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#2371 平成25年金刀比羅神社例大祭(4):感度のよいセンサーと選択について  Aug. 13, 2013 [88.金刀比羅神社のお祭り]

 北海道医療大学と小樽商大の3年生が来た。3年生になるとすっかり大人だ。お祭りの話しをしていたら、
「山車のフィギュアが小さくなりましたね」
そんなことを言うので、
「なぜ?」
と聞くと、
「だって(T字型の)棒で電線をもちあげてなかったでしょう?」

 なるほど、そう言われてみるといなかったね、棒で電線を持ち上げる係りの人がどの山にも乗っていなかった。フィギュアが小さくなれば電線に引っ掛からない、よく見ているものだ。観察眼が鋭いのはアンテナの感覚がいいからだろう。ebisuは同じものを見ているのに言われるまでさっぱり気がつかなかった。生徒の成長をなんとなく感じてしまう、こういうときがうれしい。
 昔(昭和30年代)は青森ねぶたを小さくしたようなつくりだった。根室では雨対策でプラスチック材料が使われるようになったのだろう。便利な材料にシフトすると、昔の風格や懐かしさがなくなりオモチャっぽくなるのはしかたがない。そのときは目先の便利さを選びなんとなくやったことが、何を選んだかで十年二十年後の姿がまるで違ってしまうことになる。日々の選択をおろそかにしてはいけないということだろう。
 十年二十年後に思いをいたさずに安易な選択をすると二十年後の未来をまるで違ったモノにしてしまう。明治公園整備事業と称する開発計画が進行中だがたいへんな選択のミスだからやってはいけないよ。明治公園はあのまま次の世代へ渡せばいい。
 市立根室病院も療養型病床が一つもない、これも選択ミスの一つだ。十年二十年後に根室の住民(老人とその家族や友人)はこの選択ミスで悩み・苦しみの中にいるだろう。じつにおろかな選択だった**。
 簡単なことだ、生まれ育ったふるさとで最後を迎えられない老人が多くなるのだよ。ほかの町にある療養型病床の病院へ入院せざるを得ない老人が増える。家族や友人に看取られずに死んで行くしかない。
 家族や友人に看取られて苦しまずに逝くことができれ最高の幸せだろうが、そのためには根室に療養病棟のあることが必要条件である。
 まことに残念なことではあるが、そんなことすら理解できない者たちが市政を運営している。療養病床を欠くという、ニーズに合わない病院が70億円をかけて出来上がってしまった。市議会は市側の案をそのまま通してチェック機能を果たせなかった。わたしは町を牛耳っている者たちの基礎学力レベルと心根の在り様を疑わざるを得ない。長いものには巻かれろでは町の未来はますます暗くなる。大人が子供たちに範を示さずにどうする?一つ一つの選択や決断をおろそかにしてはいけない。ならぬことはならぬのだ。

 私はねぶた祭りを2度見ているが、山車の大きさと張りぼての内側からの照明効果に度肝を抜かれた、風格と懐かしさを感じるのだ。太鼓の皮が2mもある「じょっぱり太鼓」、そんなに大きくしては音が低すぎてどうしようもないが祭りにかける青森人の意気込みは伝わってくる。

 話しは源氏物語や枕草子にも飛んだ。古典文学の世界では日本人は平安時代はじつに熱心に恋愛をしている。
 恋愛に対する一生懸命さがいまよりずっと濃密だ。付き合う異性はよく選ばないと危ないよ、もてる女ほど男がらみのトラブルが多くなる。変な奴と付き合うとやっかいなことになる、悪くするとストーカーから「にんじょうざた」になる、と言ってから、成績下位三分の一の中3に「にんじょうざた」と言ったらどういう意味に理解するだろうという話になった。
 そんな日本語簡単だよと言いそうだ。「にんじょう」+「ざた」に分解して、前者は「人情」、人の情けだよと得意げに言いそうだ。

(ちなみに、「沙汰」を大辞林で引くと「〔「沙」は砂、「汰」は選び分ける意」〕 ①事の是非・善悪などを論じ定めること、またそれによって処理すること」とある。「地獄の沙汰も金次第」という常套句で知っている中学生が2割りはいるだろう。)

 「刃傷」という字が思い浮かばなければアウトだ、日本語が通じないことになる。刃物の「刃」と殺傷の「傷」という漢字を見たら意味がわかるが、話し言葉は音が伝わるだけだから、適切な漢字に置き換えられなければ意味は伝わらない。
 成績下位三分の一の中学3年生の日本語語彙力は小学4年生以下ケースが多い。標準的な中学校の授業で使われる日本語語彙の理解に大きな支障が出てしまう
 そうして考えると、日本語語彙が貧弱だから、その結果として授業が理解できずに成績が振るわないという低学力の深層構造が見えてくる。
 簡単に言うと、貧弱な日本語語彙をそのままにしておいたら成績が上がるはずがないのである


