#2369 平成25年金刀比羅神社例大祭(2):小雨の空模様 Aug.10, 2013 [88.金刀比羅神社のお祭り]
東京は35度、全国6箇所で40度越え。根室は小雨が降って寒かった。朝6時の気温は道内最低で17.8度、小雨が降る中、金色に輝く神輿は予定通りお昼に神社を出発した。
山車も行列も透明な雨具で完全防備で予定通りのコースを練り歩いた。雨具を着ずに平然と歩いている人もいて、それはそれで粋だった。わたしは2箇所で行列を眺めた。最初は止めた車の中から、そして車から降りて。一緒にぬれるのも乙なもの。
夜になって7時半ころ町へ出た。緑町に着いたら雨はあがった。先太鼓の競演は中止の立て看板が御旅所のところに出ていた。第一祭典区が御旅所前で和太鼓の演奏を始めた。それから緑町2丁目交差点へ移動し、第一祭典区と第三祭典区の山車が向かい合わせで長い競演があり、先導がそれぞれ赤い警告灯でを交差させると演奏がやみ第一祭典区の山車が左折し 梅ヶ枝町方面へ去った。そのあと交差点では第三祭典区の和太鼓演奏があった。テンポの速い音にあわせて獅子が2頭舞踊る。三人一組の獅子舞はまるで生きているかのように敏捷な動きを見せていた。9時少し前にそれも終わった。
西部祭典区の和太鼓の演奏を見たかったな。
演奏するほうにも見物するほうにも欲求不満を残しながら御旅所付近での金刀比羅さんの神に捧げる演奏が終わった。
金刀比羅神社に祀られている神は金比羅大権現だが、これはよくわからない神様である。元々の主祭神は大物主の神だが仏教の金比羅と習合して金比羅大権現となったとウィキペディアに説明があった。明治の廃仏毀釈で祭神は大物主と決まった。
オオモノヌシミカタマノミコトは蛇神で水神としての性格をもち、大国主命の和魂(ニギミタマ)であるという。大国主命は出雲神社の神様である。大和以前の古層の神がいま御旅所に鎮座している。
真っ暗な空を見上げながら心は古事記の世界へ一気に飛翔した。4日ほど前に『古事記 不思議な1300年史』を読んだせいだろうか。
古事記の訓読についてはよくわからないところが多い。漢字で書かれたものを、もとの大和言葉に置き換えるのは容易なことではない。天武天皇が稗田阿礼に語った古伝承を太安万侶が漢訳して『古事記』にまとめたが、漢字は表意文字であるから大和言葉の音を写したものではなく意味を漢字で表したにすぎぬ、さてどうやってもとの大和言葉を復元すべきか、諸説があって当然である。
先週東京へ行ったときに岩波文庫から出されている『古事記伝』(本居宣長著)を見つけて買ってきた。4冊本になっておりかなり手ごわい。高校時代の古典の勉強が基礎の基礎だが、興味がでて古い時代の本を読むときには高校の古典文法は最低限の知識である。
知的興味を失わぬ限り数学も物理も科学も生物も古典も英語もどんな勉強もけっして無駄にはならぬ。高校時代の勉強がすべての基礎だから、そこをクリアできれば専門書が読め、自分の足で歩いて回れる世界が広がる。
伊勢神宮と出雲神社、そしてこの本にはとりあげられていないが宇佐神社、わたしたちは神々にまつわる日本古代史について知るところが少ない。「国際人」を育成するために小学生から英語の授業をするようになったが、自国の神々や国の成り立ちについてほとんど知識をもたない「国際人」なんてありうるのだろうか?
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記紀神話の元になっている『ほつまつたゑ』(上下巻 渓声社 1998年刊)という本がある。神代文字と漢字かな混じり文での対訳が載っている珍しい本だ。この中には万葉集で意味のわからない大和古語の漢訳が載っているから、意味を知ることができる。
この書は五七調の1万行の詩からなっている。この書に載っている数の数え方「ひふみよいむなやこともちろ」はイチ・ニ・サンという数え方よりも古い。「いろはにほへと」と同じように一文字も重複しない天地歌(あわのうた)があるが、これは漢字への翻訳がなく神代文字をカタカナにしてあるだけだ。
アカハマナ イキヒニミウク
フヌムエケ ヘネメヲコホノ
モトロソヨ オテレセヱツル
スユンチリ シヰタラサヤワ
『ほつまつたゑ<上>』11ページより
この本は上下2巻がセットになって販売されていたのだが、絶版である。出版されたばかりのころ、たまたま新宿紀伊国屋書店(旧店舗)で半日を費やし片っ端から立ち読みしているときに見つけて購入した。「ほつまつたゑ」があることは解説本を複数読んでいたので知っていたが、出版されるとは思わなかったからうれしかった。定価9600円だったが絶版になってから値段は2倍になってしまった。たくさんの人に読んでほしい本なのに値段が高すぎる。
朗誦すると気持ちのよいテクストである。五七調というのは二千年の伝統的なリズムなのだろう。小中学生と一緒に2年間毎日朗誦してみたい。すばらしいテクストだ。
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寒いと思って合同庁舎前の温度表示を確認したら15.1度だった。東京は夜になっても室内は35度、エアコンつけっぱなしで29度に下げないと眠られぬ。東京とはまるで別世界の根室は涼しいを通り越して寒い、祭りがはねて家に戻ってから床暖房をつけた。今日も根室が日本で一番涼しい。10時頃からまた雨が降りはじめた。
日中もずぶぬれになっていた人たちは寒かっただろう。金刀比羅神社のお祭りは晴れが多い特異日だったと記憶するが、近年のお祭りは半分くらい雨に見舞われている。
道東沖ではクロマグロがたくさん獲れ、温暖な海水域が出現している。こんなことは初めてだ。いろんなことが少しずつ、そして案外急速に変化しつつあるようだ。そういう変化に対応しながらいつのまにかわたしたちの生活や伝統も変わっていくのだろう。
*#2368 平成25年金刀比羅神社例大祭宵宮 Aug. 9, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-09-1
#2370 平成25年金刀比羅神社例大祭(3):雨上がり Aug. 11, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-11
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