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#3034 低学力の実情:ゲームやってもいい? Apr. 25, 2015 [71.データに基づく教育論議]

(更新情報:4/29、9:05)
□ 「余談-3:低学力の高校新卒を採用した地元企業経営者の悲鳴」追加。
□ コピペし転載。(4/28  11:30 a.m.)
□ 15. <姿勢、我慢の躾:タンコブできるほどの拳骨お見舞い>に追記(4/29 8:45 a.m.)
□ 連番を符番(4/29 9:05 a.m.)


 4月10日の学力テストの結果を取り上げて、前2回にわたってC中学校2年生の学力問題を取り上げてきた。1年生との比較や他校との比較で、著しく学力が低下してしまっていることがテスト結果データで検証できた。小学生のときに学級崩壊を起こすと中学校では救えない状況に陥る。
 学級崩壊の影響が学力テストの平均点にどれくらいの差になって現れているのかデータを挙げているから、後遺症の深さを知るために小学校の先生や中学校の先生にぜひ読んでもらいたい。
 お父さんやお母さんたちは家庭の躾けの重要性を再認識してもらいたい。家庭での躾と学力は相関関係が大きいのである。どういうことかというと、躾けのしっかりしている子どもは学力も高くなる傾向があり、躾がおろそかにされた子どもは学力が低くなる傾向にある。親の言うことを聞かない子供の7割は先生の言うことも聞かない。授業中の立ち歩きや私語は同じ教室で授業を受ける他の生徒の学力まで下げてしまう。びっくりするようなデータを挙げているので、現実を直視していただきたい。

1. <生徒との約束>
 今回は生徒との約束を破ることになった話題をとりあげる。
 家庭学習習慣がほとんどなかったある生徒に家庭学習習慣を身につけさせたくてゲームを禁止していた。家庭での学習習慣を育まないと学力が上がらない。
 根室では次のような生活サイクルの中学生が多い。部活をやっていない生徒は学校から帰ってくるとすぐにゲーム機で遊び始める、部活をやっている生徒は6時半ころ帰ってきて晩御飯になり、おなかがいっぱいになると勉強する気はどこかへ飛んでいってしまい、テレビを見てあとはゲーム、インターネット、スマホでツィッターやライン三昧、そしてお風呂に入って寝るだけ。
 毎日これが繰り返されるから、勉強する時間も年齢相応の本を読む時間もほとんどとれない。家庭学習習慣がないということは、予習も復習もしないということ。予習をしなければ授業内容が理解できない、復習しなければ記憶が定着しない。漫画の本は読んでも小説すら読まないから語彙力は小4程度のままにとどまり、仲間同士で話は通じても中学校の授業でそれぞれの科目担当の先生たちが使う用語を頭の中で適切な漢字に置き換えられないから、話の意味が肝心のところでわからなくなり、授業全体が次第に理解できなくなる。
 こういう関連を考慮すると、家庭学習習慣がなくて本を読まない生徒は学力が低くなるのはわたしには当然のことに思える
。日本語で書かれた文章をすらすら読めず、計算が著しく遅い生徒が小学校6年間で完璧に出来上がってしまう。そして基本を理解していないから、少数や分数が混じった四則混合計算になると解けない。もちろん、文章題の内容を理解して式を作るなんてことはとてもできない。たった2行の数学の問題文すら読解できなくなっている。

(まれに宿題や勉強を先にやらせ、8時までテレビのスイッチも入れないしっかりしたお母さんがいる。小学校時代に学習習慣がしっかり身についてしまっているから、ああだこうだと言わずに当然のごとく勉強をするから、成績もよい。塾になんか通わずとも五科目合計点は400点超(500点満点)になる。)

 学年成績トップクラスの生徒は、ゲームを短期間にクリアしてしまうからすぐに飽きるが、成績中位層や下位層の生徒はなかなかクリアできないから、いつまでも同じゲームから抜け出せず、「ゲーム中毒症状」を呈する。ゲーム中毒は成績中位と下位層に固有な症状であることがわかる
 この生徒にわたしは学年20番以内(学年47人)に入ったら、家でゲームを再開していい、それまではゲーム禁止と言い続けてきた。成績は中位層の生徒である
 この生徒にはささやかな夢があり、入塾してきたときに言ったその夢を実現するにはおおよそ学年5番以内(学力テストで350点)程度の成績をとる必要があると説明してある。
 しかし、いきなり5番以内は無理だからステップを2段階に分けて、当面の目標を十番台に設定した。今回の学力テストでそのラインをクリアしたのである。本人の努力は認めたい。