 日本語語彙力を上げるには日本語で書かれた文章をたくさん読むしかない。それには基本的には本をたくさん読むことだスピードが遅ければ次の段落に行った時に前々段落の内容を忘れてしまっているので、段落単位のロジックの組み立てが読み取れなくなる。
 ある程度のスピードがなければ、読んでいる本の内容が理解できない。高速で音読できれば黙読でも速く読めるし、文意や論旨が的確につかめる


 小学校低学年でお母さん達が子供の音読トレーニングにつきあってやる、そして興味のある本を買ってやり、わからない言葉を辞書で引かせる習慣をつける、そういうことがその後の学力の伸びの大半を決めてしまうことに気がついてほしい。ゲーム機に子育てを任せたらあなたの負けだ。
 一番大事なのは日本語=国語能力である。それは年齢に応じた適切な躾けやトレーニングでいくらでもよくなる


 大学三年生ともなると、もう年頃だから、好きな人がいても不思議ではないし、結婚を考えている場合だってある。二十歳をすぎたら女の子達はいつお母さんになっても不思議ではない。今度は自分が勉強するのではなくて、子供を躾ける側に回るわけだ。小学校低学年での子育ての仕方、家庭学習習慣の躾け方如何で、子供の勉強への関心や熱中度のおおよそが決まってしまう。

 お母さん達は自分の子供を小学校低学年でしっかり躾けなければならない
 そのためには、これからお母さんとなる20代前半の若い子達に子育ての仕方、年齢に応じた躾けの仕方の大筋を伝えておかねばならない。やっかいなことに子育てはやりなおしがきかないし、簡単なようでとてもむずかしいのである。あなたはどういう子育てを選択する?
 今日来た二人の女子大生はいつの日か親となってしっかり自分の子どもを躾けるだろう。根室の子ども達の低学力問題はこういうところからもメスを入れないといけない。
  学力(知識と考える力)はどんな職業に就こうと生き抜くための強力な武器になる。

 町を牛耳っている愚かな年寄りどもはまもなく療養型病床もない中で家族にも友人にも看取られずに次々と消えていくから、しっかりした基礎学力とまっすぐな心根を兼ね備えた若い人たちがふるさとの未来を担ってくれることを期待している。

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*小樽商大の生徒は高校生になってから苦手の数学をなんとかしたくてニムオロ塾に来た生徒だ。国立大学進学希望だったから数学が苦手のままではいけないと思ったのだろう。結局学校推薦で合格した。小樽商大は学校推薦にセンター試験で得意科目での80%超の得点を要求しているが、これがクリアできない生徒が多い。この生徒は小さいときから「本の虫」(幼馴染の評)だったから、ヒマさえあれば本を読み、高校卒業までに大量の本を読破している。日本語語彙力で他の生徒に圧倒的に勝っていたのだろう、ベネッセの全国模試で国語の成績は半分くらい根高ナンバーワンだった生徒である。
 社会人になってから必ず数学が必要になるから高校数学から線型代数まで数学能力をブラッシュアップしておけと伝えた。国語の能力の高い者は本格的に勉強を始めると英語の能力も飛躍的に伸びる。国語の能力が低ければ外国語はいくらやっても頭打ちになる。国語と数学、この両方があることは「鬼に金棒」(金刀比羅神社のお祭りの金棒と鬼の金棒は字は同じでもか形状が違うよ)。国語と数学、この二つの能力が秀でていたら、ほとんどの分野の専門書を読み理解することができる。
 あとは考える力と読解力を一段アップするために哲学関係の本を読め、できたら履修していなくても哲学の授業にこっそり出席して学べ。
 一つのことを一時間、一日、一週間、一ヶ月間、一年間考え続ける力こそが真の力となる。そういうパワーをもった人間には赤字の会社を黒字のしかも高収益の会社にできる。学者になるのもいい。

