SSブログ

#2558 基礎学力問題対話(4) : 勉強の躾け方 Jan. 5, 2014  [A7. J&K対話]

 さて、バーチャル対話シリーズ4回目だが、家庭での勉強の躾け方についてジローに語ってもらう。お母さんたちは参考にして、やってみてほしい、勉強好きな子はつくれる。

K:ジローと飲むと酒が旨いな、そろそろ本題に入ろうか。
J:本題?なんだっけ。
Kおいおいジロー、少し酔ったようだな、家庭での勉強の躾け方を聞きたいと前に話しておいたろう?
J:ああ、なんだあの話か、自慢話になりそうで話したくない。
K:そういう謙虚なところはメンコイ、でもジローの成功体験をしゃべってもらうよ。根室管内の子どもたちの学力が都道府県別偏差値で小学6年生が37.0、中学3年生が41.4だ、じつは根室市内は管内よりも低いという情報が入っている、根室市教委はそうした事実を隠している、この低学力という現状はなんとしても変えたい。それには勉強の躾け方も重要な要素のひとつだから、ジローのノウハウを洗いざらいゲロしてもらって、公開したい。
J:そんなにたいそうなことではない、じつは簡単なことなんだ。1年生で習ってきた漢字を10回書かせる。コピー用紙を買ってきて問題を書いてやるんだ。きちんと書けたら「きれいに書けたね」とにこにこ褒めながら赤で大きなマルをつけてやるんだ。最初はひらがなやカタカナの練習でいい。すぐに漢字が出てくるから、出てきたら漢字を書かせればいい。やらせる時間は最初の内は15分とか20分でいい、「生活習慣の一部」にするために毎日やることが大事だからな。
 2年生になったら、習った漢字で短文章を一つ作らせる。こうすると勉強時間が自然に長くなるんだな。少し考えないと1行の短い分が思い浮かばないから。きちんと書けたら「きれいに書けたね」とニコニコ微笑んで大きくマルだ。そして1年生の漢字の復習もさせる。繰り返し書かせることが大事だ。 
 3年になったらまた同じことの繰り返しだ。1年2年3年の漢字を繰り返し書かせる。そして3年生で習った漢字は短文章を二つ作らせる。できたら、ニコニコ微笑んで、「きれいに書けたな」とまた褒めてマルをつける。
 4年生からは1年の漢字の復習はしない。2年からの3ヵ年分の漢字を書かせる。その漢字を使った短文章は二つ、できがよければ三つに拡張してもいい。三つにすると難易度がかなり上がる。でもむずかしいから無理しないように。こういうふうにやると作文が書けるように自然になっている。
 5年生は3・4・5年の3年分の漢字の書き取りトレーニングを続ける、6年生は4・5・6年の3年分だ。ようするに同じことの繰り返しだ、単純なトレーニングを繰り返して習慣にしただけ
K:毎日やることは習慣になり、習慣はいつか性格を形成する。6年かけて、毎日きちんと家で勉強する子ができあがるというわけだ。そうやって国語の素養をしっかり家庭で躾けたのか、たいしたものだが、おまえの方法は北教組の先生たちの指導法とはまったく逆だ。彼ら・彼女たちがお得意にしているのは「問題解決型学習」というやつで、そういう単純なトレーニングを嫌う。「生徒に考えさせる授業」というもので、基礎基本の単純トレーニングの繰り返しを嫌う。それで基礎計算力のない小学生が増えてしまった。
 ジローは北教組のシンパのはずだが、指導論では、問題演習時間をしっかり確保するというTOSSとそっくりだ。北教組大好き人間なのに自分の子どもにやってることは真逆だよ。おまえは好い加減なやつだな、でも立派だよ。自分の子どものことになるとちゃっかり主義主張と別なことを選んでいる。(笑)
J:え、そうなのか?
K:そうだよ、自分の教育法が正しいと思うなら、教育に関しては北教組親派という考えを自信をもって改め、お仲間を説得すべきだな。「読み・書き・そろばん」の基礎学力は単純なトレーニングの繰り返しが有効な指導法だというのは、ジローだけではないぞ、おまえがきらいな基礎学力問題のご本家「釧路の教育を考える会」もジローと同じだ。ようするにジローがやっていることは「釧路の教育を考える会」の主張と同じだよ。つまりだ、北教組支持のおまえと「釧路の教育を考える会」のメンバーのおれの意見は一緒だ。「宗旨」替えしろとはいわんよ、馬の鞍を替えるようなわけにはいかない、もう身体の一部のようなもの、外せっこないだろうからな。
 次は算数だ。
J:算数は足し算を毎日5題から10題、紙に書いて問題をオレがつくってやらせた。足し算の次は引き算。九九を習ったら、九九。そして掛け算と割り算。毎日問題をつくってやらせた。
K:たいした根気だ、おそれいるよ、ところで逆九九はやらせたか?
J:もちろん、いっしょに声に出してやって教えた。9×9=81、9×8=72、9×7=63、・・・、9×1=9、8×9=72、8×8=64、・・・、2×2=4、2×1=2、という下がっていく九九だな。
K:そうだよ、掛け算も割り算も、小数の計算も分数の計算も、毎日毎日問題を書いて教えたのか?
J:そうだ、4年生まではそうしたが、あとは問題集で自分でやっていたよ。
K:これも昔のやり方そのままだ。単純な計算トレーニングの繰り返しだ。学校でやっている問題解決型指導法とは違って、単純で有効な方法だ。こういうトレーニングの積み重ねが威力を発揮するのは高校数学だ。トレーニング不足のものは計算スピードが追いつかないから試験の点数が上がらない。計算力が不足していると、試験問題を全部やることはできない。
 面白いな、学校現場とはまったく違う、むかしからある古い方法でジローは子どもに勉強を躾けた。その結果、ジローの子どもは三人とも国立大学へ進学か、根室ではほとんど例がないな。
 ジローも還暦をとっくに過ぎたんだから、そういうノウハウを若いお母さん達に教えてあげたらどうだ?
J:そんな気はない。第一そういう機会は無いよ。
 小学校低学年で躾けてしまえば、習慣になっているから、あとはほうっておいても自分でしっかり勉強する。それだけで中学校ではトップクラスだ。
K:ようするに、勉強のシツケの急所は小学1年生のときにあるということだ。そこで、母親か父親がしっかり面倒を見てやること。1年生や2年生なら、勉強がきらいだった親でも教えられる
J:やらせるだけではダメで、「よくやったとか」、「上手だねとか」、「きれいに書けたたからマルだ」とニコニコ微笑みかけながらほめることが大事だ。褒めて育てたから、うちの子どもたちはみんなオレよりも字がきれいだ。
K:ありがとう、ほめながらだな、よくわかった。
 ニムオロ塾にもよくいるんだ、「先生、おれほめられて伸びるんだから、たくさんほめてくれ」なんてやつがね。「バカヤロウ、ほめてくれではなくて、ほめてくださいと言えって、叱ってやるんだ」、よし、いいところを見つけていっぱいほめてやろう。

