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#2359 地元企業への就職:"御社は決算を従業員へ公開してますか?" July 20, 2013 [11. 中小企業家育成コラム]

 根室では高卒の就職戦線がはじまったようだ。地元企業へ就職希望の高校生諸君、就職説明会の折には大きな声で堂々と質問したらいい。

 "わたしは一生懸命に働き、業績をよくします、結果がどうなったのかを毎年知りたいのですが、御社は従業員へ決算公開していますか?"

 従業員へ決算も公開できないような企業はダメ企業と判断していい。予算制度のない企業も危ない。予算制度の導入と決算の公開はセットになっている。
 決算を公開していない同族経営は、その企業の未来を明るくするために、決算公開に踏み切るべきだ。

 いくら儲かって、従業員へのボーナスへいくら分配したのかはっきり分かるような説明があってしかるべきで、それが予算制度の導入と決算公開である。
 業績が悪いときには何が原因で損失が出たのか予算と決算の数字を比較してはっきり理由を説明し、次年度へどういう取り組みをするのかを決めなければならない。具体的な方針を練り、経営者と社員が一丸とならないと、赤字から黒字への転換はなかなかむずかしい。
  あなたが野球部に属しているとしたら、試合で何点とって勝ったのか、あるいは何点とって負けたのかを知らずに、次の戦いに備えることができるだろうか?サッカーだって、バレーボールだってバスケットボールだって、同じことだ。企業経営もそうだろう?

 中小企業ではしばしば経営者が恣意的なお金の使い方をする。会社と個人の財布をきちんと分けていないような会社は危うい。だから経理規程があってきちんと守られているかも大事なポイントである。企業選びはしっかりやれ。
 退職金規程があるかないかも確かめておいたほうがいい。47年勤めたらいくら退職金が出るのか、規程があるかないかは重要なポイントである。社長の考え次第で退職金の金額が決まるのでは、安心して働けない。
 わたしの勤務していた会社は毎年度末に退職金規程に基いて計算した退職金額を全社員に通知していた。

 社会保障・人口問題研究所の地域別人口推計によれば、2040年の根室の人口は1.8万人である、27年後にあなたたち高校3年生は45歳になる。そのときに根室の地元企業の半数近くが倒産してなくなっているだろう。28歳で結婚したとして、30歳で子供ができれば子供はちょうど高校へ入学する歳である。3年早く25歳で結婚したら、長子(長男あるいは長女)が高校を卒業して専門学校あるいは大学へ進学する時期に当たる。そんなときに勤めている企業が倒産したらどうなる?

 長期的に見れば従業員に決算の公開もできないような軟弱な企業が生き残れる可能性は限りなくゼロに近い。従業員が本気で仕事に取り組まないと、人口縮小の時代に企業の生き残りは難しい。人口が減るのは根室だけではない。札幌も東京も急激に人口が減少し、高齢化が加速する。
 若い労働力が不足するから、十数年後にはいまよりもずっと楽に就職できる時代がくるだろう。しかし、そのときに君達は中年になっており、長期にわたる売上減少から倒産企業も増え、転職はむずかしい。

 就職説明会はこれからあなた達が運命を共にする大事な会社を選ぶ大事な大事な機会だから、臆せず堂々と質問しよう。それが地元経営者の意識を変え、地元企業の経営を健全なものにする

 根室管内の子どもたちの学力が全道最低レベルであることが全国一斉学力テストで明らかだが、地元企業の経営実態はそれ以下だ。基礎学力のしっかりした経営者が素直な心でやる気になれば、経営改善はいくらでもできる。そういう経営者のいる企業を選べ。中小企業はオヤジ(経営者)次第だから、会社説明会にオヤジが出てこない企業はそれだけでペケだ。企業説明会のスケジュールは早くから決まっているから、スケジュール調整をして経営者が出てくるのはあたりまえ。
 就職説明会で「給与」がどうのこうの、「業務内容」がどうのこうのばかり言い、「夢」を語れない経営者のいる企業には未来がない。2040年に生き残っている根室の企業は半分だから、社員へ夢を語り、その夢を実現できる経営力をもった心根のまっすぐな経営者を選べ
 地元企業の経営者諸君、従業員へ夢を語り、その夢を実現できる企業家になろう。そのために学ぶべきことはいくらでもある。




 7月18日北海道新聞根室地域版の記事より
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地元企業への就職アピール

 根室 
高3生に説明会

【根室】来年3月に高校を卒業予定で就職を希望している生徒を対象にした地元企業説明会が17日、市総合文化会館で開かれた。
 市と根室商工会議所、中小企業家同友会根室支部の共催で、地元定着を図ろうと毎年行っている。根室高から60人、根室西高から26人が参加した。
 本年度は市内の水産加工業や金融機関など9社・事業所がブースを設けた。企業の担当者が業務内容や勤務体系、給与などについて説明。「失敗しても注意を受け入れる素直な心が大切」「元気で働くことが一番」など就職全般に関するアドバイスも送られ、生徒達は真剣な表情で耳を傾けていた。
 求人票は既に1日に公開されており、9月1日以降に願書を受け付け、同月16日から就職試験が始まる。(笠原悠里)
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【余談】

 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

 自分さえよければいいという企業は長続きしない。浮利を追う企業、オーナーが手前勝手な経営をする企業、市へ寄生する企業は長続きしない。経営者がいいフリコキの企業も長続きしないだろう。「井の中の蛙」を決め込んで、非常識な経営者が根室には多い、だから町が衰退する。町の改革は地元企業の経営改革からはじめよう。

 日本には200年以上の歴史を誇る企業が2万社を超える。世界にある200年以上の歴史をもつ会社の6割は日本にある。それは日本人の伝統的な商道徳が世界一質のよいものだったからだ。自分さえもうかりゃ何をしてもいいという考えが支配している中国にはたった7社しかないそうだ。

 根室で歴史の長い企業は「北の勝」の碓氷勝三郎商店、今年は創業123年だったかな。根室高校と根室西高合同で、企業経営について講演会を開いたらどうだろう、すぐれた経営者の話しを聞く機会はそうはないが、当主は講師の役を引き受けてくれるかな?
 根室の企業では歴史は浅いが札幌に5店舗、その後東京丸の内のキッテビルに出店した回転寿司の「はなまる」も挙げておきたい。
 根室に戻ってきて11年目だが、東京生活35年、業種の異なる複数の企業の本社中枢部門で働いた経験のあるebisuが推奨できる根室の企業である。この二つが群を抜いていることは論をまたないが、きっと他にもいくつかある、人口2.8万人の町にたった二つのわけがない。知らないだけで10企業はあるのかもしれない。


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