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#2509 (眼耳鼻舌身)意と仕事 Nov. 24, 2013 [A.6 仕事]

【検査データ改竄と北海道の義務教育の惨状】
  JR北海道が組織ぐるみでレール監査データの改竄をしていたことが明らかになった。保線区の保守点検要員が保守点検データの改竄を続けたら必ず大事故につながることは誰にだってわかっていたはずだが、そうしたインチキ、手抜きをやめられなかったのはどうしてなのか。
 この問題は、全国最低レベルにある北海道の児童・生徒の学力が明らかにも関わらず、現場の教員や学校管理職(教頭や校長)から危機意識が伝わってこないこととも深いところで関連がある。
(根室市内を見ても、一部の学校の管理職や教員は危機意識をもち始めている、歓迎すべきことだ。願わくば、こうした動きが主流になってほしい。)


【賃労働:意識の作用は大きい】
 自分の仕事を賃労働だと認識すればその人の仕事は賃労働になるし、職人仕事だと認識すればそういうものになる。人間は眼耳鼻舌身意の六根で世界を認識しているから、意識が現実の仕事に強く作用してしまうことは避けられないことなのだ。だから、自分の仕事を「労働」だと思ってはいけない。思えばそれは現実に作用し、そういうものになってしまう。ロシアや中国の「労働者」が仕事を怠けるのは「賃労働者」という自分に誇りがもてないからだ。そして現実は意識が作り出した「誇りのもてない仕事」=賃労働と化す。
 人間の意識の作用とは案外に大きなもので、そう思いこむと、それがその人にとっての現実になる。じつはそれは思い込みであり、そういうものが実在しているわけではないから、思い込みを棄て去ればなくなる。ところが偏向した思想をもっているとすべてをその思い込みでみてしまうから、マルクスの『資本論』をありがたいと思う団体に属する人々にとっては仕事は賃労働になってしまう。
 そうすると仕事の質を下げることや仕事の強度を下げることが自分の得になるような気がして、本来の仕事をほったらかしにして、自分の得になることばかり考えそういう主張を繰り返すようになる。
 曰く、「少人数学級実現のため教員の増配を!」、「雑用が多いので減らしてほしい」。

【現実を直視しないわがままな要求】
 根室市内の小中学校は30人を超えるクラスは5%もあるのだろうか?25人前後が中央値だろう。とっくの昔に30人学級は実現しているのに、学力を全国レベルの物差しで測ったら最底辺のままである。実際に根室管内では少人数学級が実現しているのに生徒の学力は全国トップレベルではない。
 根室管内の偏差値は小学校が37.0、中学校が41.4*である。小学校は下位9.7%、中学校は下位19.5%に位置している。資料はないが、少人数学級では根室管内は全国トップレベルだろう。

 雑用が多ければ、短時間で片付ける工夫をすればいいだけ。仕事のやり方はいくらでも工夫できるし、工夫をするのは仕事をしている自分である。工夫をするためにはさまざまな専門知識や技術を身につける必要がある。そうした努力をしないで「雑用が多い」と叫ぶのは愚かだ。
 わたしは部署が変って仕事が変わるたびに、引き継いだ仕事を1年以内にワーク・デザインを変えて手間のかからない仕事に変えてマニュアルを残して引き継いできた。仕事の精度を飛躍的に高めることと仕事量を10分の1以下にすることは矛盾しないのである。無駄のない実務デザインを創り上げることで仕事量をゼロにすることすら可能だ。
 愚かなやり方を踏襲したままでいると、その仕事は雑用化して負担になってしまう。EXCELとACCESSを自在に使えるようになれば仕事はまったく異なる様相を見せるはずだ。WORDも定型の文書業務への負担を軽減させる。コンピュータシステムの専門書を読んでみるのもいいだろう。パッケージシステムの内部の動きが理解できるくらいになれば必要な情報を切り出し、自分で加工できるようになる。
 ようするに、自分の周りの仕事を改善するために努力しているかということ。民間会社のトップレベルの社員は日々そうした改善を繰り返している。できない説明をいくらしてもらっても何の役にも立たない、できない話ではなく少ない費用と手間でどうしたらできるかが問われる。
 それには高度な知識と技術が要求されることはあたりまえだ。教育や知に関する職人である学校の教員が、そういうことができないというのなら、あなたはその職業に向いていないということだ。教育や知の職人であると決めたなら、必要な努力はすべきだ。知的好奇心をなくしたら、生徒の前に立つべきではない。それは抜け殻のようなものだから。
 本業への努力を怠り、ブカツで愚にもつかぬ素人指導を繰り返しているという例が多いとわたしは感じている。6回フリー授業参観を繰り返した結果と、日々生徒達からブカツ指導に関する実例を聞いていての結論である。

