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#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014 [75.時事英語公開講座]

*プリントアウトしてチェック済み 5/21 23時* ⇒ 必要部分をワードにコピペすると使いやすいよ

  この記事の解説は書き直しました。次のURLをクリックしてご覧ください。

*#3247 East Antiarctica at risk of thaw Feb.28, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-28


 遅咲きの庭の紫つつじが花をつけ始めた。ひょろっとした幹とそこから伸びる枝の先に小ぶりの花びらが十輪、清楚な感じがよい。桜はあと少しで開花しそうで、膨らんだ蕾が朝霧にぬれていた。

 ― 結論 ―
 今後200年間の間に、数メートルの海面上昇が起きて、低地にある世界中の人口密集地帯が水没する。人類は地球規模での人口減少、食糧生産の急激な減少、経済縮小時代を迎えることになる。触れてはならぬスィッチはすでに押されてしまった。南極大陸棚の上にある高さ2千メートルを越す氷河の底部に海水が入り込んでしまった。その外側にある海盆へ続く海底は急斜面である。大陸棚に固定されている氷河と岩盤の接着面に入り込んだ海水が広がれば、氷河は大陸棚の岩盤から離れてその外側にのびた氷河に引っ張られてウィルクス海盆の急斜面を滑り落ちる。
 残念なことだが、人類にこれを止める手立てはないと異なる研究機関の研究者が同じことを言明している。これから200年間に渡って進行し続ける「不可逆な」動きが始まってしまったようである。
  1時間前にNHKがNASAの研究チームが公表した関連ニュースを配信。(13日11:25追記)
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 ― 序論 ―
 標題はロイターが配信した気候変動に関する記事である。このテーマは大学入試でもとりあげられる可能性があるので、専門用語と周辺知識を吸収しておくいいチャンスである。出題される問題文の背景を知っていると有利に解くことができる。

  ebisuは南極については知識がないので、日本語訳に手こずった。たとえば'Wilks Basin'の訳である。最初は「ウィルクス湾」という訳語で考えたのだが、読み進むと後の方の説明文と合わない。こういうときは原理原則に還り、言葉の定義から調べなおすことにしている。
 併行して、具体的な説明が後に続くテクスト中にあるはずだから、それを探す。こういうときは固有名詞が出てくる文節の直後、さらにはあとの段落でもっと具体的な説明がでてくるのであいまいにしたまま書き手が説明してくれるのを期待しながら読み進む。そうすればだんだんに訳(わけ)がわかってくる。そういう意味ではお手本のような構成の英文だ。
 道に踏み迷ったら、どのように脱出して本道に戻るか、いいケース・スタディになるはずである。ずっこけずっこけ、ようやく正解らしきところへたどり着くという過程をそのまま開示しようと思う。

 たかが英字新聞記事だが、専門外の部分はだれがやってもむずかしい。英語しか専門分野のない高校の英語の先生たちが英字新聞記事を授業で取り扱いたくない気持ちがよくわかった。(笑)
 英語の知識もさることながら、大事なのは記事の専門分野の知識―この記事なら南極の地質学的な知識など、経済記事なら経済学の専門知識、コンピュータシステムならシステム工学の専門知識、医学記事なら医学の・・・―というのが時事英語の特性である。英文科を卒業した高校の英語の先生たちの専門は英米文学、しかし文学が英字新聞社説で取り上げられたのをみたことがない。高校の英語の先生たちにとって時事英語は「専門外」のオンパレードである。

 高校生は細かいことはあまり気にせず読んでくれたらいい。大学入試の長文問題はおおよその意味がつかめただけでほとんど正解できるのだから、その辺りを目安に読めばいいのである。わからない単語にでくわしたら、品詞の見当をつけて、そして前後関係から意味を推測してから辞書を引こう。電子辞書ではなくて紙の辞書を読め、それが読解力を上げるトレーニングになる。


 5月6日ジャパンタイムズ一面の記事より
http://www.japantimes.co.jp/life/2014/05/05/environment/east-antarctica-more-at-risk-than-thought-to-long-term-thaw-study/
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Study adds to worries over rising sea levels

East Antarctica at risk of thaw

Reuters

Part of East Antarctica is more vulnerable than expected to a thaw that could trigger an unstoppable slide of ice into the ocean and raise world sea levels for thousands of years, a study Sunday showed.

