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#2476 ②都道府県別・偏差値ランキング表(中学校) Nov. 7, 2013 [69.H25全国学力テスト・データ分析]

 学力向上のための目標管理には、学校別・科目別データが必要だということは、口が酸っぱくなるほど言っておきたい。
 民間会社では予算と決算データをつかって目標管理がなされる、あたりまえのことをあたりまえにやるのが一番いいのである。
 根室市教委は根室市の小中学校の科目別正答数データを公表してほしい。

 昨年に続いて北海道教育委員会が公表した資料は学期的なもので、いわば宝の山である。これをそのままみてもさまざまなことがわかるが今回は統計的な加工をしてみたい。

 教育行政は理由があって偏差値がきらいである。学力競争を嫌う日教組ともめることになるからだろう。軋轢を怖れて偏差値を計算・公表できないだろう。だれでも揉め事はいやなものだ。

 そうした事情とは関わりなく、ほとんどの公立高校が全国模試の偏差値を大学受験の進学指導に使っている。理由ははっきりしており、偏差値が統計的に妥当な方法で、合否判定の強力な武器になるからだ。これに変りうるものはいまだに発明されていない。

 これほど便利なツールはないから、公表データから統計学的に妥当な方法とされている偏差値を計算してみた。

 計算結果の表を見てもらえばわかるが、北海道は偏差値45で全国47都道府県で37位である。この標準偏差データを使うと根室管内の中学校の全国偏差値での評価が可能になる。その値は41.4である。
 全国の中学校を100校と假定すると、80番目である。25人のクラスなら20番目の成績。中学生のうちに全国レベルでの自分達の学力の位置を知るべきで、高校生になってからでは遅すぎる。



【利用したデータ(中学校)】

 文科省と北海道教育委員会義務教育課公表データがなければ偏差値は計算できない。それだけ文科省と文科省に連動した各都道府県教委の地域別データ公開は重要な意味をもつ。国と都道府県がやれることは諸般の事情で正答率の公表までだ。ここまでやっているのだから、そこから先は阿吽の呼吸で民間でやれということだ。その心意気に応じよう。
 さて、利用したデータを明らかにする。データ源泉、計算式、計算方法、計算結果を公表することで、これから先は誰にでも計算できるようになる。国民の「知的共有財産」を一つ増やすことがebisuの目論見である。わたしはしがらみがない、自由だ。

 都道府県別偏差値を計算するために使ったデータ:平均正答数
http://www.nier.go.jp/13chousakekkahoukoku/data/area/rpt-m-03-j.xls

 根室管内分は:平均正答率から平均正答数を逆算して利用した
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h25chosa/14_nemuro.pdf

 
【計算結果:都道府県別偏差値(中学校)】

順位都道府県名偏差値
1 秋田県74.8
2 福井県72.3
3 石川県62.2
4 岐阜県59.8
5 富山県59.6
6 群馬県56.2
7 静岡県55.9
8 青森県55.3
9 山口県55.2
10 東京都55.2
11 鳥取県55.1
12 広島県54.3
13 奈良県54.2
14 香川県53.9
15 愛知県53.5
16 茨城県53.3
17 兵庫県53.3
18 山形県53.2
19 京都府51.6
20 神奈川県51.6
21 愛媛県51.5
22 栃木県51.1
23 島根県50.8
24 宮城県50.2
25 熊本県50.0
26 埼玉県49.9
27 徳島県49.1
28 千葉県49.0
29 宮崎県48.1
30 山梨県47.8
31 長崎県47.6
32 岡山県46.5
33 滋賀県46.5
34 新潟県46.4
35 岩手県45.7
36 長野県45.3
37 北海道45.1
38 大分県44.8
39 福島県44.4
40 福岡県44.4
41 三重県43.6
42 和歌山県42.5
43 佐賀県42.4
44 鹿児島県40.9
45 大阪府36.9
46 高知県34.5
47 沖縄県14.4


 わかりやすいでしょう。秋田の偏差値74.8は北大医学部A判定。北海道の偏差値45.1は根室高校普通科の生徒が進学する大学の中央値に近いかもしれない。進研模試で全国偏差値45なら、受験する大学はかなり限定される。ランキングで下位30%が偏差値45以下である。逆に偏差値55以上だと上位30%だ。進学して値打ちのあるのはこのクラスから上、というのが実情。しかし、下位校でも4年間一生懸命に勉強して上位3%にのし上がるだけの元気があれば、他大学のトップレベルに伍してしっかりやっていけるだろう。


【計算方法】

 ① 都道府県ごとの科目別・正答数データの平均値を計算 M
 ② 分散を計算 V=1/(n-1)∑(x-M)^2
 ③ 標準偏差を計算 S=V^0.5
 ④ 科目ごとの偏差値=50+(x-M)/S*10
 ⑤ 4科目の偏差値の単純平均を総合偏差値とした

