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#2180 積み残し&すっ飛ばし Jan. 19, 2013 [64. 教育問題]

 根室市内の市街化地域の3中学校は、数学の進度が遅い。いま三平方の定理をやっている。B中学校では一昨日「1,1,√2 」「2,1,√3」の比の三角形をやったばかりだった。三平方の定理の応用はこれからだ。まだ、「円」と「標本調査」の章が手つかずである。本来なら、12月中に終わって、冬休み明けからは総復習をやるべきなのだが、ふるさとに戻って塾を開いて10年たつが、12月に教科書全部を終えた学校はない。時間が足りず、録に問題演習もせずに終わるのが通例だ。
 以前の教科書では2次関数が最後の章だったが、あろうことかB中学校で2月中旬に「やれないから各自やっておくように」と仕事を放棄した先生までいらっしゃる。
 英語も似たようなもの。こういうことが常態化していたら、子ども達の学力が低下するのは当然のことだろう。低学力は「ルーズな授業でつくられている」側面もある
 2年生でやる確率の章をやり残し、3年生でやる学校もたまにあったがこれも論外だ。
 3年生は12月に教科書全部の単元を終了するようなスケジュールで授業をしようよ。1年生と2年生は1月で教科書を終わり、2月は総復習の問題演習をやろう。

 ブログ「情熱空間」が同じ話題を取り上げ、具体的に論じているので2本転載する。会津、什の掟の締め括りの句、"ならぬことはならぬのです"、を掲げておこう。
 放課後補習をみっちりやらないとこういうスケジュールは無理でしょう。仕事は正直に誠実にやりましょう。カーブはいらない、直球勝負をしてほしい。

http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6212839.html
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2013年01月17日

これはもはや犯罪だ!「積み残しの実際(中3生数学)」

新学期が始まり、中3生は学年末試験の真っ只中です。北海道公立高校入試の学力検査日は、3月5日(火)です。その前に行われる北海道私立高校の学力検査日は、「A日程」が2月14日(木)~15日(金)、「B日程」が2月19日(火)~2月20日(水)で、釧路高専入試の学力検査日は2月24日(日)です。

さて本題です。高校(高専)入試ですから、言うまでもなく試験範囲は中学3年間の全範囲です。私立高校の入試のA日程から逆算したならば、最低限、何があろうと2月13日(水)までには絶対に教科書を終えてなければなりません。万が一終えていなければ、それはもはや犯罪に等しいもの、否、犯罪そのものでしょう。

ところが、今週から来週にかけて行われるその中3生の数学の学年末試験は、後半の単元を3つ残して(つまり、その前までが試験範囲)の中学校が大半です。本日(1月17日)現在、「円」「標本調査」「巻末」の単元がそのまままるごと手つかずで残っているわけです。1月の授業日は残り10日、2月13日までの2月の授業日8日を加えると計18日です。残り18日間で、難易度の高い3つ単元を教えきれるものでしょうか?ちなみにこれらの単元は、言うまでもありませんが入試の頻出事項です。(「巻末」には入試形式の融合問題が多い)

プリントを用いてお茶を濁す形で終了。教科書の例題だけを解いて「やったこと」にして終了。これが、はるか昔から連綿と続く釧路スタンダードです。実は社会科についても同様で、大半の中学校は公民の経済的分野、現在、その中の経済的分野の真ん中あたりを学習しています。2月13日までの18日間で教科書を終えることなど不可能です。(国語・理科・英語については特に問題はないようです)再度繰り返します。これはもはや犯罪ですよ。行事にかまけている暇などない!部活に打ち込んでいる暇などない!ちゃんと本来の仕事をしろ!

釧路市教育委員会殿。
進度・進捗状況調査をおこなうという話はどうなったのでしょうか?教科書を終えられずに高校入試へ向かわせる行為を、ただただ黙認するおつもりか?早急に調査をしなさい。あなたの所の参事が「そうした事実はない。絶対にない。ないのだから調査の必要もない」などと顔色を変えて全力で否定(実に見苦しいね)しようが、この地の中学校の現場ではこうしたことがごくあたり前に起こっているんだよ。世間一般に、それを不正若しくは犯罪と言うんだよ。

《追記》
弊教室では中3生塾生に限り、無料で理科・社会科の一斉授業(通年)を実施しています。新学習指導要領における中学校での公民の指導時間は100コマ(50分×100コマ=5,000分)ですが、私はそれを90分授業20回で消化(90分×20コマ=1,800分)します。私の約2.8倍の授業時間数を与えられていながら、なぜまともに教科書を終えることすらできないのかが、ただただ不思議でなりません。はっきり言ってアマチュア以下です。

