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#2769 金刀比羅神社お祭り part 3 Aug. 10, 1014 [88.金刀比羅神社のお祭り]

 曇り空でお祭り行列には幸いな天気だった。天気がよすぎても日焼けであとでいたい思いをするし、ばてる。風はほとんどない。

<お神輿追っかけ:沿道に同級生アリ、53年ぶりの再会>
 12時少し前にMTBで金刀比羅神社前に駆けつけた。神社の前には東部祭典区の山車のお太鼓でにぎわっていた。先太鼓も金棒もいた。
 12時20分くらいに、お神輿が下りてきた。お神輿の先導役なのか露払いなのか、毎年お神輿の前を歩いている同級生のK浦も白装束に袴をつけた格好で下りて来た。少し話しをして暇をつぶすうちに出発の12時半になった。宮司の奥方が後ろの方を走っていったのがみえた、高校で1学年下の購買部だったから同期で知らないものはいないだろう。東京目黒から市長選挙に来ているかのご婦人は薄紫の着物にオレンジ色のソックスをはいて行列の後を追いかけていた、根室は寒いからな、一人で追いかけていたのはえらい。
 神社の獅子舞はYがやっていた、姿勢を低くしてなかなか獅子頭の扱いが上手だ、身体が柔軟だから低い姿勢に無理がないし動きもよい。何をやらしても器用なやつなのだが、勉強を含めてぐ~んと抜きん出るところまでやらないのが玉に瑕、お祭り終わったらそろそろ勉強本気でやったら?1448ページもあるGone with the windがまっているぞ。はやく新訳でないかな、新訳は『アトランタの風に吹かれて』というタイトルになりそうだ、全編のストーリーから考えるとそういう訳が的を得ている。
 'K'も神社の獅子舞担当だ、気がつかずに横を通り過ぎていったが、面構えが男らしくなった。1年半前はまるで子どもだったのだが、高校生になると女も男も成長いちじるしい。みんな磨けば光る玉だ。だれかが磨いてくれるのを期待せずにそろそろ自分でしっかり磨け。
 道路沿いに一番後ろの祭典区についていったら、道路わきにTがミニスカート姿でいた。いつも笑顔で照れくさそうな表情を浮かべる。脚が長いのでミニが似合っている、そのまま銀座を歩いても違和感がないどころかスタイルがいいからかなり目立ちそうだ。都会的な雰囲気の小顔の高校生と評しておく。3月に卒業したA乃は都会的で清楚な雰囲気にがらりと変わった、戻ってきたのだろうか。保育士になるんだったが、あんなふうに変身するとは予想外だった。

 MTBで行列の先回りをして、商工会館前で神輿を見ていたら、K浦と精肉店に嫁にいった同級生が交差点で話していたので混ざった。小学校のときの同級生だ。一目でA木(旧姓)さんだとわかった。
「わかる?」
「A木、顔の輪郭が小学校のままだよ、変わんないな」
 話しをしているうちに、妹の次女と彼女の三男が同級生だとわかった。
「よく遊んでもらったから・・・あはは」
田舎はいいな、誰かがどこかでつながっている。それがあるから根室人はまっとうなことが言いずらくなる、アハハ・・・
 K浦が
「男の平均寿命は80歳、あと15年しかない」
「いいや、健康寿命は-9して71歳だ、それ以降は誰かに介護してもらわないと生きていけない、あと6年だぞ」
と応ずる。
「ebisuは16日の同窓会、仕事でこれないんだよな」
「悪い、仕事最優先だから、また欠席だ」

 三人で話していたら、そのうちに気のあった同士で集まろうという、日曜日なら私は参加できる。同期会は今回が最後でもうない。小学校、中学校、高校とそれぞれ同級生や同期がいるが、同期会をやていたのは中学校と高校のみ。あちこちでいろんな人と同級生になったから、中学校とか高校という枠組みを外して旧交を温めたいという思いをもつ者は少なくないだろう。5~10人くらいで気軽に声を掛け合って旧交を温めたらいい。そういう輪がたくさんできたら愉快だ。

 北海道銀行の交差点付近で神輿を待っていた。交差点をすぎて銀行前で神輿が休憩に入った。昔、梅ヶ枝町三丁目に家があったところだ。家の前で神輿を眺めたことを思い出した。お袋が「二回から神輿を見下ろしてはいけませんよ、下に降りてきなさい」、そう言ってた。角のお菓子屋の父さん、家のオヤジやお袋、向かいのトコヤの「兄さん」と奥さん、乳癌で亡くなった幼馴染のヤッコもみんな出てきそうだった。ミドリのお菓子店も根室で一番古い奥田時計店も今は跡形もない。過去は夢でもあり幻でもある、在るのはいまだけ。

 開法寺の前の交差点で神輿と山車を見送った。MTBで警察の坂を上がって、合同庁舎前の温度表示板を見たら17.1度だった、時刻は2時40分ころ。根室の夏は日本一涼しい。