2. <約束した上位20番以内をクリア、しかし・・・>
「先生、成績上がったからゲームしていいでしょ、お母さんがいいって言っている」
 当然の要求である。
「ダメだよ、順位は上がったけど点数上がっていないじゃないか、B中学校ならこの成績は平均点よりかなり悪いから、学年76人中40番を超えてしまう」

3. <2年生の学力低下がさらに進行:中学校では解決困難な問題あり>
 約束違反であるが、わたしはゲーム再開を認めることができない。C中学校2年生47名の「合計点の度数分布棒グラフ」をみると5科目合計点が240~260点の階層には一人だけいるから、上から数えてみると学年15番目である。その次の16番~22番目までは201~220点の階層に属している。山のピークは7人で、201~220の階層と101~120点の階層である。なんと120点以下に12人もいる。1科目平均点が24点以下が47人中12人もいる。
 下のほうばかり見てい上のほうがお留守になってはいけないので「合計点の度数分布表」を読むと、401~420点の階層には1人しかいない、10年前なら400点以上は十数人いた。成績上位層が絶滅の危機にあり、成績下位層が激増していることが度数分布表から読み取れる
 市街化地域で一番平均点の高かったB中学校では、10年前は五科目最低点が160点付近にあったC中学校2学年では120点以下が47人中12人、25.5%もいる小学校で学級崩壊を経験すると、こういうことが起きる。学力中位層以下が底割れするような激しい学力低下を起こしてしまうのである。
 子どものしつけの問題も深く関わっているから、学校と保護者が一体となって対策を施さないと解決できない問題がある


4. <「型の文化」の崩壊>
 小学生の内は子どもは大人が育てたように育ってしまうから、生活全般にわたる躾についての親の役割と学校の役割は大きい
 しかし、箸の持ち方勉強するときの姿勢とか鉛筆のもち方の指導、予習や復習のやり方や重要性、他所様の家を訪問したときや同級生の家へ遊びに行った時の家族への挨拶の仕方、靴の脱ぎ方並べ方、目上への口の利き方等々の行儀作法、これらのことどもは学習指導要領には記載されていない。必要なことであっても、学習指導要領にないことは教えなくてもよいというおよそ教育者らしからぬ判断が学校を覆ってはいないだろうか。その結果、基本的な「生活習慣の型を育む教育」の大半が家庭と学校の両方から失われてしまった日本の伝統的な文化は生活のあらゆる場面で型を重視してきたが、その型が根こそぎ崩れつつあることに、親も教育関係者ももっともっと注目すべきだ正統な型を繰り返し真似ることで、その奥底にある伝統や文化という型とともに、そこに滔々と流れている日本的情緒やきりっとした精神がしっかり受け継がれてきた。その型の文化の継承がいま途切れようとしている、そういう現実に気がついてもらいたい。レベルの高い文化をいったん失ってしまうと、元に戻すのには10世代以上数百年の努力を要することになる。もう一度、そうした文化を創りあげる努力を日本人のほとんどがしなければ取り戻すことができない。失ってはならぬものがある。

5. <「読み・書き・計算」の基礎的能力は徹底的に鍛えるべし>
 この成績中位層(実際には10年前の成績最下位層)の生徒は日本語能力と計算能力にそれぞれ問題を抱えているので、北海道新聞「卓上四季」の視写(文書を見て書き写す)や計算練習を宿題に課している、速度を上げるのが目的。
 「卓上四季」字の書き取りに最初は標準の4倍時間が掛かった。現在は1.5倍の時間でできるようになったが、まだまだ速度が不足している。その上、計算速度は標準の三分の一ほどだから、いまのうちに何とかしておかないと「読み・書き・計算速度不足」で、高校生になったら授業についていけないことになる。学年上位1/3にしてそういう学力レベルの生徒がいる10年前は成績中位層で日本語能力に問題を抱える生徒は一人もいなかった
(高校2年生の2月の全国模試の問題文を見たら、国語の記述式の問題が本文だけ(設問を除く)で18ページもあった。読解速度が大きくないと全文を読むことすらかなわない。)