《追記2》
ちなみに上記は、私が受験生だった30年前もまるで同じでした。数学は教科書を終えられずに終了。この地では、それが脈々と引き継がれているわけです。だからこの地の教師の多くは、「教科書は終えられないのが普通」「最後は端折ってすっ飛ばしてごまかせばいい」「それのどこがどう悪いの?」と思っているのです。はっきり言いますね。退職教員もまた同罪です。そう教えて育ててきたわけですから。

《追記3》
某中学校に赴任になった、かつての弟子(数学)が言っていました。「ウチの生徒は、どうせやっても分からないから、教科書の例題だけやっていればいい」「それ以上のことはしないように」「(それ以上のことをやられると)他の教師に迷惑がかかるから」そう教科主任とやらから言われたそうです。武士の情け。こうしたことで実名を挙げることは、これでもず~っと控え続けています。だから、とっとと改善しなさいって!我慢もそろそろ限界だよ。

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http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6216026.html
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2013年01月18日

適正進度を厳守せよ!(積み残しとすっ飛ばし)

時間にルーズな人がいます。約束の時間に必ず遅れてきます。ではその人のために(遅刻しないように)時間を変更しよう。そうして約束の時間を1時間ずらしたとしても、やはりその人は時間に遅れるものです。ああだこうだと理由をつけて。実はこれ、釧路・根室の義務教育現場にもそっくりそのままあてはまります。

教える内容を厳選して大幅に削減し、授業時間もそれに応じたものにしよう。以前のゆとり教育はそういったものでしたが、それでも「時間が足りない」などと言って授業の適正進度を保てない。では、教える内容を増やす代わりに、授業時間も大幅に増やしましょう。現在の学習指導要領ですが、やはり「時間が足りない」と適正進度を保てない。授業時間が増えようが減ろうが、結局は常に遅れるということです。

常々、積み残しとすっ飛ばしの問題を指摘していますが、これは本当に本当に重要な問題です。我が釧路・根室はまさに異常です。特に中学数学は一段と顕著で、高校入試までに「教科書が終わらないこと」がもはや標準と化しています。ここにメスを入れなければ、釧路・根室の子ども達の数学の力の向上はあり得ないと言えます。(ここでは中学数学を取り上げますが、中学社会科や小学校国語・算数についても同様です)

さて、大手一斉指導学習塾では、通常は2月から直前講習が始まります。よって、1月中に主要5教科が全終了しているとの大前提でカリキュラムが編成されています。つまり、学習塾の中3生の授業では1月中に全てを終えていなければなりません。(個々人のペースに合わせて進む個別指導の場合は異なります)1月中終了に間に合わないとなれば、休日を返上して補習を組んででも終わらせることになります。(2月に講習会と平常授業を同時並行する所もあります)3コマ分の授業ならば3コマを消化する。それを2コマや1コマに端折ることなど厳禁。講師が遅れを生じさせたのだから講師が責任を取る。ごくあたり前のことです。

前半部分は易しく、後半部分は難しい。中学数学の指導内容はそうした傾向にあるのですが、その易しい前半部分にことさらに時間をかけ、しかし後半の難しい部分は恐ろしいまでに端折って終えて(終えたことにして)しまう。今も昔も変わらない、釧路・根室における授業風景です。教師自身もまたそうして育ったので、そうすることに対しての罪悪感がない。端的に言うとそう結論付けることができると思われます。これこそが、この部分こそが大問題です。

肝心の教師自身が、《授業進度の遅れ=悪》との認識にまるで欠けています。「時間がなければ端折ればいい。親も文句を言わないし、どうせ教えても分からないのだから…」「できる子は、どうせ塾でやるのだろうし…」「できない子は、高校でやり直しをするのだろうし…」そうした甘えの前提が存在しています。いいですか、授業の適正進度が遅れること自体、それ自体が悪。それはいけないことなんだよ。まず、それを認識するようにしようよ。

適正な時間をかけて、適正な進度を保つこと。確かな学力の形成のための大前提ですよ。時間が足りないからと端折る。端折っちゃダメなんだよ。時間が足りない。5コマでやるべきことを2・3コマで終わらせてしまう。そういうことをやってはダメなんだよ。無自覚なのだろうけれど、それは卑怯なことだよ。卑怯なことはしてはならない適正な時間をかけての適正な進度の確保。大前提はそれ。「小学校の学習指導がひどいのでまともに進めることが難しい…」そうした反論が聞こえてきそうだけど、だったら補習をやんなって