<金棒と先太鼓の競演>
 夜7時に車で町へ下りていった。緑町に駐車場があるから便利だ。緑町1丁目交差点の会場まで歩く途中で浴衣姿のA音とすれちがった。白地に赤い小さな模様がはいっている、清楚に見えた。普段と来ているものが違うと気がつかないことが多いのだが、それ違う前に「あっ!」という表情を浮かべてくれたから、わかった。細くて子どもっぽかったが雰囲気が大人に変わった。大きい方ではない、細っこいのに水泳では全道大会でずいぶんといい成績を残した。後半年で卒業、根室に何人戻ってきてくれるのだろう。

 会場に着くと金棒の演技をやっていた。一生懸命にやっているのだろうが、55年前の缶詰工場の男工さんたちの金棒が脳裏にはっきりあるので物足りない。若い男工さん50人くらいで金棒をやると、音が一つになる瞬間がある。腕力と気力がなければああはいかぬ。根室のお祭りで一番ユニークなものは金棒ではないだろうか。中学生が主体では腕力も気力も昔の男工さんには遠くおよばぬ。そういう若者が根室の町にいなくなって50年以上たったということ。
 指導する者たちは若いから、そういう一つになる瞬間の音の記憶がないのだろう、あれはすごい、名人芸だった。金棒のパフォーマンスは飛び上がったり「乱れ打ち」はするが、肝心の基本技がまるでなっていない。なにごとも基本が大切、そのうえで型破りはいいが、基本がデタラメではさまにはならぬ。金棒の伝統はすっかり絶えてしまったようだ。
 だが、太鼓の技術は昔の比べると段違いだ。7時半ころから、各祭典区の太鼓演奏が始まった。東部祭典区は太鼓が7つだったかな、第三祭典区と西部祭典区が11個と12個だった。アスファルトの地面からも振動が伝わってくる。直径50cmくらいの太鼓を太いベルトで肩から提げてやる曲打ちはやっている方も見ている方も楽しい。最後は第一祭典区だった。太鼓の数は7個で少なかったが、獅子舞が2組じゃれあっている演技や5人ほどの着物姿の女性が笠をクルクル回して太鼓に合わせて踊っていたのは変化があってとってもよかった。

<緑町二丁目交差点での恒例行事>
 8時頃にお開きになってから、緑町2丁目交差点で第一祭典区と第三祭典区の山車が向かい合わせて太鼓を叩き始めた。例年のことなので交差点は人だかりができていた。第一祭典区が引き上げた後、第三祭典区の太鼓演奏が始まった。高3のSヤがはりきって叩いていた、いい顔してやがる。演奏の途中から雨が降り始めた。

<感慨>
 根室はいいな、お祭りが来るたびにそう思う。高校3年の夏に神輿を担いだ。あの当時は神社の鳥居をくぐって下ろしてから、枠木に固定していた。いまは手順が違う。神社の境内で枠木に固定してから下ろしている。神輿の重さは1.5トン、それに枠木の重さが加わるから1.7トンくらいあるのではないだろうか。担ぎ手1組50人で、二組。昔は高校生が20~30人混ざっていた。
 高校を卒業したら、都会へ進学し、そのまま就職して根室に戻らないものが多いが、最後の夏ぐらい神輿を担いだらどうだ?いい思い出になるぞ。
 K浦に聞いてみたら、自衛隊など担ぎ手が決まっていて高校生が入る余地はないそうだ。なんだか札幌の雪祭りのようで、寂しい気がする。北海道三大祭なんていつの時代の話か知らないが、肝心の立派な神輿の担ぎ手すら、とっくの昔に「外部委託」せざるを得なくなっている。地元でお祭りを支えきれなくなっている、それがいま手古舞にも広がりつつあるのかもしれない。

<根室のお祭りの未来>
 各祭典区は金棒、旗持ち、獅子舞、太鼓、笛、手古舞など、子どもを集めるのに苦労をしている。大人の神輿はすでに「外人部隊」が主力だ。手古舞も地方に散った根室人の子どもを試験的にお祭りにだしてみるという努力をし始めているそうだ。人口減、特に子どもの人口減がはげしいから、ここを何とかしないと、伝統を受け継ぐ区とがむずかしくなる。
 12年前には中学生は1学年400人いたが、いまは250人前後、約6割だ。同じ比率で減少すると12年後の2026年には150人だ。根室市の総人口の減少率よりも、子どもたちの減少率がはるかに大きい。理由は簡単だ、若い人に地元に働く場所がないからだ。

<大人たちはいま何をなすべきか?>
 頭が固くなったオヤジが威張っているような中小企業には先がない。決算情報を従業員へ公開し、退職金規程や経理規程を作ってきちんとそれを守る、オープン経営に舵を切るべきだ。40代半ばをすぎたら感覚がもうだめだと思ったほうがいい。若い従業員の柔軟な発想を経営に生かせなければジリ貧になる。2040年には根室の人口はいまより1万人減少して1.8万人を割る、地元企業の半数は経営破綻しているだろう。
 地元に優良な企業が増えなければ根室の町のお祭りは担い手を失い、いまの形を続けられなくなる、伝統を次の世代へ引き渡せなくなる。
 中小企業同友会の全国協議会は「中小企業労使による経営民主化」を推進し始めている。根室にも中小企業家同友会支部があるだろう。全国に先駆けて決算情報を公開して経営民主化をやってみたらいい。陽は一番東の根室から昇る、中小企業改革の陽も烽火も根室から上がっていい。


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