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#1965 ビザなし交流=通過型観光旅行? June 8, 2012 [21. 北方領土]

 市内の高校2校の前期中間テストは今日(6/8)で終わりだ。12時を過ぎたが勉強をしている生徒が多いだろう。2年生が二人、あわてて明日のテストの数Bのベクトルのところを確認に来ていた。

 さて、今回は6月6日付け北海道新聞夕刊の記事を紹介したい。日本政府が経費をもつ「ビザなし交流」とはいったいどのようなものなのか、その実態が語られている。

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 ロシア側第1陣到着
 
 ビザなし交流 青少年ら49人
【根室】北方領土ビザなし交流で、本年度のロシア側第1陣となる青少年の訪問団が6日、日本の民間チャータ船「えとぴりか」(1124㌧)で根室港に到着した。今年から使用されたえとぴりかでロシア側訪問団が来訪するのは初めて。
 国後、択捉、色丹のロシア人島民で12~17歳の児童生徒と同行者49人。岸壁で根室市民の歓迎を受けた択捉島のイリーナ・ブザノワ団長(32)は「ロシアと日本の子供たちの交流を深めたい」と述べた。えとぴりかについて、男子中学生(13)は「新しい船はすごくきれいで快適」と笑顔で話した。
 主な訪問先は秋田県で、6日に根室市を視察したあと、7日に釧路市から空路出発。同県では高校生らとの交流や民俗芸能などを体験し11日に根室に戻り12日に島へ帰る。
 船には日本外務省の人道支援により根室管内で治療を受けるロシア人島民4人、日本語習得のため札幌市などを訪れる10人も同情した。本年度のビザなし交流ではロシア側から12訪問団、軽336人を受け入れる予定。

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 根室に一日いるだけですぐに秋田へ出発する。観光旅行のために根室に上陸、通過しただけの話し。これではビザなし交流ではなくてビザなし観光だろう。元島民を愚弄するにもほどがあるのだが、「引揚者の団体」は歓迎している。おかしな構図だ。

 内閣府の北方領土対策本部のホームページには次のようになっている。
 http://www8.cao.go.jp/hoppo/henkan/11.html
「 北方領土問題解決のための環境整備を目的として、北方四島交流(いわゆる「ビザなし交流」)の実施を支援し、日本国民と北方四島在住ロシア人との相互理解の増進を図っています。
 日本国民と北方四島在住ロシア人が相互に訪問し、ホームビジット、文化交流会、意見交換会等を通じて、相互の理解と友好を深め、ロシア人住民の北方領土問題に対する理解を促すとともに、日本に対する信頼感の醸成が図られています。平成4年度に事業が開始されてから、これまで日本側と四島側双方合わせて、のべ16,393人(平成22年3月31日現在)の人が交流を深めています。
 この事業の対象者は、北方領土に居住していた者、その子供及び孫並びにその配偶者、北方領土返還要求運動関係者、報道関係者、訪問の目的に資する活動を行う学術、文化、社会等の各分野の専門家等となっています。」

 「北方領土問題解決のため」になぜ秋田県への観光旅行が必要なのかよくわからない。百歩譲って日本国民と北方四島在住のロシア人との交流なのだろう。だが、それと北方領土問題解決を結びつけることはとうていできない。
 「ホームビジット、文化交流会、意見交換会等を通じて、相互の理解と友好を深め、ロシア人住民の北方領土問題に対する理解を促す」となっているが、領土問題に関する意見交換はロシア側は明確にノーである。ロシアは実に明解だが日本側(外務省と返還運動諸団体)は実にあいまいである。

