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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1   Nov. 7, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]

  10月30日の北海道新聞根室地域版に根室市教委作成の4科目結果データが一覧表になって載っていた。同じものが市教委のホームページに載っているが、貼り付けられないのでEXCELで作り直してお目にかける。この報告書の正式名称は「平成26年度全国学力・学習状況の結果」(以下「結果報告書」と略記)。
*http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/9ebe7710315e8ac149257aec000a715c/$FILE/%EF%BC%A826gakuryokutesutokekka.pdf
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2014年全国学力テストの根室市と全道、全国の平均正答率
 国語A国語B数学A数学B平均
小学6年生根室市71.451.474.350.762.0
 北海道71.852.975.855.263.9
 全国72.955.578.158.266.2
中学3年生根室市78.045.962.855.860.6
 北海道79.449.966.059.463.7
 全国79.451.067.459.864.4
*小学校は「数学」ではなく「算数」である。    

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 このほかに経験年数ごとの教員配置に関する表が最後のページに載っている。この二つ以外に表はない。北海道教育委員会はレーダチャート用のツールを各市町村脅威に配布したはずだが、レーダチャートは一つもない。グラフやチャートが一つもない「結果報告書」は異様に見える

<民間会社の経営改善のためのデータ分析との比較>
 民間会社では何のためにどのようなデータ分析をしているのか、具体例を紹介して比較の材料に供したい。
 わたしは1978年にエレクトロニクスの輸入専門商社に中途入社し、会社の過去の業績データを並べ、統計処理を施してさまざまな表に展開して経営分析報告書を書き、四半期ごとに現状の問題点を「収益見通し分析委員会」で社長を含む役員全員に説明していた。その後併行していくつかの利益管理用のツールであるコンピュータシステムを開発して利益構造を変え、自己資本を充実させて財務体質を改善した。そのときに25本のゲージを有するレーダチャートも作成し、25項目の総合偏差値で業績の目標管理をしていた。長期計画委員会は社長が委員長となり、実務はebisuがやり、委員会でメンバーの役員全員に説明していた。同時に年度予算編成と予算管理も統括したのは、長期計画との連続性が必要だったからであり、四半期ごとに目標と実績を並べて比較分析をして目標値の達成度合いを繰り返し検証していった。
 過去5年分の会社の決算データや理想的な財務体質や利益構造を考慮し、目標管理に使える面白いレーダチャートだった。25本のゲージの多くは標準偏差を計算して決定していた。25本のゲージは5つのデメンション、財務安定性、成長性、生産性、収益性、資本効率性の五項目に分類され、目標管理がなされていた。当時そういう目標管理を実現していた日本企業はほとんどなかっただろうと思う。簿記ができて同時に科学技術計算用の計算機でプログラミングができる人材がいなかったからだ。分析は財務体質と利益構造の変革を目的にしていたから、それらの目的に必要ないくつかの個別のシステム開発を伴っていた。日本の管理会計の専門書には会計情報システムについて詳細に書かれたものがなかったから、米国で出版されて翻訳のないものをいくつか読まなければならなかった。汎用大型機を利用した先端の統合型会計情報システムの具体例を原書で読んですぐに仕事で応用したのである、1979年のことだった。SEレベルのシステム開発技術と管理会計の素養がなければ読めない本だったから、当時は翻訳できる学者が国内にいなかった。時代は複合分野がこなせる人材を必要としていた。
 財務データやそのほか会社の経営に関わるさまざまな数値データを並べても全体を理解できる役員はメッタにいないし、経理財務担当役員だって決算書データを並べただけで全体の構造や問題点が具体的にわかるわけはない、経営分析や経営管理のプロのわたしだってデータを加工してみなければわからない。
 わかりやすいように移動平均の折れ線グラフ、円グラフ、帯グラフ、ガントチャート、ヒストグラム、函ひげ図、レーダチャート、パートチャートなど手当たり次第に使った。
 移動平均値や基本統計量を計算したりするので、ヒューレットパッカード社の科学技術用プログラマブル計算機を使用していた。普通の電卓で計算していたら、電卓を叩くのが仕事になってしまうし、計算の正確性が保てない。だからプログラミングしてさまざまな統計計算をパッケージ化してしまったのである。そのなかにはたくさんの線形回帰分析や小数の曲線回帰分析が含まれていた。
(パソコンが仕事で使えるような高性能なレベルになったのは十年ほどしてからのことで、1990年頃からである。最大手の臨床検査会社SRLへ上場準備要員として入社し、1991年頃に子会社管理部へ異動したときに、1979年に開発した経営管理システムとレーダチャートを丸ごとEXCELに移し変えた。パソコンがようやく仕事で使えるレベルになった。入力したデータからレーダチャートを自動描画できるようになったのがありがたかった。1980年頃にマイクロ波計測器制御用のコンピュータとプロッターを使ってやりたかったが、どちらも200万円ほどの価格で400万円の機器には手が出なかった。手で描けばすむ作業が、4色プロッターできれいに書けるだけのこと、でもやってみたかった。)
 産業用・軍医用エレクトロニクスの輸入商社では、四半期ごとに経営分析をして社長を含む役員に説明し、併行して財務体質や利益構造を改善するコンピュターシステムを開発、5年間で売上高経常利益率を5%ほどアップすることができた。売上40億円の輸入商社で売上高経常利益率を5%アップしたら、高収益で財務の安定した会社へ脱皮できる、劇的な変化だった。人件費を増やして売上を増やし、売上総利益率をアップして会社は高収益会社となり、後に店頭公開を果たしている。東大出の三代目が潰してしまい、他の会社に吸収されたようで数年前に店頭市場から消えた。
 ebisuは上場直前のSRLやSRLとテイジンの合弁子会社などで数回似たような経験を積ませてもらった。良質の仕事がなければスキルを磨くことができないし、他に抜きん出るスキルを複数もっていなければ良質の仕事は任せてもらえない。ふだんの勉強が物を言う。

