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#2228 TPP問題(1):ナカミもハッキリしていないのに「首相一任」ってなに? Feb. 26, 2013 [91.経済]

 これはissueではないね、problem*(やっかいな問題)だ。

 自民党はTPP参加を首相に一任してしまった。無節操さは自民党議員も民主党議員と変わらぬ。公明党が腰が引けてしまっているようだが、こちらの反応のほうが正常だ。

 軽自動車問題、さまざまな補助金や助成措置に対する巨額訴訟問題、軽自動車規格問題、医療保険制度問題、労働市場問題、職業上の資格の問題、米国食品安全基準の押し付け問題等々、枚挙にいとまがないとはこのこと。
 参加しないとわからないと言う話ではない。とうぜん要求されて大問題となることだらけだが、それらに一切触れずに、「TPP参加を首相に一任」だという。
 国民のほとんどが安倍首相に一任したつもりはない。

 TPPは米国と日本の2カ国の貿易協定と言うのが問題の本質。この2カ国のGDPを合わせると、参加を表明している10カ国のGDPの90%を占める。はっきり言って、他は添え物だ。

 今朝のNHKラジオ番組「ビジネス展望」で経済評論家の内橋克人氏が「急増する遺伝子組換え作物」というタイトルで解説をしていた。
 農薬使用量を減らすことができて虫害や旱魃に強い遺伝子組換え作物は農家にとって有利であるから、急速に全世界へ広がっている。先進国のシェアは48%、すでに発展途上国のほうが栽培面積が大きい。この分野の巨大企業は米国企業のモンサントである。
 大豆とトウモロコシを見ると、米国ではすでに遺伝子組換え作物が栽培面積の88%となっている。日本人は遺伝子組換え食品を嫌うから残り12%を買うことになる。シカゴ商品市場がその調達窓口になるが、非遺伝子組み換え作物は農家へ割増金を支払うことに決まっている。大豆が3割、トウモロコシが2割である。遺伝子組換え作物のシェアが上がり、非遺伝子組換え作物の栽培面積が減ると日本の消費者は割増金を支払って高い穀物を輸入せざるを得なくなる。そして円安が追い討ちをかける。食品物価が上がる、ガソリン代が上がる。

 TPPで問題なのは主権の侵害である。お隣の韓国では自動車排ガス規制をしようとしたら、米国から非関税障壁だと言われて、排ガス規制を見送った。この措置は国民の幸福にプラスになるだろうか? 否である。こういうことすらままならないことになると言うのが米国ルールのFTAだ。同じことはTPPでも起きる。薬品についても外国基準の導入を韓国は要求されている。

 日本の建築用資材でJAS企画の変更要求が米国からだされたことがあり、木材自給率が一時期20%にまで下がった。森林大国の日本で自給率が20%になった。現在26%に少し開腹しているという。

 日本人は遺伝子組換え食品がきらいだ。不気味で、その遺伝的な影響や環境破壊への影響がはっきりしないからだ。ハッキリしないというのは知的なレベルが高くないと判断できない。導入が進んでいる国々の農家は、手間がかからずたくさん売上があればいいと無批判に受け入れているからではないのか。日本の農家は健全である。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」を知っている、知っているだけでなく他から言われずともそうすることができる。
 遺伝子組換え作物を自分が食べたくはないし、子どもや孫にの口にも入れたくないのは道理だ。もちろん、地域のほかの人々にもだ。そして日本中の人々に安全な非遺伝子組換え作物を食べてもらいたいと願っている。
 それでいいではないか、ハイレベルな日本の食品安全基準をTPPへ参加することで米国ルールへ書き換える必要はない。安全基準のゆるい国のリスクの大きな食品はいらない。ダメなことはダメだ、はっきり"ノー"という声を上げよう。

 日本はときどき一方向へなだれ込む、そういうときが一番危険だ。立ち止まれ、そして自分の頭で考えよ。


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*problem:
1. something that causes difficulties and must be dealt with
2. something wrong with a machine, system, plan etc
3. somtthing that makes you feel worried and unhappy

          LONGMAN Essential Activator 2nd editionより

 やっかいを引き起こすモノ、そしてすぐに処理しなければならぬコト
 機械やシステムや計画、その他にかかわる不都合なコトども
 人を不安や不幸な状態に陥れそうなコト

(この一月で英語の苦手な中3が驚くほど進化を遂げた中3が、わたしの机の上に載っていたこの辞書の初版を見てもいいかときくので、いいよと言いつつ、何か単語を指定した。seeだったかな?それともmake?
 2版のほうが効果的な挿絵や図が入っていて見やすいので、見せてあげる約束をした。忘れずに今日もって行こう。もう2ヶ月近く毎日のように来て英語と数学の勉強をしている。大の苦手だった英語は学テ総合ABCの平均点よりも34点(60点満点)アップしている。生徒の急激な成長にはときどき驚かされる。得意の数学よりも英語のほうが力が上になりそうである。
 隣ではこれまた英語が大きらいだった高校1年生がジャパンタイムズの記事と「格闘」していた。はじめて新聞記事を読む。段落一つ文の文章をノートに書き写して、辞書を引いていた。品詞を判断しないでは辞書も引けぬことを「初体験」させ、ゆっくり指導していく。
A new report hails a crucial shift in the global economy. If current trends continue, the United States will surpass.・・・
 この文のshiftとtrendsを動詞だと勘違いしていた。前者は不定冠詞がついているので名詞句の一部だと気がつきそうなものだが、辞書は動詞から並んでいたので、一生懸命に意味を書き写していた。後者はtrendsを動詞と見誤ったために、continueがこの文の動詞であることに気がつかなかった。しかし大丈夫、すぐに見分けがつくようになるから。個別指導は便利だ。
 数学は前回学年2番だったか3番だったか、今回も5番くらいだったようだ。中学生のときの成績を考えると飛躍的な進歩を見せている。これで英語を1年かけて学年トップクラスにもっていけたら英語の勉強がますます楽しくなるだろうな。鬼に金棒。)

<TPP参加国>
 シンガポール
 ブルネイ
 チリ
 ニュージーランド
 オーストラリア
 ペルー
 米国
 ベトナム
 マレーシア

 環太平洋の大国は米国と日本である。GDP比でこれらの国全体の90%を占めるから、実質的にTPPは米国と日本の貿易協定なのである。こちらから擦り寄る必要はないし、米国のルールを日本に導入する必要もない。主権の侵害を自ら招こうとするおろかな行為は民主党政権も自民党政権も変わらぬ。
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【TPP関連弊ブログ記事】
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*#2073 鎖国具体論:和のビジネス再生(畳) Sep. 2, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-02

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 #1789 六年連続首相交代  Dec. 31, 2011 
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 #1744 【パラダイムシフトの時代】TPP、グローバリズムと著作権:四方山話 Nov. 20, 2011 
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 #1743 コメント・バトル:言論統制と著作権に関する四人の意見 Nov. 21, 2011 
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 #1735 TPP?ちょっと立ち止まって考えよう:異質な経済学の展望 Nov. 17, 2011 
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