#2262 計算問題集『カルク』配布(1) Apr. 14, 2013 [A.6 仕事]
市教委が中学生の学力低下対策として計算問題集を作成したと最近の北海道新聞の出ていたが、C中学校が生徒に配布した。専用のノートに書いて提出を義務付けているから、宿題扱いである。
厚さ1センチほどの問題集だが、これを独力でできない生徒が三人に一人いることは数学の教師なら承知しているはず。計算練習問題集を配ってもやり方を教えないとできない。
どうして放課後補習をして教えてやらないのだろう。週に2日ブカツを休ませて補習をすればいい。3ヶ月もやれば半数はよくなる。ただ問題集を配っただけでは学力の低い成績下位三分の一には効果が期待できない。
先生の仕事の責任の第一番目に挙げられるものは「授業」だろう。その授業内容が理解できない生徒が40%ほどもいるのに放置したままというのは仕事の責任を果たしていないということだ。
もともとは、小学校の先生たちが分数や小数の計算をきちんと教えなかったことが原因だから、中学校の先生たちだけを責めるのは酷かも知れない。しかし、目の前に小数位取りや分数の基礎計算すら怪しい生徒が三人に一人いる現状を知りながら、市教委作成の問題集を渡すだけではまずいだろう。
中体連を前にして週に2回ブカツ休止日を儲けるのは、保護者のクレームも予測されやりたくないのかも知れぬ。しかし、言うべきことを言い、やるべきことをやれば軋轢は起きるもので、そうした軋轢をおそれていては基礎学力の改善は望めない。
覚悟を決めてブカツ休止日を週2回設けて放課後補習をやるべきだ。
水曜日の放課後と土曜日午前中を補習に充てたらいい。放課後補習はブカツと同様に6時半までやったらいい。これだけで三時間も勉強できる。
先週金曜日に実施された学力テストで数学の得点が50%以下の生徒は強制参加としたらいいだろう(たぶん50点以下の生徒は6割を超える)。
きちんと教えたい先生もいるはずだが、「一部のブカツに熱心な保護者」との軋轢を畏れて言い出せないのだろう。勇気を出して本業に責任をもった仕事をしよう。こういうことは学校長や教育行政が後押ししてあげないとなかなかやれない。現場の先生たちだけに責任を押し付けてはいけない。
数学はこの数年間で、生徒に配布するプリントが増えた。配布するプリントを増やすだけでは効果のないことは分かったはずだ。
10年前には市街化地域の3中学校だけで60人前後いた5科目400点以上が少ないときには4人、学校によってはゼロの学年が出ている現状はいままで学校や市教委がやってきた学力対策が何の効果ももたなかった「証拠」である。
学校や教育行政が閉鎖的に取り組むことでは学力低下をとめられないことも実証済みのことに属する。わたしたち地域住民の意見に耳を傾け、対話すべきだ。
基礎計算すらあやしい生徒達は高校生になっても、小学生の算数からやり直すことになる。
成績優秀な生徒だって正規雇用の職に就くのにたいへんな苦労をしているから、基礎計算すら怪しい生徒達のほとんどは正規社員として就職できないだろう。親に寄生して生きるしかなくなる。その親が定年退職した後は30過ぎた子どもの面倒をだれがみるというのだろう?根室にはそういう30代が増えつつある。
基礎計算すらできない生徒達に見られる共通の傾向は、必要ではあるがきらいなことをガマンしてやり遂げることができないということや落ち着きがないこと。勉強ができないだけでなく、辛抱ができないという「二重苦」を抱えている。脳の前頭前野部分が鍛えられずに未発達なままのように感じる。脳の前頭前野は数人で遊ぶことや学習や辛抱を繰り返すことで発達するのだろう。
社会人となって働くには、辛抱力が必要だが、基礎学力と辛抱力という社会人として生き抜くための土台を築きそこなった生徒達の将来を想像してみたらいい。あなたが経営者だったらそういう人間を雇うだろうか?そんなことをしたら会社がつぶれる。
基礎学力の醸成とともに辛抱力をしっかり身につけさせてやるのは、小学校と中学校の先生たちの仕事の責任である。
小学校1・2年生で家庭学習習慣を育むのは親の責任だ。小学校低学年で家庭学習習慣を育めば基礎計算力に問題が起きることはほとんどない。
小6で「逆九九」がすらすら言えない生徒は基礎計算力に問題を抱えているから、チェックしたらいい。もちろん、中学生もだ。割り算の商をたてるのにてまどったり、間違えることが多いはず。逆九九を授業で教えない先生も多くなっている。
小学校の算数授業にメスを入れない限り、中学校では放課後補習で「もぐらたたき」が続くことになる。
---------------------------------------------------