 こういう見方ができるだろう。本来は元島民やそのこどもたちや孫たちと北方領土に住むロシア人との「ビザなし交流=領土問題の相互理解」が理想なのだが、そうしたらロシア側から参加の希望がほとんどなくなるから、ビザなし交流は自然消滅してしまう。
 ロシア人からみると、「領土問題についての相互理解」を公に拒否しても費用は日本政府もちで観光旅行に招待してくれる、ビザなし観光旅行は大歓迎ということになる。
 つまり、北方領土問題の解決など本気で考えていない外務省はアリバイづくりのためにビザなし交流=観光という餌でロシア人を集めているのである。経費は日本政府もち、お金のかからぬ観光旅行だから「ビザなし交流」希望者はいくらでも集められる。観光場所は毎年変えればいい。そうすれば何度でも同じグループの人々が飽きずに毎年ビザなし交流に参加する。予算をとって恒例行事化すれば北方領土返還運動をやっているという実績がつくれる。
 しかしこれでは日本外務省は観光業者並みの存在だし、けっこうな予算配分を受けているビザなし交流自体が日本側とロシア側の両方で利権化するだろう、だいじょうぶか?一人1回30万円程度(?)かかっている費用がタダ、船も新しくなった。費用は日本政府もちの「観光旅行」を楽しみにする人が増えるだろう。

【返還運動諸団体とは元島民ではなく元島民のうちの引揚者だけの団体】
 お袋も叔父も叔母も択捉島で生まれそこで育ったがいわゆる「引揚者」ではない。お袋は一度も墓参に行くことなく昨年亡くなった、叔母も同様で5年前に亡くなった。関係諸団体から一度もビザなし交流の連絡とか通知をいただいたことはないから、北方領土対策本部の上記の定義は間違いではないのか?「北方領土に住んでいた者」ではなく「北方領土からの引揚者」と正確に書くべきなのだろう。
 その上でのことだが、引揚者とそうではない元居住者と区別をする理由は何か?さっぱりわからない。墓参ひとつ考えても道義上区別をしてはならぬとわたしは考える。

*千島歯舞諸島居住者連盟を検索して初めて知った。これは引揚者の団体である。これではムリだ。どうりで引揚者ではないお袋や叔母や叔父に何の連絡も通知もない理由がはっきりした。引揚者だけの補助金運動だ。引揚者ではない元島民と引揚者との間に大きな溝をつくってしまった。おろかとしか言いようがない。組織内部で五十数年間だれもそうしたことを言わなかったのか?そうだとしたらそのような団体などこれからも領土返還運動の妨げ以外の何物でもないから解散した方がいい。
千島連盟は、ソ連の不法占拠によって日本固有の領土である北方領土から強制的に退去させられた元島民とその後継者で組織する全国唯一の社団法人で、北方領土の復帰等の解決促進と、元居住者等の福祉の増進を図ることを目的に設立されました。
 六十数年間にわたり一人も戦略を描けるもののでなかった「引揚者の団体」だが、今後に期待できるのだろうか?人のよい引揚者たちが中央の政治にいいように利用されているだけではないのか。

【人材枯渇假説とそれを乗り越える方法】
  関係諸団体がどうしてこいいう稚拙ともいえる運営を続けるのか理由を考えてみた。假説がひとつみつかった、それは人材不足である。ひとつの団体を公平で効率的に動かせる仕事のできる人材が60年間いなかっただけ。いや、北方領土返還の具体的な戦略を描く能力のあるものが一人もいなかっただけ。引揚者だけの閉鎖的なサークルが政府の補助金目当てに動いているにすぎぬ。そしてこれを利用する全国組織の者たちがいる。
 もしこれが当を得ているなら寂しい話しである。団塊世代を起点にしても根室は40年以上にわたって学力の高い人材を都会に供給し続けたことは事実である。心根のまっすぐな学力「中の上クラス」の人間は少なからず残っているが自分や家族や親戚へのさまざまな軋轢をおそれて発言をしない、温和で穏やかな性格の人(典型的な根室人)が多いということだろう。かくして一部の者たちが恣意的に振舞っても健全な批判が起きないし、個人的な利害を離れて広い視野で物を言う者もいない。こういう構造をわたしは根室の旧弊と呼んでいる。
 関係諸団体に仕事のできる有能な人間が数人いればもっともっと北方領土返還運動は国民の共感を呼ぶやり方で進められたに違いない。
 おそらくいまからだってできるのである。謙虚に正直に誠実に仕事をすればいいだけなのだろう。内部のことをよく知らぬ島民2世のつぶやきである。