 誰にでも理解できるようなグラフやチャートに展開して現状を分析することは業績の改善にとって重要であるように、低学力の改善にも欠くことのできないものである

 ebisuはデータの扱いには多少慣れているのだが、根室市教委の「結果報告書」を見ると、表が二つのっているのみで、グラフもチャートも一つもないのでたいへん奇異に感じた次第。同じパターンの分かりにくい説明を最初から最後まで読み通すことのできる人はよほど忍耐強い人に違いない。そしてせっかく読み終わっても何が書いてあったか内容が思い出せる人はいないだろう。
 担当者やその上司が根室の子どもたちの低学力状況を何とか改善したいという熱意がちっとも伝わってこない。できの悪い生徒が出された宿題をいやいややっているのと瓜二つに見えてしまうのは、工夫も情熱も感じられないからである。

 道教委はその辺りの不便を解消するためにレーダチャートが簡単に作れるようなソフトも配布しているのだが、ひとつも利用していない。猫に小判、馬の耳に念仏とはこういうことを言うのだ。
 手抜きのわかりにくい報告書になってしまった。担当者がこんなものを作ったとしても、上司がどうしてこんな報告書に承認印を押したのか理解できない、民間会社では上司が作り直しを命ずるだろうから、ありえない報告書である。同じお役所でも帯広市教委はきちんと仕事しているし、あの地域の子どもたちの学力も根室よりずっと高い。熱意や仕事の力量は結果に大きく影響するものなのである
 子どもたちの学力の低い地域は市教委の仕事の能力も低いようだ。この二つの現象の背後に因果関係が隠されているのだろうか?

<「結果報告書」のデータ分析具体例>
 この結果報告書は全国や全道データと根室市のデータをただ並べ、項目ごとに次ぎの9分類をしただけ。
■著しく高い
■相当高い
■高い
■やや高い
■同程度
■やや低い
■低い
■相当低い
■著しく低い


 データの羅列のみで、なぜそうなっているのかという分析がない。
 たとえば、こうである。
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≪算数・数学の状況≫
○ 算数・数学の基礎知識を測定する算数・数学Aでは、全道と比較して小学校はやや低く、中学校は低い。また、全国と比較して小・中学校とも低い。
○ 算数・数学の活用能力を測定する算数・数学Bでは、全道と比較して小・中学校ともに低い。また、全国と比較して小学校で著しく低く、中学校は低い。
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 人を食ったこういう調子の説明が延々と続くのだが、これで頭の中に具体的なイメージがわく人がいるだろうか?根室市のデータが全道データと全国データに比べてどうであるのか7つの分類を項目ごとに延々と綴るのみ。実に退屈で、どこに問題があり、なぜこういうことになっているのかわかる人が一人でもいるだろうか?