釧路の教育を考える会のメンバーのブログ「情熱空間」が「根室市教委による計算問題集」を取り上げてくれた。4月15日北海道新聞記事の写真が貼り付けてあるので、見てもらいたい。
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6453579.html
*#2266 『カルク』改善への視点(3)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-17
#2265 『カルク』はすぐれもの(2) : "a good job"
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
#2262 計算問題集『カルク』配布(1)
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-14
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厚さ1センチほどの問題集だが、これを独力でできない生徒が三人に一人いることは数学の教師なら承知しているはず。計算練習問題集を配ってもやり方を教えないとできない。
どうして放課後補習をして教えてやらないのだろう。週に2日ブカツを休ませて補習をすればいい。3ヶ月もやれば半数はよくなる。ただ問題集を配っただけでは学力の低い成績下位三分の一には効果が期待できない。
先生の仕事の責任の第一番目に挙げられるものは「授業」だろう。その授業内容が理解できない生徒が40%ほどもいるのに放置したままというのは仕事の責任を果たしていないということだ。
もともとは、小学校の先生たちが分数や小数の計算をきちんと教えなかったことが原因だから、中学校の先生たちだけを責めるのは酷かも知れない。しかし、目の前に小数位取りや分数の基礎計算すら怪しい生徒が三人に一人いる現状を知りながら、市教委作成の問題集を渡すだけではまずいだろう。
中体連を前にして週に2回ブカツ休止日を儲けるのは、保護者のクレームも予測されやりたくないのかも知れぬ。しかし、言うべきことを言い、やるべきことをやれば軋轢は起きるもので、そうした軋轢をおそれていては基礎学力の改善は望めない。
覚悟を決めてブカツ休止日を週2回設けて放課後補習をやるべきだ。
水曜日の放課後と土曜日午前中を補習に充てたらいい。放課後補習はブカツと同様に6時半までやったらいい。これだけで三時間も勉強できる。
先週金曜日に実施された学力テストで数学の得点が50%以下の生徒は強制参加としたらいいだろう(たぶん50点以下の生徒は6割を超える)。
きちんと教えたい先生もいるはずだが、「一部のブカツに熱心な保護者」との軋轢を畏れて言い出せないのだろう。勇気を出して本業に責任をもった仕事をしよう。こういうことは学校長や教育行政が後押ししてあげないとなかなかやれない。現場の先生たちだけに責任を押し付けてはいけない。
数学はこの数年間で、生徒に配布するプリントが増えた。配布するプリントを増やすだけでは効果のないことは分かったはずだ。
10年前には市街化地域の3中学校だけで60人前後いた5科目400点以上が少ないときには4人、学校によってはゼロの学年が出ている現状はいままで学校や市教委がやってきた学力対策が何の効果ももたなかった「証拠」である。
学校や教育行政が閉鎖的に取り組むことでは学力低下をとめられないことも実証済みのことに属する。わたしたち地域住民の意見に耳を傾け、対話すべきだ。
基礎計算すらあやしい生徒達は高校生になっても、小学生の算数からやり直すことになる。
成績優秀な生徒だって正規雇用の職に就くのにたいへんな苦労をしているから、基礎計算すら怪しい生徒達のほとんどは正規社員として就職できないだろう。親に寄生して生きるしかなくなる。その親が定年退職した後は30過ぎた子どもの面倒をだれがみるというのだろう?根室にはそういう30代が増えつつある。
基礎計算すらできない生徒達に見られる共通の傾向は、必要ではあるがきらいなことをガマンしてやり遂げることができないということや落ち着きがないこと。勉強ができないだけでなく、辛抱ができないという「二重苦」を抱えている。脳の前頭前野部分が鍛えられずに未発達なままのように感じる。脳の前頭前野は数人で遊ぶことや学習や辛抱を繰り返すことで発達するのだろう。
社会人となって働くには、辛抱力が必要だが、基礎学力と辛抱力という社会人として生き抜くための土台を築きそこなった生徒達の将来を想像してみたらいい。あなたが経営者だったらそういう人間を雇うだろうか?そんなことをしたら会社がつぶれる。
基礎学力の醸成とともに辛抱力をしっかり身につけさせてやるのは、小学校と中学校の先生たちの仕事の責任である。