適正進度を厳守せよ。適正時間を厳守せよ。行事にかける無駄な時間を排除せよ。それでも時間が足りなければ責任を持って補習をせよ。端折るな。ごまかすな。管理職は、その管理を徹底せよ。たったそれだけで、釧路(根室)の義務教育水準は飛躍的に上昇する

●これはもはや犯罪だ!「積み残しの実際(中3生数学)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6212839.html

《追記》
知り合いの現職高校教員のNさん(数学)からお寄せいただいたご意見です。Nさんの勤務校は道南のH市に隣接するいわゆる底辺校でした。高校側がどれだけすっ飛ばしのツケを負わされているかが伝わってきます。

(前略)授業進度は前任校の時はわやでした。2次関数(その教科書は最後の章にありました。)は××市内を受験する子に放課後講習をし、うちの学校を受ける生徒は「そんなのやらんでも高校の先生が親切丁寧に教えてくれる」と相手にされなかったり、また別の中学では3年では11月上旬に教科書終えて受験演習です。と言ってそこの生徒は軒並み入試点(数学)が5点未満とか。確かに50点以上も相当いたようですが、下を完全に見捨てて(うちのような0点でも入る学校があるからパッと見問題ないように見えるのですがこっちの気持ちにもなって欲しい。)(後略)


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*#2178 根室教育長と市教委がやるべきこと Jan. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-17

 #2177 根室の教育行政の現状認識:他人事に聞こえる世迷言  Jan. 15, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15-1

 #2163 全国学力テスト 根室市教委の見解は大丈夫かいな?(北海道新聞より) Dec. 27, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-27

 

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ZAPPER

積み残しとすっ飛ばし。
北海道の義務教育現場では、この部分は「パンドラの箱」として扱われてきました。釧路市教育委員会の参事は、市議会の一般質問で積み残しとすっ飛ばしを追求する金安潤子議員に対して「そうした事実はない。絶対にない。ないのだから調査の必要もない」と顔色を変え口角泡飛ばすかの勢いで全否定しています。認めてしまったならば、北海道の義務教育現場は崩壊してしまう(だから何としてでも調査はさせない)とでもお思いなのでしょう。

しかし、ここにメスを入れなければ釧根の状況(惨状)を改善することなど不可能です。例えば小学校ではたった1日の運動会の練習に1ヶ月を費やしています。5・6時間目の授業を潰して1ヶ月間の練習とは、一体何を考えているのでしょうか?(附属中学校のフェスティバルについても同様)無駄な時間を行事に費やし、授業では手抜きが横行。そしてその腹いせ(?)は部活で晴らす。

「何が分からないのかが分からない」状態にある学力下位層の子どもと同様に、(積み残しとすっ飛ばし、過度な部活の)「何が悪いのかが分からない」といった状況にあるのでしょう。しっかりしろ!目を覚ませ!
by ZAPPER (2013-01-19 12:18) 

ZAPPER

釧根の中学校では、高校入試の裁量問題対策は行われていません。すっ飛ばしの問題はここにも深刻な陰を落としています。「塾にでも通っていなければ、裁量問題対策はやってもらえない」わけですから。「塾にでも通っていなければ、湖陵・高専・江南は受けられませんよ」暗にそう言っているのと同じことです。

義務教育が果たすセーフネットの役割。そうした観点からも大問題と言えます。それって正義なんですか?負の連鎖を断ち切る最強の飛び道具は「教育」なのではないのですか?あなた方はそれを具現化するために教師の道を選んだのではないですか?

なすべきことをなしましょうよ。真摯に本来業務に打ち込みましょうよ。信頼と尊敬の念はそこから生じてくるんですから。
by ZAPPER (2013-01-19 12:27) 

ebisu

中3は12月中に教科書全部を消化する、中1と中2は1月中に教科書を終えて、2月と3月は問題演習しながら総復習するくらいのスケジュールで仕事をすれば問題なしです。
理解度がぐんと上がるので、4月の「お迎え学力テスト」の点数がアップします。

仕事は正直に誠実に、渾身の力でやりましょう。
時間が足りないなら放課後補習を徹底すればいいだけです。仕事の責任を果たしましょう。
by ebisu (2013-01-19 22:31) 

根室太郎

お初にお目にかかります。根室太郎と申します。

私自身、中学まで根室で生活し今は関東のメーカーに務めているので仰ることは非常によくわかりました。十数年前の私の中学時代の「積み残し問題」とさほど変わっていないようですね。

ただ、私の場合「補習」で大部分が解決できるのか、という点には、少し疑問を感じます。

そもそも、教師の多くがWBSを引ける能力を持っていないのが大前提にある問題であって、まずは教師に対する(特に若手向け)講習を強化するべきと考えております。
それによって、補修も含めた全体的な計画をうまく回せるようになり、結果的に「積み残し」が減少するのではないでしょうか?