 計算は元データをコピー&ペーストしてEXCELで行った。高校数学Cか大学1年次の教養科目で統計学を履修した経験のある人なら、誰でもできる。
(わたしは1979年にプログラマブル・ギャリュクレータHP67と同HP97を使ってプログラミングして線形回帰分析をしていた。赤字と黒字を繰り返す輸入商社に勤務したばかりで、安定的に黒字を出すための経営分析に利用していた。EXCELでのこの手の計算は90年頃半年ほどやったことがある。子会社の経営管理と会社買収のために統計技術を利用していた。うろ覚えだったので偏差値計算のときに10倍する係数を忘れて、偏差値データがばらつかないので、おかしいと20分ほど考え込んでしまった。メッタにやらないことは忘れるものだ。)
 

*4科目の内訳と標準偏差データ、平均正答数
 国語A      0.585     24.5
 国語B      0.201      6.1
 数学A      0.950    22.9
 数学B      0.496      6.6

 *国語Bと数学Bは設問数が少ないため、統計処理上すこし難がある。撹乱要因と思っていただいてよい。


【そして...おまけ】

 根室管内の偏差値は41.4である。鹿児島県40.9(44位)とほぼ同じ。計算方法は次回説明したい。
 根室高校普通科の高校入試偏差値は、倍率が1以下のときは42、定員オーバになると45だ。全道で成績下位21%~31%に位置している。全国レベルではさらに低下する。大学進学を考えている生徒は、根室高校普通科に進学してほっとしてはいけない、すでに出遅れているのだから、部活なんかしないで死に物狂いで受験勉強しなさい。一生が懸かっています。偏差値って生活観があるでしょう?

 根室管内と根室市内は別物、根室市のデータがほしい。市教委はデータを公開してもらいたい。


【学力低下の危惧】
<fact:根室市内の市街化地域3中学校はこの6年間の学力低下が著しい>

 B中学校の学力テスト総合ABの五科目合計(300点満点)平均点は7年前には135点付近にあった。総合Cでは145点付近。今年の平均点は110点前後である。わずか7年でこれほど落ちている。
 原因は授業がときどき聞こえなくなることがあるクラスで生じた。そこから平均点ががくんと落ちだした。それが止まらない。従来から生徒が騒ぐことが多かったA校とC校はB校に比べて平均点がはっきり低かったが他のA校とC校も15~20点近く落ちている。国語能力が落ちている、もっというと、日本語語彙力の低下が著しい。これには理由が二つ考えられる。読書力の問題と、ゲームやスマホのラインやツィッターのふたつ、これらは重要性が大きいので別途取り上げたい。
 成績下位層が膨らみ、成績上位層が激減している*ことは普段の学力テストの結果から明らかである。1・2年生は5科目500点満点だが、400点を越える生徒が3校で50人前後いたのはやはり7年以上前のことだ。現在は4~10人程度しか400点超の上位層がいなくなった。学力低下は現在進行形なのである。全国学力テストデータのみを見ていたら、足元の現実を見失うことになるので要注意だ。

*ブログ「情熱空間」が釧路でも成績下位層の膨張現象が起きていると指摘している。
 「道教委のデータ分析(下位層の割合)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6913089.html


【平均偏差値41.4の意味】

 偏差値40以下には成績下位層15.9%が含まれている。根室管内は全国レベルで成績下位16%だということ。具体例を挙げるともっとわかりやすくなる。

 大雑把に見て偏差値が10ズレているとすると学年60人の学校だと、学年順位10番が全国平均の得点にすぎない。
 同様に、
  50人⇒ 8番
  60人⇒ 10番
  70人⇒ 11番
  80人⇒ 13番

 25人前後のクラスが多いから、クラス順位が4番くらいが全国レベルで中位得点層に当たる。根室高校普通科へ進学して、全国模試を受験して、生徒達は初めて自分達が全国レベルでどういう評価かを知る。それでは遅い、大半の生徒は手遅れなのである。根高普通科120人中、国・数・英の三科目合計で全国偏差値50を超える生徒数は上位十数人だろう。中学生のこの6年間の学力低下を考えると全国平均を超える層がさらに減少しつつある。低学力地域の根室に生まれたせいで、高校を卒業して都会へ出てから社会の最底辺で暮らすことになってはならない。現実を知り、適切な具体策を施すべきだ。

 根室管内41.4という偏差値は下位19.5%だから、大学のレベルでいえば、願書を出せば合格できるようなレベル。大学へ進学するならせめて偏差値が50を超えるようなところへ行ってほしい。55レベルでも正規雇用の職に就くのは7割程度かもしれない。それほど就職状況が厳しい。