小学校1・2年生で家庭学習習慣を育むのは親の責任だ。小学校低学年で家庭学習習慣を育めば基礎計算力に問題が起きることはほとんどない。
小6で「逆九九」がすらすら言えない生徒は基礎計算力に問題を抱えているから、チェックしたらいい。もちろん、中学生もだ。割り算の商をたてるのにてまどったり、間違えることが多いはず。逆九九を授業で教えない先生も多くなっている。
小学校の算数授業にメスを入れない限り、中学校では放課後補習で「もぐらたたき」が続くことになる。
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*#2266 『カルク』改善への視点(3)
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#2265 『カルク』はすぐれもの(2) : "a good job"
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2013-04-14 09:13
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ウチの塾では、
次週の数学の時間までに、
【例題:写す⇒類題:解く⇒自己採点⇒解き直し】×4
というノート宿題を出しています。
やってきたノートの書き方を指導して修正させ、
その上で【類題まとめて10分テスト】を実施します。
合格ラインは【10分以内に全問正解】。
1題でもミスしたら、
その類題ブロックを丸ごと解き直し。
「えー、なんで?」
と文句を言う生徒には、
こう諭します。
「ここに穴の空いた風船がある。穴は5ミリ。じゃぁ、5ミリのテープで直せるか?どうやったら完全に直せるか?」
生徒は反論できません。(笑)
by Hirosuke (2013-04-14 23:00)
↑
考案者です。
【資格マニア】
by Hirosuke (2013-04-14 23:08)
なかなか厳しい、成績下位層の生徒には効果がありそうですね。
試してみます。
Hirosuke流「宿題ノート」。
楽しみです。
by ebisu (2013-04-15 09:03)
「宿題専用ノート」というのはいいアイデアです。家庭学習をどれだけやったか一目瞭然です。累計量もページ数で管理できます。
問題は成績下位層は宿題をやってこないこと。うちの塾では2回続けてやってこなけりゃクビにするくらいの"実力行使"が必要です。反省のために1ヶ月間の出席停止措置くらいが穏当かもしれませんね。
成績上位層は宿題すら必要ありません。4月の2週間で90ページも問題集をやってしまった生徒がいます。それぞれ自分のペースで予習方式で勉強すればいい。
宿題に限らず、生徒のノートはときどきチェックする必要がありますね。
板書したことを間違えて書いている者、指示通りのやりかたをせずに、間違いの発生しやすい我流の方法にもどってしまう者、自分なりに工夫してやっている者などさまざまです。注意したり、ほめたりできます。"="マークが"こ"の字になっている生徒がよくいます。わらいながら、”こ”じゃなくて幅を狭めて"="はきちんと書こうって、「他にもいるぞ!」・・・
ノートのとり方はさまざまですね。小学校でノートのとり方の指導がなされているのかな?鉛筆のもち方の正しい生徒は4人に一人ぐらい、姿勢の正しい生徒も三人に一人かな。
どれも習い始めのしつけが大事です。それを逃すと癖がついてしまっていますからなかなか直せない。
専用ノートについては成績下位層の生徒に試して数ヶ月たったら、結果を載せます。
by ebisu (2013-04-15 13:29)
>問題は成績下位層は宿題をやってこないこと。
↓
ウチは各人の進度を表にして、
公開管理しています
その進度表を、
塾生全員に見える所に貼っているのです。
ノートが完全になった。⇒シール1枚ゲット。
10分テストに合格した。⇒シールもう1枚ゲット。
熾烈なビリ争いが起きます。(笑)
by Hirosuke (2013-04-15 17:05)
ノートが完全になった。⇒シール1枚ゲット。
Hirosukeさん、気づきをありがとうございます!(^o^)
by ZAPPER (2013-04-15 20:53)
ZAPPER さん⇒You got it!
by Hirosuke (2013-04-15 21:37)
Hirosukeさん
「公開管理」とセットですか、素晴らしい工夫ですね、ありがとうございます。
by ebisu (2013-04-15 22:11)
「カルク」…この名称、どうなんでしょう?
