケットという劇団を率いている。仲間内では「ジャンヌダルク」というニックネームがついている。市議会での彼女の論戦がじつに鋭く、旗を掲げて最前線で戦うジャンヌダルクを髣髴とさせるからだ。その様子の一端を弊ブログでもとりあげたのでURLを書いておく。
*金安潤子さん フェイスブック
https://www.facebook.com/junko.kanayasu

 #2407 <論戦> 釧路教育長対金安潤子市議:中学校授業進捗管理に物申す Sep. 14, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-14


 もう一人、「考える会」の中から市議が増えた。大越拓也氏は釧路市立病院職員だったが、今回の市議選に立候補して当選した。かれは昨年公務員アワード大賞を受賞している。「寺子屋」を主催したり、小学校を借りて、ボランティアを募り「算数検定試験」を実施している行動派である。
*大越拓也 ユーチューブより
https://www.youtube.com/channel/UCc-vBrMrIE_1CePQ7HNoftw

 釧路の教育を考える会は、釧路管内と根室管内のふるさとの教育と地域社会の未来に危機感をもった人たちの集まりだから、さまざまな職業の人たちが集まっている。弁護士もいるし、学校の先生や釧路市役所幹部職員や私のように塾業界の人間もいる。普段はネットの会員専用掲示板で議論しており、何かが決まるとすぐに行動に移す。月田さんのように、全国各地の学校へ実施調査を宣言すると同時に行動に移して専用掲示板に報告書をアップする人もいる。
 40~50歳代の現職が中心になっているからフットワークが軽い、わたしには還暦を過ぎてとてもそういうエネルギーはないから、若い人たちのささやかなサポート役である。
 さまざまな職業の人が集まり、一人ひとりが仕事の能力に秀でたメンバーが多いことは、上場企業3社でさまざまなプロジェクトや経営管理の仕事をしてきたわたしの経験からも驚くべきことのように思える。従業員数が2千人を超える会社でも、さまざまなプロジェクトにこれだけの数の強力なメンバーが集まったということはない。おそらく従業員数2千人規模の会社でこれだけのメンバーを集めることは不可能だろう。7人ほどの人がそれぞれ自分の仕事を通じて培った仕事のスキルが明らかに高いのである。
 この会の面白いところは二つある。それぞれがたとえ孤立していても、独力で教育問題に関する情報発信をして、ふるさとの子どもたちの基礎学力向上のために自らがやるべきことをやるという覚悟をもった者たちの集まりだということ。そういう個性が強く仕事のできる個が集まってしまった。そして、教育問題に地元経済人や市役所職員、市議会議員、学校の先生たち、私塾業界人が危機感を共有して参加しているということ、この二つの点が「考える会」の特徴だろう。

 釧路市教委や釧路市教育長が基礎学力向上に舵を切れば、「釧路の教育を考える会」は強力な応援団に変わる(もちろん、根室市教委と根室市長が基礎学力向上に舵を切れば同じことになる)。

<教育長には出身母体から3類型に分けられる>
 ところで酒を飲みながら交わした四方山話の中から紹介したいものがある。「教育長」に関わる話である。教育長はその出身母体から、次の三つに分けられる。
①退職校長
②道教委出身者
③釧路市の行政職

 ①の退職校長は、現職の先生たちのことを優先するから北教組とかなり折れ合わざるを得ないし、学力向上には後ろ向きになりがちだ。②の道教委出身者はどうしても出身母体のほうを向いてしまうから、仕事に身が入らない。

