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#2455 避けて通れぬ問題 :市立根室病院経営改革  Oct. 19, 2013 [31.市立根室病院経営改革メモ]

 前回は部門別損益計算制度が経営管理の基礎的な制度であることを解説した。市立根室病院は部門損益計算がなされていない。これでは経営管理や予算管理ができるはずがない。入院病棟別・外来診療科別の部門損益計算システムについてはさらに具体的にとりあげるが、今日は別の問題をとりあげるので、市民のみなさん、市議会議員のみなさんはよく考えてもらいたい。

 病院の赤字額が毎年増え続けて久しい、前市長時代は概ね8億円前後だったが、それが11億円台になり、昨年度は17億円弱、今年は20億円を軽く超えることになりそうである。これらの影響で、計画上は減るはずの市債残高が24億円も増えている。これもツケを後の市長や市職員や市民へ回す行為だ。にっちもさっちも行かなくなって、自らが決めた市債発行枠8億円の縛りすら外してしまった。

 どうしてこういうことになるのか、主な原因の一つに札幌医大への過度な依存政策があるように思える。「適度な依存政策」だって選択肢にはあるだろう。経営がこれだけ急激に悪化するのは通常は放漫経営が疑われる。いくら赤字を出しても市の一般会計から全額が補填されるなら経営改善が進むはずがない。
 数年前に旭川医大が撤退し、北大にはいろいろと不義理や失礼なことがあったために、市長も事務長も出入り禁止状態があったときく。前院長退職の経緯に関わる問題、小児科でも産科がらみで問題が起きた。だから、札医大しかないというのは根室市の行政側の不手際の集積のためであり、自ら打てる手を狭くしてしまったという、まことに愚かな話しだ。

 いま病院内部では常勤医の数名が自分のコネクションを通じて医者を何名か紹介しているようだが、札幌医大へ傾斜したい院長と参事が拒否しているという。こういうことは市長の了解ナシにはできないことだ。
 常勤医の皆さんの協力があり、採用条件を明示すれば、医者は集められる。

 なぜこういうことになるのか?イージーな道を歩きたいからである。医者集めはたいへんだから、特定の医大に依存したがるのはわからぬでもない。しかし、根室の地域医療の歴史を振り返っていただきたい。東京医大の撤退、旭川医大の撤退、その都度たいへんな痛手を受け、危機に見舞われてきた。そろそろこういう地域医療のあり方は改めるべきではないのか。イージーな道を選択すれば当然ツケ(事業赤字の拡大)も回ってくる。
 道内の各大学と礼を尽くしてきちんとしたお付き合いをお願いするしかない。北大、旭川医大、札幌医科大はみな北海道の地域医療に責任をもっているから、可能な範囲で協力をお願いすればいい。そのうえで、市独自の医師募集をやればいい。担当診療科、夜勤日数、諸手当、帰省費用の病院負担、学会へ出席時の扱いと手当てなど、細かく条件を提示すれば、僻地根室であっても集められるとは専門斡旋業者の弁である。

 常勤医を雇わずに札医大からの1日交替応援を頼むと、常勤医一人分の仕事に人件費はおおよそ年間換算で7000~8000万円かかるような仕組みになっている。つまり、常勤医を派遣するよりも、こちらの仕組みに乗るほうがずっと収入を増やせるのである。この金額には往復の交通費(飛行機代とタクシー代)も含まれている。市議の皆さんはご存知か?
 常勤医を増やせれば事業採算は改善できるが、札医大に嫌われたくない気持ちは理解できないわけではないが、こういうことはほどほどにやるべきだろう。内部の不和を招くような強引さは慎むべきだ。

 病院内部の医者が常勤医で市立根室病院へ赴任希望の医者を紹介しても、替えてしまったら、札医大の収入が減る。札医大からの支援がほしい院長と参事は紹介された非札医大系の常勤医をいれたくない、だから拒否していると見られている。

 こんなことをやっているから、病院内部は医師間の冷戦状態が続いている。診療にも影響しかねない。
  医療事故の扱いについては大丈夫か。事故扱いしなければ事故調査委員会にすらかからない仕組みにはなっていないか?ebisuが何を言っているのか当事者にはわかるだろう。噂の範囲といっておく。

