#2367 インプラントは定期点検が大切 Aug. 9, 2013 [39. インプラント治療]
昨日東京から戻った。今日は金刀比羅神社の例大祭の宵宮だから各祭典区が回ってくる、にぎやかでいい。西部祭典区のお囃子山車は全員がピンクのハッピ姿の女の子だ、粋で派手、よくあれだけ集めたな。東部祭典区の金棒も見たが、こちらは数が少なかった。
高校を卒業してから35年間東京暮らしだったから、いつからなくなったのか分からないが、祭りに大人の金棒がないのがさみしい。腕力のある大人の金棒はぴたっとそろって音や掛け声の迫力がまるで違う。
ニムオロ塾は8月1日から金刀比羅神社のお祭りの終わる11日まで夏休みである、夏休みを利用して東京のHデンタルクリニックで歯科治療をしてきた。
スキルス胃癌と巨大胃癌の併発で7年前の7月に胃の全摘手術を受けているので、消化不良の影響からか口内炎に見舞われることが多い。よく噛まないと腸が炎症を起こし、それが口内炎を引き起こすようで、歯の健康にはとくに留意している。
地元のF歯科医院で数年前に次々に前歯(下)を治療した。術後はカルシュウムの吸収が悪いのに加えて、食事の回数を6回にして少しずつ食べなければならないので、口内細菌環境が悪化し、次々と虫歯になっていった。歯が痛いと食事が辛く、体調が悪化するから、1年間のうち四分の一は歯科治療で通院していたので、地元の歯科医の先生にずいぶん助けられた。
上の前歯はセラミックスだったが、下の歯は「もたないかもしれない」のでと保険診療を勧められた。「これでしばらく様子を見て、具合が悪くなったら自由診療の歯に交換すればいい」とのことだった。
歯茎が少し後退して具合が悪くなったことと歯の裏側が少しざらついて舌炎の原因になっているようなので自由診療でジルコニウムの歯に交換することに決め、3月下旬にインプラントの定期点検のために東京へ行ったついでにH先生に治療をお願いしまとめて3本仮歯を入れてもらった。今回は仮歯を外してジルコニウムの歯に交換、ツルツルしていて舌炎はすぐにおさまった。
インプラントの歯の定期点検もしてもらった。点検の後、歯石の除去とノズルから水のでる器具で超音波「クリーニング」だが、後者はすこしくすぐったい。
先生は年に3回点検するのが標準的な頻度だというが、遠隔地なのでいまのところ年2回のペースでの定期点検。
治療を実際に受けてみて思うのだが、インプラントは患者の側も仕組みやインプラント手術後の管理について勉強する必要がある。インプラントにかかわるトラブルは歯科医の技術の未熟さや設備の貧弱さに起因するものも少なくないだろうが、患者の側の不勉強や誤解によるものもある。治療の際に歯科医から説明するだけでは情報が不足して術後の管理の重要性が十分には伝わらない。
(だからそれを補足説明するしっかりしたパンフレットや本が必要である。ところがそういうパンフレットや本はなかなか見つけられない。)
ゲンコツ飴のような硬いものを噛んだら、チタン製のボルトを支えている骨が破壊されてしまうのはあたりまえの話だが、そういう人がいる。硬いステーキやスルメの類も大きな圧力をかけるのでやめたほうが無難だ。インプラントはもって生まれた歯と強度が同じではない、ずっとヤワなことを知っておくべきだ。
もう一つ注意すべきは、定期点検である。ボルトの上に義歯が載っているのだが、その義歯と歯茎の境目で炎症がおきやすいから、歯磨きをていねいにおこない、歯間ブラシも使って「掃除」を徹底することが大事。インプラントだから虫歯にならないと勝手に解釈して手入れを怠ると、炎症をおこしてトラブルになる。病気は未然に防ぐのが一番である。
超音波(電動)ブラシを使ってみたら、振動が強く支えている骨とチタン製のボルトへ悪影響があるのではないかと心配になり数回使ってやめた。どうなのだろうとH先生に質問したら、「大丈夫ですから使ってください」という返事で、超音波振動がインプラントの歯と骨に安全だということがわかった。素人判断とは逆、専門家に聞いてみないとわからないものだ。
さて、インプラントの勉強をしたくなった人にいい本を紹介しよう。数日前にワイフが上顎のインプラントをするので相談したときにH先生にいただいた本だ、5月に出版されたばかりの本、これがじつに分かりやすく解説してくれている。トラブルを未然に防止するために、こういう情報が歯科医と患者の双方に有益である。
『専門家が教えるインプラントのすべて』
後ろのほうに「ガイドデント インプラント10年保証認定医院一覧」が載っている。東京都多摩市関戸にあるHデンタルクリニックがわたしの歯の主治医である。根室のF歯科医の先生とお二人、歯科の主治医がいる、ありがたい。
インプラントは専門の学会に研修プログラムがあり専門医を認定(研修プログラムの修了証を発行)している。
北海道の歯科医の先生たちは仕事を休まなければならないから、インプラント学会の研修を受けるのがなかなかむずかしいだろう。そうした事情が反映してか、この「10年保証認定医院」のリストには北海道では函館の2歯科医院と旭川と帯広に各1医院しかない、北海道全体でたった4歯科医院。
