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#2647 問題消化速度1対35の衝撃(1):学習量=速度×集中力強度×時間 Apr.18, 2014 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 数年前の中1年生のことを「記録ノート」の数字を見ながら思い出して書いてみたい。
 1年生の数学は「正負の数」からはじまっている。標準的な生徒よりも計算力のある生徒と、マイペースで計算が遅い生徒にそれぞれ一生懸命にやったらどれだけ解けるか試してみたことがある。

 マイペースの生徒をA君、計算速度の大きい生徒をB君とすると、

  A君  12問/2時間=12問/120分=0.1問/分
  B君  35問/10分=3.5問/分

 問題消化速度はA君は1分あたり0.1問、B君は3.5問だ。計算問題の消化速度の比をとってみよう。
  A:B=0.1:3.5=1:35

 人間の歩く速度は概ね時速4kmだから、それの35倍だと時速140km。歩く人と、高速道路を時速140kmで走る高性能の車では走る距離(学習量)において比較にならない差が生じることは自明だろう、それと同じことが勉強量でも起きている

 標準的な生徒の計算速度を「2問/分」と假定すると、A君は標準速度の1/20であり。B君は1.75倍だということがわかる。
 急がせたせいかA君の正解は3問(/12問)で計算精度は25%、B君は34問(/35)で97.1%だった。計算速度が大きいほうが正確だった。

 B君はそろばん塾に通ったことはないが、計算が得意だ。速度が大きい生徒のほうが正確な計算をすることは、日本語の音読と同じだ。読書速度が大きい生徒ほど書いてある内容を適確にとらえており、速度が遅くなるにしたがって文意を把握できなくなる傾向がある。つまり計算速度や読書速度は問題消化量や学習量と比例関係にある

 速度が35倍も違うとどういうことになるか、考えてみてほしい。
 B君の10分間の勉強はA君の約6時間(10分×35=350分=5時間50分)に相当するのである。B君が1時間勉強するとしたら、A君は一日中勉強しても同じ量を確保できない。現実にそうしたことが起きている。観察事実と假説が符合している。

 計算問題消化量=計算速度(×集中力強度)×時間
 読書量=読書速度×時間

 STAP細胞とは違って、これはたんなるebisu假説ではあるが、だれでもこのような関係があることに薄々知っている。
 こういう等式が「問題消化量」「計算速度」「集中力強度」「時間」の間に成立っていると考えると、毎日何時間も勉強しているのに効果がないと愚痴る生徒がいる反面、たったの30分しか勉強していないのにトップクラスの生徒がいるという現実がよく飲み込める

 正解率を考慮に入れると「集中力強度」が問題になる。読んだ本の内容理解にも「集中力強度」が関係する
 速度と集中力強度は多くの観察結果から正の相関関係が強く、経験値からおおよそ相関係数は0.9あると考えられる。つまり、集中すれば速度もあがる。速度の遅い生徒は集中力も弱く、注意力も散漫になり、ミスが続発する。何度同じことを注意してもすぐに元にもどってしまい、10回も20回も同じことを根気よく繰り返し説明する必要がある。

 これは問題消化量だけに成立つ等式ではなく、学習全般に成立っている等式と考えられる

  学習量=速度(×集中力強度)×時間

 この場合の「速度」とは「頭の回転速度」のことだ。勉強は何時間やったかではない、速度と集中力強度をどれだけ高く保持できるかにかかっている
 だから「テレビを見ながら」とか、「音楽を聴きながら」の勉強は速度と集中強度を低下させることになるのでやめた方がいい。毎日そんなことをさせていたら、習慣となり、2年もあれば性格にまでなってしまう。ぐうたらで計算速度が著しく遅く、不正確、主要五科目に得意科目なし、そういう子どもが出来上がるからご用心、でも防げますよ。

 計算力に関していうと、逆九九が早口で言えない生徒は、計算速度が著しく遅い。それだけで計算速度は標準的な生徒の半分以下となると考えるべきだ

 逆九九とは九九を逆から早口で言う技だ。
 9×9 81
 9×8 72
 9×7 63
 9×6 54
 ・・・
 5×9 45
 5×8 40
 ・・・
 2×3 6
 2×2 4
 2×1 1