認識不足ございましたら申し訳ありません。お目汚し失礼いたしました。
by 根室太郎 (2013-01-20 00:31) 

ebisu

ハンドルネーム「根室太郎」さんへ

コメントありがとうございます。
わたしの知識不足で内容に理解できないところがあるので、もう少し追加してコメントいただけるとありがたい。

>そもそも、教師の多くがWBSを引ける能力を持っていないのが大前提にある問題であって

ここに書いてあるWBSとはWork Breakdown Structureのことでしょうか?

PERTチャート類似のIT専用技術用語のようですが、そう解釈すると、「教師の多くがWBSを引ける能力を持っていない」という句が理解できません。ここをもうすこし敷衍してもらえるとありがたいのです。

授業スケジュール管理自体は各章の重みを無視して教科書のページ数を授業日数で単純割して基準としても構わないと思います。1年間やれば、どこが重いのかはすぐに理解できるでしょうから、実務上は2年目から経験を踏まえて章ごとに調整すればすむことです。
3年間も教師の経験があればそれくらいのことはやれるはずです。

問題は生徒の学習習慣と小学校の先生たちの積み残しにあります。それらを補うためには習熟度別クラス編成をやっても毎年半年間くらいは放課後補習が必要だと思います。

とくに学力下位層の生徒達に教えきる授業技倆を持っている先生がほとんどいません。これは市街化地域の3中学校6回のフリー授業参観を実地見聞した結果の結論です。
放課後補習をすることで、授業技倆を磨くことができるはずです。

放課後補習がスタートラインで、そこで得たノウハウが、ふだんの授業に活かせることができる先生が増えてくれると変わります。

根室高校普通科も数学は4段階の習熟度別編成になっていますが、最上位層の授業速度が遅い。
根室の中学校の数学の先生たちの授業は、成績中位層にピントが合わされています。せっかく習熟度別編成にしたのに、それを授業で活かしきれていません。速度にほとんど差がありません。定期テストで同じ出題範囲でやらざるを得ないからです。違う問題でいいと思います。

諸般の事情が変化しているのに、授業は以前のパターンのまま。
学習指導要領が「最低基準」となったのに、わたしが見たフリー参観授業ではいまだに学習指導要領の範囲内の授業しかしていません。

ベテランの先生ほどスタイルが習慣化されてしまっているので、変更がむずかしいのかもしれませんね。
by ebisu (2013-01-20 01:37) 

合格先生

 たぶん、根室太郎さんのおっしゃるWBSが「進捗状況管理」のことを指しているだろう、ということを前提で。

 一般の企業でもそうだと思うのですが、進捗状況の管理は、やはり初任者にはかなり難しいだろうと思います。そこで、上司がまず初任者や自分で進捗状況を管理できないものを指導していくという流れになるのではないかと思います。

 ところが、学校では、このような管理を行うと、某団体が「管理強化だ」、「教師をもっと自由にしろ」と言い出すんですね。それで、学校ではこういう「管理」に関するシステムが非常に遅れているんだと思います。特に北海道は(そして、その中でも根室は特に)、その某団体の影響力がずっと強いままでした。
 ただ、このたび、政権が変わり、某団体の影響が少し薄らいできていますので、今がチャンスと思うわけです。
by 合格先生 (2013-01-20 04:59) 

根室太郎

失礼いたしました。
合格先生さんのおっしゃる通り「WBS」→「進捗状況管理」の事を指しております。

教師の業務というのは、どちらかというと不定形業務に近く、授業進行が様々なこと(生徒の理解度、親への対応等々)で妨害されがちではないかと認識しております。

そのため、特に若手の場合、進行調整が非常に困難ではないでしょうか? 特に手本となるべきベテラン教師が誤った方法をとっているとなると、3年間の教師経験だけでは「放課後補習」が機能的にはたらかず、ただダラダラと授業時間を伸ばすだけになるのではないかと危惧しております。

