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#2843 エボラ出血熱1-2 :'The worsening ebola crisis' Oct.19, 2014 [75.時事英語公開講座]

 専門学校から大学志望に最近変えた高校1年生がいるので、初めて英辞新聞記事(エボラ出血熱の記事)を読ませた。辞書の日本語をそのまま当てはめて日本語にならず苦労していた。はじめて英辞新聞を読む人に解説するつもりで最初の段落をまな板にあげる。
 ついでだから、社説の一番上の右側の欄外に結論が書かれているので、社説全体の論旨をつかんでおくためにそれも一緒にとりあげる。欄外に書かれた文はわかりやすい。

 A far more urgent response to the epidemic is needed from wealthier nations.

 主語と動詞と目的語をとらえよう。その後で「どこで」「いつ」という情報を文の中で確認、最後に前置詞句を処理しよう。
 能動文に書き換えてみたらなおいっそう理解が進み、受動態の文で書いた理由もわかろうというものだ。

 They need a far more urgent response to the epidemic from wealthier nations.

  theyとはもちろん「エボラ出血熱が急激に感染拡大している西アフリカの諸国民」である。西アフリカの諸国民は先進国がさらなる緊急対応の手を差し伸べることを必要としている。受身の文を選択したことから、意味上の主語に書き手の関心はなく、大事なのは目的語である。だから、それを文頭にもってきた。文の意味は深層構造にあるので、能動文に書き換えることはムダではない。

 表層構造にもどると、受身の文だからこの文の主語(S)は'a far more urgent response to the epidemic、 動詞(V)は'is needed'。 epidemicは定冠詞がついているから名詞だ。辞書には形容詞と名詞の意味が載っているから、あらかじめ文の中で品詞を読み取っておきたい。辞書をすばやく引くコツのひとつだ。
 ジーニアス4版では、
①伝染病、②(病気、思想、風俗などの)流行、蔓延
 となっているが、和英辞典の訳語をそのまま当てはめたらこうなる。
「エボラ出血熱の流行に対して富める国々からもっと迅速な対応が必要とされている」
 responseは「対応」よりも「援助」のほうがいいかもしれない。「対応」のナカミは先進国から緊急の人的支援や物的援助である。不足しているのはメディカルスタッフ、コメディカルスタッフ、そして防護服の着用と脱ぐトレーニング、とくに汚染している防護服を脱ぐときが危ない。西アフリカ各地にある病院ではまったく間に合わないから、数百人単位の隔離病棟の新設が各地に必要。そしてどれもこれも急を要している。つねに具体的な状況をイメージとしてとらえておこう。訳してみて具体的なイメージが浮かんでこなければ、訳の日本文を再検討したほうがいい。
 口に出して読んでみるのもトレーニングとしては重要だ。もちろん、訳した日本語の文のチェックに音読はじつに有効なのであるが、それだけではなくもとの英文を意味イメージを浮かべながら何度も音読してみたい。たしかにイメージと英文がしっかり結びついて身体にしみこんでくる感覚がある。この技はHirosuke流で、彼のブログを読んで学んだ。本文右側の欄外に読んでいるブログのリストがあるので、その中からLMN研究所というタイトルをクリックしてかたっぱしから読んでみたらいい。

 さて、勉強だから英英辞典も引いてみよう。高校生だって英英辞典を傍らにおいてたまには引いてみたらいい。どんな辞書でもLearner's Dictionaryの普及版は5000円以下だから、まだ買っていない人は正月のお小遣いで買おう。
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longman
http://www.ldoceonline.com/dictionary/epidemic*

ep・i・dem・ic [countable]

1. a large number of cases of a disease that happen at the same time [pandemic]:
Over 500 people died during last year's flu epidemic.