<表と偏差値による評価の対比>
 気を取り直して、最初に挙げた表をもう一度見てもらいたい。4教科小中学校どちらも、全道平均も全国平均も超えたものはない道教委は全部の市町村で全国平均値を上回ることを目標にしていたはずだが、「結果報告書」には目標への言及すらない。結果の検証という意識がない、結果は全敗である民間会社ではこのような「全敗」での目標未達は責任を問われる。教育長や学校教育部長や担当課長職は責任を問われて当然だ職務権限には責任が伴うはずだが、そういう反省のない報告書だ
(全道14支庁管内データが北海道教育委員会から公表されていないので、昨年のように管内別での偏差値比較ができない。道教委は方針を変えたのだろうか?昨年より、ずっと後退してしまった。)
 47都道府県データで計測した北海道の小学生の偏差値は37.3(45位)、中学生は46.7(31位)です。小学校は前年36.4(45位)、中学生は45.1(37位)
 結果からいうと、北海道全体では中学校がすこしよくなったと言えそうだが、札幌市が参加したことによるのだろう。ここでも話は簡単だ、前回の全国学力テストでは、札幌市は一部の学校しか参加していない、札幌圏の平均点が道内で一番高いことは前回の14支庁管内別偏差値で判明している。札幌圏の全校が学力テストに参加したら、北海道全体の平均点が上昇するのは当然のことだ。

(ついでにいうと、大学入試で偏差値36の大学は最底辺であり、就職は実に困難だ。偏差値45クラスは下位三分の一に相当し、100社に応募したとして正規社員の職にありつけるのはせいぜい半分程度、やむなく非正規雇用で妥協するか、いまも就職活動で走り回っている学生が多い。偏差値55以上の上位三分の一は大学4年の四月に半数程度が条件のよい正規社員の内定をもらっている。偏差値60を超える大学の学生は春に大手企業に就職内定をもらった者が多いだろう。偏差値はわかりやすいのである。)

 昨年北海道教育委員会によってなされた14支庁管内別データが公表されていない。前回初めて14支庁管内別の結果報告書が作成されて公表されたが、あれはずいぶんと手間のかかる仕事だ。現場は死ぬ思いで仕事をしたに違いない、いい仕事だった
 わたしは文科省が公表した都道府県別全国データと北海道教育委員会が公表した14支庁管内別データを利用して14支庁管内別・科目別の偏差値を計算して公表した。同じデータが公表されれば、根室管内の偏差値が計算できるし、今回根室市教委が公表した科目別正答率表データを使って根室市の偏差値が算出できる。根室管内の中で根室市の子どもたちの学力がどの程度の差があるのかが偏差値で理解できる
 根室市教委はデータをもっているのだから、やる気があれば偏差値を計算公表できる。立場上やれないのならebisuが公表データを使いブログで公表すればいい。その気になれば教育行政と地域社会は連携していい仕事ができるのである
 根室市教委だって、いまどきEXCELで標準偏差や偏差値が計算できない能力の低い職員ばかりではないはずだから、もうすこしグラフやチャートを工夫した公表の仕方を考えたらどうだろう。

<サンプル分析>
 面白い記述があるからそれをとりあげてみたい。この報告書の中に、学習塾に通っている生徒たちのテストの点数が低いと書かれているが、わたくしもその通りだと思う。
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・学習塾で勉強している児童生徒の平均正答率は、そうでない場合よりも小学校ではやや低く、中学校では低い。・・・6ページ
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 この報告書には、なぜかという理由が載っていない。
 簡単なことだ。この8年間に大きな変化があった市街化地域の3校で学力テストが400点以上の生徒が8年前には20名前後の学校が2校あったのだが。いまは各校数名で、3校集めても10名に達しない。つまり、高学力層がほとんど消滅し、低学力層が肥大化した
 根室市内のどの塾にも根室にも高学力層の生徒がほとんどいなくなった、一学年数名ずつしかいない。各塾ではほんの一握りの高学力層の生徒には個別指導しか手段がない、ニムオロ塾は個別指導だからもちろんそうしている。
 その一方で肥大化した低学力層の生徒が増えた。小学校や中学校が放課後補習を嫌がり、学校教育で落ちこぼれてしまった生徒は学習塾で救済せざるをえない状況が現出していた。
今年になってから学校の状況が変わって、放課後補習を組織的にやっている学校が増えた。状況に改善の兆しの見えることはいいことです。)