そのため、まず「放課後補習」ではなく、「放課後補習のための講習」ではないかと思うのです。


また、放課後補習に対する教師側のモチベーションの問題もあります。

お恥ずかしい話なのですが、私たち20代の人間において「指示待ち人間」が多くなっているのは実感しております。自分も企画業務で未だ悩み空回りしている状況です。

ただ私の場合、幸いコンサルタント業務を体験する機会があり、様々なことを学び「自分で考える力」が少しだけ身につきました。

そのため、今は「放課後補習」を肯定的に捉えることができますが、以前の自分であれば「他の人もやってないことを率先してやるのは不安だ」と思って否定的に見ていたかもしれません。

いわゆる「サラリーマン教師」と言われる人間の「モチベーション向上」及び「考える機会」を与えるためにも、ぜひ刺激的な講習をしていただければと思うのです。

もちろん、組織の圧力でそれらの行動が潰されるのであれば、講習以前の問題ですが。。。

あくまで若手側に立った私見ですので、認識不足と思われるところはお聞き流しいただけると幸いです。
(factも把握しておらず、ほぼ仮定ですので)

by 根室太郎 (2013-01-20 08:31) 

ebisu

合格先生、解説ありがとうございます。
上級職が若手を指導するというのは民間企業ではごく普通のことですが、学校ではそれができないということが現実。
もう一つ付け加えると、市街化地域の3校のフリー授業参観をしてみた結果と、いままで生徒を通してコミュニケーションした結果からは、ベテランの先生でも成績下位の生徒を教える授業技術をもってないということです。
ですから、ベテランが進捗管理で若手を指導できたとしても、ナカミを指導できないということが予測されます。
これが厄介な問題なのです。

「根室太郎」さん、WBSは業務分析と慎重管理の両方を兼ね合わせた技法です。わたしは大きなプロジェクトはすべてPERTチャートをつかって仕事をしていました。WBSはその後開発された仕事の管理技法のようですが、みたところほとんどPERTと変わりません。
400ページを超える専門書を読み、しっかり勉強しないととても使えるものではないのでしょう。簡便な形で導入もできるでしょうが、それには専用の講習が不可欠であるというのは理解できます。

若い人たちに指示待ち人間が多いというのも肯けます。これだけ全国に私塾が増えて、大学受験まで至れり尽くせりで受験科目全部をカバーすると、生徒達はどこに独力で勉強する機会があるのかと強く危惧しています。
ものごとはすぎるとかならず弊害がでるものです。このままではますます指示待ち人間が増えるでしょうね。

>あくまで若手側に立った私見ですので、認識不足と思われるところはお聞き流しいただけると幸いです。

思考実験のつもりで、若手の考えを書いていただけるのはうれしい。合格先生はわたしとは一回り半くらい若い現職です。
いつも的確な分析をしてくれます。
かれのブログが面白いですよ。
業界は違っても、かれの分析の鋭さはあなたの仕事にも参考になるでしょうね。
by ebisu (2013-01-20 09:45) 

ebisu

根室太郎さんへ

合格先生のブログのURLです。
http://www002.upp.so-net.ne.jp/singakukouza/index.html

現場に軸脚をしっかりおいた分析は企画部門のあなたにとってきっと参考になることをたくさん含んでいることでしょう。
たぶんあなたにもそれが見える。
ある程度の経験をへないと見えないものがあります。

若い人とのコミュニケーションは楽しい。
半分は爺の戯言とお笑いください。
by ebisu (2013-01-20 11:20) 

ebisu

WBSというヒントをもらったのでついでに書き足します。

成績下位層の生徒を前にして、個別指導でよく観察すると小学校でマスターすべきことがずいぶん抜けていることに気づきます。
たとえば、小数や分数の四則計算のところでつまづく。位取りや加減と乗除計算の区別ができていない。
さらに突き詰めていくと、掛け算や割り算そのものがあやしい。
逆九九を言わせると、使える段がいくつもある、そして九九を言わせると特定の段の特定のところにいい間違いの起きていることに気がつく。
引き算をやらせると、ゼロが多い数字の計算で間違いが頻発する。
こうして手繰っていくと、基本的な計算ルールをマスターすべきときにできていなかったことが分かる。
理由はいくつも複合している。先生の手抜き、練習量不足、家庭学習習慣の問題、しつけの問題などいくつも固まって問題が積み重なってしまった生徒が低学力層には多い。

