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#2775 内閣府「国民経済計算4-6月期」データ解説 Aug. 13, 2014 [91.経済]

 標記データを今朝9時に内閣府が発表した。これからテレビや新聞がにぎやかにとりあげて解説するだろうが、若い人たちは元データをみて自分で考える習慣をつけてもらいたい。

*http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf

 本来は四半期データは前年同月比で見た方がわかりやすいので民間企業は前年同四半期比較の変化率表を作成するが、政府はなぜか前四半期に対する変化率を公表している。n四半期の変化率は(n-1)四半期を基準とする変化率表となっている。だから、前四半期が大幅に+となれば、次の四半期は大きい前四半期を基準に変化率が算出されるので-(マイナス)の幅が大きくなるのは当たり前だ。両方通して変化無しの場合でもそれぞれプラスとマイナスが大きく出ることがあるから要注意だ。
  前年同期比比較は同じ季節を比較することになるので季節変動も無視できて便利がいいのである。何か理由があるのだろうが、前四半期基準での変化率算出は民間企業で予算管理や経営管理を担当した経験のある私には疑問のある方法である。
 前四半期がイレギュラーデータであっても大丈夫なように、第2四半期(4-6月期)データは第1四半期(1-3月期)とあわせてみる必要がある。(データは全部「実質」データをピックアップした)

 <GDP>
  第1四半期  +1.5 ・・・ A
  第2四半期  -1.7 ・・・ B
    B-A           -3.2 ・・・ C
 
 変動幅-3.2、これが典型的なパタンである。3月の駆け込み需要に対応するための生産増があり、その膨らんだ1-3月期を基準にして4-6月期の反動減を測ればマイナスの数字は実態よりも大きく出てしまう。
 前年度の第4四半期を100として計算して見るとよくわかる。
   100*(1+0.015)*(1-0.017)=99.775

  上期を通してみたら、ほとんど変化のないことがわかる。年換算値-6.8%(-1.7×4=-6.8%)を見て騒ぐことはないのである。年間通してみたら、出っ張ったりへこんだりしただけで変化は大きくない。第1四半期と第2四半期を通してみると変化率は-0.2%である。
 しかし、分析はこれでは終わらぬ。例えば、自動車は3月末には在庫払底で、売るものがなくなってしまっていたから、4-6月のうち4月と5月は在庫を積むためにフル生産状態が続いていただろう。在庫の積み増しはすでに完了しただろうから生産にブレーキがかかり、7-9月期はGDPが減る。年間通してみたら、2014年下期にGDPは落ち込むことになる。つまり、GDPはこれから問題が顕在化すると判断できる。

 ところで、GDPはサプライ・サイドの指標である。デマンド・サイドはどうなっているのだろう。
 2ページ目には「民間最終消費支出」の棒グラフがある。これも典型的な「+⇒-」の変化であるが、GDPとは異なり、合算するとマイナスの方が大きい。
 <民間最終消費支出>
  第1四半   +2.0
  第2四半期  -5.0
                  -7.0
  半期で通して見ると、年換算値で消費支出が6%減少することになる。景気への影響大だ。「家計最終諸費支出」もほぼ同じ数字である。デマンド・サイドには問題がくっきり出ている。

 3ページ目にある「民間住宅」が年換算値で-41%なのが気になる。住宅は全国平均値で14%も空き家があるから、一次的な現象ではなくて、長期的な傾向の変化を表しているのかもしれない。住宅建設業界は深刻な不況に陥るだろう。新築住宅が半分程度の規模になれば住宅ローンも半減するから、金融機関には打撃が小さくない。東北震災復興需要と東京オリンピック需要で資材や人件費が高騰している、民間住宅まで手が回らないということもあるだろう。2014年度は対前年度比で3割くらい民間住宅建設需要がダウンする可能性がある。
 <民間住宅>
  第1四半期  +2.0
  第2四半期  -10.3 
                  -12.3

 <民間在庫品増加>
  第1四半期  -0.5
  第2四半期  +1.0
                  +1.5
 1-3月期で在庫が払底し、4-6月期に積みました姿がはっきりと数字になって現れている。でも、変化の幅が小さい。ほとんどのメーカで原材料在庫管理システムや製品在庫管理システム、納期管理システムをもってコントロールしているから在庫の変化率は小さい。全体で見ると±1%の範囲で推移しているようだ。

 8ページにGNI(国民所得)統計が載っている。
  第1四半期 +0.8
  第2四半期  -1.3
          -2.1
 第2四半期の落ち込みが大きいのは4月消費税引き上げと円安誘導で物価が上がったからだ。


 9ページの「雇用者報酬」は、
  第1四半期  -0.1
  第2四半期  -1.8
                   -1.7
  半期で1.9%(100*0.999*0.982=98.10)ほど減少しているから、年換算値では3.8%になる。正社員雇用が減って非正規雇用があいかわらず増え続けて、平均給与が下がっているようだ。これでは少子化に歯止めがかからぬ。

 つまり、2014年度はサラリーマンの実質平均所得が4%ほど減少して、消費需要が減退し不景気になるということだ。経営者が自分達の報酬は引き上げて、社員を減らし非正規雇用を増やすことで利益を確保するという、自分勝手なマインドには変化がないということ。
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 「小欲知足」
 「仕事は正直に誠実に渾身の力でやろう」
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
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Scheme-2:
 日銀のゼロ金利と異次元の量的緩和⇒円安誘導⇒コストプッシュ型インフレ⇒企業所得とサラリーマン所得の減少(実質)⇒消費減退⇒不景気

 こういう線路を走っていることがデータからハッキリした。政府が目指していたschemeはデマンドプル型のインフレである。給与が上がり、需要が増大して物価が上がる、そして設備投資が増えて景気がよくなるという図式だったが、完全に外してしまった。第2四半期データは悪性インフレパターンに陥ってしまっていることを示している


*#2774 'Bad inflation' shadows Japan (悪性インフレの陰りあり) Aug. 13, 2014 
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  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
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 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
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  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
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 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
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 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
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 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
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 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
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 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
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 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
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 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
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