(2)  The Wilkes Basin in East Antarctica, stretching more than 1,000 km (600 miles) inland, has enough ice to raise sea levels by 3 to 4 meters (10-13 feet) if it were to melt as an effect of global warming, the report said.

(3)  The Wilkes is vulnerable because it is held in place by a small rim of ice, resting on bedrock below sea level by the coast of the frozen continent. That “ice plug” might melt away in coming centuries if ocean waters warm up.

(4)  “East Antarctica’s Wilkes Basin is like a bottle on a slant. Once uncorked, it empties out,” Matthias Mengel of the Potsdam Institute for Climate Impact Research, lead author of the study in the journal Nature Climate Change, said in a statement.

(5)  Co-author Anders Levermann, also at Potsdam in Germany, said the main finding was that if set in motion, the ice flow would be irreversible. He said there is still time to limit warming to levels to keep the ice plug in place.

(6)  Almost 200 governments have promised to work out a U.N. deal by the end of 2015 to curb increasing emissions of man-made greenhouse gases that a U.N. panel says will cause more droughts, heat waves, downpours and rising sea levels.

(7)  Worries about rising seas that could swamp low-lying areas from Shanghai to Florida focus most on ice in Greenland and West Antarctica, as well as far smaller amounts of ice in mountain ranges from the Himalayas to the Andes.

(8)  Sunday’s study is among the first to gauge risks in East Antarctica, the biggest wedge of the continent and usually considered stable. “I would not be surprised if this (basin) is more vulnerable than West Antarctica,” Levermann said.

(9)  Antarctica, the size of the United States and Mexico combined, holds enough ice to raise sea levels by some 57 meters (188 feet) if it ever all melted.

(10)  The study indicated that it could take 200 years or more to melt the ice plug if ocean temperatures rise. Once removed, it could take between 5,000 and 10,000 years for ice in the Wilkes Basin to empty as gravity pulls the ice seaward.

(11)  “It sounds plausible,” Tony Payne, a professor of glaciology at Bristol University who was not involved in the study, said of the findings. The region is not an immediate threat, he said, but “could contribute meters to sea level rise over thousands of years.”

(12)  The United Nations panel on climate change says it is at least 95 percent probable that human activities such as burning fossil fuels — rather than natural swings in the climate — are the dominant cause of warming since the 1950s.

(13)  Sea levels are likely to rise by between 26 and 82 cm (0.85 to 2.7 feet) by the late 21st century, after a rise of 19 cm (0.6 feet) since 1900, it says. Antarctica remains the biggest uncertainty.
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 ― 解説 ―

Study adds to worries over rising sea levels


 海面上昇の懸念があるという研究がもう一つ公表された

East Antarctica at risk of thaw
 プラグ・アイスが溶け出しそうな東・南極大陸

(12)  The United Nations panel on climate change says it is at least 95 percent probable that human activities such as burning fossil fuels — rather than natural swings in the climate — are the dominant cause of warming since the 1950s.

(国連気候変動パネルは化石燃料を燃やすような人間活動―自然な気候の揺らぎよりも―が95%の確率で、1950年代以降引き起こされている地球温暖化の支配的な原因であると述べている。)

 この結論は妥当だろうか?中部大学の武田教授のように太陽の黒点活動が低迷期に入り地球は寒冷化に向かっていると主張している学者もいる。

(13)  Sea levels are likely to rise by between 26 and 82 cm (0.85 to 2.7 feet) by the late 21st century, after a rise of 19 cm (0.6 feet) since 1900, it says. Antarctica remains the biggest uncertainty.

(21世紀末には海面は26~82cm上昇しそうだ。1900年から20世紀末まで19cmの上昇だった。南極は最大の不確実性であり続ける。)

 百年間で比較すると、20世紀は19cmの海面上昇にすぎなかったのに、21世紀は最低でも26cm、最大で82cmの海面上昇となる。1.5倍から4.3倍の海面上昇が高い確率で起きるようだ。IPCCが予測しているよりも、ずっと深刻だという研究も公表されているから、海面上昇に関する研究は百花繚乱の様相を呈している。こういうことは元の論文を読んで裏付けデータを自分なりに解釈しないと判断ができない。たくさんある研究の中の一つぐらいにとらえておこう。

