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#2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014 [75.時事英語公開講座]

 啓雲中学校の3年生が昨日、修学旅行にいった。ラフティングで大喜びする生徒が今年もたくさんでるのだろう。人数は約50人、全学年あわせて160名弱だから、市街化地域の中学校も規模が小さくなった。同じ学区域の小学校は花咲小学校で団塊世代のわたしの母校で、創立137年だったかな、学制が敷かれて2年目くらいに根室に小学校ができたことに驚く。当時の根室人は教育に熱心だったようだが、いまは・・・全国最低レベルの北海道で14支庁管内7番目*である。明治の根室人といまの根室人の教育に対する情熱の落差は大きすぎて恥ずかしいくらいだ。この地に住んでいてたいへん申し訳なく思う。
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*都道府県別データを基にして計算した根室管内の小学校の偏差値は37である。
#2485 (小・中対比)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
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 団塊世代当時は花咲小学校は1学年6クラス360人だった。53年間でおおよそ1/7のサイズに縮小してしまった、人口減少の激しさに驚く。
 もっと驚いたのは137年たって根室人の教育への熱意が失われたという事実である。現在の市政の教育への関心の欠如、市議の教育への関心の薄さ、過去15年間ほどの歴代の教育長の無策と情熱のなさに呆れるばかり。根室の町は根室で生まれ育った者たちが担っているから教育はふるさとの町の礎(いしずえ)、これでは未来が危うい。市政にどういう理由(土木・建設と借金?)があるのかしかとはわからぬが、ハコモノをつることばかりに関心が向かってしまっている。

 今回は少し趣を変えてみたい、英字新聞記事読解の公開講座のおまけのようなものだ。よく読むことはよく考えることでもある。

 「#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014 」に次の文が載っている。
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-11-1
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(2)  The Wilkes Basin in East Antarctica, stretching more than 1,000 km (600 miles) inland, has enough ice to raise sea levels by 3 to 4 meters (10-13 feet) if it were to melt as an effect of global warming, the report said.

 (東・南極にあるウィルクス海盆は内陸から1000km沖合いまで広がっており、そこには地球温暖化の影響で融けると海水面が3~4m上昇するだけの量の氷がある。)

(4)  “East Antarctica’s Wilkes Basin is like a bottle on a slant. Once uncorked, it empties out,” Matthias Mengel of the Potsdam Institute for Climate Impact Research, lead author of the study in the journal Nature Climate Change, said in a statement.

 「東・南極にあるウィルクス海盆は斜面に置かれた瓶のようなものだ。一度でも栓が抜けたらナカミが流出して空っぽになる。この研究の筆頭著者である気候変動に関するポツダム研究所のマシアス・メンゲルがステートメントの中でそのように言明している。」
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 これをどのように具体的に理解したらいいのかというのが、今回のテーマである。南極研究専門家(複数)の研究成果ではこうした事態が起きたら、海面は3~4m上昇するらしい。根室市の市街地を例にとると、弥生町・緑町・本町・梅ヶ枝町・常磐町・千島町・弁天町等の大半が水没する。温根沼大橋周辺は大きな入り江となり、接続する道路も橋も水没するだろう。チョウボシ湖は海に変わる。花咲港や落石港や歯舞港そして根室港も水底(みなそこ)に揺れてみえる。

 #2675から必要な情報を取り出して並べてみよう。
①ウィルクス海盆は南極大陸から1000km広がっている。
②南極の氷の厚さの平均値は2450m、最も厚い部分は4776m。
③氷の面積は1204万km^2、体積は陸上部分で2938万km^3.
④地球の半径 6371km
⑤地球の表面積=4πr≒5億1006万km^2
⑥海洋面積:3億6106万km^2(70.8%)
⑦海水総量:13億4993万km^3

 以上のデータから、ウィルクス海盆の氷が融けると、海水面が3~4m上昇するという結論を導き出してもらいたい。
 わたしは英字新聞記事を読んでから、ずっと気になっていた。おおよその計算が合致しないと、英文の意味がわかったことにならないからだ。わかった気になっていたに過ぎない。専門外の分野を理解するには、こうした試行錯誤がある。ましてや専門分野は言うべきにもあらずだ。

 面白いことに気がついたのである。どうやらわたくしの素人解説がまちがっていたことを認めざるをえない。いくつかの仮定を設定して計算したらマシアス・メンゲルの言明はとうやら理屈に合うかもしれないのである。そのありさまを適確な比喩で描いていると考えた方がよさそうだ。