  同じ学年で男子で何度か国語ナンバーワンをとった生徒がいた、N君であるがこちらは北海道教育大札幌分校へ進学した。成績のよい生徒は男女を問わず国語の能力が高いと言えるかも知れない。まれに数学はできるが国語はいくら勉強してもダメという人がいるが、聞いてみると大して本を読んでいない。日本語語彙力が貧弱なままではいくら国語受験問題集を解いても効果は小さいということだろう。付け焼刃にしかならぬ。昨年卒業したはずだが、釧路湖陵高校に進学した別のN君は中学時代は学力テストで国語90点以下を取ったことのない特異な生徒だった。出題者の意図を的確に読めたのだろうが、あまりに的確すぎて心配になった。読解力が出題者レベルでとどまっていては困る、そこを抜けたところに別の世界が広がっているのが見えなくなってしまう。知らず知らずのうちに思考に鋳型ができてしまう、それが強固なモノになればなるほど、後でそれを壊すのが困難になるのだ。小さく粒のそろったきれいな字が高速で書ける生徒だった。おそらく字を書く速さときれいさでは私の教えた生徒ではかれが一番だ。初心貫徹、医者になるのだろうか、それともほかの分野へ興味が湧いて進路が変わるのだろうか、若い人たちの可能性は限りない。
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**わたしは縁があって首都圏の300ベッド弱の老人病院を療養型病床の病院へ建て替えを常務理事としてやったことがあるので、療養型病院の老人のケアの仕方を実際に観察している。「縛らない介護」に総婦長が熱心に取り組んでくれたお陰で、いいケアができるようになっていた。理事長の方針もよかった。「痛くない、苦しくない、怖くない」、積極的な延命治療はしないほうが苦しませずに自然死に近い終わりを迎えさせてやれる。「他人を介護しているのではない、自分の親を介護するつもりで患者に接しろ」、よくそう言っていた。
 この病院はベッド稼働率は98%、民間経営の黒字病院だった。療養病床は赤字になるという人がいるが、それは経営の仕方を知らぬ者の戯言だ。ようするに病院経営は経営の仕方しだいで赤字にも黒字にもなるということ。経営者の能力が低ければ赤字拡大は当然の結果だ。市立根室病院はこの7年間赤字が拡大し続けている。前市長である藤原市政時代はおおむね8億円の赤字だったが、前年度ついに16億円を超えてしまった。赤字拡大は止まる気配がない。今年度は20億円を超すだろう。
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【徒弟制度】
 職人の仕事は親方や名人のやる仕事を見て盗んで覚える。なぜそうやるのか、身体を使って真似を繰り返して、その奥にある何かがつかめなければ一流の職人にはなれない。だから職人を育てる徒弟制度には「教える⇒学ぶ」ということがない。「見て盗む」ことができるくらいの素質や能力がなければ一流にはなれぬ。一流の仕事人を育てるためには教えてはならないのである。徒弟制度はすぐれた人材育成方法である。
 私塾ではそういう素質をもった生徒にはあるところから教えるのをやめ、とことん自力で考えさせる。そういう対応が必要な生徒は滅多にいないが、生徒の知的レベルに合う本は何冊か選んであげられる。
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【刃傷沙汰】(大辞林より)
刃物をもって争うこと。刃物で他人を傷つけること。
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サリー

おひさしぶりです。 
異常に熱い南国で読ませていただいてます。(*^^)v
パソコンの前でウンウンとうなづいてしまいました。
子供のころから考える力と国語力の大切さに気が付いていたら、私も、もっと違った人生歩んでいたかな・・・とか。(笑)
いつの日か、いっしょに飲み語りあいたいです。乾杯!
by サリー (2013-08-15 23:56) 

ebisu

サリーさん、久しぶりです。

ご主人と一緒に時々戻ってきているようですね。
言ったりきたりしているうちには偶然思いがけない人と遭うことがあるでしょうね。
相変わらずご馳走とお酒を一杯並べて、健啖家振りをはっきしていますね。きっと丈夫な胃袋と肝臓をお持ちなのでしょう。うらやましい(笑)

ところでカツヨさんが市議に立候補したようです。ビッグニュースでしょう。北海道新聞の市議選の記事に「新人」で載っていました。
カツヨさん八面六臂の活躍、元気な人がもっと出てきてほしい。サリーさんも根室にいたら一緒に市議選にでたら面白くなったでしょうね。

根室は今朝はめずらしく18度ほどありました。例年最低気温は13度なのですが、最近一週間くらいは制定気温が17度前後あります。
カーッと暑い夏もいいでしょう、半端が一番よくないようです。

数日前に大学三年生の女子二人と居酒屋で飲みました。20歳になったら雰囲気のいいワインバーに連れて行ってやると約束していたので、
「先生二十歳になったよ」
と言われたときには、店を閉めた後でした。
仕方なく他の店で楽しく飲みました。
あなたのお店も根室伝説になってしまいましたね。
ワインバーサリーをみんな懐かしんでいると思います。
by ebisu (2013-08-16 09:34) 

ebisu

昨年根室支局から栄転した北海道新聞のクリリンさんは暑い夏の東京で一杯汗をかいているだろうな。
サリーさんのコメントを読んで神輿を担いで汗を流していた笑顔のクリリンさんを思い出しました。
がんばれクリリン、暑さに負けるなよ。
by ebisu (2013-08-16 09:39) 

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