↓
きっと生徒達の中には、
「軽くヤレばいい問題集」
と勘違いしてる子が多いでしょう。
「2年毎に内容を見直す」…なぜ「毎年」じゃない?
↓
本当に教育委員会が作成したのですか?
出来立てなのに完成度が高いのですか?
毎月モニターして、常に見直すべきです。
その蓄積を次年度に即座に反映する。
なぜ2年もスパンを置くのか?
より良い物は常に在ります。
どんな物も改善できます。
今日も明日も明後日も。
by Hirosuke (2013-04-16 10:19)
作った問題集を「改善」するためには健全な批判が必要です。作ったのは地元の先生たちのグループですが、根室の子どもたちの学力の実態が見えていませんね。
ぱらぱらとめくってみただけですから、数日中に後10分ほど内容を点検してブログ上で、「改善意見」を載せます。
先生たちは放課後補習をやって三分の一いる成績下位層の生徒の学力の実態を確かめたほうがいい。
成績上位20%にこの問題集は必要ありません、時間の無駄ですから、全員に強制するのはやめていただきたい。
by ebisu (2013-04-16 10:40)
地元の心ある先生方が立ち上がり、
力を合わせて作成したのですね。
他の教科に先駆けたのですから、
その点は大いに評価されて然るべきです。
ただし、
「作れば、それで良し。」
という訳でもない。
以下の評価項目も挙げられます。
------------------------------------------
「例題の解説が詳しいか」
「合格タイムが明示されているか」
「対象レベルが明示されているか」
「図形分野の計算も含んでいるか」
「市販の問題集の焼き直しになっていないか」
「現場を知る先生方ならではの工夫に満ちているか」
「作成メンバー各自の方針がゴッタ煮になっていないか」
etc.
-------------------------------------------
さてさて、
出来具合は如何に?
by Hirosuke (2013-04-16 12:57)
今回の取り組みは、非常に良いのではないかと思います。一番大切なのは、中学校で「小学校の計算の復習内容」を入れてあることでしょう。これによって、小学校内容がしっかり定着していない、という証明になると思います。
部数が多いのは、たぶん、他の自治体の学校から参考にしたいという要請があった場合、送付するためではないでしょうか。
2年ごとの改訂というのも、ただ単純に「2年くらいでいいんじゃない?」という程度の決定なら問題ですが、今年は「計算」、来年は「数量関係」というふうに区切りを設けているなら、良しとするべきではないかと思います。数量関係の方が、大変な状況になっていて「単位」「割合」などは、ほとんどの子が壊滅状態だと思いますから、次は、こちらに取り組んでいってほしいと思います。
これからの動向で大切になるのは「こんなもの使えない」ときちんと使用しない教師が出てきたり、学力向上に反対する組織が、使用しないように呼びかけたりすることについて、歯止めをかけることになろうかと思います。
きちんと使用しなければ、子供たちの学力は上がりませんし、改善点も見つからず、学校の教師の作成能力も上がりません。
今の段階では、作った段階で「よし」。
次の段階は、使った段階で「よし」。
さらに次の段階で、直して「よし」。
で、考えていくべきでしょう。
もう一点「根室で作ったならば、ほかの自治体でも作ることが可能」ということですから、こちらの方を押していく方法も考えるべきではないでしょうか。
by 合格先生 (2013-04-16 15:36)
合格先生へ
的確なコメントありがとうございます。
生徒がもってきた『カルク』を10分ほどチェックしてみました。
よくできています。
これから本欄で取り上げます。
by ebisu (2013-04-16 22:32)