 次回は、根室管内の総合偏差値計算の方法を開示する。釧路と帯広くらいは比較対象として計算してみるが、必要な基本統計量を提供してあるので、関心のある地域の偏差値をご自分で計算して見たらいい。偏差値の計算式も書いておいた。


 元データは文科省が公表した47都道府県の平均正答数と北海道教育委員会が公表した「管内版」に載っている管内別平均正答率である。元になる都道府県別偏差値算出の元データ数は、「47個×4科目」だけ。
 したがって、ばらつきが少し大きくなる傾向は否めない。正規分布を外れるデータが一つ二つ混ざると、それらのデータは±3σを外れることになる。 都道府県別偏差値の分布をみると、 小学校: 32.0~81.6 中学校: 14.4~74.8 通常の偏差値は全受験者の個別データを用いて計算されるので、本データとは性格が異なる。数万から数十万のデータを用いて計算される偏差値との性格の違いがあるということだ。
 統計に不慣れな人のためにもうすこし事情を具体的に説明すると、47個のデータが理想的な形で正規分布していないことが予測できる。イレギュラーなデータが一つあるとその影響が偏差値の分布に出てしまうのである。小学校の都道府県別データでいうと秋田県の81.6、中学校のデータでいうと沖縄県の14.4がそうしたデータに該当する。47個のデータが±3σの範囲から外れてしまう。この範囲を外れるデータの出現確率は0.0013だから、データ1000個に一つの割合となるから、47個のサンプルデータでは出現しないはずのものである。これはサンプル数が少ないためだから、そのように諒解いただきたい。都道府県別に分析する限り、データ数は47個とならざるを得ない。

  偏差値による本データ分析の意味するところは、都道府県単位で正答数の標準偏差値を計算してそれを尺度に全道14支庁管内別データ比較をすることにあり、その限りでは統計学的に正しい方法といいうる。
 都道府県単位の全国データの尺度基準で、14支庁管内それぞれがどのような位置にあるのかが明らかになる。こういうデータが明らかになったことは、ebisuの知る限りではいままでにない。
 それぞれの地域で学ぶ道産子が、自分達の学力を全国基準で測度できるということは今後の勉学に大いに役に立つ、いや役立ててほしい。
 高校生になって全国模試で自分の位置を知ったのでは偏差値65以下(96.6%)の生徒は手遅れである。 首都圏のトップレベルの生徒達は小学校4年生から、生活習慣を受験用に切り替え、予習中心のハイスピード・難問題トレーニングをしているのである。
 高校生になってから追いつけるのは、スタートが遅れてもそれをものともしない馬力をもつ偏差値65以上の極小数の生徒達だけ。スタートを早く切れば偏差値60以上の受験戦争のフィールドで本来戦える生徒達のほとんどが偏差値50前後の大学へ進学することになっている。これを「惨状」と呼ばずしてなんと言おう。
 道産子の一人であるわたしはこうした現状も変えたいと願っている。道産子(ニムオロっ子)による道産子(ニムオロっ子)の意識改革のための情報発信、それが「ニムオロ塾」の役割。

 
<訂正>11月8日午前10時40分
数学Aの設問数が35ではなく36であることが、再チェックの際に判明、よって本文の一部を訂正した。
 この訂正によって管内別偏差値が2弱アップしている。


---------------------------------------------
**釧路の高校の偏差値にたとえて、面白い解説してくれています、ぜひお読みください。
ブログ「情熱空間」より
「14管内別偏差値換算表(中学3年生)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6916378.html

「偏差値で見る学力格差」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6916295.html



■ 【全国47都道府県別・偏差値ランキング表】

#2482 (小学校)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-2

#2476 (中学校)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06-1

#2483 (小・中対比)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-3


■ 【全道14支庁管内・偏差値ランキング表】

#2485 (小・中対比)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09


■ 【全道14支庁管内別・科目別・偏差値表】

#2484
 (小・中対比)
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-4

#2480 前半
 (中学校)
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08

#2481 後半
 (中学校)
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-08-1



■ 【計算過程の開示】

#2476 (都道府県別基本統計量)
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06-1

#2478
 (管内別基本統計量)
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-07-1

------------------------------------------

 #2475 全国学力テストデータ根室管内版の解説(1) Nov. 6, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-06

 #2456 市町村別学テ情報公開解禁へ(読売新聞)  Oct.21, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-21

 #2464 道教委リーフレット:生活習慣を改善し学力アップ(2) Oct. 26, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-25-2

*生活時間割の帯グラフが貼り付けてありますので、ご覧ください。
「あっぱれ道教委!(道教委の支援冊子)③」 ブログ「情熱空間より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6896333.html


#2462 道教委リーフレット:生活習慣を改善し学力アップ(1):  Oct. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-24-1

 #2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25-1




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