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#2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  [仕事]

 標記についての森永卓郎氏の論を紹介する、卓郎君の卓見だからなるほどなるほどと肯いてもらいたい。(6月6日NHKラジオ「ビジネス展望」、朝7時43分からの8分間ほどのテレフォンインタビュー番組)

 産業競争力会議が公表したこの制度の内容は次の三つにまとめられる。
①生産性を上げる
②弾力的な働き方を可能にする
③職種は特定の専門職に限定する

 一番目について生産性向上が必要なのは発展途上国であって、日本のように世界のトップレベルの生産性を誇る国が生産性向上を目標にするというのは経済発展段階を無視した議論であると森永氏はいう。
 二番目の論点については、労働時間の弾力的な運用はすでに裁量労働制で可能になっているので、あえてホワイトカラー・エグゼンプションを導入する理由がない。
 三番目の論点についてはまやかしであると断じている。労働者派遣法でも当初は同時通訳などの専門職に限定されていたし、製造業については絶対に適用しないとまで言っていたが、結果は1999年に禁止リストにない職種は原則自由(ネガティブリスト化)ということになり、2004年には聖域だったはずの製造業へ拡大された。だから、当初は限定された職種だという政府の説明は信用できない。

 残業については労働基準法36条に規定があるが、これは歯止めにならないと森永氏はいう。使用者側のほうが圧倒的に力が強いことを理由に挙げている。

 もうひとつ、成果の評価の問題にも触れている。成果によって報酬額を決めるのだが、成果についての公平な評価は不可能であると森永氏はいう。評価はボスが決めるのだが、ボスの好き嫌いで部下の報酬額が決まることになるので、次のような人間が社内に増えるというのだ。
a 上司への取り入り方のうまい者
b 同僚の脚の引っ張り方のうまい者
c 同僚の手柄を横取りする者
 成果主義による評価は結果としてこういう人材が社内に跋扈するようになるというのである。結果として仕事の質が落ちてしまう。
(普通の会社ならそうなるだろうが、わたしのいたある東証Ⅰ部上場企業は職種ごとに難易度を設定し具体的な年次目標設定をすることで成果主義に基く評価制度を実施していた。達成時期が不明とか「がんばります」というような評価不能な抽象的あるいは精神的な目標設定は拒否される。管理職は戦略目標実現のために、いついつまでに何をどのようにやり、どのような効果が期待できるのかを具体的に記述しなければならない。こうした成果主義の評価制度を導入するには、評価制度の運用についてのトレーニングが必要になる。評価結果については社内のネットワークで評価項目と共にオープンすることで公平性を担保することも可能だ。評価について部門を越えた"speak out"を保障することで、恣意的な運用を防ぐことができる。やりかたを教えてやるから、根室市役所で導入したらいかが?)

 ホワイトカラー・エグゼンプションはタダ残業を強要する制度であるが、日本は米英とともに残業の多い国だから、残業時間を少なくする方向へ誘導するような制度改革ならわかるが、これはそういう方向とはまったく異なるものであり、働く者の幸せにつながらない。豊で幸せな暮らしを保障するどどうしていえないのかというのが森永卓郎氏の言いたいことのようだ。
 国民の幸せにつながらないような制度導入を急ぐ安倍政権は経済政策の方向を誤っている。
 

*残業代の割増率については日本は25%だが、米国は50%。
 割増率が低いことが残業を増やす誘引となっている。そのうえにただ働き残業を追加したら、なおいっそう残業が増えることになるのはebisuには自明に思える。いずれ正規雇用だけでなく弱い立場の非正規雇用にまで拡大されることを強く懸念する。国民を不幸にする政策の上に企業の繁栄をもたらそうというのだろうか?
 経済政策のベクトル(方向)の間違いに気がついてもらいたい。こんなことまでしないと実現できぬ成長路線、歴史的に見れば日本は高度経済成長時期をすぎて、経済縮小時代に突入したという理解の上にたった経済政策を立案・実行すべきで、こういう無理に無理を重ねても、結局もとの木阿弥となり、残るのはマイナス成長と大きな財政赤字である。安倍政権のブレーンはいい大人たちのはずだが、考えの基本的なところをまちがえている。経済政策の前提条件の認識に基本的な誤りがあるのだ。

**#2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10




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コメント 2

ZAPPER

SEやプログラマー。我が国において、現在ではその約3分の2は外国人労働者で占められているそうです。年収が高い(一説に平均的な賃金=年収は他の職種に比べて200万円程度高い)のにも関わらず…。

理系離れや若者の学力低下といった背景もあると思われますが、私見ですが裁量労働制、とりわけ専門業務型裁量労働制の導入による労働時間の青天井化の黙認による部分も大きいと思っています。

ホワイトカラー・エグゼンプションもまた、同じように用いられ、古き良き日本人が育み受け継いできた勤労観に水を挿すことになってしまうでしょう。愚策だと私も思います。
by ZAPPER (2014-06-10 10:23) 

ebisu

ZAPPERさん、おはようございます。

>私見ですが裁量労働制、とりわけ専門業務型裁量労働制の導入による労働時間の青天井化の黙認による部分も大きいと思っています。

そういう側面はありますね。半端な腕のSEが仕事を請け負って、相手先企業に業務とシステムに強い人間がいなければ、見積もりよりも工数が膨らみ、ただ残業でカバー。それでも追いつかなくなると、ノイローゼは自殺、そういう殺伐とした時代がありました。

成果主義と裁量労働制の併用は能力の大きいものにメリットですが、ない者は仕事を持ち帰ったり、労働時間が長くなったりと、つらいものになります。
管理職を外してほしいという事例や、降格でけっこうだから地域限定社員へしてほしいという事例を見聞きしました。

>古き良き日本人が育み受け継いできた勤労観に水を挿すことになってしまうでしょう。

ここが一番大事なことですね。
「日々技術を磨き、正直に、誠実に、渾身の力で仕事する」
「売り手よし、買い手よし、世間よし」
これで充分じゃありませんか。
by ebisu (2014-06-10 11:16) 

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