-----------------------------------------------

              ― 補足 ―

 【勉強の躾け方:補足】
 子どもの勉強を躾けるのは案外簡単だ。小学校1年生のときに親が関与して問題をつくり15~30分ほど面倒を見てやるだけでいい。短い時間でいい。毎日やって習慣化することが最優先課題だからね。こどもは紙がいちまい終わったら、褒められて大きなマルをもらい、「もう一回」とせがむようになる。
 勉強は楽しいものだと最初に刷り込みをやっておけばいい。「きれいに書けたね」と褒めてやったら字はどんどんきれいになる。素直に育てればこどもは親よりも字が上手になる物だ。褒められたくて、問題をもう一枚つくってほしいとせがむようになったら、大成功だ。「勉強しろ」なんて小言をいう必要がなくなる。
 ブカツばかりやらせて、家庭での勉強のシツケをしそこなったら、10人中5人はいくら「勉強しろ」といってもしなくなる。習慣になっていればご飯を食べることと同じくらい自然に勉強をするが、やったことがないことはできない。やったことがないという習慣をつけてしまったらたいへんだ。やらないというのも一つの習慣で、習慣を変えるのはたいへんな困難を伴う。タバコや酒やパチンコやゲームをやめるのと同じだ。小学校で家庭学習の習慣を躾けられなかったら、家庭では勉強できない性格になっている。習慣を何年も続けるとそれは性格の一部を形成してしまう。毎日やること、毎日やらないことをおろそかにしてはいけない。それは習慣となり、いつしか性格に化けてしまっている。