6. <怒:課題の追加をしたらサボり癖が復活>
 最近、漢検4級の問題集にトライすることを宿題にしたら、「卓上四季」の視写をやってこなくなった。初見の「卓上四季」の視写で20分を切ることを目標にしていた。17分以下(分速40文字以上)でないと、先生の説明を聞きながらノートをとるのは困難となるから、視写速度アップは学力強化の重要なファクターである。視写は宿題だったから毎回提出させてチェックしていたが、漢字検定4級問題集を追加したら途端にやらなくなった。英語教科書の音読トレーニングもしてこない、教科書を読ませればすぐにそれがわかる。日本語音読テキスト(『読書力』)も家で読んで来ない、下手なままで進歩がないのは家でまったくやっていないからだ、こういうことはすべからく生(ナマ)の授業ではわかってしまうのである。一時の気のゆるみだと黙認していたが、「ゲームしていいですか」という質問で「カチン」ときた、宿題もやらず、基本トレーニングもほうったらかして、ゲームをやりたいのである。
あと3ヶ月基本トレーニングを継続すればこの生徒は10番以内に入ると経験智が告げている。思わず大きな声をだした。

「いいよ、(ゲーム)やっても。もう中2だ、半分大人だから自分の頭でよく考えてみたらいい。」
「どういうことか事実を言うよ。B中学校なら君の成績は40番より後ろだ、君の学年はC中の歴史の中では過去10年間で最低レベル、その中でようやく上位1/3に1回だけ入ったに過ぎない。他の学校なら平均点にも届かない点数だ。同じ学年の生徒が勉強しないでどんどん授業がわからなくなっているだけの話で、君の点数が上がったわけではない。これでは高校生になったときにとても授業にはついていけないから、君の夢は完全に費(つい)えるよ、それでいいならゲームをしていいよ。」

7. <生徒の未来はどうなる?>
 こころがイラついていた、そう言ってしまったのである。約束違反になるがしかたがない、約束を反故にする痛みは甘受しよう、それよりも生徒の未来のほうが大事である
 再来年から根室高校1校体制になるから勉強を放り投げても高校入試はクリアできるが、高校の授業にはついていけないことは明白だし、こんなに基本的なこと(読む・書く・計算する)で標準速度の半分程度では、高校卒業後に正規雇用の職にはつけるはずもない。仕事の速度も半分程度になるし、上司の指示も正確に理解するのは無理だ。仕事に必要な専門書も読めない大人になる
 普段の授業では話を理解できないことが多い。書いていると説明を聞いていられなので、書き終わるといま説明したばかりのことを質問する。これも何とかしないといけないが、小学校6年間でついた習慣は1年半かかってもなかなか治せない(成績下位層が膨らんでしまったのがこの数年間の特徴だから、こういう生徒が増えている。半数救えたらいいほうだ、根気や辛抱力がない、そして勉強しないというパターンの生活習慣が強固にできあがっている)。この生徒はすこしずつよくなってきているから、もっと加速したいのであるそうしないと高校入学までに間に合わない。何が何でも間に合わせてやるのがプロの仕事だ。

8. <小学校の先生も中学校の先生もプロであれ:市教委と市議会の役割>
 小学校の先生は生徒が卒業すればお役ごめんで、多くの先生たちは生徒の将来なんて考えていないように見える。そうでなかったら少年団活動三昧、本を読む習慣や家庭学習習慣がまったく身についていない、成績下位層の生徒をほうっておけるはずがない
 中学校の先生も生徒を高校に入れて終わりだ、文武両道は口にしても高校を卒業した後の生徒の未来なんて考えていない先生が多い。熱心に部活指導をしていても、ほとんどの先生たちが成績下位層の生徒の勉強をほうったらかしにしている。
 一部に、そうではない(放課後補習や土曜日補習をしている)先生がいるが、珍しい。C中学校に限っては、学校全体で放課後補習を組織的にやるように変わりつつあるが、部活を一時停止して補習するところまではやれない。これは市の教育政策としてやるべきだろう。市教委が動かないなら、市議会文教厚生常任委員会が市教委を動かすべきだ

