So-net無料ブログ作成

#2285 市立根室病院『改革プラン(当初計画)』と実績対比  May 6, 2013 [26. 地域医療・経済・財政]

 #2283で公的機関が公表した根室市の人口推計値をベースにして、市立根室病院の赤字推計をやってみた。
 今度は根室市が補助金を手にするために作成し国へ提出した『改革プラン』を実績値と比較してみよう。


       決算売上   当初計画    差異
平成21年 26.5億円   28.7億円  2.2億円(7.7%)
平成22年 25.2億円   29.1億円  3.9億円(13.4%)
平成23年 23.4億円   29.5億円  6.1億円(20.7%)
平成24年 22.0億円    29.5億円  7.5億円(25.4%)


 こうして実績値と計画値を並べてみると、二つのことがわかる。『改革プラン(当初計画)』がいかに杜撰であったかは一目瞭然、そして実績を計画値に近づける経営努力もまるで現実的な策がなかったということ。
 30歳からの数年間はシステム開発を担当する傍ら予算編成及び管理統括業務を担当し、転職して30代半ばで300億円規模の会社の予算統括経験があるが、こんなに差異の大きな計画・実績対比表ははじめてみる。部門別に月次決算レベルで予算管理するので、差異が大きくならないように臨機応変に具体的な手を打つことになる。上場要件で予算管理は重要項目だから、民間会社は精緻な予算管理をやっている。

 この計画案が公表されたときに、実績データから遊離した杜撰な計画だと弊ブログで繰り返し批判したが、結果はその通りになっている。
(上場企業なら財務担当役員はもとより、社長だって経営管理能力ナシとクビになるような児戯にも等しい計画。)

 このプランを当時の「市議会病院建て替え特別委」も市議会本会議も承認しているから、メクラも同然だったと言っていいだろう。市議会には市政チェック機能どころかその能力が欠如している。
 さて、市議会病院建て替え特別委のメンバーはどなただっただろう?いまもその大部分は市議の席にお座りになっているのではないか?

 本田市議ががんばってせっせと資料を作ってブログで公表してくれてはいるが、残念ながら具体的な成果とはなっていない。じっくりかまえてがんばってほしい。成果はかならずでる、そしてそのときに根室の町は急激に変わり始めるだろう。一人ではやれるはずもないが、誰かが始めなければふるさとの財政は破綻する。市議の仕事をまっとうできる市議がすくなくとも3人はほしい、5人いたら事態は大きく動く。病院問題で協力できる他の市議はいないのか?

 ついでだから病院事業へ一般会計からの繰出金についても対比表を示そう。

       決算赤字額  当初計画   差異
平成21年 11.8億円   7.5億円   4.3億円
平成22年 11.7億円   6.8億円   4.9億円
平成23年 13.0億円   6.6億円   6.4億円
平成24年 17   億円   6.6億円  10.4億円

 昨年度は当初計画比で3倍弱の損失が出ている。こんな計画を特別委も市議会本会議も承認したのである
 では誰がこんなでたらめな計画を作成したのか。病院事務局だけではない、それをチェックする立場にある根室市役所財政課も責任が問われていることを忘れないでほしい。
 それぞれの課に所属する人たちが正直で誠実ないい仕事をすれば、根室市の財政破綻は防ぐことができるが、いつまで見逃し三振するつもりか?

 経営計画の基本は診療科別・入院病棟別損益計算(以下「部門別損益計算書」と呼ぶ)であり、民間会社では部門別損益計算書形式の予算実績対比表で経営管理をしている。そういう仕組みが市立根室病院にないのだろう。
 長年にわたる人材の欠如がここに露呈している。それにつけ込む恣意的な市政運営、根室で生まれ育った市長、やはり根室で生まれ育った大半の市議たち、一部の地元企業経営者、これらの輪の中でふるさとが崩れていく。
 北方領土が返ってこないから活気がないのではない、根室人自身がふるさとを破綻に導いている。

 市長が提唱する"根室再興"、ほんと、"根室最高"、とめる者がいない。
 お金がないのに大盤振る舞いするから、今年度(H25年度)の予算規模は20億円も膨らみ、166億円になっている。

 そろそろ、生まれ育ったこの町を自分たちで変えてみないか?20代か30代の若い馬力のある人が出てきてほしい、応援するよ。
 ebisuは30年後に根室の町を担う、志が高く同時に基礎学力のしっかりした人材を育てている。30年後は人口2万人の町だから十数人で充分だろう。

