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#2142 データと分析(4) 全国学力・学習調査 根室管内版を読む Nov. 28, 2012 [64. 教育問題]

 高橋教一北海道教育委員会教育長は全国学力テストで北海道の平均点が全国の平均点を上回ることを目標に掲げた*。そういう流れの中で「全国学力・学習状況調査 北海道版」が道教委のホームページ上で公開され、管内別に詳細なデータがはじめて明らかになった。いままでとは情報量が違う。あたらしい試みにチャレンジしている官僚がおそらく十数人、作業がたいへんだっただろうがチャレンジしているという仕事の充実感をえられたのではないかと推測する。こういう集団は一つのことをやり遂げたら、次のプロジェクトにチャレンジしたくなるものだ。プラスのスパイラルがゆっくり回転し始めたのがみえるようだ。

*「新年度にあたって」高橋教一(道教委のホームページより)
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ksk/24shinnendo.htm

 わたしは学校別・科目別のデータを見たいし、それが北海道の子ども達の学力向上に資するところが大きいし、学力向上に不可欠のデータ公開であると思っているが、道教委はそこまで踏み込むつもりはないようだ。方向性は同じでも「釧路の教育を考える会」と学力テスト情報公開についての考え方に相違がある。議会や日教組との摩擦が大きくなることを避けたのだろうと思われる。
 そうした限定はつくものの、14支庁管内別の詳細なデータ公開はありがたい。教育行政の一部の関係者しか見ることのできなかった詳細データが公開されることで、これまで見えなかったいろんなことが見えてきたことは、大きな一歩である。
 こうした道教育庁の学力向上施策の一環なら歓迎したいが、12月1日土曜日に中標津で根室管内のPTA連合会主催で北海道教育庁総務政策局教育政策課長武藤久慶氏の講演会があるようだ。道の教育庁が学力向上についてどのような具体的な計画をもっているのか聞いてみたいが、たぶん関係者のみの非公開だろう。
 低学力問題は学校や教育行政だけでなんとかなるものではない。一般市民=民間の常識と学校関係者の常識が大きくへだったっているところにも大きな問題が発生しているから、民間との意見交流の場をもつべきだ。中標津で開かれる講演会の情報をもっている人がいたら、コメント欄へ書き込んでほしい。内容について公開していい部分があるなら、ebisuのブログ専用公開アドレス宛メールをいただきたい。

 こういう講演会やパネルディスカッションを、根室市教委主催で日曜日に総合文化会館でやっていただけると、根室市民の教育への関心が高くなるのではないだろうか。根室の子どもたちの学力向上のためにPTA連合会が市教委へ働きかけてくれたらうれしい。こういういいことに、異論のある関係者はいないだろう。


  道教委が詳細でいいデータを公表してくれた。根室管内分のURLを書いておく。
「全国学力・学習状況調査 北海道版 結果報告書(合算)」
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gakuryoku.htm
「根室管内」
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/gks/h2411/14h2411nemuro.pdf

 さて、前置きはこれくらいにして、ここから根室管内版の論評をしたい。
 231ページにレーダチャートが載っているので、ここだけ見れば全体が分かる。
 「⑤全教科チャート図」と表題がつけられている。全国を百としたときに根室管内は数B(数と式)が80.0であり、これが一番悪い。その次が数B(数量関係)が84.7であるから、根室管内の中3年生は数学の基本のところが全国平均に比べて著しくわかっていないということ。
 国語は概ね90%前後であるから、数学に比べてまだましだ。数学の正答率は釧路も根室とほとんど一緒だ。二つの町は似たような問題を抱えているといえる。
 ここまで数学が悪いと基礎学力不足のために自己破産割合が増えているのではないかと心配になる。たとえば、住宅ローンを利用するのに、銀行や信金の営業マンの勧めるままに借入額を増やして、自分で計算・検証しなければ、家族が病気して稼ぎ手が減ったり、転職せざる得ない状況に立ち至ったときに、自己破産しかねない。金融機関の営業マンは目一杯に貸付額を増額して成績を上げ、返済が滞れば債券整理機構に回してさっさと損切をすることになる。借手は住宅を失い、自己破産する。リーマンショックの原因となった悪名高いサブプライムローンは「低所得&低学力層」を住宅ローン会社が食い物にした結果引き起こされた。低所得で低学力層が増えると、似たようなことがあちこちで起きかねないのである。こうした事態を予防できるのはしっかりした基礎学力である。自分で計算して相手の言うことに無理がないかどうか自分の頭で判断する。基礎学力は厳しい世の中を生き抜くためにこそ大事な武器(アイテム)なのだ。