 わたしは一大学に市立根室病院の運営を任せるようなことはすべきではないと考える。過去の事例を見てもその弊害は明らかだ。大学側の都合で突然の撤退がいつでもありうる。
 選択肢は二つある、根室の地域医療の未来がかかっているから、どちらをとるのかきちんと議論すべきだ。

 根室市はどういう地域医療政策をとるのかまず市議会で議論してもらいたい。できたら日曜日に市民討論会を総合文化会館で開いてもらいたい。
 根室の地域医療に関心のある市民は自分が投票した市議へ働きかけよう。
 「ebisuの提案のように、地域医療に関する市民討論会を開いてほしい」と。

 だまっていたら、根室市の財政破綻や夕張のように市立病院の診療所化を引き起こしかねない。
 地域医療の未来はわたしたち住民が決めようじゃないか。
 常勤医の皆さんと市民が地域医療政策について率直に話し合えば、病院経営は改善できるし、赤字も大幅に減らせるだろう。いい地域医療がほしければ、住民が積極的に参加するしかない。傍観していたら根室の地域医療は早晩つぶれる。

 さあ、根室に住んでいるあなたはどちらを選ぶのですか?自分やじっちゃんばっちゃん、年々年老いる親、そして子どもや孫のために、いまやるべきこと、できることがある。


*#2442 市立根室病院の経営改革をどうやるか(1) Oct. 9, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09

*#2473 市立根室病院を外部の医師はどうみているか? Nov. 1, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-01-1

  #2513 市立根室病院の経営状況について:財政再建特別委は機能しているか?  Nov. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-28


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心配性

以前ニュースで言ってましたが、札医大は全道の病院に医師を派遣しているが、その内訳は常勤医より非常勤の出張医の方が遥かに多いんだそうです。何をか言わんやですね。
by 心配性 (2013-10-20 00:26) 

ebisu

札幌医大が大学としてそういう方針だとすると、そういうところと根室のようにお金だけで解決しようとするゲスな地域医療政策が結びついたら、北海道の地域医療は荒野(あれの)になります。

道産子の一人としてねむろっ子は北海道の地域医療を荒野にすることに手を貸してはいけませんね。

根室の住むわたしたちが、ここいらで立ち止まって大所高所から考えてみるべきです。
世の中に流行っていい事と悪いことがあります。これはやってはいけないことです。
純粋に大学経営を考えても、これは浮利を追う行為です、商道徳上絶対にやってはいけません。

人間は弱いものですから、イージーに流れ、必ず他へ波及し、北海道の地域医療を荒野にしてしまいます。だからこそ普段から心を鍛えておく必要があります。

わたしはニムオロ塾で心を鍛えることの重要性も生徒にしっかり伝えたい。
by ebisu (2013-10-20 08:59) 

闇の仕置人

これはあくまでも噂ですが・・・札医大から赴任する医師の給料は他の医師に比べ年収で500万程高いとの話があります。何故そうなのか? その事を巡っては東京地検が聞いたら泣いて喜びそうな黒い噂もチラホラ。
どうも市立病院の医師の給料体系は地方公務員(市職員)としての基本が守られていないようです。週に半分しか外来に出ず週末には高額なアルバイト代を払って他病院から留守番を呼んでいる某科の医長など、かって彼が内地の病院で貰っていた5000万に近い給料だとの噂も。
これほどこのニムオロ塾で色々なネタを提供しても、ここを見ているはずの市議会議員たちは、「医師の採用方法や給料などに踏み込んだら病院が崩壊して市民が路頭に迷う」というもっともらしい理由で逃げてばかり。
市立病院内にも反主流派(改革派?)が居て何とかこの流れを食い止めようと動いているようですが、その彼らも無為無策な市議会頼みですから、全く話になりません。市長に会って改善策を提言していて市長も彼らに理解を示していると思い込んでいるようですが、別ルートからの話では市長は彼らの意見など歯牙にも掛けていないとも。
病院の本当の改革は、先ず医師の採用の実態解明が最優先事項でしょう。
by 闇の仕置人 (2013-10-20 09:57) 

ebisu

訂正連絡
8:59 ebisu投稿の中の次の一文

>世の中に流行っていい事と悪いことがあります
⇒世の中にはやっていい事と悪いことがあります

読み替えてください。

m(_ _)m
by ebisu (2013-10-20 10:02) 

ebisu

しり込みする気持ちはわからぬではない、しかし職責というものがある。

>これほどこのニムオロ塾で色々なネタを提供しても、ここを見ているはずの市議会議員たちは、「医師の採用方法や給料などに踏み込んだら病院が崩壊して市民が路頭に迷う」というもっともらしい理由で逃げてばかり。

