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#2310 高校統廃合はオープンな場で議論しよう May 26, 2013 [64. 教育問題]

 1~3度だった最低気温が5~8度になったら、庭の紫つつじが可憐な花をつけはじめた。葉っぱのない枝に紫色の花びらが美しい。

 5月25日の北海道新聞に高校問題検討委員会の記事が載ったので、市教委のホームページにある高校問題検討委員会の資料を閲覧してみた。
 委員長がHK氏となっている。以前にも病院建て替えの「建て替え整備市民委員会」(市長の諮問会議)の委員長をやったことがあるが、市側の不誠実な対応に憤った委員が多かったはず。結局、市側に翼賛機関としていいように利用されただけだった。市側は約束した建て替え後の現実的な収益見通し作成を無視しして今に至っている。病院は赤字を2倍に増やし建て替えが完了した昨年度は17億円、現実的な収益見通しを公表できない理由がここにあった。この数値を「改革プラン」として公表したら、北海道庁が建て替えを許可できなかっただろう。経営改革が先なのである。10億円の赤字を繰り延べ、経営改革という問題も先送りしてしまったから、そのツケが回ってきている。赤字特例債の返済が始まってしまい、市立病院の経営はさらに苦しいものとなっている。
 知識がないから好都合だったようにも考えられるが、地域医療には見識のなさそうだったその人がなぜ建て替え整備市民委員会の委員長だったのかはいまさら詮索はしない。その翼賛会議の委員長だった人が今度は看板を架け替え高校問題検討委員会委員長として再登場した。どうしてこのようなイージーな人選がなされるのか見当もつかぬ。
 市長とは根室高校同期卒業、巷の噂ではあのW建設、N漁業組合などが「根高の同期の桜」。根室を牛耳っているエスタブリッシュメントの代表格だ。もう70歳、あまりがんばられても世代交代が進まぬ。そろって引退されてはいかが。5学年後輩ebisuの苦言であるが、困ったことに40代半ば以上の年齢層に「志がしっかりしていて基礎学力が高く、仕事の実績を積み上げた人材」の乏しいことも事実。
 日曜日には『徒然草』第151段の「或る人の云はく」の条でもゆっくりお読みいただき、ふるさとのためにきれいな退きぎわの形について考えてもらいたい。

 作業部会のメンバーは第一回の「委員会便り」で紹介されている。各中学校のPTA会長と教頭・校長で構成されていた。しかし委員が誰であるかについてはホームページ上の資料の中には名前が見つからなかった。行政が関係しているオフィシャルな会議だから冒頭でメンバー紹介くらいは仕事の基本である。

 なぜこんなことを書くのかというと、学力差について検討委員は具体的な情報に基いて議論しているのかという疑問があるからだ。柴山教育長が「新しいタイプの高校では学力の格差に対応しきれていない」と発言していることも気になる。渡辺⇒鈴木⇒柴山とピントの外れた社会教育論ばかり聞かされてきたが、はじめて教育長らしい正論を聞いたような気がする。

 近年、根室市内の中学生の学力低下が著しい。10年前には学力テストで400点(5科目500点満点)以上が市街化地域の3校で50~60人いたが、最近は4~10名になっている。これほどの学力低下がなぜ生じているのかの原因分析は別にして、そうした事実に基いて高校統廃合問題を議論しなければ、統合後に大問題が起きる。

 委員会の資料を見たが、学力対策は複数の教員での指導となっていた。授業に補助教員を一人増やしてそれで学力格差対策というのは絵空事である。同じ教科書を使って指導できるほど学力格差は小さくない。したがって、委員会の資料にある「対策」は暴論である。

 たとえば、根室高校普通科で使っている教科書と根室西高校普通科で使っている教科書を見比べて検討したのだろうか?
 根室高校普通科ですら、現在の標準レベルの教科書の消化が難しくなってきている。数学を例に挙げると、根室高校普通科の教科書をこなせる生徒は半分程度である。学校側は生徒の学力低下が著しいので、プリントでやらせた問題を数字も変えずにそのまま出題することが多くなっている。
 統合後の普通科の生徒を同じ教科書で教えるのは学力格差を考えると習熟度別クラス編成をしても無理がある。レベルを下げると大学進学に影響が出るし、レベルを維持すると退学者続出となるだろう。おおよそ普通科の半数を超える生徒が卒業できなくなるだろう。
 単位制だと3年卒業時になってから単位未取得で退学となるようだが、果たしてそれでいいのだろうか?やる気のないもの、学力の足りない生徒が4人に1人もいたら私語が始まり授業がぐちゃぐちゃになる。

 統合後の高校は入試の得点が300点満点で100点以下は不合格としたらいい。道立高校入試の問題は全国的にみたらかなりやさしい。
 難易度の低い道立高校入試で百点満点換算で33点なら高校では赤点の領域である。
 授業のレベルは落とさずやればいい。単位の取得を厳しくして、単位不足が予測される場合は年度単位でカウンセリングを行い、退学勧告をするくらいの厳しさがあっていいのではないか?高卒の学力を保障することは採用する側の地元企業にとっても必要なことであるだろう。


 委員会は学力格差に対する対策をしっかり提案してもらいたい。
 根室の地域経済の将来を担う人材がいなくなるかもしれないという重大な岐路に立っていることを自覚したら、市議会がこの問題を連日議論してもいいはずだが、どうしてこの問題にタッチしないのだろう、不思議だ。
 一番問題を抱えることになるのは、高校卒業者を雇う地元企業である。経済諸団体がなぜ、こういう好い加減な委員長や委員の人選に異を唱えないのか不思議だ。