 問題なのは、一旦溶け出したらその反応は不可逆で、数千年間続くということ。温暖化が地球規模ではっきり確認できたときには「もう遅い」ということがありうる。

 なんだか訳のわからない解説になってしまったことを申し訳なく思う。肝心のところのメカにズムが書いていないということもあるが、専門知識がないとこういうことになりかねない。でも、お利口でないebisuは面白そうだからとりあえずやってみた。
 読者のご叱正を乞う。

*#2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-21

  #2683 南極大陸周辺の謎(1):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23-1

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 ― 補足 ―

【海面上昇のメカニズム】5/13 11時追記
 「南極・ニュース」で検索してみたら、NHKが関連ニュースを1時間前に配信していた。
*「南極の一部氷河 「温暖化で流失防げず」 5月13日 9時52分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140513/k10014403511000.html

 大陸棚にある氷河と岩盤の間に海水が入り込んでしまっているというのだ。そこがリムとなって大陸棚の外側の急斜面を氷河がずり落ちるのをとめていたのだが、その「接着剤」がはがれたということ。あとは重力の仕事だで、接着面が次第に小さくなり、あるとき突然に急斜面を氷河がウィルス海盆へ向かって滑り落ちることになる。
 仮にリム部分(大陸棚の上)の氷河の厚みが1000mで大陸棚の深さが0⇒200mに20kmの幅でゆるい傾斜だとしよう。その先はウィルクス海盆で30度の急傾斜になっている。1000mの厚さの氷河がリム部分を越えると、海水の上に出す頭は80mくらいだから、重力で急斜面を下りながら920mも沈み込むことになる

  まどろっこしいのでNHK記事を引用する。

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NASA=アメリカ航空宇宙局などの研究チームは南極大陸の一部の氷河について、温暖化の影響で、すでに氷河そのものが失われるのを防ぐことができない状態になっているという分析結果を明らかにしました。

NASAやカリフォルニア大学などの研究チームは12日、人工衛星や航空機による観測などから得られた過去40年間のデータを基に、南極大陸の西側にある6つの氷河の状態や地形を分析した結果を発表しました。
それによりますと、これらの氷河では、海水温の上昇などの影響で地面と接する氷河の下の部分に海水が流れ込んで氷が溶けており、氷河と地面が切り離されている地点は、20年前と比べて最大で37キロ内陸側に入り込んでいたということです。
このため氷河が流出しやすくなっていて、氷河が海に向かって移動する速度は年に最大4キロメートルと、40年前と比べて1.7倍の速さになっていたということです。
さらに氷の下の地形の分析で、流出をせき止められるような地形ではないことが分かり、研究チームは「これらの氷河が失われるのを防げる段階はすでに超えた」として、今後数百年以内に6つの氷河はすべて失われ、1.2メートルの海面上昇につながると指摘しています。
また、16日付けのアメリカの科学雑誌「サイエンス」では、別の研究チームも6つの氷河のうちの1つが早ければ200年後にも崩壊するという予測を発表し、温暖化の深刻な影響が浮き彫りになっています。
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Photos

search iconClick to enlarge

Satellite images of the retreating and advancing Vanderford Glacier, Wilkes Basin, East Antarctica, in relation to its terminus in 1963 (denoted by the red line). | USGS EARTH RESOURCES OBSERVATION SCIENCE CENTER


 この写真にある⇒部分が氷河の流速の大きい部分を示している。幅は10kmほどだ。2000年の写真では10km×5kmほどの氷山が流れ出している。これが大陸棚に乗っている部分からねこぞぎ南極海へ流出したら、120km×100kmもの面積(四国の7割りのサイズ)の巨大氷山になるだろう。

*「グリーンランドの氷河の流れが加速」 ナショナル・ジオグラフィック・ニュース
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140205004

*#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-11-1

 #2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-21

*#2683 南極大陸周辺の謎(2):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23-1

 #2912 爆弾低気圧が根室へ:小中高全部休校(釧路および根室管内) Dec. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17

 #2913 緑町の一部が冠水 :爆弾低気圧の影響?  Dec. 17, 2013 
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 #2914 予測の範囲だった爆弾低気圧と高潮被害:地球温暖化と関連ありやなしや Dec. 18, 2014
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