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#2295 地域医療対話(3):非常勤医が増える仕組み  May. 13, 2013 [30. 地域医療問題]

 独立法人化したために、いままでより以上に稼がなければならなくなった医科大学、そして常勤医師を派遣するよりも非常勤医師を派遣したほうが収入は3倍になるという現実。
 医師派遣で収入を増やしたい医科大学と常勤医の不足している僻地の病院の存在、この二つの要素がぶつかったところで構造的な問題が起きています。そうした状況の真ん中で市立根室病院の赤字が年々増えてついに年間17億円、おおよそ前市長時代の2倍の規模の赤字。
 地域医療(さまざまな診療科)の維持のために非常勤・派遣医師が必要な僻地の病院、市立根室病院はそうした病院の一つです。根室の地域医療を通して北海道全体の地域医療問題が浮かび上がってきました。

 #2287に寄せられたコメントはこれからの市立根室病院の行方を占う上でとっても重要です。
 医師を含めた医療関係の仕事をしている人と患者そして地域住民の対話の場です。

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>こういうグラフをみたら前年と比較するといいのではないでしょうか?

業績の悪化グラフを前にして、前年の実績と比較するとは、どの項目を比較するといいのでしょう?


事情通さんが取り上げた事です。


常勤医師の人数、
非常勤医師の人数、
常勤形態の医師人数、
院長、
事務長等の管理職員の変遷です


平成19年度から平成24年度
1 院長、副院長、事務長
2 常勤医師、大学派遣医師、非常勤医師、定年後医師、退職した医師、入職した医師のそれぞれの人数
3 常勤医師の勤続期間
3 赤字金額

上記を一度表にして眺めてください


>ですから金銭的な事以外に医師の熱意を奪い去る”何か”が有る事になります。それが地域住民の病院に対する態度なのか、はたまた病院内に問題が有るのか(医局内の問題か)。そこの所を押さえないで幾ら数字をいじくっても、所詮は”絵に描いた餅”に過ぎないでしょう。

この答えも見えてくるでしょう。

>一つの科に医師が一人居る状態を保つのに年間8000万です。これが常勤医であれば精々2500万程度で済みます

これはどこの医局でも知っています。だから医局は常勤医師を派遣しないのです。非常勤医師で年間合計と常勤医師の年間合計がもし同じでも入院患者をもたない非常勤医師を選択することは医局では当たり前です

このようなシステムを構築したのは医局も問題ありますが、非常勤医師を集めるために莫大な報酬と責任感ない診療を提供した僻地病院の管理職員です
永遠に常勤医師は集まりません。集まるのは非常勤医師ばかりですね。

>今大体大学からの出張は1日10万は下らないでしょうから、移動日にも同じ金額が加算されます。

仮に1日10万(事情通さんの下らない金額と考えて)
週休二日とします。
10万円×5日=1週間50万円 入院患者なし、当直なし
1年間50週として2500万円 入院患者なし、当直なし
1日報酬が1万増えると年間合計250万円も増加。
さらに当直、待機等がつくと。
日中外来をして、入院は常勤医師に預けて帰宅。
責任感のない診療でストレスも感じないでしょう。

もしこの半分、いや3ヶ月、2ヶ月でもみなさんどう思いますか?

このことは以前から指摘されている問題点です。
非常勤の収入が常勤医師より多い病院があること


このような非常勤に高額な報酬を出す病院は、医局も永遠に常勤は派遣しないままです。そして常勤医師は開業、または転出していくのはどこの病院でも同じです。
医局はこのことを知っています。
常勤派遣すれば使われるけど、非常勤なら王様扱い


by Premium malts (2013-05-07 23:49)
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Premium maltsさんへ

私にも合点がいく分かりやすい一覧表ですね。

>上記を一度表にして眺めてください。

>この答えも見えてくるでしょう。

 市立根室病院の個別の事情をご存知だというようにも受け取れます。それとも単なる論理的推論の帰結でしょうか?

とっても分かりやすい解説ですので、次々回に本欄へアップしたいと思います。
ご了承ください。
by ebisu (2013-05-08 00:21)
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ある事象が起きた時にはなんらかの理由があります。

その理由を突き止めるには、まずマクロな観点から評価します。次にミクロな観点で評価します。

病院経営では管理職の変更、医師の退職、入職が原因のほとんどです。診療単価の高く、売り上げ上位の診療科の医師、または管理職で変わります


本田俊治Blogのグラフをみると、ある年度を境に通年で減少しています
これをみると、おそらく管理職の変更、またはD類が出来ない医師が原因ではないかと推測されます。その起点は平成20年度、または21年度にあるようにみえます。一応その前年度から一覧表を見ることを勧めます。
マクロ的に医師の変遷もみておくことも必要です。
医師、または事務、看護師等のスタッフの入退職の多い病院は、管理職、同僚スタッフ、または地域性の問題が考えられますが管理職が原因になることが多く、次に同僚スタッフです
。入職条件からもいろいろ見えてきます。
年齢不問、または何歳以下等の記載でその病院のおかれた状況がわかります。


