SSブログ

#2639 STAP細胞報道‐2 : 「200回作製した」 Apr. 11, 2014 [42. STAP細胞に関する話題]

 女一人を寄ってたかって叩くのは卑怯千万なことだから、報道のあり方および理化学研究所の仕事の管理の悪さに前回弊ブログ記事#2638で苦言を呈しておいた。
 指導監督の立場にあったものはもとより、共同研究者に名前を連ねている人々も無責任の謗りをまぬがれぬ。記者会見したのは小保方晴子一人で、みなさん知らぬ顔の半兵衛を決め込んで自分に罪がないと逃げている姿は恥ずかしい、男じゃないよ、それでもチンチンついているのかい。共同執筆者に名前を連ねたら、共同論文全体に責任が及ぶと考えるのが普通だ。わたしはこの部分のみやったのであとのところはまったく関知していませんというのなら、共同執筆者に名前を連ねるべきではない。
 同様に卑怯なのは理化学研究所の理事たちである。問題の所在を理解していないか矛先が自分達のほうへ向くのをそらそうとしているのではないか?
 理研にとってはSTAP細胞は「特定国立研究開発法人」指定をとるために目玉の研究テーマだったはず、それゆえ理化学研究所の理事たちのマネジメント能力も問われているのである。
 野依理事長はノーベル賞を受賞した優秀な研究者ではあるが、理研という大きな組織のマネジメント能力という点では他の理事や研究所長ともども疑問符がつけられたと考えるべきだ。どのようなマネジメント上の改善がなされるのかにも注目したい。
 小保方さんは四面楚歌の中で弁護士に支えられて精一杯の記者会見だったのだろう。

 さて、本題に入ろう。今回は小保方さんの説明がちょっとまずいなと感じた点を解説しておきたい。
 記者会見で小保方さんはSTAP細胞の作製に200回成功していると言明したのだが、ちょっと不用意だなと思った。
 データの扱い方に不慣れというより、へたくそに見える。失礼ながらひょっとしてこの人「データ音痴」かもしれない、自分はわかっているのだろうが、部外者には具体的な事情がさっぱりわからない説明だった。
 わたしは理系の人間ではないのでますます話しがよくわからないので、論点を具体的にとりあげてみたい。できのよい小学生にもわかるようにブレイクダウンしてみたい。

 STAP細胞の作製には2-7日間かかるから、最大値で計算すると、
 7日×200回=1400日・・・おおよそ4年間

 成功率を20%と考えても20年年、たぶんこういう計算を頭の中でして解説していた専門家がいた。東大の先生だったと思うが、「計算上ありえないと」言っていた。それだけではテレビ視聴者にいいたいことの根拠が伝わらぬ。計算根拠や前提条件を隠したままの批判はいただけない。
 たとえば、同時に10系列のSTAP細胞作製をすることだって可能だろう。そういう前提なら、
 7日×200回/10=140日

 成功率が同じく20%なら700日(2年間)、これだけの期間ですむことになる。
 訊かないとわからないのだから、記者は小保方さんに訊くべきなのだ。東大の先生も小保方さんがどういう論拠で言っているのかわからないのだから、自分の計算根拠とその前提条件を示すべきだっただろう。この点では小保方さんも東大の先生もデータの取扱や説明の仕方が似たようなレベルとしかいいようがない。

 記者は質問が一人2~3に制限されていたのだから、小保方さんの発言を受けて「2-7日かかるのだからどういう計算ですか」と訊けばよかったのである。自分が事前に用意した質問を後生大事にして相手の発言に応じた質問で切り返せないのはプロとして恥ずかしいことはこの際脇においておこう。小保方さんは自ら200回作製成功について具体的に説明すべきだった。

 あれだけ大勢の取材陣を前にして、そういうことまで30歳の女性に求めるのは酷だろう。弁護士を通じてあとで公表すればいい。

 もう一つ書いておこう。STAP細胞作製の「コツ」について明らかにせよという質問が出たが、これは愚問だった。研究者にとっては一連の仕事を学術論文として世に問うことが大切だから、未発表段階でそれを公の場で口頭で説明せよというのは無理がある。論文にしなければ意味がないのである。そしてそれが特許にかかわる事だってあるのだから、なおさらだろう。雇用関係があるのだから、理研の同意がなければいえるはずがない。雇用契約と同時に研究内容についての秘密保持契約もしているはずだ。特許にかかわる事項があるなら、論文の公表は弁理士に依頼して特許出願してからであることぐらい「常識」だろう。記者会見の場にいる資格のない不勉強な記者が多すぎる。小保方さんはその場で答えるわけにはいかない質問にしばしば困った顔をしていた。
 研究者にとっては続けて何本も関連論文を書くことが飯の種なのである。やらせてみてまってやればいい。STAP細胞作製が理化学研究所広報が当初公表したように2-7日間でできるなら、厳重な管理の下で実験をやってもらえば3ヶ月もあれば理化学研究所内部では決着がつけられるだろう。マスコミの雑音に惑わされる必要はない、内部で3ヶ月で検証実験をするのでお待ちくださいとアナウンスすればいいだけのことだ。

 それすらできないのなら、理化学研究所野依理事長や理事たちの仕事の能力が問われることになる、とebisuは思うのだが違うだろうか?論文体裁の問題もそうだがもっと大事な論点はSTAP細胞が存在するかどうかである。あれだけ理研が組織ぐるみでその存在を宣伝したのだから、もし存在しなかったら責任は小保方さんだけではない、理研の理事全員に及ぶことを肝に銘じたらいい。

