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#2464 道教委リーフレット:生活習慣を改善し学力アップ(2) Oct. 26, 2013 [64. 教育問題]

 道教委が公表した標記リーフレットのどこが優れているかというと、生活時間パターンを示し、その目安時間を提示しているところだろう。

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1 目安について
  本リーフレットは、家庭で参考になる時間の目安を示したものですが、あくまでも目安ですので、家庭や地域、子どもの実態等に応じて時間の目安を設定することが大切です。また、本リーフレットの配布をきっかけに、新たに目安を設定したり、小・中学校が連携して既に設定している目安の改善を図ったり、保護者や地域住民等が子どもの生活習慣について改めて考えたり、話し合ったりする機会が増えることが望まれます。 
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 学習時間の目安は、中学1年生を7学年とし、2年生を8学年、3年生を9学年と数えると、
「【学年×10分】を基本とし、子どもの実態や学年等に応じて、【+10分】を努力目標として設定するといった工夫も考えられます。」

 中1 ⇒ 80分
 中2 ⇒ 90分
 中3 ⇒ 100分

 毎日集中してこれだけの時間勉強していたら、生徒の3人に1人くらいが簡単な北海道の学力テストで400点を越えるだろう。400点超は10年前は15~18%存在していたが、いまでは5%程度である。
 裏返すとこの目安の学習時間を確保していない生徒がほとんどということだろう。
 帯グラフで示された北海道の中学生の学習時間を比例配分計算してみると、毎日1.5時間以上家庭学習をしているのは、33.9%に過ぎない。
*「本道のこどもたちの学習時間」
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/meyasu_01P.pdf

 2時間以上は17.3%、3時間以上は6.1%である。
 学力テスト400点超が5%未満ということは2時間以上の家庭学習習慣をもつ生徒がほぼ5%未満ということだろう(勉強のやり方と集中力次第で一日30分でも400点以上とれる生徒がまれにいる)。

 14支庁管内最低レベルの根室管内のこどもたちの家庭学習習慣は他の地域よりも貧弱だろう。全道平均値で1日1時間未満が49.4%いるが、おそらく根室のこどもたちは3分の2(67%)程度が1時間未満だろう。

 一日の生活パターンのサンプルが帯グラフになって例示されている
*http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/meyasu_09P.pdf

 部活の43.8%は18時30分に終了しているから、中央値のこの部活終了時間を当てはめると、家に着くのは19時、22時30分には就寝のスケジュールになっているから、帯グラフを見てわかるように、家庭学習時間がほとんどとれない(30分未満)ことになる。全道平均値よりも根室は部活時間が長いようだから、終了時間の中央値である6時半は60%を超えるだろう。簡単だから、根室市教委で実測して集計してみたらいい。休日の部活の実態も調査したらいかが。生徒達の話から想像するに、2部練を繰り返している部活は少なくないよ。強いところほど長時間練習している。それが癖になってしまったら、社会人になったら笑われるよ。仕事は短時間で効率的にやるのが原則なんだ。長時間やって、「忙しい」なんてぼやいていたら、上司から叱られる、「もっと工夫しろ」とね。座学をやらないから長時間練習頼みになるんだ。ビリヤードでゼミプロの技術をもっているebisuがいうのだから確かだよ。座学をやらないと技術は伸びない、断言するよ。ebisuはスリークッション世界チャンピオンの小林先生にも習っている。学ぶべきことはたくさんある、考えない奴は伸びない。

 数値を見て気がついたことがある。部活終了時間の中央値18時半が43.8%なのに、2ページ目の表に「学習時間の目安設定状況」では62%の中学校で学校として学習時間の目標設定をしているという生活時間割を実際に分析したら、18時半まで部活をやったら家庭学習時間がとれないことは歴然としているつまり、各学校は具体的な生活時間分析すらしていないということ。ドンブリ勘定でやれると思っていただけ。
 これは数値管理を徹底しないことから生まれている弊害だと言っていいだろう。普段の学力テストも偏差値の出るものに変えて、その学校の生徒の学力がテストの結果としてどのように変化しているのか、また全道の中でどのような位置にあるのか、来年は学校全体の平均偏差値をどこまで上げるのか、ということが普段からしっかり管理されていればこのような不整合は生じないだろう。


 この目安の生活時間割には、インターネット、ゲーム、スマホのライン、ツイッターなどが入っていないが、実際にはこれらが数時間食い込み、慢性的な睡眠不足を起こしている。学校で授業中に寝てしまう中学生が増えているから先生たちはよくご存知だ。

 生活時間はだれでも24時間しかないから、部活を18時半までやったら、読書時間も家庭学習時間もほぼゼロに近くなる
 その結果、語彙力拡張の季節にあるにもかかわらず、部活に没頭することで、日本語語彙力拡張期を見送ってしまう。日本語語彙力が育たなければ、授業で先生が話す語彙が理解できない、つまり、授業を聴いていても内容の理解ができないということになる。日本語語彙力は授業全般の理解力に直結している。
 これでは全道14支庁管内最低レベルの学力になるのはあたりまえだ。