 弊害が多いから、こういう閉鎖的な委員会方式はやめて、総合文化会館で毎月一回日曜日に市民自由参加のオープンな議論の場を設定してもらいたい。

 中学生の学力格差についての情報は具体的な数字を挙げて弊ブログで論じている。北海道新聞根室支局は過去に3回根室の教育問題について取材シリーズを敢行してくれている。それも参考にしたらいい。

*#2134 データと分析(1)学力テスト総合C 学校別・科目別平均点 :学力低下と人口減少のダブルパンチ Nov. 21, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20


5月25日付北海道新聞根室地域版より
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 市内高校問題検討委が会合
  「単位制」の利点紹介 道教委

【根室】市内の2高校の在り方について話し合う根室市内高校問題検討委員会(長谷川敬二会長)は24日、市総合文化会館で本年度初の会合を開いた。4月末に公立高再配置計画で示された2校再編の方針などについて「2017~20年度に新しいタイプの高校の設置を含めた再編の検討が必要」との方針を提示している。今回の会合で市内の関係者に、3年間で決められた数の単位を取得すれば卒業できる「単位制」のメリットや新設高で想定される教員の定数などを紹介した。
 これに対し、柴山能彦教育長は「新しいタイプの高校では学力化草に対応しきれていない」と指摘。「高校での特別支援のあり方を再検討するべきだ」などと訴えた。
 道教委は市内の中卒者が13~20年度に計48人減ると試算。同検討委では再編の方針を踏まえて昨年1年間論議し、新しい高校は、普通科・商業科ともに単位制がふさわしいと結論づけている。(笠原悠里)

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  現在の中2年生は根室市内合計で209名であるが、この生徒達が高校入試の時には全員が根室高校へ進学できる計算だ。根室市外への進学実績はこの5年間ほぼ10%で一定である。2年後には根室高校の定員200名でまにあってしまうから、中学校の進路指導のやり方次第では根室西高校の新入生がゼロもありうる。

 それにしても高校よりも小学校や中学校の統廃合が先のはず、何をしているのか根室市教委。
 高校が1校でいいなら、根室市内の小中学校もそれぞれ1校で間に合う。市か道の負担で無料マイクロバスでの送迎をやればいい。学校の管理職とPTA役員だけの委員構成では小中学校の統廃合へ議論は拡大しないだろう。そういう観点からは利害関係人のみのメンバーである。やはり委員の人選がおかしい。

 参考までに10~14歳までの人口推計の1学年平均値を挙げる。
 原資料は「社会保障・人口問題研究所」が公表した地域別人口統計データである。根室市の推計値が年齢階層ごとに載っている。

 2010年 261人
 2015年 233人
 2020年 187人
 2025年 164人
 2030年 138人
 2035年 120人
 2040年 111人

 10年前にはおおよそ1学年440人いたのだが、7年後の2020年には中学生の1学年平均値はた200人を切り187人になるのである。1校4クラスでいい。統廃合をきちんと議論していれば中学校の全校の耐震改修など必要なかった、一校だけで済んだはず。市内の土木・建設会社のために市政をやっているように見られますよ。
 高校問題検討委員会の資料には好い加減な数字が載っていた。2017年度までしか中卒者の推計値が載っていないのである。これでは判断を誤りかねない。誰が作成したのだろう、意見を誘導するために意図的なものを感じる。「委員会たより 第1号」に表が載っている。これらの数値を載せたら小中学校の統廃合のほうを先に議論すべきだという当然の意見が出ただろう。7年後には根室高校1校で現在の定員でも定員割れが生ずる。急激に落ち込む2020年以降の推計値がカットされてしまっている。
 委員は自分で原資料を確認してEXCELにデータを取り込んで加工し、市側提出の資料を確認くらいはしたほうがいい。
 「市民委員会」はいつも市側にだまされているではないか。だから日曜日、総合文化会館で市民の自由参加によるオープンな議論が必要だというのである。



*高校問題検討委員会
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/0/129f43a6348d73f449257a4e0004afea?OpenDocument


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【弊ブログの高校統廃合問題関連記事】

*#2184 高校統廃合問題:廃校or存続、選択肢はある Jan.23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-23

*#1080 教育問題に関する質問(佐藤敏三議員):市議会第二回定例会 Jun. 21, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21

 #1757 教育再考 根室の未来 第4部④:小中一貫教育(北海道新聞) Nov. 30, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-30-1

*#1756 教育再考 根室の未来 第4部③(北海道新聞) Nov. 30, 2011
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-30

  #1753 「教育再考 根室の未来 第4部②(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27-1

 「#1750 教育再考 根室の未来 第4部連載開始(北海道新聞) Nov. 25, 2011 」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-25


 #1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

  #1306 教育再考 根室の未来 第2部 低学力③:若手多く指導に苦戦も
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19

  #1304 教育再考 根室の未来 第2部 低学力②:「学ぶ意味」尊重されず 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-17

  ◎#1253 教育再考 根室の未来(5):第1部⑤高校統廃合(北海道新聞)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-24

  ◎#1251 教育再考 根室の未来(4):第1部④高校統廃合(北海道新聞) 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-22

 ◎#1250 「教育再考 根室の未来(3):第1部③高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21

 ◎#1249 「教育再考 根室の未来(2):第1部②高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-20

 ◎#1248 「教育再考 根室の未来(1):第1部①高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19





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