時間を惜しんだらこういう生徒は切り捨てるしかなくなる。将来、住宅ローンを不動産屋や金融機関の営業の進められるままに組んだら、かなりの確率で自己破産である。
米国のサブプライムローンは高学力層がそうした低学力層を狙い撃ちにしたもの。低学力層は高学力層の餌となる、それが米国経済社会の実情。

さて、目の前の生徒をしっかり観察すれば何をすべきかは自ずと分かるもの。だからわたしは放課後補習をしろと何度も書いている。

KJ法やビジネスデザイン法、ブレーンストーミング法など、企業で使われる問題分析ツールはいくつもあるが、こういうものを学校でも使ってほしい。そうすれば問題の構造全体を共有できる。そうした結果を踏まえて、地域のそれぞれの小学校で遣り残している問題を解決するように具体的な要求をすればいい。
何も言わずに放置しているから、低学力が続くし、中学校でも積み残しとすっ飛ばしが常態化して、いつしか「根室の常識」になってしまい、問題を問題と感じる感性すら麻痺してしまって、全道14支庁管内最低レベルの根室の子ども達の学力はこの数年さらにがくんと下がってしまった。

こういうスキル一つを取り上げても、学校の先生たちや教育行政は民間企業で働く人々とコミュニケーションする必要があるし、民間企業で普通に用いられているさまざまなスキルを学校教育に応用する努力が必要だ。

問題構造の分析が終われば、つぎはそれを解消するために何をどのような手順でなすべきかについての分析や議論がなされなければならない。
そういうときにPERTが威力を発揮する。一人の実践的なノウハウをグループ単位のノウハウへ転換できる。
教育改革とはこういうことを一つ一つやり遂げ、地味な努力を積み上げていくことなのだろうと思う。
by ebisu (2013-01-20 11:45) 

ZAPPER

根室太郎さん
いつもは20点とか30点とかの子が、ピンポイントの指導の結果80点とか90点を叩き出すことがあります。その際に学校の先生の多くは「一体、何をどうやったのか?」といった反応を示すのですが、我々に言わせれば「一体、今まで何をやっていたの?」になるんです。

下位層の指導がきちんとできれば(中学生まで)実は上位層の指導など極めて優しいものです。反対に上位層を指導できても下位層を指導できるとは限りません。常々、この部分を実感しています。

上位層を伸ばせず下位層を救えない。中位層対象の幅のない学習指導。ここが大きな問題と感じています。では、下位層を伸ばすための指導技術とは?これはもう、実際に指導を繰り返して体で会得する意外にありません。だから補習授業をやるべきなんです。
by ZAPPER (2013-01-20 13:18) 

根室太郎

〉ebisuさん

合格先生のHPのご紹介ありがとうございます。
参考にさせていただきます。

また、民間とのコミュニケーションが必要とのこと、私も同意いたします。やはり変革には刺激が必要で、それを学校内部だけに求めるのは酷だと思うのです。

〉ZAPPERさん
ご返信ありがとうございます。

補習授業が必要とのこと、私もほぼ同意見です。ただ、自分のコメントを書き込んだあと2点だけ気になったことがあるので、最後に書かせていただきたく思います。

・生徒の心理について
私は学力向上と進捗管理の面のみで、意見を書いていたのですが、生徒にとってみると「補習ほど嫌なものはない」のかもしれません。
面白い授業ならまだしも、モチベーションの低い先生のつまらない補習とそんな生徒の心理とのコラボレーションは、必ずしも学力向上を生み出さないのではないかと思いました。
事実上、教科書は網羅できても本来の目的である学力向上につながらなければ意味がなく。そのためにも、補習の前に教師側のモチベーション向上を目指すべきだと考えます。

・指示待ち人間について
指示待ち人間が「補習をやれ」と上から命じられてしまうと、結局指示の通りにただ安直に「授業時間を伸ばす」ことになりかねないかもしれないと思います。
その中で、指示待ち人間が適切な授業の進め方を会得できるか、と言えば少し疑問が残ります。教師側の土壌が十分ではない中の補習強行は、生徒側の負担を大きくするだけになるかもしれない、と少し心配です。