 土日も2部練をする部活が多い。今日教えた中2の生徒達は「明日2部練」と言っていた。

 9ページにはチェック用の生活時間記入用帯グラフがついているから、ダウンロードして記入してみよう。なるほど、これでは家庭学習時間がとれないということがはっきりわかるだろう。
 生活時間割を見れば一目瞭然だが、低学力はつくられている

 学校の先生たち、ずるいよ、卑怯だよ。自分達は一生懸命に勉強して大学へ行き、教職についているのに、生徒達を部活漬けにして低学力のままにほったらかし、卒業させたらさようなら
 そのあと、小学生レベルの基礎学力すらついていない25%の成績下位層の人生はどうなるか想像してみたらいい。成績下位層の生徒達の大半が正規社員の職には就けないよ。ガマンや根気のない層と重なっているから、非正規雇用の職があっても続かない。小学校卒業程度の基礎学力すら怪しい25%の低学力層のこどもたちの未来を想像してほしい。
  わたしは根室高校を卒業してから35年間東京で暮らし、働いてきたから、基礎学力の大切さがよくわかる。転職を繰り返してもその都度年収があがったのは高度な基礎学力の賜物だ。多いときには2千万円に近かった。基礎学力の差がどれほどおおきな年収の差になるかわたしはよく知っている。

 帯グラフのサンプル生活時間割をみたらわかるだろう、18時半までの過度な部活で読書時間や家庭学習時間を奪っている。土日の連日練習や2部練なんてとんでもない、人としてやってはいけないこととは思わないか?思うなら、部活は5時半まで、家に帰ったらすぐに1時間勉強させようじゃないか

(自分の担当する部活の生徒の成績がひどいので1年以上に渡って作文を書かせ添削を続けてくれた先生がいるし、通年放課後補習をして何人かの生徒を救ってくれた先生がいた事実をebisuは知っている。試験前1週間だけだった補習が、最近は2週間行われるようになった学校があることも知っている。
 残念だがそういう個人的努力や学校の一時的措置で救えるのは生徒のほんの一部に過ぎない。学校全体が通年放課後補習体制を敷けば、低学力層の生徒の大半を救える、救える生徒は救ってやれ
 C中学校が同じ学区内の小学校と定期的に会合を開き、学力向上に取り組むようになった、ebisuはこのような変化を歓迎する。

 国数英のどれかが30%未満の点数の生徒に放課後やらせるべきは部活ではなく、放課後補習だ基礎学力を欠いたまま卒業させてしまったこどもたちがその後、大人になってどんな苦労をしているか聞いてみたらいい。「中学校のときにもっと勉強しておくんだった」と言うよ学力テストで国数英の得点が30%以下の低学力の生徒を部活停止にしたら部活が成立たないことを先生たちはよくご存知だ。学校が小規模化して市街化地域の3校ですら1学年2クラスが標準になっているからだ、さっさと1学年6クラスにまとめたらどうだろう?
 
小規模校の維持は生徒一人当たりのコストがかかりすぎる。道教委は学校規模別に生徒一人当たり教育コストを公表したらいい。)

 道教委はずいぶん遠慮した言い方をしている、それは「目安」という言葉だけではないよ、土日の部活についても「禁止」や「2部練禁止」とは言わずに「半日」とずいぶん遠慮した言い方だ。
 「文武両道」をあたりまえとするなら、学力不振の生徒は部活を停止して放課後補習を義務付けるべきだ、それくらいのことを道教委は言ってほしい。
 部活をこのままにしておいて、中・低学力層の生徒の健全な家庭学習習慣は育めないことは、道教委が示した標準生活時間割によって自ら証明してしまっている。健全な学習習慣を育めなければ、道教委が目標に掲げる「全国学力テストで全国平均値超え」も掛け声だけに終わりかねない現に来年実現するはずだった当初計画は実現不可能と悟ったのか、目標年度が延びてしまっている。(どうやらわたしの記憶違いで、先延ばしされていない、来年度の全国学力テストで、北海道は全国平均を超えるという目標を北海道教育委員会は堅持しているようです⇒26日午後10時訂正記入)

 小泉さんが首相時代にプライマリーバランス(基礎的財政収支の均衡)の確保を2011年と約束したが、その後継者である安倍首相は10年先延ばししてしまっている。目標年次が来たらまた先延ばしなのだろう。政治とはかくも好い加減なものだが、教育行政は同じ愚を犯してはいけないとebisuは思う。
 現在の状況から判断すると来年度全国平均超え無理だが、1年で全国平均を超えるためには、成績不振の生徒の部活停止を命じ週3日程度の放課後補習に強制参加させるのが有効だろう。この措置によって根室の市街化地域の3中学校の
部活動は数ヶ月間機能麻痺に陥るが、文武両道とはそういう覚悟を決めるということだろう。優先順位は学習にアリと言い切る勇気をもってもらいたい


*生活時間割の帯グラフが貼り付けてありますので、ご覧ください。
「あっぱれ道教委!(道教委の支援冊子)③」 ブログ「情熱空間より
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6896333.html


#2462 道教委リーフレット:生活習慣を改善し学力アップ(1):  Oct. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-24-1

#2365 仏作って魂入れず:評価基準の策定を!(ブログ「情熱空間」より」) July 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-07-25-1


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コメント 7

ZAPPER

お見事であります!

