SSブログ

#2855 長谷川市政3期目の所信表明を読む Nov. 1, 2014  [24. 根室の旧弊・悪弊を取り除くために・・・]

 「広報ねむろ11月号」に標記の所信表明が載っている。サブタイトルがついている。
  「いきいきと安心して暮らせる「希望の根室」を」
 「基本姿勢」が3点、「基本方針」が4項目並んでいるから、項目ごとにざっと論評したい。

1. 基本姿勢
(1)市民の力を最大化する市政
 協働する市政の推進となっているが、誰と協働するのかは市民ではなく「オール根室」村の住民だけと明記している。
「「オール根室」の真髄である市民一人一人の力を組織的に結集し、その力を最大限に発揮することなくして、まちの発展は望めません」

 九月の選挙で現市長は有権者の36.3%の得票しか集められなかった。その母体となった「オール根室」はせいぜい有権者の10%に過ぎない。
 根室を衰退に導いてきたのはこのわずか10%に過ぎぬ「オール根室」で、根室市の市政とかかわりの深い者たちで占められており、根室の旧弊・悪弊そのもの。いままで「組織的に結集し、その力を最大限に発揮」してきたではないか。だから、根室のまちは衰退を続けてきた。

(2)市民に身近で、対話を重視する市政
 対話の具体例に挙がっているのは「第9期根室市総合計画」である。これは市長の諮問委員会に丸投げ。市政に異を唱えない者を選んで委員にしているから諮問委員会から市政に厳しい注文がつくはずがない。諮問委員会は病院建て替えでも、40億円の明治公園再開発でも大きな問題になった。児童数が20年前の半分になっているのに子どものためのアスレチック施設が必要だと思う市民は小数だろう。8年ほど前に使われなくなって錆び付いたアスレチック施設を撤去したではないか。「~市民委員会」と称した市長の諮問委員会はそれぞれ市側提案の翼賛機関にしかなりえなかった。

*#2610 二十年間で半減している根室の中学生人口 Mar. 4, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04
------------------------------------------------
*#2334 大地みらい信金3期連続の増益そして地域経済は衰退 Jun. 19, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-19

 ―抜粋―  (一部修正・追加)
大地みらい信金元理事長が「明治公園憩いとふれあいの森構想市民委員会」の委員長をやっている。これは市民委員会ではなくたんなる市長の諮問委員会だ。ほとんどの委員が市の委嘱である。異例に速い審議で40億円近い再開発を早々に承認した。
 大地みらい信金は市の借金が増えることでリスクのない融資先を確保できる。こういう姿を癒着と言わずしてなんと言おう。夕張信金と破綻前の夕張市の関係にじつによく似ている。
 2014年10月に3期目の長谷川市長は、大地みらい信金元専務理事を市の監査委員に任命した。これではまともな監査などできるわけがない。大地みらい信金は市の取引業者であり、利害関係人である。監査人の要件のひとつに「独立不羈の第三者」というのがある、それゆえ利害関係人を監査人にしてはならないのである。

*不羈(フキ):①自由奔放で束縛しえないこと(さま) ②才知が人並みはずれてすぐれていて、常軌では律しえないこと。・・・大辞林第三版より
----------------------------------------------

 市長は市議3名に市議会で求められたにも関わらず、病院建て替えで市民説明会を開催しなかった、対話重視どころか対話拒否で市政は貫かれている
 自分の都合のいい者だけを選び、「~市民委員会」と称して、それを「対話」という。中学生が聞いても「それは違うでしょう」と言うよ。選挙で有権者の36.3%しか得票できなかったのに相変わらず反省がない。同じ事を続けるつもりのようだ。

(3)前例にとらわれず果敢に挑戦する市政
 抽象的な言辞が並ぶのみで、具体的なことは何もない。たとえば、次のような文がある。
「地方自治体には、多様性と創造性に溢れた市民本位のまちづくりが求められており、その実現のためには、職員一人ひとりがこれまで以上に使命感、熱意、行動力を高め、市政の推進に当たっては、スピード感、そして前例にとらわれない発想力で果敢に挑戦していかねばならないと考えております。・・・」