 小4年生程度の語彙しか漢字で書けない生徒や分数や少数の計算のできない生徒、逆九九が言えない生徒が中学校にどんどん入学してくる。その割合は学区によって半数を超える学年が出現している

 こどもたちが大人になったときに、正規雇用の職に就けるぐらいの基礎学力を身につけさせて卒業させるくらいの責任は、小学校の先生も中学校の先生ももとうではないか。プロならそこまで仕事の責任を負うのが当然だ

9. <市街化地域3校の現状と打つべき具体策>
 五科目合計点が220点でも学年上位1/3に入るような低学力の学年が、市街化地域の3中学校に現れだしているのである。五科目合計点の平均はC中学校2年生は200点である、B中学校はそれより40点も高い。
 五科目学年平均200点は例外ではない。市街化地域の3校で、2~3年に1学年はそうなりつつある。
 打つべき手ははっきりしている、学力下位層の生徒は部活を一時禁止して、小学校の漢字の書き取り、日本語の文章の音読、分数や少数や逆九九などの計算トレーニングを3ヶ月ほどやれば半数は救える1年生の入学直後にやるのがベスト

10. <加配の検証をやること>
 北海道教育委員会がやっている数学教員の加配の効果はどれほどあるのだろうか、3校の授業参観の結果を踏まえてわたしには疑問がある。学力を下げてしまっている例がないだろうか?増員すれば成績が上がるという方程式は成り立つのだろうか?北海道全域で数学教員の加配をしているが、全国学力テスト結果データでその効果を検証できるから、北海道教育委員会は学力テストデータでの検証をやるべきだろう。根室市教委も学力テストデータで検証すべきだ。

11. <データに基づく教育政策は当たり前のこと>
 教育行政も学校もふだん中学校でやっている学力テスト結果データをモニターして、しっかりしろと言いたい。やるべきことがあるはずだ。市議会文教常任委員会も各学校の学力テスト結果データぐらいは見ろといいたい。データすら見ないで何がわかる?
 病院にたとえると、検査データもとらずに診断と治療をしているようなもの、よほどの名医でなければ検査データを見ないで適切な診断と治療ができるわけがない。名医がすくないのは医療業界も学校も同じだ。
 論より証拠、全国模試の偏差値データを見ないで大学進学の進路指導をする進路指導室や担任の先生はいない。

12. <ストレス>
 生徒が約束どおりに、学年順位を十数番上げたのに、生徒との約束を破らざるを得なかった悔しさをかみしめている。悔しくてこころがなかなか平静に戻らない。不機嫌なので女房が怪訝な顔をしている。

13. <塾先生の言い分>
 塾先生は君が大人になったときのことを考えてものを言っている。いまの学力のままでは高校を卒業して、きちんとした会社の正規雇用職につくのはとても無理だから、「学年順位が20番以内に入ったらゲームをしていい」という約束を守るわけには行かない。周りが下がっただけで君の点数は上がっていない。約束を守らない先生が嫌なら塾をやめていい、そう言わざるを得なかった。
 「卓上四季」の視写も英語教科書の音読もやめてしまっている、そういうことを知りながら、学年順位が上がったからゲームを再開していいとは言えない。
 なんだかしんどいな。

14. <ノートを忘れてはいけない>
 ノートを忘れてもってこない生徒がいた。この生徒は時々忘れる。メモ用紙を用意してあるが、それに書いたらすぐに棄てるのは目にみえている。問題集をやらせてもなかなかやらないので、教科書の文を使って、さまざまな変形をさせたのだが、せっかくやったことも家で復習しなければ頭に残るのは20%程度だろう。こんなことでは成績が上がらない。授業中の私語も今日は20回くらい注意した。繰り返し同じことを注意していると、胃のないわたしは身体にこたえる。注意するときに解説を中断して一言「うるさい」とか「私語をやめろ」と怒鳴るから、呼吸が乱れ腹圧がかかるために消耗する、何か工夫が必要だ。