 中学生で小数や分数の四則演算に問題のある生徒は三人に一人いる。50年間で根室の子どもたちの基礎計算能力が著しく落ちた。小学生の時期に珠算塾に通わなくなったことと、小学校での計算トレーニング量が激減していることや、放課後補習をする先生がほとんどいなくなってしまったからだろう。5年6年生のときに習ったT木先生(曙町)は放課後補習をよくしてくれた。「分数計算のわからなかった人は残れ!」「小数の割り算のやり方のわからない人は残れ!」ってね。
 文章を読む速度の遅い生徒も増えている。大量に本を読む生徒が少なくなってしまったからだ。スマホにゲーム、生徒たちは忙しい、夜中までスマホをいじって、中学生でも学校で授業中に居眠りしている。字を書く速度の著しく遅い生徒も増えている。先生たちがプリント主体の授業を増やして、板書をする機会が少なくなったからことが原因の一つだ。それぞれに原因がいくつか絡んでいる。そういう糸をほぐさないで効果的な学力向上策がたてられるか?


 この8年間で高学力層が消滅しつつあるのは残念なことだが事実である
。「浜焼け」という言葉があるが、高学力層がめっきり減少してしまった。そういう危機的状況に根室市教委はいまだに気がついていないのだろうか。

 具体的な数字を挙げて説明してみたい。
 五科目合計点が400点を越す生徒が市街化地域の3校で、1学年10名以下、少ないときには4名である。根室は高学力層がほとんど消滅しかかっており、高学力層対象の集団授業へのニーズが失われた。1学年数名の生徒に個別補習すればいいだけ。
 五科目合計点で400点以上を高学力層と書いたが、高校生対象の全国模試では400点の生徒の偏差値は45~47くらい。430点超で偏差値50相当、つまり大学受験生では430点くらいが真ん中の成績。400点以上の生徒数は根室市内全部で一学年たった10名以下で高校生になって偏差値55以上(上位三分の一)の大学へ一般入試で入学できる生徒数は5名以下になるだろう。推薦入試組みが増えている。
 根室高校普通科の先生たちが、放課後の「進学講習」を繰り返してくれているが、まもなく焼け石に水の状態になるだろう。数学をみても授業速度が低下している。定期テストの問題も教科書準拠問題集からそのまま、しかも事前にプリント復習宿題でやらせるという風に変ってしまった。毎週まるで小学生の宿題みたいなものを出さざるをえなくなっている。こうして高校生の幼児化が進んでしまった。対処療法を長く続けると強い副作用があるのは薬の世界と同じ。名医は病気の原因を見極め、処方箋を書く。

 市内の生徒数が12年前に比べておおよそ55%程度に減少しただけでなく、高学力層がほとんど消滅しかかり(四分の一以下に激減)、低学力層が急激に増えてしまった、それが根室の現実

<10年後>
 私塾経営から客観的にみれば、高学力層が消滅しかかっている根室はすでに「限界集落」である。
 10年後にはどうなっているだろう?
 1学年数人いる高学力層はネットで安い商品が出ているから、ネット予備校のようなもので勉強すればいい。低学力層は、私塾が消滅すれば学校が放課後個別補習をして救済するしか手がなくなる。手間が数倍かかるから、地域の人々が協力してあげないと根をあげてしまうだろう、それほどたいへんな仕事になる。

 小学生や中学生は「寺子屋」方式がいい。総務省の公務員アウォード大賞をとった釧路市立病院職員の大越さんがいい仕事をしてくれている。根室にもそのうちにボランティアが現れて「寺子屋ねむろ」をつくるだろう。

*#2642 釧路の教育改革と公務員アウォード大賞 Apr. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13-1


<家・学校・私塾:やれる範囲のことをやろう>
 弊ブログで「公開時事英語授業」をやっているのは、根室の数名の高校生のための、そして道内で似たような状況下にある地域の高校生に向けた情報発信。英字新聞記事は面白いのだが、大学3年次レベルの授業でやっているのが当たり前だから、高等学校の授業でとりあげるのは無理がある、でも、意欲的な高校生には必要だ。学力が高くても経済的な理由で進学できない者も少なくない。そういう若者たちのための公開講座だ。


