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#2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014 [47. 語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 #2805で中3学力テスト総合Aの作図問題をとりあげたので、続けて高校数学の問題をとりあげる。
 数日前に文系高3の生徒から学校でもらったプリント問題の中から生徒から質問があったちょっと変ったタイプの問題を紹介したい。記憶で書いているので、問題文は大筋こう言うものであったと了解いただきたい。

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 1~504までの自然数で、504と互いに素な数の個数を求めよ、またそれらの数の和を求めよ。
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 個数は問題ないだろう。504を素因数分解(504=2^3*3^2*7)して504の約数を場合分けして、2と3と7の倍数それぞれを計算して集合を使って2と3の公倍数の個数を引き、2と7の公倍数の個数を引き、3と7の公倍数の個数をさらに引いてから、2と3と7の公倍数の個数を加える。それらの合計を求めた後でそれを504から引けばいいだけ。
 場合分けはシンプルだから、あとは計算速度の問題だ。それぞれの個数を書いておく。

 2の倍数 252個
 3の倍数 168個
 7の倍数  72個
 合計   492個

 6の倍数  84個
 14の倍数 36個
 21の倍数 24個
 合計   144個

 42の倍数 12個

  504-(492-144+12)=504-360=144

 答えは144個
************
(集合が苦手でピント来ない人は、注を書いておくのでそちらを参照してください。高校1年生でもわかるように書いておきます。)


 2番目の問題は「それらの数の和」。答えの欄は42×aとなっていて、aを求めよという出題である。プリントではaの部分は四角になっていた。
 わざわざ42という因数が提示されているから、これが答えを導くキーであると考えてよい。

 階差数列になっているのかと思って数字を並べてみたら、階差が一定にならない。
 1, 5, 11, 13, 17, 19, 23, 25, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 55, 59, 61, 65, 67,...

  階差をとっても規則性がないので、42で区切って1~41までを合計すると252となり、252=42*6であることがわかる。42以降を折り返して並べてみたら規則性が見つかった。

① 1,   5, 11, 13, 17, 19, 23, 25, 29, 31, 37, 41
② 43, 47, 53, 55, 59, 61, 65, 67,...             ,83
③ 85, 89, 95, 97, 101,...

 第1列の和は42*6
 第2列の和は第1列にそれぞれ42を加えた数字になっているので、
   42*1*12+42*6。
 第3列の和は第1列にそれぞれ42*2を加えた数字になっているので、
   42*2*12+42*6
 同様にして第12列まであるから、1列から12列までの合計は、
   42*12{(0+1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11)+6}
     =42*12*(66+6)
     =42*12*72
     =42*864

 答えは864
*********

 504と互いに素となる数の中には25、55、65, 85等のように素数でないものが混じっているので、ポイントはこれを落とさないように並べることと、第一列目の和をすばやく計算できることだ。
 高校数学は中学校に比べて単純な四則計算を高速で正確にやる必要がある。計算速度の遅い者は数字の並びからその特性を見抜くにも時間がかかる。計算精度を落とさずにどれだけ計算速度を大きくできるかが重要ポイントなのである。
(ダントツに学年トップを取りたければ、商工会議所の珠算能力検定試験1級をとるくらいの計算技倆をもっていたい。60年ほど前に根室からはじめて東大に現役合格した高校生はわずか高校1年間のトレーニングで日商珠算能力検定1級合格を果たしている。小学生に英語なんかやらせる暇があったら、男の子は珠算を2年間ほど習わせておいた方がずっとよいとebisuは思う。)

 第1列目をきちんと並べられたら、第2列目はそれに42を加えることでチェックできる。
 第3列目は同様に第1列に82を加えて計算すればいい。

 このタイプの問題が初見の生徒は時間内に解くのは無理だろう。
 中学校の数学の先生たち、生徒に計算問題をたくさんやらせてもらいたい。小学校の先生たちも生徒にさまざまなタイプの四則演算問題をたくさん課してもらいたい。トレーニング量をたくさん積ませると、高校生になってから数学の成績が伸びる。計算速度が大きければ家庭学習で難易度の高い問題集にチャレンジできる時間的余裕が生まれる。
 高校数学は基礎計算能力の高さがものをいう世界。平均的な計算速度では試験時間内にセンター試験レベルの問題を全部解けない。計算速度でも上位10%以内にいるべし。


*<注-1>
 2の倍数の集合の個数をAとし、3の倍数の集合の個数をB、そして7の倍数の個数の集合をCとし、全体集合の数をUとすると、求める504と互いに素な数の集合Xは、
 X=U-A∪B∪C
 A∪B∪C=A+B+C-(A∪B+A∪C+B∪C-A∩B∩C)
  A∪B=84
  A∪C=36
  B∪C=24
  A∩B∩C=12