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Coubild
http://dictionary.reverso.net/english-cobuild/epidemic

epidemic

( epidemics  plural)
1   n-count If there is an epidemicof a particular disease somewhere, it affects a very large number of people there and spreads quickly to other areas.
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 ロングマンのほうは「流行」「蔓延」で充分だが、コービルドのほうは少し違う。「そこにいるたくさんの人々を感染させ他の地域へ急速に広がる」のがepidemicの意味だ。「流行」や「蔓延」もいいが、「急激な感染拡大」とした方がここで使われているepidemicの意味をよくあらわしている。

「エボラ・ウィルスの急激な感染拡大に対して富める国々からもっと迅速な(人的および物的)援助が求められている」

 西アフリカ諸国ではエボラ出血熱の感染拡大が対応不能な段階に至っている、これが社説全体の結論だ。

 第一段落を見よう。

Recent days have brought two alarming developments in the struggle to contain Ebola. The campaign against the epidemic in West Africa, the only sure way to prevent the spread of the virus to the United States and other countries, fell even further behind. And the discovery that a nurse treating an Ebola patient in Dallas had herself become infected despite wearing protective gear raised questions about the readiness of American hospitals to deal with Ebola patients.

 この段落は三つの文からなっているから、それぞれ個別に見ていこう。
(1) Recent days have brought two alarming developments in the struggle to contain Ebola.

 主語と動詞と目的語、そして前置詞句から成立っている。broughtとdevelopmentsの訳に気をつけたい。
 broughtはtwo alarming developmentsという目的語を伴っているから、目的語のほうをやっつけてから、broughtの訳を決めたらいい。動詞の意味は目的語によってころころ変るのが常だと思っておこう。
 developmenntsは「発展」「進歩」「開発」などの訳語が英和辞典に載っているだろう。しかし、辞書に載っている訳語をそのまま当てはめても日本語にならない。この名詞句の後に続く前置詞句と対にして考えないと適訳がでてこない。英文和訳とは辞書に載っている訳語を切り貼りすることではなく、考えることなのである。この段階になると日本語の作文センスや文脈読解力が物を言い始める。本をたくさん読まなかった生徒は高校生になってから英語の伸びが止まるのである。濫読期を通過した生徒たちは高校生になっても、たしかな文脈読解力を武器にノビシロが大きい。このdevelopmentsの和訳は高校英語の範囲を越えているからすっ飛ばしてもいい。大学生はこういうところにこだわった方がいいよ、こだわる者はぬかるみでも脱出できる別のギアを手に入れることになる。
 containは以前、hirosukeさんがコメント欄に書きこんでくれたものが参考になる。コンテナーを思い出せばいい。大事なお宝を「箱の中にいれておくこと」だと考えよう。そうすると辞書を引かなくても「封じ込める」という訳が思い浮かぶだろう。ジーニアス4版では「⑤病気などの蔓延を防ぐ」と書いてある。『ユメ単』には載っていない訳語だろう。知らない単語にぶつかったら、文脈から訳語に見当をつけてから辞書で確認しよう。そうでないと辞書の項目を全部読まなくてはならなくなるし、こうしたトレーニングを積むことで、知らない単語が出てきてもたじろがない自分をつくり上げることができる。

 「エボラを封じ込めるための戦いにおいて」という限定がtwo alarming developmentsという名詞句についているから、developmentsは「エボラの感染拡大」を指している。「発展」や「進歩」そして「開発」と訳したのではチンプンカンプンな日本語ができあがる。

「ここ数日間に、エボラとの戦いにおいて二つの重大な感染拡大要因が生じてしまった」

 赤色灯がくるくる回るような重大事が二つ生じてしまっているのだが、続く文がその二つがなんなのかが具体的に述べてくれることになる。それが作文上のお作法なのである。

(2) The campaign against the epidemic in West Africa, the only sure way to prevent the spread of the virus to the United States and other countries, fell even further behind.

 campaignはキャンペンガール、選挙のキャンペーンなど半分日本語になっているが要注意だ。ジーニアス4版には「運動、キャンペーン、組織的活動」という訳語が載っている。

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Longman
*http://www.ldoceonline.com/dictionary/campaign_1
cam?paign1 S3 W1 [countable]
1 a series of actions intended to achieve a particular result relating to politics or business, or a social improvement:
■Florida was a key state in his campaign for re-election.
■an anti-bullying campaign
■an advertising campaign
campaign for/against
 a campaign for equal rights
■Jones ran a good campaign.

