#2053 マーガレット・サッチャーと領土問題(2) : 北方領土・竹島・尖閣列島 Aug. 14, 2012 [21. 北方領土]
北方領土問題に関心のある根室の中高生にこそ読んでもらいたい。千島歯舞居住者連盟も日本政府の外交姿勢も、歴代総理大臣もみなダメ、なぜダメかという理由を『サッチャー回顧録』からの抜粋を読んでしっかり考えてもらいたい。領土問題に関して大事なことが何かを知るべきだ。
中国は尖閣列島への侵略をやめないから、いずれ大きな紛争あるいは偶発的な戦争に巻き込まれる。否応なしに日本人はいまから覚悟を決めておかねばならない。日本の領土に触手を伸ばすときには、全中国が焦土と化すことを覚悟せよと、それはわが国もまたそうなることを覚悟でなければ言えないことなのである。
取引材料や嫌がらせ目的で、中国公安に中国国内にいる日本人が狙われるから、経済断交も考慮に入れておく必要がある。何もかもうまくやろうなどとはハナから考えぬことだ。摩擦は大きい、中国もロシアも領土拡張の欲求は世界一、強欲の国なのである。
距離が近いから発射したら迎撃は困難だ。MIRVを10基ずつ、ロシア、韓国、中国に向けて照準を合わせ配備できることを証明して見せようと、#2050「北方領土:韓国大統領の竹島上陸にどう対抗する?」で書いたら、いくつか面白いコメントをいただいたが、それを見ていたEさんからメールをもらったので披露したい。
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<Eさんからのメール>
サッチャーの偉大さ
最近の領土問題をめぐる中ロ韓の動きと日本の対応を見ていると、昔、TBSで 「ワシントン・ウォッチ」 を担当していた頃に読んだ『サッチャー回顧録』 や、最近読んだ 『ブレア回顧録』 を思い出しますね。
<Eさんが送ってくれた資料から抜粋>
「われわれが1万3千キロもかなたの南大西洋で戦っていたのは、領土やフォークランドの住民たちも無論大切だったが、それ以上に大切なことのためだった。われわれは国としての名誉、そして全世界にとっての基本的に重要な原則、すなわち何よりも国際法が力の行使に勝たなくてはならないという原則を守ろうとしていたのだ。戦争は本当に突然起こった。・・・フォークランド戦争が意味するところはとても大きかった。イギリス自身にとっても、われわれの世界における立場にとってもである。1956年のスエズの大失敗以来、イギリスの外交政策は長期にわたって後退を続けていた。イギリス政府と外国政府の暗黙の想定は、世界におけるイギリスの役割は縮小する一方の運命にあるというものだった。イギリスは友からも敵からも、戦時はおろか平時でも、自国の利益を守る意思と能力のない国だとみなされてきた。フォークランドにおける勝利はこれを変えた。」(サッチャー回顧録<上> p.218~p.220)
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わたし(ebisu)はたまたま4月に下旬に映画「マーガレット・サッチャー」をみて、フォークランド戦争時の彼女の対応を褒め称えた記事を書いているので、再録する。あのときの英国の経済・財政状態は(金本位制下の)日露戦争開戦時の日本の財政状態のきつさとは比べるべくもないが、まあ似ている。あそこでひるんでいれば、日本の国際的地位はずっと低いものになっただろう。日露戦争は白人の帝国(世界最大の陸軍王国帝政ロシア)に有色人種の国が初めて勝利したものとして世界史上大きな意義のある出来事であった。
日本は後に国際連盟に人種平等法案を提出して孤立していく。言わねばならぬことを堂々と言い、白人の植民地支配に抗し、人種平等という正義を実現するために孤立を恐れない強い精神が当時の日本人にはあった。現在の日本と比較してみてほしい。情けないほど脆弱化して、言うべきことも言えない日本が見えてくる。
今日のニュースだが韓国大統領が天皇が訪韓するときには「心からの謝罪をすべきだ」と言いたい放題。支持率17%の李大統領は次の選挙に勝てそうもないから、このような礼節を欠いた発言をしたのだろうが、日本政府はそういうことが条件なら天皇の訪韓はありえないと間髪をいれずにはっきり言えばいい。
王室を抱える英国人には日本人の心が理解できるだろう。
