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#2693 鎖国をして国内雇用を確保しよう May 31, 2014 [A3. 職人仕事観に基く経済学の展望]

 昨日は、北海道のオホーツク海沿岸が全国最高気温33.7度を記録した。南からの暖かい風が四国山地や日本アルプスを超えてフェーン現象を起こし、さらに奥羽山脈でも同様の現象を起こして気温を上げ、最後に大雪山系の山々を超えて気温を上げたようなのである。こんなことは今まで聞いたことがない。根室も夜9時半の気温が10.5度あった。

 さて、本題に入ろう。鎖国とは貿易をしないことではない、強い管理貿易であった。わたしたちは二度目の鎖国をすべきときに来ている。中学生や高校生にもわかるように理由を述べたい。

【facts】
 貿易収支は赤字に転じた。これは一時的なものではなく構造的な転換である。すでに人口は縮小に向かっている。2013年10月1日の総人口は前年比253,000人減少して127,298,000人となった。一人当たり所得や国内生産額がが同じだとすると、人口縮小はそのまま経済規模の縮小となる。
 人口縮小の内容を見るともっとすごいことが起きていることに気がつく。生産年齢人口(16歳から64歳)の急激な縮小が始まっており、昨年は1,165,000人減少して79,010,000人となった。8000万人を割ったのは32年ぶりだという。つまり、32年前の生産年齢人口にまで後退したということ。これからしばらく毎年100万人前後の生産年齢人口縮小がある。だから日本の経済規模は縮小せざるを得ないのである。
 他方で、老人人口は25.1%となり、10年後には30%を超えることも考慮に入れなければならない。
(社会保障・人口問題研究所の人口推計値によれば、2024年の総人口は1億2140万人、老人人口は3653万人(30.1%)である)

【目先しか見えない政府何をしつつあるのか】
 考えてほしい。貿易収支が構造的に赤字基調に変わった、人口は縮小に向かい、生産年齢人口の減少は総人口減少の4倍だった、そういう背景の中でTPP交渉を日本政府がやっているのである。こんな愚かな経済政策はない。
 何をどのように言訳しようとも、TPPの本質はブロック内で関税率をゼロにするというものだ。年数をかけてほとんどの関税がゼロに向かう。
 どういうことになるかというと、輸出が減少して輸入が急拡大し、貿易収支赤字が加速的に増加することになる。経常収支もまもなく赤字となり、こういう経済構造の繁華を反映して長期的に円安が進む。物価はだまっていても20年もしたら円安の影響で2倍以上になるだろう。その一方で非正規雇用が増え、一人当たり所得額は増えない。当然の帰結として生活保護世帯が拡大していく。
 国内産業は取り返しのつかぬダメージを受け、働く場所が減るので雇用は縮小する。
 一番問題なことは、日本人が日本列島で生み育てた農業や漁業の技術伝承が途絶えることであり、それは日本文化に断絶を生み出すことになる。生産ができなくなればそれにまつわるさまざまな技術伝承ができなくなるだけでなく、食文化を通じた日本人としてのアイデンティティも失われる。

 大局的に見たら、急速に進む高齢化、生産年齢の急激な縮小を前提にした政策選択こそがとるべき道なのであるが、愚かな政府は人気取りに邁進してものごと本来の道筋が見えなくなって、まったく逆のことを一生懸命にやっている。たぶん自分たちがなにをやっているのかすらわからないのだろう。
 リカードの比較生産費説に基くグローバリズムが絶対の価値だと思い込み、そうした米国と国内経済団体の圧力に迎合している。亡国の政策選択がTPPの正体である。

【私たちはどんな経済社会に住みたいのか?】
 日本がとるべき道は、強い管理貿易(鎖国)による国内の雇用維持なのである。50年後の人口は5000万人でいい。経済成長は要らぬ、経済縮小を前提に豊かな未来を描きたい。
 すぐれた農業技術や漁業の技術、そしてあらゆる業種に広がっている職人技術を次世代に伝えよう。5000万人に人口が縮小すれば食糧の100%自給は可能になる。週に4日企業に勤務し、3日は家庭菜園で野菜作りや船に乗って海釣りもいいし、川へ行って釣りをしてもいい。企業で働きながら数頭の家畜を飼い酪農をするのもいいだろう。小規模で経済効率が悪くていい、強い管理貿易をすればそうした生活が可能になる。
 こうした観点からは国土を汚染することは国民の未来に対する最大の犯罪であるから、原発は廃棄だ。
 長期的に円安になれば物価はとめどなく上がることになる。どうせ上がるなら、輸入品よりも安心・安全・高品質な国産製品を使おう。そして職人仕事を基本にした、技術を次の世代に伝えよう、小欲知足の経済社会を創ろう。
 コンピュータが安く・高機能になったいまだから、いろんな物が自動コントロール可能で、小規模生産が効率的にできる可能性が広がっている。日本の伝統技術を生かしながら、それとコンピュータを組み合わせることでいままで不可能だった経済社会を実現できる。地球環境にダメージの大きい大量生産・大量消費社会とはおさらばしたい。
 団塊世代の一人として、自分の子どもや孫はひ孫が、汚染のない日本の国土で日本が育んださまざまな技術を伝承しながら、日本文化を永遠に伝えていってもらいたい。


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【資料】
*5月9日JT紙社説
http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/05/08/editorials/the-changing-face-of-society/
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The changing face of society

Coping with problems arising from a low birthrate and a rapid graying of the population is an issue that the government and private sectors must tackle with a greater sense of urgency.

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*5月21日JT紙社説
http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/05/20/editorials/shrinking-current-account-surplus/
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Shrinking current account surplus

Japan’s current account surplus for fiscal 2013 that ended in March fell by more than ¥3 trillion from the previous year to ¥789.9 billion — the lowest since comparable data became available in 1985. It marks a steep fall from the peak of ¥24.3 trillion just six years ago.
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