診療単価、売上が多い診療科も前回のコメントで紹介させていただきました



>公立病院には収支を度外視した地域の中央病院としての責務があります。それゆえ収支尻が赤字の科だからと言って辞める訳には行きません。そこに根本の問題が有ります。

そうですね。赤字覚悟で存在させておく診療科もあります。
ただ断捨離は必要です。


>更にこの世界の慣例上、実際に仕事をしていない移動に掛かる時間も”拘束料”として報酬の対象に成ります。今大体大学からの出張は1日10万は下らないでしょうから、移動日にも同じ金額が加算されます。

>更にこの世界の慣例上、実際に仕事をしていない移動に掛かる時間も”拘束料”として報酬の対象に成ります。
この部分を見ていませんでした。
これをみると、すごいことです。
週2日間くると移動日も給与のため3日分ですか?。
週1日勤務で週20万円 月に80万円
週2日勤務で週30万円 月に120万円
週3日勤務で週40万円 月に160万円

この金額をみて常勤医師が仕事することがあるのでしょうか?
非常勤医師の給与が高くなったため、常勤医師を辞めて非常勤で働く医師が数年前から多くなりましたが、確かにこの金額をみると。

現在の日本の医療の問題です。非常勤医師を手厚くする病院があるから常勤医師がいなくなるわけです。

後期研修医(レジデント)は病院の常勤になるのですが、役職人数が限られているためいずれ後期研修病院を出なくてはいけないのです。ただそのレジデント達がどこに行っているのか?ということが話題になります。

その理由が非常勤医師なのかもしれないですね

by Premium malts (2013-05-08 06:10) 
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>これはどこの医局でも知っています。だから医局は常勤医
>師を派遣しないのです。非常勤医師で年間合計と常勤医
>師の年間合計がもし同じでも入院患者をもたない非常勤
>医師を選択することは医局では当たり前です。

これを露骨に利用しているのが現在の市立根室病院のバックに居る某医大ですね。最近では殆どの医師がその医大系!
しかし表向きには、「無い袖を振ってまで地域医療に貢献している」。

以前その医大が公表した北海道の各病院に出している医師数では、やはり常勤医より非常勤医が圧倒的に多い。それが一般市民には”如何にも地域医療の為に頑張って医師を送り出している”ように見える。

見方を変えれば賢い大学経営とも言えるかも知れないが、しかし大学が金に走ったら・・・終わりだな・・・

   不適切(削除)覚悟の2ch風書き込み(笑)

by 世捨て人 (2013-05-08 09:16) 
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Premium malts さんへ

おはようございます。
早朝の投稿ありがとうございます。

やはり2500万円+250万円のところは、移動日の拘束料がはいっていませんでしたか。

>これをみると、すごいことです。
>週2日間くると移動日も給与のため3日分ですか?。
>週1日勤務で週20万円 月に80万円
>週2日勤務で週30万円 月に120万円
>週3日勤務で週40万円 月に160万円

>この金額をみて常勤医師が仕事することがあるのでしょうか?

仰るとおりのことが起きています。

現在の日本の医療の問題です。非常勤医師を手厚くする病院があるから常勤医師がいなくなるわけです

地域医療の問題点と医科大学経営上の問題点が浮かび上がってきました。
有意義な議論です。
一般市民はこういう事情を知らない。
市政は情報を隠蔽して知らせようとしない


地域医療を変えるためにはこういう情報を公開して、オープンな場で地域医療の将来をどうするのか議論しなければならないのでしょう。
市民も知らないとか、無関心ではいけない


by ebisu (2013-05-08 11:16) 
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世捨て人さんへ

おはようございます。
ついに構造的な問題に行き着きましたね。地域医療を支えるはずの医科大学が経営上の問題から、増収を図るために非常勤医師派遣を積極的に進めているということ、そしてそれを歓迎している市長や町長が少なくないということ

仕事は正直に誠実に、渾身の力でやるべきものです。イージーな道を歩めば歪はあちこちに噴出してしまいます。
根室の場合は根室市の財政破綻の引き金になりかねません

あまりこういう構造問題が論じられていないようなので本欄にアップ。

by ebisu (2013-05-08 11:23) 

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 次回は投稿された一覧表をアップします。個人名は必要ありませんから、イニシャルやニックネームになっています。
 どこから赤字が拡大したのかじっくりご覧いただき、だれがこういう事態を招いたのか、そしてこれからどうすればいいのかじっくりお考えください。