 思い出した。数日前に「改竄・捏造」があったという記者会見のあとに理研の女性理事が車に乗るところをテレビ・レポータが「(共同研究者は全員問題なしで)小保方さん一人が悪いのですか?」と問いかけたら、吐き捨てるように「いいのよ、それで!」と叫んで車に乗り込んだ。
 「特定国立研究開発法人」指定をとりたいために「蜥蜴の尻尾」を切って自らの管理責任を棚上げにして逃げ切りたいという気持ちが声の調子によく出ていて、こんな人物が理事ならトラブルがあちこちで起きているのではないかと心配になった。


*#2638 STAP細胞報道:未熟で何が悪い&ポスドクの悲哀  Apr. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-10

 #2581 世紀の大発明 STAP細胞: Cell reprogramming advances (ジャパンタイムズより)  Feb. 2, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-02

にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村

4/11 11時半追記

 小保方晴子さんはユニット・リーダであるが、その上司はグループ・リーダの丹羽仁史氏だ。彼は3/5発表のSTAP細胞作成法の責任著者になっているが、いまごろになって「STAP細胞は假説であり、真である確率は低い」とのたまわっている。自分の業績になると思ったときには責任著者になり、マスコミの批判の嵐が起きると、STAP細胞は真である確率の低い假説であると言い逃れる。小ずるく卑怯な振る舞いはみったくないから好い加減におやめになったほうがよい。
 小保方晴子の論文体裁に大きなミスのあったのはわたしの指導力不足が原因ですと非を認めたらいい。小保方さんの研究者生命を奪うような「捏造」判定をしたのだから、みっともない言い訳をせずに直属の上司である自分も責任をとって辞職すべきだ。人間の真価が出るから、こういうときにこそ逃げてはいけないのである。直属の部下の研究者生命を奪うような「判定」に加わる前に、上司としての責任を明らかにして辞職する覚悟がなければならない。
 中高生にはいい教育材料になった。権限には責任が伴う、仕事とはそういうものだよ。
 まともな男が日本には少なくなった、情けない。

*丹羽氏の言い訳・・・4/11MSNニュースより
http://sankei.jp.msn.com/science/news/140407/scn14040722100010-n1.htm


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 4

tsuguo-kodera

 私は美しい女性に甘い管理職だった無職の定年退職者です。彼女の涙に弱いのです。だからかもしれませんが、小気味よい記事だと感心した次第です。さらに加えて、変わり者の、彼女の弁護を一言させてください。
 実験はパラレルで行うのが普通ではないでしょうか。シャーレか培養器具が一つと言うことはないのでは。たとえば200個あったとしたら1週間か2週間で200回成功とも言えるのかも。
 シリアル結合だけで実験することはあり得ないのでは。それほどノーベル賞学者さんは期待していたテーマだったとすればです。
 逆に期待していなかったら何年もかかりえる状況だったのかも。でも、論旨のように理研が、理事や責任者が期待していたテーマなら数億円の機材があっても良いのかも。そうでないと矛盾しているのかも。
 そのように予算獲得に血道をあげていた貧乏会社のもと研究部長だった私には思えます。
 でも全体の論旨は、再掲しますが小気味よい、すっきりする後味でした。ありがとうございました。
by tsuguo-kodera (2014-04-11 17:59) 

ebisu

tsuguo-koderaさんへ

初コメントありがとうございます。

理研は半分お役所のようなものですから、予算で動いているのでしょう。STAP細胞が有望だったとしてもものにならないうちはそれほど予算はつけられなかったでしょうね。
手作業でしょうから10系列ぐらいの同時進行ならユニットにどれだけ人数がいるか分かりませんが、可能な範囲でしょうね。

会社は儲けなければ嘘です。わたしのいた会社は利益率が比較的高かった。入社した頃は売上高経常利益率が12%でしたから、いくらでも開発予算が使えました。失敗しても誰も責任を問われないので、お祭り騒ぎのようにわっしょいしているうちに、ものになる大型新商品がでてくる。
一部上場してから、一流大卒がずいぶんと入社するようになってからは、会社の利益率が減少しました。
経営とは不思議なものです。
by ebisu (2014-04-12 01:24) 

NO NAME


科学とは何か知っておられるのでしょうか?

最低でも普遍性・再現性・万有性を備えているこちです。
科学者たるものTVでお涙頂戴してる暇があったら
間違った写真じゃない方の写真でも載せて
堂々と再発表したらよかろ。

科学の場は科学の場で!
メロドラマやあらへんで。

by NO NAME (2014-04-12 23:09) 

ebisu

>科学とは何か知っておられるのでしょうか?

主語はなんでしょう?
3通りに読めます。
小保方さんが主語なら、理系の大学院を出てドクターの学位をもち、ハーバードで研究を積んでいるのですから、常識的にはよくご存知のはず。それでもミスが重なったのはなぜ?


>間違った写真じゃない方の写真でも載せて
堂々と再発表したらよかろ。

そのとおりですね。理研が押さえているのでしょうから公表してほしいですね。まあ、調査委員会の結論を待ちましょう。
2ヵ月で結論を出すとアナウンスがありました。
by ebisu (2014-04-13 00:31) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0