 【読書週間のある子は学力が高い】
 本を読む習慣も小学生のうちに育んでほしい。
 読書力は基礎学力の土台だ。「読み・書き・そろばん」の最初が「読み」だ、本を読み毎日国語辞書を引く習慣を小学校4年生になったら躾けてほしい。読む本のレベルを上げていくことも忘れてはならない。レベルの低い本ばかり読んでいると、使われている日本語語彙が貧弱だから語彙拡張が起きない。読む本のレベルを上げると知らない語彙が出てくるから、辞書を引く機会が増える。だから読む本のレベルを上げる必要がある。
 年齢に応じて読む本のレベルを上げていくべきで、どういう本を読むべきかわからなかったら、ニムオロ塾へ来たらいい、塾長が相談に乗るよ。読書相談はビジネスではないからもちろん塾へ入ることも勧めない。学年を聞き、読んだ本をいくつか聞いて、読むべき本を30冊~100冊ほど薦めることになるだろう。そこから選べばいい。3ヶ月に一度くらい報告に来たらいい。様子を聞いて読む本を選んであげる。
 本好きな子どもが増えたらうれしいね。国語が、日本語力がすべての教科の基礎をなしている。「
読み・書き・そろばん」は優先順位の通りに並んでいるから、「読み」が一番大事なんだ。すべての基礎だよ。

 【勉強のシツケには旬がある】
 わたしは、この4回目を書きたくて、前三回を書いた。育て方、家庭勉強のしつけの仕方を間違えてはいけない。シツケには旬の時期があることを忘れないでほしい。

 【人材をつなぎとめるために魅力のある企業に生まれ変われ】
 ジローの子どもたちにかぎらず、東京へ進学した子どもたちはほとんど根室へはもどってこない。地元に魅力のある企業が少ないからだ。これも根室の現実だ。地元企業はオープン経営へ舵を切って経営改革したらいい。
 26年後の2040年には根室の人口は1万8000人だ。社会福祉・人口問題研究所の地域別推計によれば現在よりも1万人も減少する。従業員を大事にしない会社は競争で淘汰されてつぶれていく。地域別人口推計を見たらこんなことは誰にでもわかることだ。
-------------------------------
― 弊ブログ#2269より抜粋引用―

 2010年を100%とすると、2040年は61.3%となる。五年ごとの根室の人口推計値は次のようになっている。

 (1966年 49,892) 根室の人口のピーク

 2010年 29,201
 2015年 27,203
 2020年 25,390
 2025年 23,494
 2030年 21,571
 2035年 19,697
 2040年 17,892
-------------------------------

 退職金規程とか経理規程とか企業規模に合わせて必要な規程類を整備し働き甲斐のある会社に作り変えることができなければ、半数の会社が26年間の間につぶれるよ、それくらい人口減少の現実は厳しい。生き残りたければ、経営改革を推し進めるしかない。
 やり方のわからない地元経営者はebisuのところに相談に来たらいい。会社の上場に3回関係しているから、規程類の整備の仕方や経営改善のやりかたについて"内緒で"教えてあげる。こんなこと、東京から人を呼んでやったら数千万円かかるよ。それくらい値打ちがある。数人揃って来てもいいよ。株式上場しようというくらいの意気込みのある企業があったら根室の町は劇的に変るよ

 教育は国の基(もとい)であり、わがふるさとの基でもある。自分がやった家庭学習の躾け方を公開してくれたジローに感謝。 m(_ _)m

 さあ、お母さんとお父さんたち、今度はあなたたちの番だよ。自分の子どもが可愛くない親なんていないだろうから、小さいうちにたくさん手をかけてやったらいい。
--------------------------------------------------

*#2332 19~29歳対象 根室市アンケート 異常に低い回収率13.2% Jun. 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16

 #2359 地元企業への就職:"御社は決算を従業員へ公開してますか?" July 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20

 #2272 根室 「57年間の人口推移+27年間の推計一覧表」 Apr. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23-1

 #2269 衝撃!根室市の人口推計値 :とまらぬ人口減少 Apr. 21, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-21

-----------------------------------
*#2555 基礎学力問題対話(1) :社会が悪い⇔低学力層は就職が困難 Jan. 4, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-04

 #2556 基礎学力問題対話(2) : 労働時間と仕事時間 Jan. 5, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-05

 #2557 基礎学力問題対話(3) : 教師の仕事とは? Jan. 5, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-05-1

 #2558 基礎学力問題対話(4) : 勉強の躾け方 Jan. 5, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-06
------------------------------------



にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村 


nice!(2)  コメント(6)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 6

後志のおじさん

低学力の子にするどこのご家庭でもできる簡単な方法をご紹介させてください。親が起きたら、まずテレビをつける。誰も視ていなくてもずっとつけっぱなしにしておく。0才児の時から、テレビ漬けにする。赤ん坊の内は特に親がラクできます。―――――片言の言葉がしゃべれるようになったら、親は「忙しいんだから」子供に最後までしゃべらせず、親がわかったところで言葉をさえぎる。この両方をやれば、自分の子供を、先天的に知的障害を持つ子と同じレベルに間違いなくすることができますよ。
by 後志のおじさん (2014-01-06 23:40) 

ebisu

後志のおじさんへ

言語習得時期の0~3歳児のときの育て方は大きく影響しますね。
テレビつけっぱなし、そして片手でスマホをいじり、子どもにちっとも話しかけないお母さん。
そういうパターンがじわじわ増えているような気がします。
スマホの機能はいまやパソコンなみになってしまいました。

現在の成績下位25%の中学生は日本語語彙力が小学4年生以下となりつつあります。30年後には成績下位25%は知的障害児レベルの学力になる可能性がでてきたということでしょう。

いま手を打たないと、取り返しのつかないことになります。教育こそは国の基(もとい)です。

そういう子どもでも中高と勉強をして2年浪人して某医科大学へ進学。いま医者をしている例があります。たった一例ですが、ある病院のホームページで見つけました。医者らしい視点からえらそうなことを書いていました、うれしかった。わたしは11年間教えたような気がしますが、Eさんとタッグを組んでの仕事でした。しかしこれはまったくのレアケースです。
小学4年生の時には言語障害を起こしていました。しゃべるときにほとんど口が動きません。何を言っているのかわからないので、アイウエオ、五十音の発音トレーニングから始めましたね。算数の授業を発音トレーニングから始めたのです。気持ちのやさしいこでした。
お父さんとお母さんの両方が仕事が忙しかったためです。言語習得時期に話しかける暇がなかったのでしょう。

どんな場合でも希望は捨てない、でも、子どもには必要な時期に必要な手をかけてほしいと思います。
子育てはとっても手間がかかるものです。自分の子どもですからかけましょう。小学校低学年なら成績下位層だったお母さんでも充分に教えられます。ぜひ、手をかけてあげてください。
子どもは天からの授かりものです。
by ebisu (2014-01-07 10:17) 

Hirosuke

Education is helping the child realize his potential.

--Erich Fromm
(U.S. psychoanalyst; 1900-80)


日本語訳

教育とは、
目の前にいる子が潜在能力を発揮する、
その手助けをする事です。

--エーリヒ・フロム
   ↑
ファシズムの起源を明らかにしたドイツ心理学者

by Hirosuke (2014-01-07 10:34) 

ZAPPER

素晴らしいエピソードのご紹介、ありがとうございました!(主義主張は違えど、ジローさんは素晴らしい父親ですね!)

公教育現場においては、美辞麗句、耳障りの良い、抽象的でよく分からないスローガンばかりを見聞きするわけですが、では自分の子を育てる(育てた)際にはどうなのか?(どうだったのか?)そして、人様の子と自分の子を分け隔てなく「良かれ」と思い接するのならば、どうなるのか?(どうすべきなのか?)

そう考えながら、読み進めさせていただきました。自分の子に接するのと同じように、人様の子に接する。それが人としての誠意である。そんなことを思いました。ありがとうございます。
by ZAPPER (2014-01-07 21:23) 

ebisu

エーリッヒ・フロムいいこと言いますね。

>Education is helping the child realize his potential.

 日本語訳もいいですね。

>教育とは、
>目の前にいる子が潜在能力を発揮する、
その手助けをする事です。

 高校生でこういう和訳ができたら、楽しみです。こういうお手本のような訳をノートに書き溜めてみたら、1冊終わる頃にはだいぶこなれた和訳ができるようになるでしょう。
 いい文学作品をたくさん読んで語彙を広げ、日本語のセンスを磨く、高校生や大学生はより高いレベルを目指してひたすら修業ですね。
by ebisu (2014-01-07 23:11) 

ebisu

ZAPPERさん

響きのよい言葉ですね。

>自分の子に接するのと同じように、人様の子に接する。それが人としての誠意である。

わたしたちもそうありたい、そのために毎日一生懸命授業をする。必要な生徒には継続的に補習もやる。
自分の子どもならここまではやる、そこまでは手を緩めない。
by ebisu (2014-01-07 23:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0