 本田市議が5月14日午後7時から根室市総合文化会館で活動報告会を開くとブログ上で予告しています。病院に関することがメインテーマ、地域医療問題に関心のある方は参加してみたらいかがですか。
 地域医療改革に関心のある市民が多数つめかければ、きっと意を強くすることでしょう。
 市民の関心が高まらない限り、恣意的な市政運営はチェックできないし、市の財政破綻や地域医療の破綻が避けられなくなります。地域医療問題に関心を寄せてください。

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*#2307 地域医療対話(6):医師招聘の実際
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-24

 #2297 地域医療対話(5): 旧弊の再生産とは?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14

 #2296 地域医療対話(4): 経営の問題点がよくわかる一覧表
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-3

  #2295 地域医療対話(3):非常勤医が増える仕組み
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-2

  #2291 地域医療対話(2) 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10-1

  #2290 地域医療対話(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10

  #2287 「いまいる常勤医を大切にせよ」:市立根室病院の経営改善
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-2

  #2286 市立根室病院『改革プラン(改訂版)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-1

  #2285 市立根室病院『改革プラン(当初計画)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-06

 #2283 市立根室病院損益推計:7年後は年額22億円に赤字拡大か?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-04

 #2269 衝撃!根室市の人口推計値 :とまらぬ人口減少
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-21

 #2272 根室 「57年間の人口推移+27年間の推計一覧表」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23-1

  #2247 根室市予算案をチェックする(6): 補助9億円「高すぎる」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-19

 #043初夢でみた医師不足解消
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-01-08

 #37市立病院はほんとうに黒字か?…(2)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-29

 #33わが町の医療の現状と展望(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-27




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Premium malts

Calvadosさん等の表みました。

確かにCalvadosは私より酔いますね。

この表は本来なら病院の監査をする市長、市議も経過としてみているはずです。ここで市の繰り越し金額をみて、責任追求するはずですね。

なぜ責任追求がなされないのか疑問です。
by Premium malts (2013-05-12 21:59) 

ebisu

Premium maltsさんへ

表は化粧直しをして次回アップします。
「見込み」の数値で決算数値に置き換え可能なものは書き換えるつもりです。

>この表は本来なら病院の監査をする市長、市議も経過としてみているはずです。

市長も市議も毎年報告を受けていますのでそれぞれの数字は当然見ています。
一覧表ではないでしょうが、個別の資料をつなぎ合わせるだけで誰にでも作成できます。
地域医療に関心のある市議ならそれぐらいの表を作成するのは当然でしょうが・・・本田市議がいろいろ資料を作成しているだけです。
副業の市議さんが多いので市議本来の仕事ができないほど本業が忙しいのかもしれません。(笑)

>なぜ責任追求がなされないのか疑問です。

一連の指示を出しているのは市長ですから、市長は当事者でチェックは無理。
では市議会は?
本田市議一人が資料を作成するくらいで、半分以上の市議は予算や決算資料すら読む能力すらあやしい。

いままで、市議会は病院建て替えや病院事業の予算案をそのまま承認してきました。
地域医療が危機に瀕し、市財政が危ういというのにまるで他人事です。
市議会で何人もの市議が病院の赤字について質問はしています。資料を読み込んでいませんから、質問も迫力がない。市長に軽くあしらわれています。

こういうデタラメな実態を知ってしまうと、地方分権などやめたほうがいい。地方分権はそれを担うにふさわしい人材のあることが前提です。

根室市内の小中学生の基礎学力が問題になっていますが、それは大人にもはっきり影響しています。13歳の中学1年生だって20年経てば33歳の働き盛りの大人です、30年経って根室に住んでいれば中堅どころでふるさとを背負って仕事をすることになる。

そうして考えると、町の衰退は止められない、どこにもそれを止めるだけの人材がいません。

市政に迎合しておこぼれにあずかろうとする情けない者たちが多い。
「釧路の教育を考える会」には市役所職員、市議会議員、地元企業家、弁護士、元教育長、教員、私塾経営者などさまざまな職種の人材が自然に集まっていますが、世のため人のためと思って自分の損得をひとまず脇において考え、行動する人たちが少なからずいます。根室はそういう人材が乏しい。

志の高い人材を育て、30年後の根室の町に期待。ひとまずは落ちるところまで落ちるしかなさそうです。

病院事業赤字を生めるために市役所の職員給与が30%カットになるとか、市立病院が民間病院へ売却されるとかそうした事態が起きれば、大騒ぎになり、少しは目が覚めるでしょう。
市役所財政課が市議会で十数億円の赤字が続けば市財政はもたないと市議会で答弁しています。
市役所内部からすら赤信号が発せられています。
by ebisu (2013-05-12 23:37) 

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