【避けられぬ根室の町の運命?】
 さて、返還が実現すると確実になくなる組織がある、それは北方領土返還運動関係諸団体と担当行政機関である。補助金もなくなる。返還が実現して困る人々が返還運動をしているという不思議な構図が根室にはある。航路追尾装置のスイッチを切って越境して「密漁」をしていた羅臼の漁師たちも返還されたらその水域は国後島の漁師の前浜だから水揚げが激減するのだろう。返還されては困る人々がここにもいるのである。北方領土返還運動にとって敵はロシアだけではない。特殊な利権構造が堅固に出来上がってしまって関係者の数はすくなくない。お互い同じ地域内で生活しているのだから事を荒立てたくないというのが本音だろう。領土問題はそれでいいのかも知れぬ。しかし、旧弊をそのままに維持していれば根室は夕張市の轍を踏むことになる。残念だが時間はあまり遺されていない。避けることのできぬ根室の運命なのだろう。

【北方領土を取り戻す具体的な戦略論アリ】
 具体的な領土返還交渉具体論を2008年に書いているのでお読みいただきたい。ぶっそうな議論かも知れぬがこれなら返還交渉成功間違いなしだ。四島まるごと返還を実現できる現実論がここにある。


*#195「少し過激な北方領土返還論」MIRV(多核弾道ミサイル)開発・組み立て・解体ショー
ロシアをぎゃふんといわせ北方領土を返還させるための具体論
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-06-07

 #465「"Japan sent uranium to U.S. in secret"は北方領土返還運動の好機か?」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-12-30

  #1401「ロシアがフランスから新型軍艦を購入し北方領土へ配備、対抗措置はあるか」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-03-1

 #1892 映画「マーガレット・サッチャー」と北方領土 Apr. 6, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-04-06


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cccpcamera

旧居住者の御子孫ならば、ビザなし交流に参加できることになっていると思います。内閣府・北方対策本部の説明では、以下のように書かれています。
 2 訪問を適当と認める者
 (1)「北方領土に居住していた者(これに準ずる者を含む。)」は、北方領土に居住していた者、その子及び孫並びにそれらの者の配偶者とする。

 ただし窓口団体を通して申し込むので、現実問題としてどうなるのでしょう。関連官庁や窓口団体に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

by cccpcamera (2012-06-08 13:06) 

ebisu

cccpcameraさんへ

高校時代の先輩がある関係団体にいたので問い合わせの電話したことがあります。
叔父が墓参に行きたがっていましたから、どうしたらいいのか聞いたのです。
「昨日で締め切りました」という返事でした。まだ、参加の人選もしていないのにムリのようでした。ごくごく親しい先輩でしたからわたしもそれ以上ムリは言いませんでした。

十数回も行っている人もいるし、関係ない人たちがたくさん行っていても、調整すらつけられない。これが「窓口団体」の仕事の実態です。
その後、なんども択捉島へのビザなし交流があったようですが、もちろん関係団体からはなんの連絡もありません。いける状態ではありませんので、わたくしも連絡をとっていません。 

わたしは6年前にスキルス胃癌で胃の全摘をしているので、食事の関係から択捉島への渡航はムリです。叔父貴も高齢で2度手術もしているのでムリ、お互いに時機を失しました。

窓口団体が恣意的な運営を改めるべきです。いいえ、これらの団体の関与を禁止すべきです。
ビザなし交流の人選は第三者委員会を作って運営すればいい。引揚者の参加は三分の一以下にして・・・

引揚者による引揚者のためのビザなし交流、国費による利権構造そのものです。
とても残念ですがふるさとのこういうところは好きになれません。おおらかな自然に恵まれているのになんと小さなことよ。(笑い)
by ebisu (2012-06-08 13:32) 

