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#2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 [91.経済]

 根室高校は昨日8月19日から授業が始まった。生徒達は期限ぎりぎりになって慌てて宿題をやる者が多い(苦笑い)。自主的・自立的な学習習慣を育むべき高校生に宿題を出すのもどうかと思うが、高校生になっても期限に余裕をもって仕事を終えられない生徒の幼児性も問題だ。これでは社会人になってからが思いやられる。
 小学校各校と光洋中学校、柏陵中学校が今日から2学期の授業開始だ。光洋中学は明日「5科目実力テスト」だという。啓雲中学校は耐震改修作業中のため1週間夏休みが延長されている。

 標題は昨日の北海道新聞夕刊のニュース、一面の見出しである。

 輸入は前年同月比19.6%増の6兆9860億円
 輸出は前年同月比12.2%増の5兆9620億円

 衣類やコンピュータサーバー、半導体などの電子部品が増加。マレーシアからのLNG輸入が膨らんだと書いてあった。

 数字を自分で計算してみる。
 昨年7月は78円/$で、今年7月は概ね98円/$だから、
  98円÷78円=1.256

 25%強円安になっているので、円ベースでの輸入額は同一品目を同じ量だけ輸入したと假定すると25%アップになっていなければならないが、実際は19.6%増であるから輸入規模が縮小しているとも言える。ネットでニュース解説をいくつか読んでみたが、こんな単純な事実を報道したニュースソースはひとつもなかった。ニュースを読んだら、自分で計算して確かめたらいい。

 輸入規模が縮小しているのはなぜか。人口縮小が2000年あたりから始まり、団塊世代の退職が進んでいる、そして非正規雇用割合が増加(数日前に公表された雇用統計によればいまや三人に一人が非正規雇用)ので一人当たり年間所得の減少がとまらぬ、これらの事実を考え合わせると日本の経済規模が縮小し始めていると素直に考えたほうがよいのだろう。経済規模の縮小と円安によって、貿易収支が赤字基調に変ってしまったととらえるべきだ。次に起きるのは経常収支の赤字基調という現象だろう。

 それにしても円安はありがたくないことが7月の貿易統計の数値からもわかる。円安になったぶんだけ輸入金額が増えて物価が上昇してしまう。ガソリンは160円/リットルを超えてしまった。冬の燃料用灯油も値上がりするだろう。燃料が高くて採算を見極めるために出漁を見合わせているサンマ漁船もある。

 円安は日本の国力の衰えだととらえるべきで、それがよいなどと声高に主張して、「異次元の量的緩和」という金融政策で円安誘導をやるというアベノミクスは愚策だ。

 8月13日NHKラジオ朝6時43分からの番組「経済展望」を聴いた。敗戦直後の金融事情についてはebisuはほとんど知識がないが、内橋克人氏によれば、1945年8月15日の通貨供給量は303億円、それが8月末日には435億円に増え、翌年の1946年2月15日には605億円と2倍に増えたという。政府は2月17日に金融緊急措置令を発表し新円への切り替えを行った。1世帯当たり300円の新円交付と預金封鎖によって政府は503億円の旧日銀券を回収した。ところが闇市場と農村へお金が流れ、9月末には流通通貨量は禁輸緊急措置令前よりも増えてしまい644億円になった。経済の歪はさらに大きくなり、いったん始まったインフレは実際には制御できなかったというのが歴史的事実である。
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 ウィキペディアで"新円切替"を検索してみた。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%86%86%E5%88%87%E6%9B%BF
「インフレの抑制にある程度成果はあったものの、抑えきることはできなかった。そのため市民が戦前に持っていた現金資産は国債等債券同様にほぼ無価値になった。」

 1946年2月17日の昭和毎日新聞記事
http://showa.mainichi.jp/news/1946/02/post-1961.html

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 凍結された預貯金はどうなったのか?預金金額ごとに税率を定めた財産税を課税され、最終的には国庫に没収されたのである。国民の被害は甚大だった。そこまでしてもインフレ抑制ができなかったことは通貨供給量のその後の推移で明らかである、焼け石に水。
 預金金額ごとの税率は次のURLに載っている。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1313862628

 インフレターゲットを2%に設定して通貨供給量を2倍の270兆円に増やすと黒田日銀総裁が明言している。インフレ率は管理できるとの立場である。専門家だから戦後の金融政策については知っている、にも関わらずインフレがコントロールできると言い切る、こういうのを厚顔無恥という。
 失敗したら財務省はまた新円切り換えと預金封鎖、国民の預貯金の国庫への没収によって国債残高を1000兆円減らすのだろうか?

 露骨な円安誘導で円ベースで株価が5割も高騰したが為替の影響を差し引くと20%程度の上昇で誤差範囲だろう。経済成長で景気がよくなっているわけではない、一部の輸出産業を除き設備投資も給料も上がっていないから、実体のない景気上昇は見せ掛けだ。貿易収支動向に注目すれば何が起きているのかがわかる。踊らされてはいけない、浮利を追ってはならぬ。踊った先には新円切り替えと預金封鎖⇒預金没収の世界が待っている。

 人口縮小と高齢化で日本の国力は衰えざるを得ないし、経済規模も縮小していく。2040年には人口は3000万人減少して、約1億人になってしまう。その後も人口縮小は止まらない。
 長期的に見ると国力の衰えにともない円安が進み、輸入品の価格が上昇し続けるだろう。

 輸入のうちで増えている製品は、衣類、コンピュータサーバ、半導体などだが、日本で作れないものはこの中にはない。国内に雇用を確保できるから、輸入をやめて国産品を使えばいい、そういう選択肢があるのは先進国で米国を除けば日本だけだろう。値段が高くなっても、品質の高い国産品を使えばいい。
 江戸時代のように鎖国=管理貿易でいいのである。自国で生産できないものだけを輸入すればいい。世界中の国がそうすれば、自国の雇用を確保できる。しかしそれは教育水準が高くないとできない。教育水準の高さと職人仕事への尊敬、そしてある程度の人口規模が必要条件となるだろう。この三条件をそろえられる国は少ない。
 輸出企業への影響を心配する向きがあるかもしれないが、トヨタに見るように生産拠点の大部分をとっくに海外に移しているから、そんなに大きな影響はでないだろう。そもそも日本の全産業に占める輸出産業の比率は15%くらいしかない。シンガポール(22%)に比べても日本の輸出比率は低いのである。日本の産業構造は外需よりも内需のほうが6倍のスケールをもっているのだから、給料が上がり内需が回復すれば実体を伴って景気がよくなったといえる。
 財務省にだまされてはいけない、国の経済政策や金融債策が浮利を追うようでは見込みナシだ。


*#2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

【浮利】大辞林より
まともなやり方でない方法で得る利益。あぶく銭。

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 8/21 ドイツ連銀がアベノミクス効果は一時的と酷評
来年には、消費税率の引き上げをきっかけに効果が大幅に小さくなり、再来年、2015年以降は、財政の悪化が経済を圧迫するとともに、毎年1%を超える過度の物価上昇が続いて、アベノミクスの効果は一時的なものに終わると分析しています
ドイツは、過去に急激な物価の上昇を経験したことなどから、インフレへの懸念がとりわけ強く、アベノミクスについて、繰り返し厳しい見方を示しています
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130820/k10013911801000.html

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