 できたかできなかったかまるっきり検証不能、毎年掲げることのできる抽象的な文言にしか見えぬ。
 この基本姿勢を読めば、市長が誰のための市政をやろうとしているのかよくわかる。10%に満たぬ「オール根室」のための市政であり、小さな村社会を形成して、その村の中でだけ協議し、市民の要求には耳を貸さぬということだ。それが所信表明に現れている長谷川市政の、三期目も変らぬ基本姿勢。

2. 基本政策とその展開方針

(1)「人口問題・少子化対策推進本部」の設置とその対策の本格始動
 重要なのは「子育て」と「地域振興」で、前者は「第三子目以降の保育料・給食費の無料化、子ども医療費の助成拡充、さらにな、子育て環境に適した優良低廉な宅地を供給する」となっている。地域振興については具体的な言及なし。これではナカミのなかったアベノミクスの成長戦略のようなもの。

 必要なのは、優良な就職先の確保だ、そのために必要なことは地元企業の経営改革であり、社員とその家族を大切にする経営へと変わらなければならない。同族企業で経営者とその家族だけが豊であれば、社員やその家族の生活はどうでもいいような企業が多ければ、親たちだってそういう企業に自分の子どもを勤めさせたくない。
 決算情報を社員にオープンにすることは当然やるべきことで、経理規程や退職金規程をつくり、規程どおりに経営することだ。そういう企業が少ないから、高校を卒業したら、都会へ進学したり就職して若い者達が戻ってこない。オープン経営に舵を切り、社員やその家族を大切に思わぬ企業は人口が1.8万人を割る2040年には大半が消えてなくなる。小さな町で40歳前後になって失業するものがたくさん出る。いまからきちんと準備すれば悲劇の大部分は回避できる、市政が「オール根室」と癒着を続ける限り、このまちに希望はない

■ #2840 いい会社を創ろう:地域活性化の決め手  Oct.16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-15

■ #2825 地元企業はこうやって生き残れ Oct. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-03

■ #2744 社会人を創るという中小企業の役割 :立教大学経済学部教授山口義行 July 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22

(2)「交流人口の拡充」に向けた仕組みづくりち、観光振興を支える民間団体の体制強化
 「これまでの市政運営では、人口は増えるもの、あるいは一定数に留まるものというのが支配的であり、人口の増加を図ることが市政運営の最大目標に掲げられて参りました。」

 おそれいったね、根室の人口減少は1967年に始まっており、1966年の49,896人をピークに減り続けており、一度もリバウンドしたことはない。「広報ねむろ 11月号」の裏表紙に10月1日現在の人口が載っている。前年同月比480人のマイナスで、28,129人。数字を見ていなかったとでも言うのだろうか?1957年からの人口推移表が以下の弊ブログに載っている。

■#2272 根室 「57年間の人口推移+27年間の推計一覧表」 Apr. 23, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23-1

 交流人口とは「つまり「定住人口」(又は居住者・居住人口)に対する概念である。その地域を訪れる目的としては、通勤・通学、買い物、文化鑑賞・創造、学習、習い事、スポーツ観光、レジャー、アミューズメントなど、特に内容を問わないのが一般的である。」
 減少を止めなければならないのは定住人口だろう。そのためには若い人たちに優良な就職先を確保すること、そのために為すべきことは地元企業の経営改革である。社員やその家族を大切にする会社が増えなければならない。そのためには、10%に満たない「オール根室」の一部に耳の痛いことを言わなければならない。ちっぽけな「村社会」を形成し仲良しグループでやっているから根室のまちは衰退を続ける。

(3)北方領土の返還を視野に入れた「地域振興策」の策定とその実現
 これも使い古したスローガンだ。毎年使って手垢にまみれている。毎年同じことを言い続けて、自らの努力を放棄している。こんなことを言い続けて、努力をせずに60年がたってしまった。根室の悪弊の一つに数えていいだろう。中標津町はそんなことは考慮せず、地道な努力を続けた。60年前には中標津町の人口は根室の三分の一だった。中標津町は繁栄し根室は衰退した。