 7の段と6の段と4の段でつっかかる項がいくつかある子どもが案外多い。そういう子どもは計算が遅く、九九が原因で計算をよく間違えてしまう。計算ミスの多い中学生は九九まで遡って確認すべきだ。よどみなくスラスラ言えなければ、早口で逆九九もスラスラ言えるまでトレーニングすべきだ。
 中学校の数学の授業参観を3校6回したが、授業中に九九に問題のある生徒を見つけ出して指導するのは無理だろう。おそらくほとんどの先生が放課後個別補習で生徒を注意深く観察しなければ見つけられない。見つけてもプライドがあるからそのあとの指導がなかなか難しい
 早口で言えなければだめだが、小学校の先生たちは半数以上も逆九九を授業で教えていない学校でトレーニングし、家でもやらせるべきだ逆九九が早口で正確に言える子どもは口がよく動き、日本語の音読も上手だ逆九九ができないと割り算の商を立てるのに時間がとってもかかるだけでなく日本語の音読スピードも概して遅くなる傾向がある

 九九は早口でトレーニングすべきだが、男の生徒で物を言うときに腹話術師のようにほとんど口を動かさない生徒がたまにいる。発音がハッキリしないので話している内容が聞き取りにくく、日本語の音読も著しく下手になる。もちろん英語の教科書もほとんど読めないし、苦手だから読もうとしない
 そういう生徒は漫画の本は読むが、年齢相応の本を読めないし読まないから、読む能力が小学3年生程度にとどまったままとなる。こういう生徒がいまや根室市内には25%もいる。低学力の原因はこういう低学力層がこの6年間ほどの間に数倍に肥大化し、高学力層が4分の一ほどに痩せてきているからだろう。
 読書スピードが遅い生徒は、数学の文章題もたった2行の問題でも問題の意味がつかめないから、正解できない。国語も社会も理科も教科書は日本語で書かれているから、学力全般が低いままになる

 <結論と対策>
 ①九九は早口で言わせる
 ②逆九九のトレーニングをさせる
 ③児童書から卒業し、大人の本を高速で音読させる
 ④「~しながら」勉強はさせない

 頭をよくするには速度と集中力強度を大きくすること。学習量は時間だけでは測れない、速度と集中力がより重要
 それでも小学生4年生は1時間以上、中学3年生は強制的にでも2時間以上毎日勉強させること。勉強しなければパソコンもスマホも1ヶ月間取り上げよう
 ニムオロ塾ではこの数年間は中学生でも必要に応じて九九や逆九九のトレーニングを課すことにしている。これだけ速度が違えば、数学に関しては一斉授業は無理というもの。個別指導が最適だ。じつは国語も読書速度にこれぐらいの開きがあり、速度が速いほど内容把握も正確になる傾向がある。音読をさせたり問題を解かせてみたらわかる。国語も読解速度を高める適切なトレーニングを課すべきだ。読書スピードの大きい生徒は高校生になってからも、国語や英語や数学の成績のノビシロが大きい。ほんとうだよ。
 
<救いのある話>
 小学校4年生で口を動かさずにぼそぼそ喋る生徒に20代のころに出遭ったことがある。自閉症児という話だった。算数の授業を「あいうえおかき・・・」の発音から始めた。1対1の個人指導にしてもらいしばらく(2年ほど)は半分くらいいっしょに遊んで、コミュニケーションを重視した授業をしていた。信頼関係が育つのに応じて勉強へ重点をシフトしていった。中学生の終わりころには真ん中の成績にまでアップした。本も読むようになった。2年浪人して医大へ進学し、医者になっている。どこで何科の医者をしているか最近ネットで検索してみつけた。立派なものだ。国語と英語を教えたのは本も書いているEさんだ。
 ようするに本人の心構え次第ということ、そして教える先生の根気もちょっとだけ必要かな。3年間で塾の専任講師を辞めた後からもお母さんに頼まれて教えた、断れなかったのである。何年教えただろう。毎週土曜日2~3時間、合格直前までだっただろうか、それとも1年前だっただろうか、覚えていない。○○大学医学部へ合格したとお母さんから電話で連絡があったことははっきり覚えている。息子の名前を言いながら「・・・が、・・・が○○大学医学部に受かりました・・・」、泣いていた。息子の成長がうれしかったのだろう。めぐり合えてよかった、奇跡のような生徒だった。
 わたしがかつて2年ほど働いていた場所から車で15分くらいのところにある病院で仕事をしている。立派な医者になったあいつには会いたいと思わないが、なつかしい昔のあいつには会いたい気がする、無理な注文だ。根室でもそういう生徒にめぐり合えたら・・・