通りすがり

元島民やその家族とは言えそう簡単にはビザ無には参加出来ないようです。ビザ無の主催者団体は大きく分けて全国組織と北海道の2つの団体が有ります。そして目的別にも通常の大きな町を表敬訪問する観光的なものと、かって日本人が住んでいた地域へのふるさと訪問タイプに分かれます。全国版は勿論観光型で、ふるさと訪問型は道が主催者の場合に企画されます。この他に道が主催する「北方墓参」と言うジャンルが有りますが、これはビザ無し訪問とは別です。
この中で「北対協」と呼ばれる全国組織の場合は特に顕著ですが、広く国民に北方領土を見せるような考えが有るようで、どうみても北方領土に無関係な人達が物見遊山で参加しています。かって早稲田大学の何かのサークルのグループ数人が参加したことが有ります。その中の一人が択捉(だったかな)の家庭訪問で勧められるままにウオッカを激飲。そのまま急性アル中でぶっ倒れ訪問団の随行医師のみならず現地の診療所に大変な迷惑を掛けました。その翌年ビザ無の出発式に顔を出したところ主催者からちらりと若い大学生風の参加者を紹介されました。「どこから来たの?」「東京です。早稲田の学生です」「早稲田? そう言えば去年ウオッカでぶっ倒れ迷惑を掛けた奴が居たな」「・・・すいません。それ・・・僕です」。これ以上の説明は要らないでしょう(笑)。
大体毎回訪問団は70人余りで構成されますが、国会議員が1~2人、外務省から役人が2人程度、内閣府は1~2人、有識者と称する評論家が1名、元島民には関係がないと思われる自衛隊父兄会、何々婦人会、色々な労働組合、大学のサークルにも枠が有るようで30人前後、各主催者団体からの人間で10人前後、マスコミ関係がTV局・新聞社(報道カメラマンや記者)で3~4人、ロシア語の通訳が最低でも4~5人、道や国の研究機関の研究員が2~3名、随行医師が1名(殆ど市立根室病院から)・・・元島民からは程遠い人種だけでもうこれだけ居ます。実際に元島民として参加しているのは数名程度です。その家族を含めても10名には満たないでしょう。
道の組織が主催の場合は、さすがに政治家や諸団体からの参加は少な目ですが、そのかわりに地方の自治体の首長が居たりして、いずれにしても最も参加の権利が有る筈の元島民関係者は数も少なく、残念ながら待遇も最優先ではありません。(やはり国会議員は一等個室などの特別待遇)。
笑い話ですが、ロサルゴサが根室港を出て国後島に向かう際に、海上保安庁の巡視艇が中間ラインまで並走します。甲板に出ていた某国会議員が、「あれ、なんで付いて来るんですかね」「勿論警備のためです」「警備って・・・何の?」「この船に偉い人が乗っているからですよ」「えっ、誰?」「あんたですよ!」
因みにその時の国会議員はかの鈴木宗雄氏ではありませんでした(笑)。
by 通りすがり (2012-06-09 01:16) 

ebisu

通りすがりの方へ

おはようございます。お陰様で事情がよくわかりました。これでは相応のポジションにあった高校時代の先輩も電話では説明する気にならなかったわけです。

日本側からの参加者もロシア側からの参加者も領土返還をお題目にした観光旅行ですね、元島民2世としては笑うしかありません。
by ebisu (2012-06-09 09:07) 

もやしさんま

追い打ちをかけるようですが、ebisuさんの根室に一日しかいないというのは正確ではなく6日に来て7日に釧路から空路・・・ですけれども6日の午後3時には根室をあとして釧路に向かいそこで一泊して7日に空路ですから半日もいません。大人であれば根室の商店の情報をインプットして秋田で買うか帰りの根室で買うか検討するんでしょうね。でも根室で買ってくれるだけ良いと思いましょう
by もやしさんま (2012-06-09 13:16) 

通りすがり

蛇足ですが、「残念ながら待遇も最優先では・・・」の説明です。これは今までのビザ為し訪問に使われていた”ロサルゴサ号”についてですので、今年から新たに使われた新造船”エトピリカ号”には当て嵌まりません。念のため。