ただ、あえて追記しますと、どちらも補習を否定するものではありません。補習を行うための準備、土壌作りが必要ではないかとの思いから書かせていただきました。

以上、つらつらと書き連ねてしまいましたが、他業種のトンチンカンな意見かもしれませんので、軽く読み流してください。

様々なご意見・ご感想、大変勉強になりました。
根室出身者として、また機会をみてブログを拝見させていただきます。

関東に比べ、そちらはまだ寒さが厳しいと聞いております。お身体にはくれぐれもお気をつけください。


by 根室太郎 (2013-01-20 17:12) 

ebisu

根室太郎さんは心配性なようなので(笑)、補足しておきます。

>・生徒の心理について

案外心配いりません。生徒たちをみているとほとんどの生徒は、本心は学力を上げたいのです。
自力ではとても無理だから、トコトン付き合ってあげる大人の助けが必要です。とはいっても小学校6年間でついた「勉強しない習慣」に繰り返し負けます。励まし、叱咤し、分かるまでトコトン教えればいい。
成績下位層の80%は本当は成績がよくなりたいのです。それを「自分は頭が悪いからダメ」とあきらめています。そこに火をつけてやればいい。一度でも点数が50点も上がったらしめたものです。あとかかってに火がぼうぼうです。最初の一歩をなんとかするのが教師の役割。生徒をよく観察して基本に忠実にやればいいんです。ポイントを見つけ出して教えればいい。補習でいくつかチェック用問題をやらせながら観察すれば、すぐにわかります。
いままで塾に来て、
「基礎的なところが分かっていないようだから、2ヶ月間毎日4時から2時間個別補習するから来るかな?」
三人に二人は大丈夫です。零点の生徒でも言うとおりやれば、2ヵ月後に80点台をたたき出した生徒は何人もいます。

実務は案外と心配いらないのです。

ところでわたしも53歳まで東京の民間企業で働いていました。あなたと似た職種でしょうね。意図的に業種を変えて何度か転職しましたが、経営企画や経営管理がメインの仕事、財務会計やコンピュータシステム開発の専門家でもありました。
20代30代の仕事がその人間の土台をつくります、全力で駆け抜けてください。
by ebisu (2013-01-20 18:26) 

もやしさんま

私は教育は専門外ですが、積み残しを恐れるあまり児童が理解していないのに先に進んだら全部いい加減になる危険があるように思います。各単元ごとの到達目標・習得目標を明確化してその日に学んだことを終業時間にチェックする、前の日に学んだことを始業時間にチェックする等の努力が必要なように思います。部活もそうですが学校行事の簡素化や上級生が下級生の補助をするとか工夫が必要と思います。
 先生は児童生徒の成績という形で努力が報われるし、手を灰色に染めるリスクもないし羨ましい仕事のように思えますけれど。他人の庭はよく見える、かな。

by もやしさんま (2013-01-20 21:44) 

ebisu

もやしさんまさん、真夜中の訪問ありがとうございます。

>積み残しを恐れるあまり児童が理解していないのに先に進んだら全部いい加減になる危険があるように思います。

もっともなご指摘です。
専門家のかたがこんなことを仰っていました。
①教師が授業時間をきちっと守っているか?
②学校行事(例えば運動会)で授業時間をカットしていないか
③授業のナカミは大丈夫か?問題演習量が少なすぎないか?
④素人同然の授業や授業中に雑談の長話をしていないか?

こうして実質的な授業時間数を増やす努力も大事です。
それでもはっきりいって、国語と数学の授業時間数が不十分です。小中高生は土曜日も学校で勉強させるべきです。

>先生は児童生徒の成績という形で努力が報われるし、手を灰色に染めるリスクもないし羨ましい仕事のように思えます

先生の仕事も極めようと思うときりなく勉強を続けなければならないですから、ほかの仕事と一緒ですよ。
全力投球しないとどんな仕事でもつまらない。全力でやる人にはどんな仕事でも「仕事本来の面白み」が実感できるのではないでしょうか?
雑念がなくなると、きっと自分の庭がいとおしく思えてきます。(笑)
by ebisu (2013-01-21 01:12) 

合格先生

ebisuさんへ
 過分なお褒めの言葉、恐縮です。

 それで、もやしさんまさんが心配しているようなので、自分の授業についての考えを少しだけ述べておこうと思います。

 本来であれば、授業を予定通りに終わらせようとして子供たちが理解できなかった場合、教師は「どうしたら、きちんと子供たちに勉強内容を身につけさせられるだろうか」と考えるものだと思います。
 ところが、根室・釧路の教師は、子供たちが勉強内容を身につけられないときに「どうせ、分からないんだから、やらなくてもいいだろう」という方向に行ってしまったんですね。ここが他地域の教師と大きく違うところで、ここの段階で教師の道を踏み外してしまったわけなんです。