職責が果たせないなら市議会議員としての地位も報酬も返上すべき、責任と地位や報酬はセット、というのがまっとうな考え方です。

商売の王道について言えば、
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」
札幌医大にはこの言葉を送りたい、原点に還るべきです。


by ebisu (2013-10-20 10:51) 

もやしさんま

おひさしぶりです
予算というものは必ずその範囲内で抑えるという意思がなくては作るだけ無駄のような気がします。まして市の予算はいわば人の金、それを任されているという責任をもってすれば、人件費だって抑えるための交渉をしてあたりまえだと思いますからそうしてほしいです。
しかしひとつ光明は常勤医の先生から来てくれる医師の推薦があるという話ですね。根室は最果ての町だから来てくれる医師がいないのなら打つ手がないですけれど、病院の体質改善されたら良くなるかもしれないですね
by もやしさんま (2013-10-21 00:30) 

事情通

>しかしひとつ光明は常勤医の先生から来てくれる医師の推薦があるという話ですね。

市立根室は、北海道の他地域の病院に比べ破格に待遇が良いからですよ。それは給料だけでなく月に一度は公費で地元に帰省出来るなど他では考えられない話です。またその給料についても、どうやら赴任の際に管理者側(市長)との裏約束の噂も有る。また希望する機材も殆どノーチェックで買って貰える。建物は新しくピカピカ。医師に対して住民は親切。
こりゃあ誰かを誘いたくなって当たり前です。

しかし、問題は病院内の環境でしょうね。一定の系列大学の人間ばかりが集められると、余所者は次第に居心地が悪くなります。これは一般社会では考えられないでしょうが、医師程自分の系列に拘り自惚れの強い人種は居ません。それは宇和を返せば”排他的”に陥り易いと言う事に繋がります。

そこをバランス良くまとめるのが院長と言う管理職の最大の腕の見せ所なんですが、現在の市立根室は院長の方針からして「某医大のために存在する」状態なので、下手をすると「根室の良さ」を発信する医師そのものが直ぐに根室を辞める傾向に有ります。


by 事情通 (2013-10-21 08:28) 

ebisu

もやしさんまさん、おひさしぶりです。

こうしたいい芽があっても、参事と院長が摘み取ってしまうと数名の方からメールをいただいています。そしてこの二人へは市長の強いバックアップがあります。

だれが根室の地域医療にとって癌組織であり、摘出手術をしなければいけないのかが誰の目にもはっきり映るようになって来ています。
by ebisu (2013-10-21 11:39) 

ebisu

事情通さんへ

確かに仰るとおりのことが起きていますね。
嫌かが指して、予定より早くおやめになった医師の方がいらっしゃいます。ebisuも実例を承知しております。

>そこをバランス良くまとめるのが院長と言う管理職の最大の腕の見せ所なんですが、現在の市立根室は院長の方針からして「某医大のために存在する」状態なので、下手をすると「根室の良さ」を発信する医師そのものが直ぐに根室を辞める傾向に有ります。

院長職は、出身大学の異なる医師のまとめ役であるばかりでなく、外科と内科のまとめ役でもあるわけですが、現院長はそれらにことごとく失敗しています。マネジメントのまずさから重大な医療事故も引き起こし、裁判にまでなったと聞き及んでいます。
市長は強く現院長を支持しています。前院長を外してまでも何が何でも...というほどに。

根室の地域医療は風前の灯に見えます。
ここまで事情を明らかにしているのに、市議たちはなんと牧歌的な議論に終始しているのでしょう。

本質論に踏み込んだ議論を、正々堂々と市議会でやってほしいと思います。そうしたら、わたしも再び市議会傍聴に出かけたくなります。
市議たちは根室の地域医療、市立根室病院経営問題で職責を果たしてほしいと思います。
by ebisu (2013-10-21 11:48) 

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