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 英英辞典に拠れば、「政治、ビジネス、社会改革に関連して特定の結果をもたらすことを意図した一連の行動」となっている。つまり、組織的な実行計画があって、それに基く一連の組織的行動がキャンペーンの意味である。

 目的語がないから、主語と動詞をセットで眺めよう。
 the campaign fell even further behind.
 長ったらしいようで、こんなに単純な文だ。
 「一連の組織的な行動は計画倒れで(予定よりも)はるかに遅れてしまった」
 fallは倒れることだから、キャンペーンを計画と訳すと、「計画倒れ」という訳文が適切だろう。一連の組織的行動が計画倒れでずっと遅れてしまったのである。

 文全体を訳してみよう。
 「西アフリカで起きている感染拡大を封じ込める組織的な行動、それは米国は他の諸国へのウィルス拡大を防ぐ唯一のたしかな方法なのだが、予定していたよりもずっと遅れてしまった。(いまでは手遅れの状態にある)」

(3) And the discovery that a nurse treating an Ebola patient in Dallas had herself become infected despite wearing protective gear raised questions about the readiness of American hospitals to deal with Ebola patients.
 修飾節や前置詞句を取り除いて文を簡単にしてみよう。

 ① the discovery raised questions.
 「その発見がいくつかの疑問を浮上させた」

 何が見つかったのかは関係代名詞節になっている。

 ② a nurse treating an Ebola patient in Dallas had herself become infected despite wearing protective gear
 「防護服を着用していたにも関わらず、ダラスでエボラ出血熱患者の治療にあたっていた看護師が感染してしまった」

 ③ about the readiness of American hospitals to deal with Ebola patients
 「エボラ出血熱患者を治療する米国の病院の準備状態について」
 ③の前置詞句は浮上した疑問のナカミの説明である。後に続く前置詞句は常にその前にある名詞句の補足説明である。

 「(米国テキサス州)ダラスでエボラ出血熱患者を看護していた看護師が防護服を着用していたにも関わらず感染したという事実によって、エボラ出血熱患者を治療する米国の病院の準備が充分なのかどうかについていくつか疑問が浮上している。」

 大事なことは段落の文脈を読むことで、「二つの感染拡大要因は「計画の実行に重大な遅れが出ていること」と「エボラ患者の看護にあたっていた看護師が防護服を着用していたにも関わらず感染してしまったことから、治療にあたる隔離病棟での準備体制に疑問が浮上していること」にある。この二つをターゲットにして先進国は緊急に対応策を練らなければならない。このままでは米国内のみならず西アフリカとつながりの強いEU諸国で感染爆発が起きたら、手の打ちようがなくなる。それは日本も同じだ。象牙海岸(アイボリーコースト)は元フランスの植民地だから人の流れが多い。北西アフリカはほとんどが旧フランス植民地だが、一部分英国領だったところがある。世界史のアフリカ分割の項を思い出してもらいたい。アフリカの地理はその植民地の歴史と共にとらえなければならない。地理と歴史は表裏一体のものだ。こういうところで生きた地理と歴史の学習をすると、中高でやる社会科の科目がとっても楽しくなる。
*アフリカ分割(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%88%86%E5%89%B2

 
<余談-1>
 16日のニューヨークタイムズ紙の一面にまたエボラ出血熱の記事が出ている。スペインでの二次感染を中心に据えた記事だ。ついでだから、これもとりあげよう、次回のお楽しみだ。記事のヘッダーは、
  'Spain case shows holes in plans to treat Ebola'
   (スペインの症例はエボラ治療計画に穴があることを明らかにしている)
*Spain Exposes Holes in Plans to Treat Ebola - NYTimes.com

<余談-2>
 辞書を引け、徹底的に辞書を引け。一つの単語にいくつも訳語が載っているから、辞書を読んでその単語のコアのイメージをつくれ。そして興味のある分野の英文をたくさん読め、日本語と同じで英語の読書力も読んだ量に比例する。


*#2842 エボラ出血熱1-1: 'The worsening ebola crisis' Oct. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-17-1

 #2843 エボラ出血熱1-2 :'The worsening ebola crisis' Oct.19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-18

 #2844 エボラ出血熱2-1 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.19, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-19

 #2846 エボラ出血熱2-2 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-19-2

 #2847 エボラ出血熱2-3 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.21, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-20

 #2848 エボラ出血熱2-4 :国内の体制はどうなっている? Oct.22, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-22-1

 #2852 エボラ出血熱3-1 ' Cuba's impressive role on Ebola '   Oct. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-26



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