15. <姿勢、我慢の躾:タンコブできるほどの拳骨お見舞い>
 授業中の姿勢が頻繁に崩れる、私語をとめられない、小学校で毎日繰り返していたことは習慣となり、性格にまでなってしまっているから、2年たっても治らない、いや治せないのである。
 ①小学校低学年での家庭学習の躾け
 ②全身を耳にして授業に集中すること
 ③まっすぐ背筋を伸ばして座ること(座りかた)、立ちかた、背筋を伸ばした歩きかた
 ④嫌なことでも必要なら我慢すること(辛抱のしかた)
 ⑤鉛筆や箸の正しい持ちかた
 ⑥他人様の家を訪れたときの挨拶の仕方や靴の脱ぎかた、揃えかた
 ⑦目上への口の利き方や言葉の選びかた
 ⑧弱い者イジメや卑怯なこと、ズルイことをしてはいけないこと
 ⑨寸暇を惜しみ本を読むこと
 ⑩一生懸命に努力することが大切であること(生きかた)等々

 大正生まれの団塊世代の親たちの三人に一人は当たり前に躾けてきたことが、いまの親たちの大半にはとても無理なことなのである。
 とくに③④⑤⑥⑦⑧⑩はほとんどの親たちがきちんと躾けていた。
 こういう生活の型や価値観をきちんと躾けることは、自分の子育てを思い出しても周りの子どもたちの影響も受けるので、なかなかむずかしい。

 もう中学2年生だから自覚が育たなければ、しばらく休塾を勧めるというショック療法もあるがそれは避けたい。子どもによっては休塾勧告や退塾処分で心に深い傷を負うことになる者がいるので避けたい。こういう生徒は拳骨をお見舞いするのが薬になる。来週も私語が続いたら男子生徒にタンコブつくって治してやることになりそうだ。
 わたしは古い価値観の人間だから、女子には拳骨しない。そういう私の方針に「女子にも厳しくすべきだ」と言った男子生徒の父親がいた。男女は平等なのだそうだが、私は層は考えない、男には男の役割分担と責任がある。男女平等?それで男が育つだろうか?申し出の趣旨はよく理解したつもりだが運営方針は変えない、塾を選ぶ権利は塾に通わせる両親にあるから、自分の希望にかなう他の塾を選べばいいだけのこと。「来る者拒まず、去る者追わず」で坦々と。

16. <1年生と3年生と高校生>
 3年生と1年生は問題がない。3年生は「予習方式&集団授業」に切り替えた。生徒のレベルのばらつきが小さくなったので、それに合わせて授業形態を変えた。実に熱心にやっている。1年生は完全個別指導だ。
 高校生は大人だからあまりうるさいことは言わない。学習態度と進み具合を見ながら早い段階から志望校に合格できるかどうかははっきり告げるようにしている。そして目標を攻略するための学習スケジュールも明示する。ダメなやつはダメ、素直に指示にしたがい勉強する者は伸びる、高校生になればもう自己責任だ。

 この3月まで教えた受験生は、暮れから毎日塾に来て4時間半、3月24日まで勉強し続けた。合格後は簿記3級問題集を1冊やった。これはアフターサービスである。道内私大の経済学部への進学だったから、在学中に商工会議所簿記2級に1年生のときに合格できれば、就職は何とかなる。2年かけて1級に合格できたら、上場企業の経理部へ就職可能だし、年収をアップして転職も容易になる。生徒の未来を考えて、打てる手を打っておく、それがプロの仕事。


<余談:ほぼ全国平均の現・高1の学年との比較>
 現・高1は全国学力テストでほぼ正答率が全国平均値だった。その生徒たちが中2の2月5日の学力テストデータがあるので、比較してみたい。受験した人数は46人だから、現・中2年生の47人とほぼ一緒。カッコ内は現中2のデータ。

 平均点 276点(200.5点)
 201~220点の階層 学年29~37位(16~22位)
 120点以下 3人(12人)

 五科目平均点で75.5点もの差がある。350点では7位(4位)、120点以下が9人も増えている。小学校での授業中の立ち歩きや私語の影響と考えていい。もちろん、先生の授業にも改善の余地があるが、その根っこには躾しそこなった数人の児童の影響も無視できぬ。学力低下の第一の責任は学校にあることは論を俟たないが、家庭の躾の問題もからんでいる。両方に問題があるときに学級崩壊現象が現れるのではないだろうか。それをとめる手立てはある。学力下位層に3ヶ月間の少年団活動禁止を言い渡し、指導力のある先生が学級担任と一緒に放課後補習を毎日3時間やればいい。「良質の日本語テクスト音読トレーニング」、「語彙力アップ・トレーニング」、「基礎計算および文章題読解トレーニング」の三種類。
 言うことを聞かぬ数人の生徒には拳骨をお見舞いすればいい、勉強がわかるようになれば次第に落ち着く。