 根室の海はすっかり「浜焼け」して、高学力層の魚が一学年数匹しか泳いでいない。子どもたちの前に大人が劣化したことは根室市教委の「結果報告書」にも、市長選挙に地元出身の対立候補が3期連続していなかったことにも現れている。子どもの躾けのできない親もじわじわ増えている。躾けの劣化は学力の劣化と強い相関がある。躾けの善し悪しや育ちの善し悪しは言葉づかいと勉強の姿勢や礼儀作法に現れる。
 がまんすることを教えよう。何でも買い与えたら子どもをだめにする。塾で一番厄介なのは、親の言うことが聞けない、学校の先生の言うことが聞けない、塾の先生の言うことが聞けない生徒だ。やらなければならないことを辛抱してやれる人間に鍛えなければ、その子の未来は暗い。
 家でも、学校でも、私塾でも厳しく子どもを躾けたいものだ。
 ニムオロ塾では、塾長の言うことを聞けない生徒には「成績が上がらないし他の生徒の迷惑になるから、さっさとやめていいよ」とはっきり言うように変えた。昨年までは3年間でも辛抱して生徒が変わることを待ち続けたが、だんだん気が短くなってきた。
 余り言うことを聞かなければときに、頭もゴチンと叩く。平手で本気で叩いたら怪我するから、手加減はする。わがままな子は嫌なら塾はやめればいい、本気でやる気を起こしたらいつでも大歓迎だ。かってながら、厳しく躾けて構わないという親御さんが諒解してからお預かりする。
 このように10年前に比べると生徒のレベルがかなり下がってしまった。携帯はスマホへ替り、オンラインゲームははるかに高機能となり、パソコンもほとんどの生徒が利用している。ケジメのある利用、つまり利用制限をしないと子どもたちは長期にわたって中毒症状を呈する。そうなったら、精神科へいって治療しないといけなくなるが、それも親がしっかりしていないととてもムリ。家庭でも学校でも学習塾でも、協力して躾けは厳しくやろう。

<能天気な根室の教育行政>
 学校関係者や教育行政関係者はよく「知徳体のバランス」とか「社会で生きるための力」を強調する。最近任命された新任の教育長T氏も北海道新聞の取材に応じて、得意げに語っているから、11月5日付の根室地域版で確認したらいい。
 小学校6年生レベルの漢字が半分も書けない中学生や分数や小数の計算すらできない中学生に「社会で生きるための力」がありますか?高卒なのに中卒程度の学力もあやしい若者に安定した会社の正社員の職があると思いますか?
 
もちろんあろうはずがない。小4程度の基礎学力しかない中学生は「社会で生きていくための力が非常に弱」く、とっても苦労する。
 そういう就職状況を知っていて「知徳体」ということで、基礎学力をもたない小中学生が三人に一人いる現実に目をつぶる、そんな者に教育を語る資格はない
 こういうことを言う人は自分が大卒で勉強して現在の職についているのに、若者には「知徳体のバランス」が大事で、学力だけではないとしたり顔に言う。ずるくて卑怯な人間だ。昔は卑怯な人間のことを「人間のクズ」と言ったものだ。
 グレて高校へ行かなかったり、高校を中途退学して社会人となって苦労した人は「知徳体のバランス」なんてことは言わない、「学力は大事だ、一生懸命に勉強しておけ」と言う、自分が苦労したからだ。

 根室の市街化地域の3中学校はこの2年間で授業の進捗管理が著しく改善した。放課後補習も学校で取り組んでいるところがあり、学力の底上げが進みつつあるでも油断は禁物で、定着するまで数年かかるでしょう。現場の努力に敬意を表すると共にその継続努力に期待している
 根室市の教育行政の熱意や仕事のレベルはこの「結果報告書」に端的に現れている、まことに残念でならない
 2年前の帯広市教委の「平成24年度全国学力・学習状況調査結果 帯広市の結果報告書」のURLを書いておくので、根室市教委と比べて見たらいい。天と地の差がある。担当している職員や教育長の情熱や仕事の能力差がはっきりでている。根室市教委は謙虚に反省して来年は労を惜しまず、まともな報告書を公表してもらいたい。

*「帯広市の平成24年度全国学力テスト報告書」
http://www.city.obihiro.hokkaido.jp/gaxtukoukyouikubu/gakkoukyouikusidousitu/d100307gakuryoku-tairyoku-test.data/zenkokugakuryoku24.pdf

 釧路の教育を考える会のメンバーの一人が、「根室は数値の公表をしているから釧路よりも立派」と言ってくれたことは、記しておく。科目ごとの正答率を公表したのは昨年よりも前に進んだということだ、根室市教委、悪いことばかりではない。