ロサルゴサ号は古いマグロの水産練習船と聞いています。まあ乗組員と乗客合わせて80人前後のこじんまりとした船で、結構安定感は有りますがその分船足は遅いですね。因みに海上保安庁の巡視艇なら2時間で行ける国後島まで4時間は掛かります。
さてその船内ですが、公共の場として厨房に隣り合った大きな食堂があります。ここは2回に分けた食事の他に全体会議や説明などにも使われます。勿論島から戻って来た団員たちの飲み会(小宴会)もよくやっています。その食堂を出ると廊下の向かいにずらーっと幾つかの部屋が並んでいます。基本的に2人部屋で、中間的な”偉さ”の団員が使っています。各省庁の役人、訪問団の団長や副団長、そして一部の船員と言ったところです。医師は一人で2人部屋を使います。これは団員の中に患者が出た場合に同室でケア出来る配慮?。更に他の部屋と違って狭いトイレの区画が有りますが、全く使われない古い設備なので折角の部屋の広さを無駄にしています。
医師の専用室の横には公衆トイレがあり、常に海水で排泄物を流しています。その隣は海水風呂です。その先の部屋は4人部屋でいつも女性が使っているようです。
廊下の端の階段を上ると、いわゆる1階(甲板のある階)に出ます。後部甲板はいつも団員の交流の場になっていて、皆さんタバコなどをくわえて缶ビール片手に談笑しています。国後や択捉の港に停泊中の時には、待ってましたとばかりに釣りを始める団員や乗組員も居ます。40センチのクロガシラやアブラコが結構釣れますが、しかし「北方領土まで来て」と言う期待ほどには釣れないようです。夏から秋に掛けてはそれぞれの島の川に回帰途中のカラフトマスやシロザケが釣れることもあります。しかし最近はその船上からの釣りに対して環境庁(外務省?)から自粛の要望が出ているようです。何でも「ロシアの魚を釣るのは不味い。場合によっては”密漁”と取られる」からだそうです。公式に「北方領土は日本固有の領土」と言う建前の役所が「ここはロシアの海だ」と言っているわけですから片腹痛い話です。因みに訪問団が国後の港に着くとロシアの国境警備隊の連中が船に乗り込んできます。そこで日本側が提出する全員の書類に目を通し上陸許可が出るわけですが、これは実質”入国審査”に当たります。しかし日本側は言葉を変えて”入域審査”と曖昧な表現をします。
また根室に戻って来る際には、今度は日本の税関が姿を現します。これも”日本国内旅行”ならば変な話です。しかし両者とも各自の申告を信じて実際には何も調べません。通り一遍のつうかの儀式ですね。そのことで日本側とロシア側の双方の顔が立つのでしょう。さすが官僚国家同士!(笑)
おっと脱線しました。部屋の紹介の続きです。先程までの食堂のあるフロアを地下1階とすれば、甲板のある階は1階に当たります。ここには船尾に大部屋があり、元島民関係者も含めた”その他大勢”が寝起きします。報道関係者や通訳も居たりします。そこから船首にかけて幾つかの特別室が並んでいます。地下1階の部屋に比べてやはり明るく健康的な個室です。勿論”国会議員様御用達部屋”です。道知事なども乗船した時にはこの部屋かも知れませんね。ロサルゴサには更に2階に相当する場所にも大部屋があります。乗組員はそれぞれ自分たちの居場所を持っているようです。
船内の居住空間で快適なのは、やはり1階・2階部分ですね。エンジンの振動音があまり伝わって来ませんし、空気も下よりはましです。
以上船内の部屋の割り当てから見えてくるのは、相も変わらない”日本の官僚主義”でした。
by 通りすがり (2012-06-09 13:32) 

ebisu

もやしさんまさんへ

トホホですね。滞在はたった半日ですか。
ロシア人訪問団の皆様は日本政府の費用で楽しく観光旅行して領土問題に関する相互理解の対話は避けて気分よくお帰りいただく。
それで外務省の顔も立つのでしょう。利用されている引揚者の団体が気の毒になってきました。これではまるでバカにされているようなもの。
by ebisu (2012-06-09 13:45) 