(根室市の場合①のW教育長が8年、この人は学力向上を無視し社会教育に熱心だった。8年に任期が終わるとさっさと根室から去った。その後3人目の道教委出身者でるが、前任者二人は任期が終わったとたんに根室を去った。三人目も同じことになる。
 誤解のないように書いておくが、わたしは外部からの「移入や出向」人事がすべて悪いといっているのではない。根室で3人続いている道庁から来た教育長がいただけないと言っているだけ。
 教育長ではないがよい例を挙げよう。前根室市長の藤原さんは「北大水産学部⇒道庁入庁⇒根室支庁長⇒根室市長」という経歴の人だった。退職後はすぐに札幌に戻ったが、市役所職員や地元業者とのしがらみがなかったから、いまよりずっとまともだったようだ。数人の友人に訊いてみたが、評価は高かった。)

 ③の行政職からの登用には市長の強い意向が働く。退職校長とは異なり、現職の先生たちに直接の利害関係がないから、原理原則を貫きやすい立場にある。しかし、市教育委員会や実務部門にはやはり北教組の意向を重んじるグループや道教委のほうを向いて仕事をしている者も少なくないので、仕事はなかなかたいへんなようだ。
(だから、教育改革をするためには、教育に強い関心を抱く市議が教育長をバックアップするような体制が必要だ。そのためには教育政策課題に関して具体的な議論を真摯に重ねていくべきである。
 わが会の角田憲治会長のように教育長を辞めたあとも、釧路市に住み続け、教育問題に関心をもち続けてもらいたい。)
 根室にも行政職や退職校長の中から有能なものが出て教育長となり、退職後も根室に住み続けて、根室の子どもたちの基礎学力向上に尽力する人が出てもらいたい。

<根室市議に教育に関心の強い人が増えてもらいたい>
 根室市議会はほとんど競争がないから、市民の声に耳を傾けなくても、根室の未来に対するビジョンや具体的な政策提言をしなくても、そして市政チェック機能を果たさなくても当選可能だから、教育問題に強い関心をもつ市議がみあたらない。私の記憶では佐藤敏三市議が一度いい質問を市議会でしている。
*#1080 教育問題に関する質問(佐藤敏三議員):市議会第二回定例会 Jun. 21, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21

 釧路のように、地域経済の未来を支える人材を育成するために基礎学力向上の具体策を提言し、根室市教委や教育長と丁々発止具体的データに基づいてな政策議論のできる市議が育ってもらいたい。

<余談:授業の進捗管理実態調査>
 釧路市の学校には道教委のほうからの指示で、授業の進捗管理調査が入っている。小学校は学級担任から、中学校はそれぞれの教科担任から報告書を上げ、チェックすることになるようだ。
 「考える会」メンバーはそれぞれ自分のブログで、数学や英語、社会科の授業進捗管理がでたらめな実態を、具体例を挙げて取り上げてきた。弊ブログでは2年前にそのことで炎上騒ぎも起きた。授業の進捗管理が悪いと、「未了」や「すっ飛ばし」が起きて、学力低下を引き起こす。だいたいプロが仕事のスケジュールをちゃんと管理できないなんてことは他の業種では考えられない。民間会社が仕事の管理が悪ければ、損害賠償問題になるし、顧客がいなくなり倒産する。
 道教委へ授業の進捗管理に関して具体的な質問書が寄せられたこともあったようだ。
 授業の進捗管理のような問題は、各地の市教委へクレームや質問を投げても木で鼻を括ったような返事しか来ないが、北海道教育委員会「義務教育課」宛てに事例報告のメールを出せば、調査して具体的な回答が帰ってくる(ブログ「情熱空間」の投稿欄へでそういう事例を書き込んでくれた人がいる)。
 自分の子どものためだけではない、授業の進捗管理がデタラメな教員は黙っていると毎年同じことを繰り返すから、世のため人のためと思って、道教委宛に質問を投げたらいい。
 きちんとした先生ばかりになれば、「義務教育課」にはメールが来なくなる、そういう日が早く来たらいい。
 