【無能力の典型例】
 仕事のできない者は、成果をあげるためにただ長時間労働することしか考えない。民間企業ではこういう社員はダメ社員の烙印を押される。
 たかが地区大会で優勝し、全道大会へ出場したいがために毎日6時半まで、そして土日は2ブレンを繰り返しているブカツがある。特定の関節や筋肉を酷使する種目では、選手生命に関わるほどの障害が毎年起きているのだが、一部の保護者が炊きつけ、それに応じる先生がいる。生徒もそういう大人に煽られて、全道大会出場に強い執着をもつようになる。学業不振の生徒達はこれ幸いとブカツに逃げ込むが、高校入試になって厳しい現実に遭遇する。小4程度の基礎学力すら怪しいまま中学校を卒業してしまう。こういう生徒達の将来がどれほど厳しいものになるのか中学校のブカツ指導をしている先生は考えたことがあるのだろうか?成長期の子どもたちは基礎基本のトレーニングで充分でブカツよりも学業が優先だということすら理解していない先生と保護者が少なくないことは残念だ。

【教育のそして知の職人とは】
 職人は日々自分の技術を上げるためのトレーニングを欠かさない。仕事の都度さまざまな工夫を考え、仕事で試している。仕事の都度、己のもつ最高点の仕事をなしとげようと手を抜かない。他人が見ていようといまいと、真摯な仕事をする。正直に誠実に、渾身の力で仕事をするから、深い満足がある。
 教員はもっぱら教育の仕事をする職人である。そう考えたら、全国レベルで測ると最底辺にある北海道のこどもたちの学力をそのままにしておくはずがない。

 過度なブカツの自粛と、成績下位の生徒には個別補習、そして先生たちはすぐれた授業技術の共有化などいくらでもやりうることはある。

【先生たちが成績不良の生徒に補習を始めている】
 昨日、土曜補習に来た生徒が3時頃まで学校で数学の先生が生徒二人に個別補習をしたくれたと、うれしそうな顔をしていた。いつもはすこしやってはわからなくなると不機嫌になり、感情的なパニック状態を引き起こし、しばらく問題に手をつけられない状態になるのだが、それが出てこなかった。おだやかな顔で4時間勉強していた。
 こういう状態が一月続くと、生徒の成績は見違えるように変ることが多い。教員は成績下位の生徒が変るきっかけをつくってあげられる。

 「賃労働」という愚かな考えは捨てよう。自分を教育の職人だと考えよう。ひたすら仕事の技術を磨き、正直に誠実に渾身の力で仕事をしよう。ブカツよりも先に、生徒の学力をアップし、教える技術磨くことがあなた達に課せられた課題であり仕事である。

 #2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25-1


【ブカツ指導についての予告】
 ブカツについて、わたしが反対だと考え違いをしている読者がいるだろうが、そうではない。
 たまたまわたしはビリヤードが好きで、セミプロの指導技術と理論をもっているから、稿をあらためて説明したい。ほかの種目にも共通するところがあるはず。
 大半のブカツの担当の先生は、その種目には素人、だから己の指導技術の程度をよく考えよ、そしてブカツは教育の一貫だということを忘れるなということ。
 生徒をあおり、たかが地区大会ごときの勝ちに執着するようなブカツのやり方に問題があると言っているだけなのだ。強いチームほど、指導理論を欠いた長時間練習になりがちだ、それに熱心な保護者が輪をかけるからますますブカツは度を過ぎたものになる。具体的な説明を一度しておきたい。
 

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*<データ>

全国学力テスト
管内別偏差値ランキング表
<中学校優先>abb-c
順位管内名小学校中学校
2石狩43.952.28.3
10十勝36.149.513.4
3上川43.447.23.8
6留萌38.243.95.7
12空知33.443.610.2
13オホーツク27.642.514.9
1檜山46.242.3-3.9
4渡島39.141.62.5
7根室37.041.44.4
5胆振38.341.12.8
8釧路36.840.73.9
9後志36.437.41.0
14日高16.633.516.9
11宗谷33.533.4-0.1

 このデータをみると、根室市のほうが釧路市よりもいいような印象を受けるが、これは管内の比較であって、両市の比較はできない。現に根室の市街化地域の3校の学力テスト総合ABCの平均点は、釧路の中学校の最底辺校と同じレベルなのだから、根室の中学校のほうが「かなり重症」だといえる。


*#2508 JR北海道 レール検査データ改竄と賃労働 Nov. 22, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22-1



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