 ですから、この感覚を本来の感覚に戻すためには、一度リセットして、多少、子供たちに学習内容を身に着けさせられない部分があっても、最後まで与えられた学習内容を時間内にきちんとやりきるというところからスタートさせなければならないと思っています。そして、その学習結果を情報公開するんですね。

 そうやって、常に見られているということを意識させながら、授業力の研鑽を行わせるという方法を取るべきではないかと思っています。

 実は、授業時間に余裕があるときよりも、時間が足りないくらいの方が、短時間で生徒に理解させるという方法を考え出そうとするため、教師の授業力は伸びるのです。また、授業で教えきれなかったところは、必ず放課後補習を行うという事を義務化すると、教師も放課後の時間を他の業務のために確保しようと、授業内で理解させようという動きが出てくるようになるはずです。
 さらに、実際に時間が足りなくなると、授業時間外~いわゆる家庭学習との連動を考えるようになりますから、宿題の内容も充実していくのです。
 さらにさらに、家庭学習との連動を行うためには、家庭学習時間の確保が必要になりますから、夜、遅くまでやっているような過度な部活には制限がかかります。

 ここまで行って、小学生・中学生の本来のあるべき姿に戻る、と思っています。

 これを言うと身も蓋もない話になるかも知れませんが、現在では、学校で一生懸命教えている内容すら、生徒がきちんと身につけているかどうか疑問ですし、おそらく、今の教師の授業力で行けば、これは今後も変わらないでしょう。
 現時点で、そういう状況であるなら、いっそ、一気にリセットして、教師の授業力をあげ、生徒の学力をあげられる方法を採択してしまった方が、得策だと思います。
by 合格先生 (2013-01-22 05:52) 

合格先生(前の続きです)

ということで、

1 学習進度・学力状況の情報公開
2 放課後補習の義務化

の2点が、根室・釧路の子供たちの学力を上げるために必要な方策ではないかと思っています。
by 合格先生(前の続きです) (2013-01-22 06:08) 

ebisu

納得できるフレーズが並んでいます。
>根室・釧路の教師は、子供たちが勉強内容を身につけられないときに「どうせ、分からないんだから、やらなくてもいいだろう」という方向に行ってしまったんですね。ここが他地域の教師と大きく違うところで、ここの段階で教師の道を踏み外してしまったわけなんです。

>実は、授業時間に余裕があるときよりも、時間が足りないくらいの方が、短時間で生徒に理解させるという方法を考え出そうとするため、教師の授業力は伸びるのです。

>授業で教えきれなかったところは、必ず放課後補習を行うという事を義務化すると、教師も放課後の時間を他の業務のために確保しようと、授業内で理解させようという動きが出てくるようになるはずです。

>実際に時間が足りなくなると、授業時間外~いわゆる家庭学習との連動を考えるようになりますから、宿題の内容も充実していくのです。

>家庭学習との連動を行うためには、家庭学習時間の確保が必要になりますから、夜、遅くまでやっているような過度な部活には制限がかかります。

> ここまで行って、小学生・中学生の本来のあるべき姿に戻る、と思っています。

そこまで掘り下げていって、そして結論です。いままでのは最後の結論が言いたいための序章。

>1 学習進度・学力状況の情報公開
>2 放課後補習の義務化

>の2点が、根室・釧路の子供たちの学力を上げるために必要な方策ではないかと思っています。

これはもう、本欄で採りあげたほうがよさそうです。(笑)

by ebisu (2013-01-22 13:19) 

ZAPPER

ebisuさんも合格先生も、「問題提起〜現状分析〜原因究明〜解決策の探索〜結論(主張)」のプロセス、すなわちロジカルシンキングに長けてらっしゃいます。教育現場でさかんに叫ばれる「考える力」ですが、ほら、ここに手本があるべさ!って私は言いたくなります。(^o^)
by ZAPPER (2013-01-22 15:22) 

もやしさんま

ちゃんとマスターしたことを示せないと放課後に居残りさせられるとなると生徒の真剣さも変わるかもしれませんね。それこそわかるクラスメートや先生にお昼休みに曖昧な点を教えてもらいにいったりしないと帰れません。
それこそ先生も授業内容で生徒に突き上げられるようになったらいいですね。
そうなるとebisさんの塾でも生徒の質問の質が上がって楽しいでしょう。


by もやしさんま (2013-01-22 16:30) 

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