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#2861 原発をめぐる詐欺的会計基準(1):モラルハザード Nov. 9, 2014 [14. 原子力発電]

 11月7日付の北海道新聞一面に「地域の電力を考える③」が載っている。
 北電の料金値上げはなすべきことをせずに利用者に安易に損失転嫁するものであり、粉飾決算に該当する会計処理が堂々と電力会社に認められているヘンな状況を告発している。

<ダブルスタンダード:人材が少ない会計学と経済的な学際的な領域>
 原発は電気事業会計規則によって、企業会計原則の適用外となっているのである。絵に描いたようなダブルスタンダードだが、ほとんど報道されることがないから知らない人が多いだろう。知っていて批判を展開しない会計学会は社会の一員としての意識レベルが低いし、経済学者は簿記理論や会計基準を知らない者がほとんどだ。現実の企業は複式簿記で動いているのだから、経済システムの根幹を支えている技術を理解せずして現実の経済を理解できるわけがない。経済学者は会計基準が企業行動や業績評価に重大な影響を及ぼしていることを知るべきで、その変更がなされたら背後に隠された意図を見抜いて警鐘を鳴らすべきだ。
 複式簿記や会計理論そして経済学の間に横たわる学際的な領域をこなせる学者が増えてほしい。一つの分野しか理解できないのでは現実の問題解決に非力たらざるをえないのである。そういう間隙をついて原発誕生のときに詐欺的会計規則が定められ、国民を欺く変更を重ねてきた。専門家である会計学者や経済学者が議論の俎板に載せて明るみに出そう。

<企業会計実務専門家の主張>
 一般の民間企業と同じ会計基準を適用したら、6電力会社は全部経営破綻している。元公認会計士細野祐二氏の意見に耳を傾けてみよう。

11月7日北海道新聞より
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 地域の電力を考える③

 多くの人が「何か変だな」と感じることがある。専門家が見れば「明らかにおかしい」とわかることがある。北電の電気料金歳値上げや原発をめぐる会計基準は、その典型ではないか。
 値上げの理由は経営悪化だ。北電の今年3月期の経常損失は953億円。しかし、経営が行き詰ったから値上げするという理屈が通るのは電力会社だけだ。
 たとえば北電の有価証券報告書を見ると金融機関などに払う「支払利息」が163億円ある。北電の財務状況を考えれば、債権放棄や債権カットを申し出て当然だが、金利の減免を求めた形跡さえない。
 北電は泊原発停止に伴う火力発電の燃料費増加が経営悪化の要因と説明しているが、現在は原油価格の下落で、円安を考慮しても燃料費は下がっている。私の試算では、燃料費の減少分を引き、支払利息(利息であって借金そのものではない)をゼロにし、他業種に比べ依然高い給与、手ある医退職金を含む福利厚生費を下げ、他の経費も17%ほど削れば赤字は充分解消できる。こうした努力をせず、値上げで負担を道民に丸投げしたのだ。
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 ― 解説 ―
<問題は二つ>
 北電の売上規模は6303億円である、経常損失は953億円。売上の15%の経常損失を出している。従業員数は11069人で5年前(H22年3月末)の7802人から3267人(41.9%)増加している。売上は5年前に5493億円だったから、14.7%増加した。一人当たり売上高は5年前の7040万円からH26年は5690万円に低下している。生産性が19.2%低下した。どういう人員計画をしているのだろう?一人当たり生産性を意識して5年間やってきたらこんなに低下しなかったはず。北電は相当ルーズな経営をやっているのではないか?
  問題を限定して、次の二つに分けて考えてみたい。
①経営悪化は誰が責任をとるべきなのか
②経営悪化の原因がなにか