<余談-2:人脈づくり>
 根室市役所には北大出身者が一人もいない。道庁の幹部職員はほとんどが北大出だ。前根室市長の藤原さんも北大水産学部出身の道庁幹部職員だった。ずっと昔、五十数年前に横田さんという根室支庁長が根室市長になったことがある。息子さんが高校2年のときに根室高校へ転校してきて、よほど暇をもてあましたのか高橋珠算塾の門を叩き、1年間で商工会議所珠算能力検定試験1級に合格している。おそらく過去最速の合格だった。全珠連珠算検定3段相当である。この人はその後根室高校から現役東大合格を果たした。もちろん根室高校から東大現役合格は初めてのケースだった。卒業後道庁職員となり、最後は上川支庁長で退職している。高橋(珠算塾)先生に葉書が来ていたので、あるとき先生が喜んでわたしに見せてくれた。年齢が十歳ほど離れているのでお会いしたことがないが、わたしの兄弟子。たぶんその人が合格した後で2番目の1級合格者がebisu。もちろん比べ物にはならない。微分積分計算は整数や分数の四則演算速度の大きいことがモノをいう分野だから、横田先輩は数学の問題を解くのに、速度と正確性の点で商工会議所珠算能力検定1級の腕前が大きく寄与しただろう。

(高橋先生は珠算は「男子一生の仕事」と言い切り、根室の珠算を20年かけて全道トップレベルにまで引き上げた。先生は釧路の方であるが、仕事を通じて根室にたいへん大きな貢献があった。お母さんたち、小学生のうちに2年間ぐらい珠算を習わせたほうがいい
 中央大学文学部へ進学した澤山先輩(2年)が大学卒業後根室に戻って教えている。同門ではないが、一年下のミドリはだいぶ前に閉塾した。5段クラスで地元に残っている50歳前後の女性が数人いるはず、子どもたちのためにぜひどなたか珠算塾を開いてもらいたい。
 根室市でいまも続いている、商工会議所主催の珠算競技会は高橋先生が商工会議所に話をもちこみ、わたしが根室高校の先生たちに話をつけて実現したのがスタートである。根室高校の珠算担当の先生と高橋先生はいろいろな事情があり折り合いが悪かった。お互いに話ができる相手ではなかったのである。「幸い?」なことにそのご当人が私のクラス担任で珠算部顧問だった。珠算部員ではないが全道高校競技会に毎年参加を頼まれて二つ返事で引き受けていたから、担任の富岡先生はわたしの頼みごとを断れなかったのである。偉いと思う、頼んだときに嫌な顔を見せなかった。個人的な事情よりも根室のためと思ったのかもしれない。
 第一回の競技会は、わたしは主催者側の一人として読み上げ算の読み手や会場の管理係を担当しながら、選手として選手宣誓もした。根室高校の先生で競技会で10桁の読み上げ算を高速でできる先生がいなかったから、根室高校側からわたしが担当せざるを得ないという現実的な事情があった。担任と高橋先生の了解の下、暗算部門だけ選手出場させてもらって、第一回の暗算部門のチャンピオンの栄誉に輝いた。主催者側でもあったので、他の競技種目は出場を遠慮した。自作自演のようななんとも照れくさいできごとだった。
 高橋先生はビリヤードのお客様でもあったから、そちらのほうはわたしが「先生」だった。高校2年生のときにではなかったかと思うが、高橋先生は道内の珠算塾の集まりにわたしを連れて行ってくれた。十勝川温泉に一泊して、帯広市内で会議があったのだがまったく記憶にない、モール温泉のことだけはなぜかしっかり記憶にある。お風呂につかっていたらナイスバディの女性が入ってきた、高校生には刺激が強い混浴だった。(笑) 当時の道内の温泉は混浴が珍しくなかったのである。)