「東・南極にあるウィルクス海盆は斜面に置かれた瓶のようなものだ。一度でも栓が抜けたらナカミが流出して空っぽになる」

 英文を読むというのは、考えるということでもある。
 ニムオロ塾は「覚えるよりも考える」ことをモットーにしている。「あれ、いったいどうなっているのだろう?」、そういう疑問を頭の中にもち続けることがだいじだ。もち続けていたらいつかわかるときがくる。

 もう一度#2675全文を読み直して、あなたも考えてくれないだろうか、知的な遊びである。コンピュータゲームも面白いが、こういう思索トレーニングも楽しいはずだ。
 問題はウィルクス海盆の形状のようだが、どのような形状を前提にしたら計算値が3~4mになるのだろう、わたしはまだ計算してみてない。うまくいくのかいかないのか不明なところがいい、見事に沈没するかもしれない。はは、スリル満点だ。海盆の定義も#2675に載せてあるからもう一度確認してもらいたい。
 元の論文が入手できないとこういう風に試行錯誤(思考錯誤?)をすることになる。そうした不自由さもまた楽しい。


*『南極の地質と石油』(宮崎滋治)という面白い文献を見つけた。とってもおもしろい事実がいくつも見つかる。
 二つだけ例を挙げておこう。大陸棚の深さが500~900mもある。日本の太平洋側の大陸棚はせいぜい200mくらいだからずっと深い。これはアイソスタシーを保つために南極大陸の岩盤が全体に沈降した結果かもしれないと、著者が推測している。
(ということは、陸塊に載っている氷がなくなったら大陸棚は300~700m上昇するということだ、とうぜん陸塊もそれ以上に上昇する。南極の氷が薄くなると陸塊がもちあがって亀裂が入り海盆へ張り出した氷塊がいっせいに海洋へ流れ出すことになる。北海道のような大きさの氷塊がいくつも流れ出したらどういう影響があるのだろう、想像したくない假定である。科学は観測を行うと同時に"What-If Question"を繰り返すものだ。)
 もうひとつは、海盆の深さだがどうやら4000m級であるようだ。海底は玄武岩質。 

 他にも興味のある図が載っている。「第3図 地質図」には、ロス海を東西方向に切断した地質図が載っている。他にも面白いものがある、「第6図」は「ゴンドワナ大陸模式資質構造図」である。アフリカ大陸、インド亜大陸、オーストラリア大陸、南米大陸などがどのような関係になっていたのかが示されている。

http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/2/2612/198002_029a.pdf

**2,000年7月『白嶺丸による南極調査』
 南極調査は命がけだ。ウィクスランド沖で35m/秒の台風並みの暴風と10mの高波、ロス海で7mの高波と寒波による船体への着氷。使用されたマルチチャンネルの測定器の解説までしてある。
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/00_07_09.pdf


<投稿欄からアップ、Hirosukeさんお薦めの氷床融解等の写真>
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この写真を見てください。
   ↓
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20130822/362211/?mail

まさしく【沈】んでいます。
「200年後」ではありません。
既に起こっているのです。
by Hirosuke (2014-05-22 09:08) 
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*#2675 East Antarctica at risk of thaw
: 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-11-1

 #2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-21

*#2683 南極大陸周辺の謎(2):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23-1

 #2912 爆弾低気圧が根室へ:小中高全部休校(釧路および根室管内) Dec. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17

 #2913 緑町の一部が冠水 :爆弾低気圧の影響?  Dec. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1

 #2914 予測の範囲だった爆弾低気圧と高潮被害:地球温暖化と関連ありやなしや Dec. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-18



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コメント 8

後志のおじさん

地球の自転による遠心力という要素はどうでしょうか?昔地学で習っことですが、赤道半径は極半径より20Kmも長いそうです。こんな力が流体に働いたら、赤道付近で5mの海面上昇は十分あり得るのではないかと…。
by 後志のおじさん (2014-05-21 23:06) 

ebisu

後志のおじさんこんばんは。

半径については仰るとおりです。
赤道半径 6378km
極半径   6357km
約21kmの差があります。

でもそんなことは気にせず、大雑把な計算で充分です。流れ出す氷の体積を海洋面積で割ればいいだけ。
問題は東・南極辺縁部の氷河が南極海にあるウィルクス海盆に流出したら海水面が3~4m上昇するということでした。

思いっきり単純化して考えましょう。
たとえば、南極大陸の辺縁部は南緯60度の円の円周としてしまいます。

わたしの大雑把な計算では南極大陸辺縁部の五分の一の氷が内陸の氷から離れで南極海へ流れ出せば4mほども海水面が上昇しそうです。もちろん海洋面積は増えるはずですが、そんな細かいことは専門家に任せて、おおよそのところがつかめたら充分読めたといっていいのではないでしょうか。