 表のあとに「全体の傾向」として総評が六項目載っている。

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○ 昨年度と比較して全体を通してみると、小学校は全国・全道との差が若干拡がったが、中学校は差が縮まった。
○ 問題の内容や受検する児童・生徒が異なることから、経年比較は極めて困難であるが、標準化得点により、昨年と比較すると、小学校は全道・全国との差が若干拡がったが・中学校では全道・全国との差が縮まった。
○ 4教科の平均では、全道と比較して小学校はやや低く、中学校は低い。また、全国と比較して小。中学校ともに低い。
○ 4教科の平均でみると、小学校では4校が全国・全道平均を上回っている。また、中学校では4校が全道平均を上回り、その内3校が全国平均を上回っている。
○ 国語、算数・数学とも基礎的・基本的な知識、技術を活用する能力を更に身に付けさせることが大きな課題である。
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 問題はなぜ小学校では全国との差が広がっているのか、中学校では差が縮まったのかだ。そして来年度はどのような対策を打ち、全国平均をどうやって超えるのか、市内の学校別に計画をたて、結果の検証をしてもらいたい。

 市教委は結果の検証をしていないと、退職校長の「学識経験者」が昨年「平成24年度 教育に関する事務の管理および執行状況の点検および評価報告書」(以下「24年度教育点検評価報告書」)意見を記していた。その意見を今年度どのように活かしたのかもホームページ上で説明をしてもらいたい。
 「24年度教育点検評価報告書」より引用
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http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/3dbb59ad0b6b3ca549257b93001c9015/$FILE/24hyouka.pdf

○ 塙 文 彦 氏
根室市教育委員会は、社会を生き抜く力を育む学校教育活動の充実を図るために3項目にわたる施策について体系的に推進していますが、その執行状況についての点検・評価が行われていますが、それらについての所見を述べさせていただきます。
■ 施策:『根室市の確かな学力向上に関する取組み方針』の推進
様々な施策を実施し、社会を生き抜く力を育む学校教育の推進に当たっていることは大変重要なことであります。
平成24年度の『学力向上』を視点に48項目にあたって、施策の実施を行政評価をしていますが、殆どの項目については実施したことの内容が記述されているだけで、評価、つまりどういう実践効果があったのか、各学校の現状を明らかにしていくことが必要であります
・・・
-----------------------------------------
 「平成25年度教育評価報告書」にはこの「学識経験者」の名前がない。市教委は異論を書くものを排除したのだろうか、「学識経験者」の任命権は市長にあるのだろう。市長が好い加減なら教育政策も恣意的なものになるということか。

*#2860 「学識経験者」がひとり消えたのはなぜ? Nov. 8, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-08


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ZAPPER

学力は改善傾向にあるとは、よくも言えたものです。文科省も道教委も出してなどいない数値、4教科平均とやらにも、差を小さく見せようとの意図がにじみ出ています。

根室の市長は、さぞかしブランド志向と見え、教育局長だった方をスカウトしては教育長に置くのがご趣味のようですが、前任の方はすでに地元へお帰りになったのでしょうか?案の定、何も結果を出せず、結果責任も負わずに勇退とは、いいご身分です。

新任の教育長も、まるで見当違いのことを言っています。読み書き計算が小4レベルにまで達していない子がこれほど多い中、それでも「生きる力」などとのたまうとは…。

報告書にはまた、若い教師が多いこと、それが学力低迷の大きな理由だと思い込んでいる節が見て取れます。学校の先生方は奮起して立ち上がりつつあるのに、教育行政のレベルがあまりにあまりに低すぎて何も指示を出せずにいるというのが現状なのでしょう。

児戯に等しい、いや児戯そのものの報告書。ただ一点、救われたのは点数公表をしたこと。よその街なのであまり言わないようにしていますが、いくらなんでも悲惨、杜撰極まりないですね、これは。
by ZAPPER (2014-11-08 07:53) 

ebisu

ZAPPERさん
おはようございます。
ブランドは通常は一般の品物よりは品質が高いことになっていますが、果たして品質が伴っているでしょうか?
11月5日の北海道新聞根室地域版での発言を見る限り、ババヌキで見事にババを引き当てたようなもの。
これで三人連続で道庁から教育長を迎えたことになります。

小学校はさらに悪化を深め、中学校は先生たちが授業の進捗管理を改善したり、放課後補習を積極的にやるようになり、学力の底上げがなされつつあります。
新任の教育長にはつける薬がなさそうですから、現場の先生たちの奮闘に期待します。
by ebisu (2014-11-08 10:54) 

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