根室市教育長以下、根室市教委の職員の皆々様方は、道教委リーフレットのebisuさんによる解説を正座なさって音読・読み合わせなさるべきだと思います。(あ、ウチも同じだ…)

なにせ、道教委の公の文書の「逐条解説」ですから!^^
もはやグーの音も出ない。
それが本音でしょうか?
ともあれ、即時是正をお願い申し上げま~す。(あ、ウチも同じだ…)
by ZAPPER (2013-10-26 15:33) 

ebisu

ありがたいですね、道教委は素晴らしい資料を作って公表してくれました。
学校の先生たちは、素直な気持ちでこの資料を眺めて、教えているこどもたちのためにいま何をなすべきかを考え、行動に移してほしいですね。

誰に言われるまでもなく、自分で判断して、行動するのが一番いい。
現場の先生たち、期待していますよ。

根室の教育行政のトップにいる方、ebisuとは仲良くやったほうがいいですよ、ご忠告申し上げます。
by ebisu (2013-10-27 00:53) 

驚1988

道教委の資料すばらしいですね。
小中学校の先生や親のみならず少年団指導者の意識改革に役立つことを願っています。

生活時間の帯グラフは、夏まで野球クラブに所属していた中3の息子に家庭学習時間をどう確保するかを考えさせるために活用していました。
私は記載例を作ったのですが、可視化することで改めて生活習慣の大切さが身にしみますよ。
ブカツ顧問や少年団指導者は子どもたちの生活をイメージして作ってみるべきだと思います。
「おまえら家で勉強する暇があるなら練習しろ!」と言っているようなものです。

ブカツ等の活動時間は、決して家庭学習や読書時間を削るのではなくゲームやまんが、スマホやテレビを我慢して捻出するものではないでしょうか。
それができないなら、ブカツ等への参加資格はないと思います。
文武両道は文字順のとおり「文」が先ですよね。
by 驚1988 (2013-10-27 10:06) 

ebisu

驚さんへ

>生活時間の帯グラフは、夏まで野球クラブに所属していた中3の息子に家庭学習時間をどう確保するかを考えさせるために活用していました。

へえ、すごいや。おどろきですね、帯グラフで生活時間割をつくって野球部の息子の生活時間管理を実際にやっていたのですか。

私がこの問題に気がついたのは中標津の中学校のホームページに、根室管内のこどもたちの生活時間分析が帯びグラフになって載っていたからでした。

実際の生活時間割を可視化すると、ムダもわかるし、余裕のなさも目に見える形で現れます。何も言わずともグラフが語ってくれます。

低学力層の生徒に実際の生活時間割りを記録させてみようと思っています。高学力層の生徒と時間の使い方の違いがはっきりでるでしょうね。

とにかくやらせてみるのが大事、自分の時間の使い方をみて、そこで考えればいい。

by ebisu (2013-10-27 16:09) 

合格先生

 この道教委のリーフレットはいいと思いますが、やはり、このくらいのことは、学校単位できちんとやっていなければならないもの、という気がします。道教委からこのようなリーフレットが出されること自体、やはり、北海道の教育は、どこか歪んでしまっている、ということなんでしょうね。

 これと併せて考えたいのがやはり学校進度の問題。
 実は、自分の方で、何か所か公的機関に電話で確認したのですが、そこでは「中3の場合、私立入試前までに、勉強内容を終わらせる」が共通認識でした。だから、それに間に合わないようであれば「まずい」という事になります。
 そろそろ、進度の危ない時期に来ていますので、外部のチェックが必要になりますね。
by 合格先生 (2013-10-28 04:38) 

ebisu

授業進度の問題はH市議のブログに書き込みましたが、文教常任委員会の委員長に就任したので期待はしているのですが、調べてくれているのかな?
そろそろ時間切れになりますね。
状況は昨年と同じです。


by ebisu (2013-10-29 14:32) 

合格先生

 せっかく文教常任委員の委員長になったのですから、誰かの報告を聞いてお終い、ではなく、まずは、自ら学校に足を運んでほしいですね。
 現場でなければ見えないこともある。某企業が必ず「現場研修」を義務付けているのも、現場を見なければ人の上に立てないという意識があるからですよね。
 期待しましょう。
by 合格先生 (2013-10-30 04:54) 

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