インプラントに必要な設備について書いておきたい。三次元画像解析ソフトとX線CTそして専用手術室が必要だ。理由も書いておこう。
三次元画像解析装置で対象となる歯の骨の形状を立体画像で計測して、あける穴の直径や深さ、角度を慎重に決める。神経に触らないこともだいじだ。上の歯の場合は骨の縦の厚みが小さいから「ソケットリフト」**をして「補強」しなければいけないケースがある。これは最近の技術だ。私の場合は下の歯だったが、一本は手術後1ヶ月ほどで抜けてしまい再手術をしたが人口骨を横から貼り付けて補強してくれた。こうすると数ヶ月で吸収されて厚みが増す。上顎骨の場合は縦の厚みが問題となる、いずれにしろ0.1mm単位で支持構造である骨の三次元画像を確認する必要がある。こうして輪切りにしていってインプラントするボルトの直径や長さや埋め込む角度を決める。こうした設備がなく勘でやるのはリスクが大きい。
ソケットリフトが示すように、インプラントは技術進化が速いので、専門医は安全性を高めるために次々に開発される部品や道具を使いこなさなければならない。だから、研修は必須だ。
以前はボルトを埋め込みその上に義歯をのっけたが、数年前から雌ボルトを埋め込み、その中に芯をあとから入れてその芯に義歯をのせる方式になっている。口内環境は加齢とともに変わるから、不都合が生じたときに処置がやりやすい。たとえば、下顎骨が加齢とともに薄くなったり、歯茎が後退することによって、以前の義歯が具合が悪くなることが考えられる。インプラントの土台を活かしながら、総入れ歯への切り換えも芯の交換ができるタイプだと、スムーズにやれるのである。
インプラントのトラブルは土台になっている顎の骨の骨折を伴うことが多いから、そのあとの治療は口腔外科医の仕事の領域だ。トラブルが起きたときにしっかりした対応を保証するシステムが出来上がりつつあることは、歯科医にとっても患者にとってもありがたいことだ。
これからインプラント治療を検討する人は、歯科医院へ行く前に読んでみたらいい。もちろん治療をした人も、インプラントをダメにしたくないなら読むべきだ。敵を知らないことには長持ちさせられない、インプラント治療は歯科医と患者の長く続く共同戦線なのである。
専門家が教える歯科インプラントのすべて―噛んで健康寿命を延ばす!歯科インプラント治療をやさ
- 作者:
- 出版社/メーカー: 海苑社
- 発売日: 2013/06
- メディア: 大型本
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**「#2367 インプラントは定期点検が大切 Aug. 9, 2013 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-09
#2157 インプラント治療終了 Dec.16, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-16
#2099 インプラント治療の実際(3) Oct. 14, 2012
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#1918 インプラントの実際(2) : 片方固着せず、やり直し May 2, 2012
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#1896 インプラント治療とQOLの改善 Apr. 8, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-04-08
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**ソケットリフト
上の歯のインプラントを検討している方は三つとも眼を通してください。③が写真つきで一番分かりやすいのではないでしょうか。
①「ソケットリフト」(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%88
②「ソケットリフト」緊急レポート
http://www.ha-channel-88.com/jiten/sokettorihuto.html
「ソケットリフト 顎の骨が不足している場合」
http://www.implant.ac/implant_html/care/more/socket_ezaki.htm
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わーい、お帰りなさいませ!\(^o^)/
by ZAPPER (2013-08-09 22:12)
ただいま帰りました。
8月7日付けの貴ブログ記事は説得力がありますね。
合格先生が入試問題と具体的な数値を挙げて長期的な学力低下を説明しています。
こういう論説はたくさんの人に読んでほしいですね。保護者だけでなく学校の先生たちにも。
by ebisu (2013-08-09 23:23)