 次回は当初計画ではなく、その後に出された改訂版『改革プラン』をご覧にいれる。


*#2295 地域医療対話(3):非常勤医が増える仕組み
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-2

  #2291 地域医療対話(2) 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10-1

  #2286 市立根室病院『改革プラン(改訂版)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-07-1

  #2285 市立根室病院『改革プラン(当初計画)』と実績対比
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-06

 #2283 市立根室病院損益推計:7年後は年額22億円に赤字拡大か?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-04

 #2269 衝撃!根室市の人口推計値 :とまらぬ人口減少
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-21

 #2272 根室 「57年間の人口推移+27年間の推計一覧表」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-23-1

  #2247 根室市予算案をチェックする(6): 補助9億円「高すぎる」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-19

 #043初夢でみた医師不足解消
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-01-08

 #37市立病院はほんとうに黒字か?…(2)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-29

 #33わが町の医療の現状と展望(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2007-12-27






にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


nice!(0)  コメント(8)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 8

相川始

久々の書込み。
病院経営をこうみると根室市民はどれだけこの事実を知っているのだろうか?

「市議会病院建て替え特別委」は病院建設部分しか見えていないのだから、経営改善は別話なのだろう?

「根室再興」に必要なのは根室市民の協力だが、今の市政からは協力させる体制作りが見えてこない。
今のオール根室体制が根室市の衰退を招いているとしか。。。

今の根室には、「絶望を退ける勇気を持て」という気持ちを持ちたいとろこである。
by 相川始 (2013-05-06 19:38) 

根室市民


公表の医師の数は増えているのに赤字は増えている。

それともお金が消えてる?
by 根室市民 (2013-05-06 21:03) 

ebisu

相川さん、こんばんわ

病院建て替え特別委の役割はもちろん建て替えですが、建て替え後の採算は建て替え総事業費を70億円にするのと35億円に擦るのではずいぶん違ってきます。
だから、建て替えコスト全体のコストカットと、その後の採算がどうなるのかということまで検討対象になっていました。

>経営改善は別話なのだろう?

経営「改革プラン」を北海道庁に提出しないと、補助金審査にOKが出ませんので、別な話ではありません。
いったん提出したら、そのとおりに経営改革をやる義務があります。しかし、結果は見てのとおりです。

>今のオール根室体制が根室市の衰退を招いているとしか。。。

同感です。

>今の根室には、「絶望を退ける勇気を持て」という気持ちを持ちたいところである。

みんなでなんとかしないといけませんね。
by ebisu (2013-05-06 23:03) 

ebisu

根室市民さん、こんばんわ

>公表の医師の数は増えているのに赤字は増えている。

仰るとおりです。

>それともお金が消えてる?

どこに消えているのかしっかりした説明が市議会でもありません。経営管理体制がなっていないのでしょう。
by ebisu (2013-05-06 23:07) 

ebisu

何年か前に、経営管理を強化するということで、組織を新設して、担当課長を増やしました。
その後経営改善がまったく進まず、それどころか毎年のように赤字記録を塗り替えて、三年ほど前から経営改善業務を外部業者に委託しています。

担当管理職を増員し、効果がないので管理職増員はそのままにして経営改善業務そのものを外部委託、それもさっぱり効果がないことは、赤字額が昨年度17億円に急拡大したことで証明されてしまいました。
経営改善に打つ手がなくて困っているのではないでしょうか。
by ebisu (2013-05-06 23:13) 

もやしさんま

家計のやりくりができない主婦が自分のいいなりになる家政婦を雇って家計の立て直しをするようなものですね。
by もやしさんま (2013-05-07 00:05) 

事情通

うーん、医師数が増えている? そう見えますか・・・。実際には上げ底だと思います。
通常順調な病院では医療収益は医師一人に付き1億円を目標にする処が多いですね。ですがこの数字、実際にはかなり医師にとってはキツい数字です。勿論診療科やそこの医師のcapacityによりこの数字は変わります。勿論ここで言う医師とは常にその地域に住んでいる”常勤医”が前提です。