<余談-2:ゲーム・スマホ依存症専門の心療内科の必要性>
 学力中位層と低位層にゲーム中毒が多いことはすでに述べた。スマホ使用に関しても中毒症状を呈している生徒が少なくない。脳内で起きている反応はおそらく覚せい剤中毒や麻薬中毒と変わらない。パチンコ依存症も同じである。
 社会問題化しているし、患者の数も多いから、大きな病院は小中高生対象のゲーム中毒とスマホ中毒の専門外来を開設してもらいたい。教育の領域ですまない問題が日々量産されている。このまま放置すれば、低学力かはいっそう加速する。
 タバコと同じように「過度な使用は中毒になります」と画面に表示することを法律で義務付けるくらいのことをすべき段階ではないだろうか?

<余談-3:低学力の高校新卒を採用した地元企業経営者の悲鳴>
 釧路の経営者が採用した高卒のあまりの低学力と常識はずれに悲鳴を上げている。ブログ「情熱空間」が具体例を3つレポートしているのでご覧いただきたい。

「早くも企業の悲鳴が(新規高卒生の採用)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7918181.html

===============================
今回は、社会保険労務士の労務管理の実際から。
この春、つまりはこの4月に新規高卒生を採用した企業から、早くも悲鳴の声が聞こえ始めました。

●ケースその1
1ヶ月も経たないうちに辞めてしまった。
その際、親に連絡するも、親もまた退職に賛成とか。
そして、親からは侘びの言葉は一切なし。
中には、「もっといい会社に就職させる」との捨て台詞を吐く親も。

●ケースその2
仕事云々以前の問題。
指示がまるで通じないばかりか、日本語がなかなか通じない。
簡単な読み書き計算に大きな難がある。
何なんだ、こいつは…。

●ケースその3
入社日に出社しない!
採用そのものがお流れ…。

例によって本当にひどいものです。
景気が上向いているとのことで内定率は過去最高を記録しているわけですが、それはつまりこうしたことを意味します。

本来はおよそ正規雇用(雇用自体かな?)に耐えられるはずもない若者が、景気回復の中にあって「採用されてしまって」いる。
悲しい現実、恐ろしい現実です。

この地の子ども達の基礎学力を高めること。
そして、高校の間口を減らすこと。
考え得る、あらゆる策を講じて基礎学力の習得を保障すること。

まずはそこからはじめなくてはなりません。
ぶっちゃけ言うとこうしたことですよ。

体は大人。
しかし中身(学力・常識度)は小学生レベルのまま。
自己の権利を主張はするが、義務はまったく履行できない。
およそ雇用には耐えられるはずもない。

そして、親もまたこんなことを平気で言うんです。

そんな会社、辞めちゃいなさい。
そのうち、もっといい会社に就職できるから。


そうして、非正規の道をまっしぐら…。
北海道全体が、もはやそうしたことになっています。
人口減少の歯止めは、まずは最低限の学力保障からです。

《追記》
以後、我が社では新規高卒生は採用しない!

そうした会社が多くなることでしょう。
実際、学力試験を課して選抜をしなければ、危なくて仕方がありません。
まさに、ハイリスク&ローリターン。
で、企業はこうした予防策を打っています。

・採用する高校を限定する。
・学力試験を課す。
・身元保証契約を義務づける。

これでもまだ、教育行政に企業経営者の声を取り入れようとしないのでしょね、我が街は。
それをしなければ、地域経済のさらなる疲弊は必定。
しかしそのことが、どうあってもご理解いただけないのでしょう。

意固地でかたくなな教育行政が、その地域の将来の芽を摘んでいる。

あってはならないことがまかり通っています。

===============================


* #3028 C中学校1年生と2年生の学力テストデータ比較分析 Apr. 18, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-17 

 #3030 低学力の実情:中学2年生4/10学力テスト問題から Apr. 19, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-19


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後志のおじさん

御心境わかります。私とは違って、郷土への思いもあっての通年塾経営ですしね。


まだまだ悪化しますよ。5年程前のこちらの状況です。

今は、全学年そんなものです。体だけ中学生の保育園児ですからね。


以前は、少数ながらも新聞英語解説に必死についてくる中学生や、私立中学入試算数に食い付いてくる子がいたのですが、もはや託児所ですわ!