 このレーダチャートを見て感じたのは赤字会社のパターンと同じであることだ。わたしは1980年頃、モデルを作って25本ゲージのレーダチャートによる経営改革のための経営分析をしていたことがある。根室管内のパターンは経営改革途上の会社のパターンにそっくりだ。はっきり言うと、売上はジリ貧(高学力層の激減と低学力層の増大)、収益性が悪く財務体質も脆弱な赤字会社のパターンである。とくに数学が"かなり重症"と判断していいだろう。こういう会社は社員のやる気も低く、責任を他に押し付け自ら改革しようという気概をもつ社員がほとんどいない。そして、いずれ経営破綻で消えていく。
 公務員の身分保障で、いかにやる気がなかろうとも学校はつぶれず、ツケは生徒の学力低下となって顕われている。道教委作成のレーダチャートはそういう根室管内の状況を的確に表している。正直に仕事をすればこういうことが明るみに出て、具体的な学力向上策が議論可能になる。いい時代になった。

 27日付の北海道新聞根室地域版にも笠原記者の記事が載っている。
(この間のショッピングセンター取材記事「黒船来週」だったかな、なかなか視点の広いいい取材記事だった。そのうちにとりあげたい。切り抜いたままになっている。)
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全科目全道平均下回る
 「勉強好き」だが結果です

 ・・・テストと同時に行った学力状況調査で、国語、算数、理科の3科目について「授業がよくわかる」「科目の勉強が好き」と答えた小学生はいずれも全道平均を上回った。
 中学生もおおむね全道平均並みで、特に平均より点数が低かった国語についても約65%が「勉強が好き」、約70%が「授業がよくわかる」と回答。授業は理解していると感じても、学力テストでは成果が表れていないことが明らかになった。
 根室教育局は「小中学校全ての教科で全道平均を下回っており、深刻な状況」と指摘。・・・
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 道新根室地域版は「2012年度学力テスト 平均正答率」のレーダチャートも載せている。これは一つの見識だろう。この笠原記者は案外論理的分析やその結果の表示にいいセンスがあるようだ。
 「勉強が好き・・・しかし学力は低い」、なんてことはない、根室管内の生徒達は客観的な自己認識ができていないのである。これも基礎学力の低さゆえか。フリー参観授業では学習指導要領を超えて教えている先生はほとんどいなかった。どういうことかというと、授業レベルが低すぎるのである。程度の低い授業にならされてわかったつもりでも、実際には内容を理解していない。定期テストでは点数が取れても、学力テストの点数はとれないということに象徴的に表れている。普段学校でやっている学力テスト(実質全道一斉学力テスト)は全国一やさしいといってもよいのだが、それですら定期テストに比べると平均点はがくんと落ちるのが実態である。文科省は学習指導要領を教えなければならない最低基準と定義しなおしたが、現場の先生達の意識は変わっていない。ベテランほど長年やりなれた授業形態が習慣化されてしまっているので、適応がむずかしいように見えた。学習指導要領からはみ出さない、難易度の低い授業で分かったつもりになっているだけというのがほんとうのところだ。生徒達のうち根室高校普通科へ進学した生徒だけが進研ゼミの全国模試を受けて、平均点を見て全国レベルの高さと、中学校でやってきたテストが全国レベルと比して難易度が極端に低いものであったことにはじめて気がつく。根室高校普通科の数英の平均点は毎年20点台である。難易度の高い全国模試になった途端に、成績上位層がまるごと含まれ、成績下位層が数人しかいないはずの根室高校普通科ですら、平均点が20点台の現実を直視してほしい。これは定期テストに難易度の小さい出題ばかりしてきたツケと、全国一難易度の小さい「事実上の北海道一斉学力テスト」で生徒達を欺いてきた結果なのだ。
 できる生徒がかわいそうである。学習指導要領をなぞるだけの低レベルの学校授業では伸びる生徒も伸びなくなる。学力上位層の生徒は授業中も退屈しきっているよ。勉強するには塾に行くしかなくなるのだが、塾に通わせられる裕福な家庭ばかりではない。公務員は別として、市内の民間会社の平均給与は公務員の70%を切りるだろう。だから、学校の授業を変えないことには人材をつぶし続けることになりかねない。

