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#2508 JR北海道 レール検査データ改竄と賃労働 Nov. 22, 2013 [A4. 経済学ノート]

 今日(11/22)野島JR北海道社長が国会喚問されている。8保線区でレール検査データの改竄がなされていたと認めた。厚岸保線区もそのなかに含まれているから、これでは花咲線に安心して乗れない。お客様の信頼を裏切るような仕事をしてはならぬ。仕事は徹底的に誠実に、徹底的に正直にやるべし。

 昔から組合活動が活発だったから、労働に関する考え方がおかしいのではないだろうか?労働を賃労働と考えると、時間で働いているという感覚に陥る。

 労働の質×労働強度×時間=労働量

 とすると、労働時間を勝手に変えることはできないから、労働の質や労働強度を下げることが自分の得になるような感覚が生まれるのではないだろうか。
 変数の一つである労働の質については異論があるかもしれない。質の高いベテランの技は無駄がないから、労働強度を変えずにアウトプット数量を増やせることを想像いただきたい。もちろん、同じアウトプット量で高品質の製品という想定もありうるから、そういう前提では労働の質の高度化は産出量を変えないことになるのだろう。

( マルクスは労働の質的差異を捨象(無視)して、その経済学体系の端緒に抽象的人間労働をおいた。それは工場労働者の労働を想定したものだった。そこにマルクス経済学の、そしてケネーやA.スミス以来の古典派経済学の、そして欧米の経済学の限界を見ると同時に職人仕事観をベースにした日本的な価値観にもとづく経済学が展望できる。それは人類を救う経済学であり、グローバリズムに対立するものだ。貿易は比較生産費説でするのではない、自国で作りえないものを各国が輸入すれば、雇用が確保できる。正規雇用割合の高い安定した経済社会を創ればいい。)

 NHKのBS放送だったか、ロシアの農場の作業風景が紹介されていたことがあった。農場労働者の勤労意欲は低く、経営者が見ていなければサボり放題で、しまいにはウォッカを隠れのみして酔っ払って赤い顔をしている。経営者が嘆く、中国人のほうが働くと。
 農地を有償で借りて中国人が耕作すると、作物を何度かとったあとは土が痩せて荒地になる。するとまた別の農地を借りて同じことを繰り返す。そういう番組だった。

 同じ仕事をやっても、ロシア人と日本人ではまったく違う。日本人にとって仕事は本来神聖なものであり、あらゆる仕事が職人仕事、したがって、賃労働ではない。最高の技術でつくられたものが、八百万の神々へ捧げられる。神々への捧げ物をつくるのに手抜きをする日本人はいない。こうして仕事は神聖なものだという共通の価値観、感覚が生まれた。

 職人は自分の道具(生産手段)をもち、いつでもそのときに己のもつ技倆の最高点で仕事をし、決して手を抜かない。そして、日々技倆を高めるために工夫と努力を重ねる。他人が見ていなければ手を抜くなんて奴は半端職人だ。誰がみていてもいなくても、仕事の手は決して抜かない、それが一人前の職人の仕事である。
 一日の仕事が終わると、心地よい疲れと深い満足がある。

 JR北海道の職員は哀れな賃労働に明け暮れてきたのではないのか?マルクス『資本論』の労働観で仕事をしているのではないか?労働強度を下げるために、レール検査データを改竄し、手を抜き、やるべき労働量を減らしているように見える。そうしたことを日々繰り返していたら、労働の質もいつしか最低レベルになってしまう。

 同じことは学校の先生にも言えないか?授業の手抜きをすれば労働強度は簡単に下げられる。授業の質を上げれば生徒の学力はいくらでも上げられると秋田県の教育関係者が証言している。秋田の先生たちの授業の技術レベルが高いから、秋田県は学力テストで最高点を取り続けることができる。(読売新聞「No.1848 教育ルネサンス」「他県でも教員のレベルアップを考えてはどうか」)
*「大学受験と高校受験と教育ブログ」
http://maruta.be/gakusyu/1087


 教育の職人としての誇りを取り戻せば、北海道の子どもたちの学力を上げられるのではないか?

 JR北海道も小中学校の教員の皆さんも、マルクスの賃労働観から早々に脱却して、教育の職人としての誇りを取り戻してもらいたい。教員同士ですぐれた技術の共有に努め、日々の授業を通じて教える技倆を磨けばよい。

 仕事は正直に、誠実に、渾身の力で成し遂げよう。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
 自分だけよければいいなんて情けない考えは棄てよう。



*#2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3


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