馬鹿らしいから辞めます。が私の対応です。

by 後志のおじさん (2015-04-26 22:19) 

ebisu

後志のおじさん

そうですか、後志は根室の5年先を行っているのですか。いまや学力低下の先進地域ですから「先志」かもしれません。

>まだまだ悪化しますよ。5年程前のこちらの状況です。

低学力化の更なる進行をとめたい。そのためにいま根室の小中高生や学校で何が起きているか、データを提示して情報発信しています。

>以前は、少数ながらも新聞英語解説に必死についてくる中学生や、私立中学入試算数に食い付いてくる子がいたのですが、もはや託児所ですわ!

根室ではジャパンタイムズトライできる高校生が激減しました。
「託児所」、たしかに幼児化の傾向が顕著になっています。
精神年齢が低下してきていることは事実。
必要なこととわかっていても我慢することができないというのは幼児化現象そのもの、すでに高校生を侵食しつつあります。
受験は戦略を立てて、着実にスケジュールをこなしていかなければなりませんが、それには忍耐力が必要です。10年間の推移を振り返ると、こらえ性のない生徒が増えました。

個人の力なんて小さなものですが、それでも少人数を鍛えることは可能です。できる範囲でまだ続けます。
少なくはなりましたが、意欲のある生徒がまだいますから、期待にこたえたい。

中高生の皆さんは、実年齢に対応して読む本のレベルを上げてください。身体は勝手に成長しますが、精神的な成長も意識してください。

わたしはまだなげません、しかし、少し草臥れたことは事実です。今日はプチ贅沢をしました。歯舞産の新鮮なウニを食べて英気を養う、根室は魚介類の食材がいいから草臥れても回復が早い。(笑)

by ebisu (2015-04-27 00:35) 

Hirosuke

>注意するときに解説を中断して一言「うるさい」とか
>「私語をやめろ」と怒鳴るから、
>呼吸が乱れ腹圧がかかるために消耗する、
>何か工夫が必要だ。
     ↓
僕の対処法です。
(1)解説を中断して彼等の前で黙り続ける。
(2)それでも黙らない奴は無言のまま拳で机をブッ叩く。

やっぱり体力消耗しちゃいますか?
これ見よがしに【竹刀】でも飾ると良いです。
「次はコレだぞ。」という無言のオブジェとして。(笑)

by Hirosuke (2015-04-27 09:50) 

ebisu

Hirosukeさん

素敵な対処法プレゼントをありがとう。
拳骨と同じくらい効果がありそうですから、拳骨は最後の手段にとっておきます。
竹刀を飾っておくのは良いですね。
長さ115cmの素振り用の八角形の木刀が玄関にあります。重さ1kgでほぼ真剣と同じですが、長さがあるので振り下ろしたときにとめるのがたいへんです。地面を叩いてしまうのでもう全力では振り下ろせません。

>(2)それでも黙らない奴は無言のまま拳で机をブッ叩く。

厚さ2cmの集成材の天板が折れないかな?
幅が45cmあるから力が分散するから大丈夫だ。思いっきり叩くとこちらの手のほうが壊れそう。(笑)
by ebisu (2015-04-27 12:00) 

後志のおじさん

問題の生徒、

私には、合格先生とかぶって見えています。

by 後志のおじさん (2015-04-29 00:29) 

ebisu

後志のおじさん

そう見えるところがありますか、Venn ChartのA∩Bの部分が見えるのですか。
わたしには、B-A∩Bの部分が強烈な光を放って見えています。ものごとの分析にかけては、「釧路の教育を考える会」で随一の人、鋭い分析に感心することが多いのです。

たしかに、少年のようなところも残していますが、男はそれでいいのではないですか、可愛げがあって。
完璧である必要はありません。
わたしも欠点だらけですが多少は可愛げのある人間のつもり???。
おやおや書きすぎたようです、襤褸(ボロ)が出てきましたのでこの辺で。(笑)
by ebisu (2015-04-29 09:01) 

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