明後日あたりに単純化した仮定と計算例をアップします。
事態を単純化して大雑把にものごとをとらえることは実務では案外大事なことです。
by ebisu (2014-05-22 00:00) 

Hirosuke

>地球の自転による遠心力
    ↓
これは太古からの定常要素であり、既に【海流】の原動力として年中無休で作用しているため、この先に与える影響は非常に小さい、と考えられます。

月の引力の方が潮位への影響は大きいのです。

【潮流】【干満】の原動力として、これまた年中無休で作用していますが、地球との距離は周期的に変動しており、最も近づいた時の満月は目視でも分かる程に大きく見えるが故に、【スーパー・ムーン】と呼ばれます。

この【スーパー・ムーン】時は、赤道付近に限らず、潮位の干満差が数メートル大きくなる事が確認されています。

また、昨年のシンガポールを襲った史上最悪の台風は、気圧と風のみで6メートルもの【津波】を引き起こし、シンガポール全体で死者は5000人超とも報道されました。
http://www.afpbb.com/articles/-/3003832

【スーパー・ムーン】時に、異常な低気圧と風が組み合わさると・・・。

by Hirosuke (2014-05-22 00:01) 

ebisu

恒常的に海面が3~4m上がると、それに大潮や低気圧などが重複して影響すると、局地的な大災害を引き起こすことになるのでしょう。
何もなくても海岸付近の標高3m以下のところは水没します。日本の国土面積はどれくらい小さくなるのかな?それほど大きな影響はないと思いますが、東京江東区のゼロメートル地帯は影響が大きい。多摩川流域も水没するところがずいぶん出るのでしょう。
200年後のことですから...なんて無責任なことを言ってはいけませんね。
わたしたちはどんなに不便をしても未来に責任をもつ世代でありたい。
by ebisu (2014-05-22 01:48) 

Hirosuke

この写真を見てください。
   ↓
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20130822/362211/?mail

まさしく【沈】んでいます。
「200年後」ではありません。
既に起こっているのです。

by Hirosuke (2014-05-22 09:08) 

ebisu

【加速する海面上昇】
みました。南極大陸西半球の基底部はそのほとんどが海面下ですが、氷床基底部が融けているのですね。東側辺縁部が内陸の氷がかから離れて南極海へ沈む懸念が表明されているのですが、西側もどんどん融けて氷の面積が小さくなりつつあるようですね。昨年九月のジオグラフィック紙に掲載された写真のキャプションにはそういうことが欠かれています。
グリーンランドの氷河も陸地に載っているので、融けると海面上昇の原因になりますが、夏場は大きな川ができるほど融けるのですね。全部融けると8mの海面上昇を引き起こすと書いてあります。
海水が熱膨張で膨らむことでも海面上昇が起きるとも書かれています。

100年後、わしたちのひ孫はどんな環境の中で生活しているのでしょう。
わたしたちの世代の責任を痛感します。
by ebisu (2014-05-22 11:11) 

Hirosuke

このページの最下部の言葉に注目ください。
塾長が挙げた文と同義と思われます。
    ↓
http://nationalgeographic.jp/nng/magazine/0706/feature01/_02.shtml
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「先端に浮いた氷は、陸側にある氷が海に流れ出すのを食い止める役割を果たしています。その氷が解けてしまうと、ちょうど栓が抜けたように氷河が海に流れ込んでしまうのです」と、アブダラティは説明する。
----------------------------------------
    ↑
「東・南極にあるウィルクス海盆は斜面に置かれた瓶のようなものだ。一度でも栓が抜けたらナカミが流出して空っぽになる」

by Hirosuke (2014-05-22 11:51) 

ebisu

Hirosukeさん、いい解説を見つけてくれましたね。
どうもありがとうございます。

これはグリーンランド(北極圏)の氷河の話ですが、東・南極と同じ構造ですね。
先端に浮いている氷は底が海底に載っているところから百km以上も続いているのでしょうから、質量が大きい。それが氷河の流れを遅くしている。
東・南極では大陸棚の海底に氷河の底ががっちりくっついていたが、底面に海水が入りだして接着面積が縮小しつつあるので、こんどは逆に先端の海面に浮いている部分の質量が海底から離れた部分に載っている氷河を質量の大きさと重力で引っ張ることになる。綱引きをやっているようなものですが、その綱が切れる。

「一度栓が抜けたら」数百キロの長さの氷河が南極海に流れ出す。問題なのは海底に乗っている部分です。これが深い海へと流れ出したら、海水量が増える。

面白いですね、「翻訳」と「よく読む」ということにはだいぶ差がありそうです。そこも含めて面白い。そういう楽しさを若い高校生や大学生たちと分かち合いたい。
by ebisu (2014-05-22 12:15) 

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