 
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合格先生

 集中力強度も数値換算が可能です。
 「自分が感じた時間」と「実際にかかった時間」の関係で算出することができます。
 ebisuさんの公式に当てはめるなら、(実際にかかった時間)÷(自分が感じた時間)で算定するとよいのではないでしょうか。

 例えば、実際に30分かかったことに対し、自分では20分にしか感じなかったとすれば、
 30÷20=1.5 として、数値を算出して掛ければよい、ということです。

 数値が1より大きい場合、集中していたということが分かります。逆に10分の仕事を20分に感じたとなれば、
 10÷20=0.5となり、この場合は数値が1未満なので集中できていないと判断できます。
by 合格先生 (2014-04-19 05:04) 

ebisu

おはようございます。
面白いアイデアですね

>(実際にかかった時間)÷(自分が感じた時間)

好きな科目の勉強をしているときは時間が短く感じられます。わたしが驚いたのは1079年にプログラミングを始めたときに、5時間が1時間ほどにしか感じられないことがしばしば起きました。覚えたての頃は面白くてしょうがなかった。会社でも家でもやっていた。少し早く帰ってきたときに夕食を食べて書斎で仕事の経営分析関係の統計解析プログラミングをしているとあっというまに夜が明け始めてあわてて2時間ほど仮眠して会社へ行く、なんてことが頻繁に起きました。
あのときは合格先生の算式では集中力強度は5ですね。

じつはこれら二つの変数の標準を合格先生と同じく1と考えています。
xyz三つの軸で直方体の体積をイメージしています。

問題消化量では計算速度と集中力強度に個人差が大きい。これが、0.1から5の間に分布していると假定すると、同じ1時間の問題消化量が最大2500倍になりますが、集中力強度は主として精度にかかわる変数であると思い直し、()でくくることにしました。集中力強度は量にはあまり関係せず、質=計算精度に影響するからです。

同じテーマで数回書くつもりでいますが、2番目の稿の大筋が固まりました、ご協力ありがつございます。
by ebisu (2014-04-19 08:32) 

後志のおじさん

計算技能が日本では目立ちますが、言語能力にも同じようなことが言えるのではないでしょうか。(私は言語能力の方が優先さるべき、と固く信じています。)たまたまですが2012年旭川医大の英語入試問題を眺めていて、見つけた論文ですが―――意識の高い家庭の子とそうではない家庭の子とでは、小学校入学時点で、接した語数でのべ3200万語の差がついているそうです。小学校入学段階での、言語能力の大きな差はそのまま、算数をはじめ各教科の理解力の差に直結するものだ、と。――――読むスピードの速さイコール情報吸収力の高さですから。赤ちゃんの頃から周りが声をかける、対話をする、本を読む姿を見せる、本を読み聞かせる、いろいろな言葉を教える、やはりつぼところはここに尽きるのではないかと思うのです。
by 後志のおじさん (2014-04-19 23:17) 

ebisu

後志のおじさんありがとう。
その通りです、言語能力が第一です、計算能は2番目。赤ん坊に話しかける、言葉が理解できるようになったら対話する、読み聞かせをする、物心ついたら年齢相応のレベルの本あるいは少し背伸びした年齢の本を読む。そして周りの大人も本を読んでいる、そういうよい環境の中で育てるべきでしょうね。

「読み・書き・そろばん(計算)」これは順序が重要な意味を持っているのでしょう。「読み」が先で、次に「書き」、そして「そろばん」です。計算能は3番目です。昔の人は実に適確に考え、そして実際にツボを心得て教えていた。
by ebisu (2014-04-19 23:35) 

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