 市長が北大出身者だと、北大のOB会で同期で道庁幹部職員だったものが何人もいるし、OBということで医局に頼み事もしやすい。人脈を広げるという点からも根室市役所に北大出身者がいたほうがいい。そういう話を会長にしていたら、プロ野球の夏季キャンプ招聘を例に挙げて、誘致合戦に敗れた経験を話してくれた。釧路ではある人物が自腹を切って中央に人脈づくりをした人がいたという。
 最近は、釧路公立大学から釧路市役所職員に採用されるものが多い。経済的な問題から地元の公立大学への進学希望者が増えて偏差値が上がっているから、学力試験を課したら、高い確率で釧路公立大出身者が採用になる。釧路公立大の偏差値は小樽商科大学とほとんど一緒のところまで上がった。
 特定の大学、しかも釧路のローカルな大学出身者が市役所職員に増えると、人脈作りという点で長期的に見たら問題が生じる。角田会長はその点に懸念を抱いていた。人脈という点からはもっと出身大学がばらけたほうがいいし、東京の大学出身者も採用できることが望ましい。
 北大医局や道庁にチャンネルをつくるために、根室市役所職員に数名の北大出身者がいたほうがいいのだが、北大就職かに募集案内をしているのだろうか?ある時点から根室は北大医局にオフリミットとなったようだがチャンネルがあれば、そういう事態になる前に適確な手が打てただろう。
 北海道から東大⇒中央官庁への進路を希望するものが増えてもらいたい。そうなれば中央官庁へ人脈が広げられる。 

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tsuguo-kodera

 管理人さんの考えがとても良く分かる記事でした。皆さん頑張っている人のように記事からも思えました。人物の解説に関しては同意せざるを得ません。会ったこともありませんし、一生損得のある関係にはなりそうもないからです。
 全体のまとめのような部分で、一言だけ異論があると言うより、私の感覚と違うと言うようなまとめがありました。参加者のタイプ分けの部分、タイプにより特性の記述の部分です。
 私は個の特徴から集合の特徴を導き出すのは仕事柄得意だと思っていました。逆に分析は苦手です。会って話したいことがまた増えました。
 持って回ったような、ほのめかしだけになり、すみません。いたずらに他の読者に誤解を与えたくないためですので、ご容赦ください。
by tsuguo-kodera (2015-06-15 04:33) 

ebisu

koderaさん、おはようございます

土曜日に釧路まで行ってきました。「考える会」のメンバーと久しぶりに会い、総会の後、お酒を飲みながら四方山話に花を咲かせてきました。

翌日西のほうのイーオンの中を小一時間ほど歩いて買い物をして、そのあと2軒寄ってから車の運転を交替して岐路に着きました。久しぶりに歩いたのですっかり疲れてしまいました。
途中、眠気がどうしても抜けず危ないことが一度ありました。ワイフが「危ない!」と大きな声を出してくれたので無事でした。
いつもは昼寝をしているので、普段と異なる行動パターンのときは疲れに要注意です。無理はいけないことを知りました。

ところで、「ご異見」や「感覚の違い」は具体的に書き込んでもらってもebisuはかまいません。
人生経験や学んだことの違いから、いろんな意見のあることは普通のことですから、いいのです。
議論を重ねれば、それまで意識していなかったことが明らかになったり、展開が面白いことになるでしょう。
読者の皆さんに楽しんでお読みいただけたらそれだけで十分です。

異論を聴かなければ独善的になりかねません。
by ebisu (2015-06-15 11:09) 

ZAPPER

先日はありがとうございました!あまりに楽しくて、ついつい深酒をしてしまいました。(翌日は子どもの運動会でしたが、昼まで酒が残っていました…)

すみません、一点のみ訂正があります。会長職はこの7月からです。というわけで現在、てんやわんやの状態にあります(笑)。
by ZAPPER (2015-06-23 09:37) 

ebisu

7月からでしたか、間違えてすみません、本文を訂正します。

教育と地元経済、売り手市場と替わった労働市場。
じつにいい時期に会長職にご就任、難しいときにこそ躊躇なく引き受ける、漢(オトコ)ですね。
by ebisu (2015-06-23 11:27) 

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