病院側は医師数=常勤医+常勤医換算の出張医で表しますが、問題は出張医に掛かる経費です。根室の場合、出張医は大体札幌、旭川からやって来ます。先ずその旅費が馬鹿に成りません。往復の航空運賃が4万、中標津空港から根室までのtaxi代が市内3社の持ち回り契約で、片道2万台、往復約5万。何だかんだで一人の医師が根室にやって来るには交通費だけで往復10万ほど経費が飛びます。更にこの世界の慣例上、実際に仕事をしていない移動に掛かる時間も”拘束料”として報酬の対象に成ります。今大体大学からの出張は1日10万は下らないでしょうから、移動日にも同じ金額が加算されます。不味い事に根室の場合は中標津空港から1時間半は掛かりますので、千歳で始発に乗っても病院に着くのは11時と言う中途半端な時間に成ってしまいます。同様に復路は中標津の18時の採集に乗るためには4時には診療を切り上げなければ成りません。つまり札幌や旭川からの出張医は、日帰りの場合実働4時間(昼休みを1時間取ると)で1日分の10万以上の報酬を得る事に成ります。時給換算では2万以上の高収入です。大体常勤医の年収を実働時間で割ると現在は時給1万程度ですから、出張医には交通費を含め如何に経費が穴の開いたざる状態かお分かりになると思います。因みにかって産婦人科が釧路赤十字に集約され根室から常勤医が消えた際に北大産婦人科から間を置かないように出張医が来ていたことが有ります。その時は彼らに年間8000万の経費が掛かっていました。一つの科に医師が一人居る状態を保つのに年間8000万です。これが常勤医であれば精々2500万程度で済みます。ここでお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、出張医に関しては1度の出張が長い期間程無駄な経費の節約に成ります。その分のホテル代などたかが知れています。反対に小刻みに次から次へと出張医が変わるだけ経費は嵩みます。

市立根室はかってもっと医師が多かった時代には、毎日の当直には順番で常勤医が担当していました。しかし根室の場合も当直医は本来の”寝当直”ではなく夜間救急(時に夜間診療に化す)当番ですので、医師にとって非常な負担でした。旭川医大が引き揚げる頃には、外科の女医など月に5~6日も当直を担っていました。その様な事が大学にも知れ渡り医師引き揚げを加速した事は否めません。

旭川医大が引き揚げた後、病院側の反省として同じ過ちを繰り返さないために常勤医の当直は精々月に2回に抑えそれ以外は当直医を雇うことに成りました。それで日替わりで札医大から当直医が根室に来るように成りました。また病院としての医師数が不足していたために内科などは毎日のように札幌から出張医がやって来ます。

現在常勤医以外に手伝いの出張医がやって来る科は、内科、小児科、眼科、産婦人科で、出張医のみで繋いでいる科が耳鼻咽喉科、皮膚科、泌尿器科、脳外科、麻酔科です。出張医が来ない科は外科、整形外科、透析室くらいで、どれだけ根室は非常勤医に莫大な経費を注いでいるかが伺われます。

公立病院には収支を度外視した地域の中央病院としての責務があります。それ故収取が味赤字の科だからと言って辞める訳には行きません。そこに根本の問題が有りますが、取り敢えず文句を並べても始まりません。

病院の収益を引き上げる診療内容は、内科での経皮的手技やや内視鏡手技、循環器の心カテ、整形外科や眼科の手術件数、それに安定した血液透析、お産の取り扱い数などですが、現在の根室はその中の幾つがクリア出来ているでしょうか。心カテが出来る医者が二人とも居なくなり、眼科は手術によっては大学から上級の医師が応援、お産は再開の目途が全く立たず、日常の外来診療でさえ手伝いを頼んでいる有様。これでは医師一人当たり1億円の売り上げなど夢のまた夢でしょう。

書類上で表される医師の数は売り上げに関しては斯様に現実の意味を持ちません。要はその医師が根室に住んでいる常勤医か否かに掛かっています。この意味は、例え常勤医でも単身赴任などで週末に札幌や旭川などに帰省するとなれば、医師一人の科では入院患者が居れば常勤医不在の間の出来事に対応する出張医を呼ばなくてはなりません。

賢い皆さんはもうお気付きの事と思います。以上を考えた時にもっとも賢いのは、現在働いている常勤医を大切にして手放さない事に尽きます。医師が変わらないと言う事だけでも患者さんは安心出来ます。少なくとも自分の健康状態を分かっていてくれるからです。

しかし、根室はどうでしょうか。先ず医師が居付きません。その理由に経済的な側面は無いと思います。根室は北海道の公立病院の中では最も恵まれた給料の筈です。ですから金銭的な事以外に医師の熱意を奪い去る”何か”が有る事になります。それが地域住民の病院に対する態度なのか、はたまた病院内に問題が有るのか(医局内の問題か)。そこの所を押さえないで幾ら数字をいじくっても、所詮は”絵に描いた餅”に過ぎないでしょう。


by 事情通 (2013-05-07 11:49) 

ebisu

事情通さん、詳しい解説ありがとうございます。

本欄へアップしました。
by ebisu (2013-05-07 15:04) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0