 U=504
 A=252
  B=168
  C=72

  A∪B∪C= 252+168+72-(84+36+24-12)=360
  X=U-A∪B∪C=504-360=144

<余談-1:「拡張」とトレーニングの大切さ>
 これらは三つの集合の要素の数の基本中の基本だから、しっかり覚えておこう。三つの要素までわかれば、後はいくらでも拡張可能となる、だから、大事なんだ。
  掛け算も小学校でようやく3桁同士の掛け算をやるように変った。3桁×2桁までだと3桁×3桁へ拡張できない生徒が半分以上出てしまっているのが現実だ。
 3桁×3桁の掛け算ができないという副作用は高校数学をやるときに出るから、小学校の先生たちは学習指導要領にしたがって、3桁×2桁の掛け算までしかやらない副作用をみる機会がない、だからその弊害に気がつかぬ。「ゆとり教育」が終わって昨年からようやく標準的な問題集に3桁×3桁の掛け算が載るようになったことはよろこばしい変化だ。
 小学校の先生たち、3桁×3桁の掛け算を最低30題は生徒にやらせてもらいたい。願わくば一ヶ月間毎日15題すつやらせて、300題やらせてもらいたい。そして高校生になったときにこのトレーニングが成績向上に大きく寄与することを強調してほしい。基礎計算能力の高さが高校生になってから数学の成績向上の原動力となる。

<余談-2:高校統廃合後の数学の授業について>
 2017年度に根室西高校の入試がなくなる。根室西高校では集合や確率を含む数Aを2年次にやっている。統合後の根室高校普通科はいままでどおり数Aは1年次の必修科目とするだろう。このままでは40人ほど落第することになる。
  心配なのは授業内容が成績下位層の生徒にあわせて低下することだ。先生たちは「わかりやすい授業」をしたがる傾向にある。成績下位層の生徒に標準的な内容をきちんと教えるには放課後補習を徹底してトコトン教えないといけない。これは成績中位層の生徒の5~10倍も手間のかかる話である。そういう手間をかける覚悟がないから、中学校の先生たちは放課後補習をしたがらない。実に根気がいるのである。お一人だけそういう努力を一年間続けてくれた先生がいることは承知している。他にも散発的にやってくれた先生もいる。ふるさとに戻って塾をはじめて12年間、生徒を通じてさまざまな情報がもたらされる、ありがたいことだ。塾生を通じた先生たちとコミュニケーションが楽しい。

 小学校の先生たちも中学校の先生たちも成績下位層の生徒たちに放課後補習を繰り返して手間をかけてやれ、そうすればこれから起きるであろう根室高校の先生たちの苦労は三分の一になる。根室西高校の数学の先生たちは今年も小中学校の先生たちが手抜きした分のフォローに汗を流しているのだろう。数学について言えば、根室西高校の生徒は根室高校普通科の生徒の半分も消化できないで卒業してしまう。1年間は小中学校の復習に、毛の生えた程度の数Ⅰの基本問題で終了だ。数Aは2年に回さざるを得ない。

 ここまで書けばもう充分にお分かりいただけるだろう。統廃合後の学力維持は高校だけの問題ではないのだから、小中高の数学の先生たちが集まって根室の子供たちの数学の学力を向上させるには各々何をすべきか具体的な問題をトコトン話し合ってもらいたい。


*#2647 問題消化速度1対35の衝撃(1):学習量=速度×集中力強度×時間 Apr.18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-17-1

 #2649 問題消化速度1対35の衝撃(2):学習量=速度×集中力強度×時間 Apr.18, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19


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<別解>9/15追記
 これなら計算力は要らぬ、頭のシャープさがあれば充分だ。最速の解法、ペトロナスさんがコメント欄にシンプルな解法を書き込んでくれたので紹介する。初見でこの解法に気がついた人は数学のセンスがいい。
------------------------------------
整数論、暗号理論の専門書に掲載されているオイラーのφ関数を背景にした問題ですね。

中学入試で時々出題されていて、中学受験を目指す小学校高学年の児童さんは後半の互いに素の和は

1,5, 11, 13, 17, 19, 23, 25, 29, 31, 37, 41,・・・
503,499,493,491,485,481,479,475,473,467,463、・・

と504と互いに素の数をaとすると504-aも504と互いに素の数になることを利用して、上下を足し、個数をかけて2で割る方法を使って求めます。

504x144÷2=36288

by ペトロナス (2014-09-15 12:48) 
------------------------------------
 縦に書いたほうがわかりやすいだろう。
1+503=504
5+499=504
11+493=504
13+491=504
・・・
499+5=504
503+1=504

  オイラーの応用だと気がつけば、最短・最速。
 最初の問題で項数が144と出ているので、ここに気がついたら実に簡単な問題となってしまう。

  36288÷42=864・・・答え

 シャープだな、こういう先生に一度数学を習ってみたかった。


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ペトロナス

整数論、暗号理論の専門書に掲載されているオイラーのφ関数を背景にした問題ですね。

中学入試で時々出題されていて、中学受験を目指す小学校高学年の児童さんは後半の互いに素の和は

1,5, 11, 13, 17, 19, 23, 25, 29, 31, 37, 41,・・・
503,499,493,491,485,481,479,475,473,467,463、・・

と504と互いに素の数をaとすると504-aも504と互いに素の数になることを利用して、上下を足し、個数をかけて2で割る方法を使って求めます。

504x144÷2=36288

by ペトロナス (2014-09-15 12:48) 

ebisu

ペトロナスさんへ

逆から並べて和を求めるとたしかに504ですね。自然数の和を求めるのと同じに扱えますね。

中学入試でもこの種の出題がなされているのですか。
「互いに素」という言葉は使えませんね。

>504x144÷2=36288

 36288÷42=864
なるほど。こちらの方がずっと簡単です。

あとで、本欄へアップします。
ありがとうございます。
by ebisu (2014-09-15 12:59) 

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