#2869 根室の中学生の学力の現状(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014 [58. 家庭のしつけ]
B中学校の五科目平均点は134.6点(300点満点)、C中学校が136.7点であった。数年前には学校崩壊状態だったC中学校が文武両道を繰り返し生徒に伝え放課後補習を繰り返して低学力層の底上げに成功している。2014年度の全国学力テストでC中学校の3年生はほぼ全国平均値を達成している。C中学校の分析は次回にまわし、今回はB中学校の推移をみて分析してみたい。
2014年 | 2013年 | 2012年 | 2011年 | 2010年 | 2007年 | ||
4月学テ | 139.7 | 100.7 | 144.7 | 120.0 | 126.5 | 151.2 | |
総合A | 123.9 | 110.6 | 122.8 | 0.0 | 107.4 | 167.9 | |
総合B | 129.7 | 109.0 | 123.1 | 114.0 | 112.1 | 150.5 | |
総合C | 134.6 | 102.8 | 136.3 | 118.0 | 106.2 | 167.9 | |
合計 | 527.9 | 423.1 | 526.9 | 352 | 452.2 | 637.5 | |
平均 | 132.0 | 105.8 | 131.7 | 117.3 | 113.1 | 159.4 |
B中学校は市街化地域の3中学校のうちで一番学力が高かった。2007年度の学力テストデータがそれを証明している。この年だけが高かったのではなく2006年度以前は概ね130点から150点の間にあった。
なぜ2010年度の3年生からガクンと平均点が低くなったかは原因がハッキリしている。3クラスの内の1クラスに3人ほど授業中に騒ぐ生徒がいて、先生の説明がときどき聞こえないと生徒たちから聞いていた。2年になってクラス替えをしてその生徒たちが他のクラスにばらけ、増殖した。その結果学力テストの平均点はそれ以前よりも30~40点下がってしまった。
授業中に普通の声を出してお喋りが始まると先生の説明がときどき聞こえなくなる。すると話の脈絡が読めなくなり、内容を理解できなくなる。学校の授業は生徒たちの勉強の「ご飯と味噌汁」のようなもので、ここがしっかりしていないと生徒たちの学力が下がる。
数人の生徒が授業中に先生の制止を聞かずにおしゃべりを始めたり、歩き回ったりするだけでこんなに学校全体の平均点が低下するのである。
(B中学校の急激な学力低下を起こした学年は今年の春に高校を卒業した。今年高校へ入学した学年が、過去7年間で学力が一番低かった。おそらく過去20年間で最低だっただろう。小学校からブカツに没頭していて、家庭学習習慣のない生徒の割合が多かった。中3でも小学校4年程度の漢字の読み書きしかできない生徒が2割ほどもいた。小学校5年生程度の「読み・書き・そろばん(計算)」の基本技能が身についていない生徒が四人に一人の割合でいた。)
小学校でも同じだっただろうから、小学校の段階で学級崩壊を起こしていたはずだ。小学校の低学年はシツケをきちんとやるべきだ。鉛筆のもち方、授業中の姿勢など大事な型をきちんと身につけないと、中学生になったら習慣となり癖となっているから治すのがたいへんだ。
授業中に先生の制止をきかない生徒は親の言うこともきかない。家庭のシツケができていないのである。親にため口を聞くようになったら危ない。目上の者に対する言葉づかいは躾けの基本の一つだが、これができていない子どもの割合は三人に二人くらいもいるだろう。ブカツでも上級生にため口を許しているのが普通になっている。先生たち、生徒がため口をきいたら叱ろう。
小学生低学年のうちに殴ってでもシツケを厳しくするべきだ。学校の先生たちが殴ってシツケをしたら問題になるから殴らない。昔の先生は生徒が悪いことをすると平気で殴ったし、親も「子どもが悪いことをしたら殴って構いません」と言い切る人が多かった。
さて、こどもをダメにする育て方13箇条を書きとめておく。こどもをダメにしたい保護者がいらっしゃったらこの通りにやってください。え、もう6年間やっている?じゃあそろそろやめましょう。
■ ほしいものは何でも買い与える
■ やらなければならないこを後回しにしても叱らない
■ 鉛筆のもち方が悪くても治さないでほうっておく
■ 勉強するときの姿勢が悪くても注意しない
■ テレビを見ながら勉強しても叱らない
■ ゲームが好きだから誕生日のたびに買ってあげる
■ 本を読まなくても気にしない
■ 漫画の本だけ買い与える
■ 家庭で勉強しなくても叱らない
■ スマホを買い与え、夜10時以降もとりあげない
■ 親や年長者にため口をきいても叱らない
■ 好きなブカツを土日もやらせる
■ 読み・書き・計算速度が遅くてもほうっておく
子どもをダメにしたくなければこれと逆のことをすればいい。
親のやるべきことは子どもの躾け、とくに小学校低学年の内に厳しく子どもを躾けよう。自我が芽生えてからではそれまでの悪習慣が性格にまでなっているから、なかなか治らない。小学校6年間で悪習慣に染まったものは、中学生になってから何とか治せるのは三人に一人だ。数年間にわたって途方もない根気と努力がいる。
どこの塾にもそういう生徒が増えているのではないか。ハンドルネーム「後志のおじさん」がブログ「情熱空間」の記事へのコメントでそういうことを書いていた。釧路のZAPPERさんもそういう傾向があることを心配している。
学校の先生がやるべきことは低学力の生徒へ組織的に放課後補習をすること、そして文武両道を繰り返し生徒に伝え、土日連続のブカツは慎むこと。保護者が要求してきても学校の方針として断固拒否し、土日いずれかの一日は家で勉強すべきはっきり言い切る。学校通信にもブカツは教育の一環なので、土日連続のブカツは原則禁止と方針を書こう。
次回は低学力層の底上げに成功したC中学校の事例を分析してみたい。
*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1
#1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校 May 14, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14
#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する Feb. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1
#2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある
#2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2
#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13
#2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16
#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-1
#2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊 Nov. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16-2
#2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
コメント 0