 11月に行われた中3年生の学力テスト総合Cについて、弊ブログでデータ分析をしているが、市街化地域の3校で五科目合計平均点が30%以下の層が約3割を占めている。成績上位層がやせ細り、低学力層が激太りしつつある。この数年間で低学力層が1.5倍くらいに増えており、いまも"増殖中"。市街化地域の3中学校には試験前2週間ほど放課後補習体制をとる学校も現れはじめた。歓迎したい。

 根室教育局はこの全国学力テストデータをみて「深刻な状況」と指摘しているが、学校で年に5回も行われている学校別・科目別学力テストデータをみれば一目瞭然である。普段からデータを見ていないから状況の深刻さがわかっていない。
 仕事は誠実に、正直にしたいものだ。

 日本語語彙力不足から、授業を理解できない生徒が増えている。おおよそ成績下位層の20%が該当する。
 学校長と現場の先生とPTAが協力すれば、教育行政がどうあろうと子ども達の学力向上はできる。
 小学校4年時に1年間週3回、7時間目の音読トレーニング授業を勧めたい。良質のテクストを選び20冊も読み、国語辞典を引けば、読書も辞書を引くことも習慣化できる児童書ではない、大人向けの良質のテクストを大量に読ませることに意義がある一年間の音読トレーニングで子ども達の語彙が何倍にも拡張できる。その「(語彙の)引き出し」は、中学生になったときに、興味のある分野の本の濫読を可能にし、そして高校時代に興味のある分野の専門書を読む下地をつくることだろう。
 学力はまるで違ってくるだろう。日本語語彙力が基礎学力の土台をなしている。語彙力の充実させながらたくさんの日本語テクストを読み、読解力が上がれば、高校数学ですら難易度の高い問題でも自力で答えが出せるものが飛躍的に増えるだろう。問題文の中の条件をどう読み取るか、それをどのように他の既知の問題へ読み替えるかが問題を解く鍵になる。社会科だって理科だって教科書も参考書も日本語で書かれている。短時間で大量の読書ができ、書かれている文章を楽々と理解できたら、根室管内の子どもたちの学力がダントツ全国一に上がらないはずがない。



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ブログ情熱空間が読売新聞と北海道新聞記事を並べて載せているので、あわせてご覧戴きたい。
「北海道14教育局管内別平均正答率表」で釧路のデータと根室のデータが並んでいるので比較しながらみると面白い。読売のほうが表は見やすい。

*「一体、いつになったら分かるんだべか?」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6100332.html


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*#2152 期末テスト 中2が健闘 五科目合計点で平均58.8点アップ Dec. 6, 2012 
  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-06

  #2143 データと分析(5) 学力テスト総合Cから根高普通科への合格基準点を推計してみる Nov. 29, 2012 
 
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 #2142 データと分析(4) 全国学力・学習調査 根室管内版を読む Nov. 28, 2012
 
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 #2134 データと分析(1) 学力テスト総合C 学校別・科目別平均点 :学力低下と人口減少のダブルパンチ Nov. 21, 2012 
 
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