#1892 映画「マーガレット・サッチャー」と北方領土 Apr. 6, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-04-06
「 常識的な論にたいして、論拠を示して断固として信念を貫くサッチャーの強さは台詞の中に随所に出てくる。鉄の女という渾名がつくわけだ。常識論を振りかざす男たちが何人もまとめてぐうの音も出ないほどコテンパーにされていた。
フォークランド紛争のときに周囲の反対を押し切り、領土を守るために地球の裏側まで艦隊を派遣してアルゼンチンと戦端を開いた意志の強さにも舌を巻く。あの時英国は財政状態が悪くとても戦争のできる状態ではなかったが、当時首相だったサッチャーは領土問題は経済問題よりも優先すると演説して議会で反対派を黙らせてしまった。
「英国が領土問題で譲歩することなどありえない」
このシーンのときに頭をかすめたのは北方領土問題である。サッチャーに比べて、北方領土に対する政府や根室市や市議会の対応は不甲斐ない、ビザなし交流がずいぶん卑屈に感じてしまう。尖閣諸島に対しても竹島に対しても、日本政府の対応は誇り高い英国と好対照をなしている。
根室の中高生はぜひこの映画を見てもらいたい。北方領土返還運動関係諸団体は北方四島交流センターに根室市内の中高生を集めてこの映画をみせたらどうか?中高生の領土問題に関する意識が根底から変わるだろう。」
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*#2050 竹島と北方領土 :韓国大統領の竹島上陸にどう対抗する? Aug. 10, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-10-2
#1892 映画「マーガレット・サッチャー」と北方領土 Apr. 6, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-04-06
#195「少し過激な北方領土返還論」:MIRV(多核弾道ミサイル)開発・組み立て・解体ショー
⇒ロシアをぎゃふんといわせ北方領土を返還させるための具体論
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-07
#465「"Japan sent uranium to U.S. in secret"は北方領土返還運動の好機か?」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-12-30
サッチャーは日本に対し、「北方領土という小さな島のことより、東西融和・世界平和を考えなさい」という意味の発言をしてましたね。これも見てもらうといいですね。
by 通りすがり (2013-04-18 11:12)
通りすがりの方へ
>サッチャーは日本に対し、「北方領土という小さな島のことより、東西融和・世界平和を考えなさい」という意味の発言をしてましたね。
これは『サッチャー回顧録』に載っているのですか?映画ではそういうシーンはありませんでした。
「領土問題で英国が譲歩することなどありえない」という発言とはことなりますが、無法な力の行使に譲歩せず、国際法というより高い次元から武力を行使したサッチャーですから、より高次の理念「東西融和や世界平和」を重視しろというのはありそうです。
でも、それも領土問題で譲歩する理由にはならないのでしょう。
北方領土返還運動自体が、一部の引揚者のみの団体が主導する矮小化された運動(=補助金事業化)になっているので、まるでお話になりません。現実の運動は「理念」なんてすっ飛んでいます。
by ebisu (2013-04-18 13:05)
フォークランド諸島と国後島と択捉島はそれほど大きさが違わないようですから、サッチャーが仮に
>「北方領土という小さな島のことより、東西融和・世界平和を考えなさい」という意味の発言をしてましたね。
もしサッチャーがこういう発言をしたなら、フォークランド諸島なんて小さな島のことよりアルゼンチンとの融和、世界平和を考えなさいと自問自答もしたのではないでしょうか。
典拠を示していただかないと、わたしにはサッチャーがそのような発言をしたということが信じられません。
by ebisu (2015-06-29 22:36)