<貸手の金融機関の責任>
 お金を貸している金融機関は借手が経営悪化すれば利息を減免したり、債権を一部カットして貸しての責任を負うのが当たり前であり、一般企業への融資に当たってはそういう風に対処している。
 これだけ経営悪化しているのに、金融機関は貸し手責任をとっていない。長期借入金は4486億円あるから、現経営陣が経営悪化の責任を明確にし、2割の債権カットを要求すれば経常損失はゼロにできる。もう20年ほど前になるがゼネコンのフジタが経営悪化したときにメインバンクは2000億円の債権カットをして貸手責任を負った。北電のメインバンクも相応の貸手責任を負うべきではないのか。

<株主の責任:減資>
  自己資本額は929億円、もう一回同じ経常損失を出せば債務超過となる。そうなったときには減資という手がある。株主が責任をとる番だ。
 貸手の金融機関が責任をとらず、株主が責任をとらず、役員や従業員も給与や退職金引き下げなどで責任をとらず、安易な値上げで利用者に損失を転嫁する、経営のひどいモラルハザードがここにある。

<火力発電用の燃料費増大が経営悪化の原因ではない>
 有価証券報告書13ページによれば、火力発電用重油は受入量が前年同期比77.6%、払出量が81.9%でどちらも減少しているから、経営悪化を火力発電用燃料重油に帰すことはできない。

*北電有価証券報告書
http://www.hepco.co.jp/corporate/ir/ir_lib/pdf/90securities.pdf

 電源別設備投資総額4293億円の内、原発は2383億円(P.75)で55.5%を占めている。


<原発廃止は電気事業会計規則を改正すれば実現できる>
 固定資産に「装荷核燃料1296億円」(P.75)とある、「装荷核燃料」とは燃料棒に制御棒を差し込み対角線上に燃料を装填した状態の物をいうが、これは原子炉内に収められたものと使用済み燃料プールに保管されているものを指す。
*原子炉への燃料棒の装荷
http://www.tiikinokai.jp/meeting/PDF/81data_06.pdf

 使用済み核燃料をMOX燃料に加工するのに新燃料の価格の3~5倍の精製費がかかり、その際に元の8割以上の高濃度汚染廃棄物がでる。MOX燃料を使用した後でもさらに高濃度の廃棄物が生成される。使用済みMOX燃料も冷やしながら保管しなければならない。その期間が千年なのか万年なのかとにかく線量が下がるまで安全に保管する費用を使用済みとなった時点で損失に計上するのが健全な企業会計原則の指示するところである。
 企業会計原則では多額の処理費用がかかる廃棄物に資産計上は認められないし、使用するときに将来かかるであろう処理費を見積もり原価算入することが要求される。当たり前のそういう会計処理をしたら、原発のコストは百倍にもなるだろう。こういうインチキを積み重ねて水力や火力や太陽光発電に比べて、原発発電コストが安いと嘘を言っている。
 国会も政府も電力会社に電気事業会計規則でこのような粉飾決算といえる会計処理を認めている。会計原則は企業会計原則一つでいい、公的会計基準とか電気事業会計規則とか企業会計原則の適用除外を認める会計基準はすべからくダブルスタンダート(インチキ)、いや三つだからトリプルスタンダードか。
 国民はこのようなインチキを廃するために、国会議員に働きかけて電気事業会計規則を改正すべきだ。電力会社の会計処理はすべからく企業会計原則に準拠すべきことを明記し、企業会計原則に具体的な定めのない事項についてのみ、電気事業会計規則で規定すべきだ。
 この会計規則を改正してしまえば、採算が合わないから電力会社は経営破綻し清算処理、金融機関も株主もそれぞれ相応の負担をすればいい。そのあとで発電と送電を分離したあらたな電力事業を立ち上げればいい。電気事業会計規則を改正すればほうっておいても原発は日本からなくなる。

 次回は使用済み核燃料も含めて、原発会計処理基準について細野氏の論に耳を傾けてみたい。
 
<電気事業会計規則>
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40F03801000057.html


*#2862 原発をめぐる詐欺的会計基準(2):不良資産と簿外債務 Nov. 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09


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