(4)明日へのたしかな道筋を切り開くための「まちづくり目標」と、主な「重要施策」
 ふたつだけあげておこう。
「とりわけ市立根室病院の経営健全化と診療体制の充実に当たっては、病院長と協議を深めた結果、新たな取組として地方公営企業報の全部適用を選択した」
 つい先ごろ外科医である副院長がお辞めになって厚岸町立病院へ移られた。市長や病院長の意に沿わぬドクター数人を切ってきたようにみえる。もちろん形式上はそれぞれのドクターが自らお辞めになっている。狭い業界だから、お辞めになった経緯は口コミで道内の医者の間に広まっているだろう。数ヶ月の後にまたお辞めになるドクターが出なければいいのだが・・・。
 経営健全化があげられているが、赤字額をいくらに減らすのか具体的案目標値が設定されていない。前市長時代の8億円という年間赤字額は現在2倍を超えている。市長は毎年経営健全化をいい続けるだけで、赤字額は年々増大してきた。毎年、検証をきちんとやるべきである、そのためにも具体的な数値目標がなければならない。市長が自らチェックしないななら、チェックは市議会の役割である。
 もう一点は「分娩の再開」だが、これは8年間毎年言い続けているが、来年も同じことを言っているのだろう。

 いつまでになにをやるのか、そして数値目標が一つも書かれていない。上場企業で管理職がこのような「所信表明」を書いたら、上司が「書きなおして来い」とつき返す。この所信表明は抽象的で具体性がない、そして数値目標が書かれていないから、検証しようがなく、毎年同じ事を言い続けることになる。そうなっているだろう?

 ebisuは首都圏にある300ベッド弱の療養型病床群の病院で常務理事をしていたことがあるが、ときおり、日向ぼっこをしている認知症のお年寄りの話しを聞くことがあった。5分もしたら話は元へ戻り、何度でも繰り返すのである。そのうち、看護師さんが言う、「常務理事はお忙しいから、また今度にしましょうね」、「また、話しを聞かせてください」と言って仕事に戻る。お年寄りの昔話を聞くのは楽しい場合もある。

 検証可能なように書く項目を箇条書きに書きなおして、年度末に何項目が達成できたのか報告したらいい。毎年使い古した項目を並べて所信表明を言い続けるのでは、認知症のご老人と同じ。


<余談>
 今日の北海道新聞地域版「長谷川市長選後初の議会」に
「市立根室病院の収支均衡のため、毎年7億円前後を繰り入れるなど市政の課題は山積みだ」
とあるが、誤報だ。
 国の基準内繰入金が約10億円+基準外繰入金7億円=17億円
 一般会計からの繰入金は合計額の17億円である。新聞記事の「7億円前後」は基準内繰入金が脱漏している。一昨年はこのほかに旧建物の除却損等が発生しただろうから、民間企業ベースでの損益計算書赤字額は20億円を超えたはずだ。
 書くのなら、国基準内の一般会計繰入金が約10億円、国基準外の一般会計繰入金が約7億円の計17億円と書くべきだ。8月にも同じ間違いをしていたので指摘した、しつこいようで申し訳ないが、次回はきちんと報道してもらいたい。

■#2790 誤報あり:「争点整理 根室市長選①医療」 2014 Aug. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-27

 もう一つ。
「市長はこれまで産業経済界の一部と意見交換していただけ。もっと市民の声に耳を傾けてほしい。市民からそう指摘された時、その通りだと思った」。21日の代表質問で、滑川義幸氏(創新)から「オール根室」体制について問われ、長谷川氏著はこう答えた。」

 この言葉と裏腹に所信表明演説は相変わらず「オール根室」村の意見しか聞かない様子がありありとうかがえる。諮問委員会制度をやめて毎月2回は日曜日に市総合文化会館で、市民自由参加で市政のあり方や政策議論をする気はあるのか?市長がいままで一番嫌ってきた方法だ。
 「前例にとらわれず果敢に挑戦して」やりかたを改めたらいい。


にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0