通りすがり

「蛇足の付け足し」

訪問団の中の外務省の役人の前で”国境線”と言う言葉を使うと、一々「いえ、”中間ライン”です」と注意されます。しかしその彼らが”入国審査”や帰国時の税関検査を拒否している姿を見たことはありません。
”本音と建て前”、いやあ、日本側もロシア側も見事なカメレオン振りです(笑)。こんな調子でぬらりくらり・・・一体何時になったら北方4島は日本に帰ってくるのやら。次回の金環日食頃? いやいや、次回の金星太陽面通過頃??
何、島が帰ってくる前に放射能で日本国民は誰も住んでいない???
by 通りすがり (2012-06-09 13:56) 

ebisu

通りすがりさんへ

詳しい解説ありがとうございます。
千島歯舞居住者連盟はビザなし交流にはほとんど権限がないのですね。
これではただの観光旅行ですね。
自衛隊父兄会、労働組合、婦人会・・・いろんな組織が領土返還運動を食い物にしているようにしかみえません。そうなのでしょう。
なんだか千島歯舞居住者連盟がかわいそうになってきました。お人好しの引揚者たちの団体が日本外務省にいいように利用されている。
北方領土返還運動の敵は本能寺(外務省)にありですね。仕事のできない人たちだ。迷走しています。
by ebisu (2012-06-09 23:00) 

cccpcamera

中間線
 やはり、中間ラインと言いますか。
 国連海洋法条約第15条では、海の国境線のことを中間線というので、中間ラインと言うと、線の向側はロシアの領海の感じがします。北海道海面漁業調整規則に基づく操業制限区域を示す線は「参考ライン」と言うので、参考ラインではなく、中間ラインと言う意図が分かりません。
 
 ところで、ロシア側からすれば、ビザなし交流で日本に来ることは、これまでは、買い物ツアーの面がありました。観光旅行になったのは、近年、北方領土の開発が進んで、根室で買い物をするメリットがなくなったのでしょう。

 国の金がばら撒かれれば、そこに利権が生じるのは世の常。返還運動も例外ではいられない。千島連盟は??
by cccpcamera (2012-06-10 18:18) 

ebisu

海を隔てた二つの国、その真ん中を中間線というなら、中間船のこっち側はわが国の領海、向こう側は彼の国の領海ということになるのは当然のことですね。

中間ラインは領海を意識した概念ですね。北方領土がわが国固有の領土というのは外務省の方便。実効支配を認めているから自然に用語も北方領土はロシア領だということを前提にした用語を使ってしまう。

買い物ツアーは択捉島や国後島の商店に品物が充実するにしたがって重要性を減じていくのでしょう。ただの観光し旅行は向こう側にとってもたいへんな利権でしょうね。

千島歯舞居住者連盟は外務省におちょくられていますね。ビザなし交流の人選すらほとんど権限がない様子。連盟自体が補助金で成り立っている団体だし、根室市もずいぶん北方領土関連で補助金をいただいてますから、モノが言えないのでしょうね。原発のある町村と同じです。
補助金という利権でがんじがらめで身動きがとらない。その一方でロシアの実効支配が67年になります。
根室人はモノを言わない。補助金をもらわぬ覚悟を決めない限りどうにもならない。
根室人が領土返還運動に本気になれるかどうかが問われています。
by ebisu (2012-06-10 20:36) 

NO NAME

どうも根室市政には「親方日の丸」信仰が根強いようですね。これは市立病院にも当て嵌まります。市立病院は日本で唯一の「対北方領土拠点病院」の位置付けですので、根室市はビザ為し交流や人道支援の医療行政で国(特に外務省)に貸しがあり、一方根室市も限定されたその部分に関しては国から支援されている・・・つまり持ちつ持たれつの関係です。
これは正に今話題の原発再稼働での国と福井県の関係と同様で、考えてみれば今回の福井県知事の主張は、「もっと金を出せ」よりも、「誰の為に我が県が危険な原発を引き受けているのか国民に詳らかにせよ!」でした。
かって根室市は病院長の知らないところで市長が、文科省、厚労省、総務省、道庁に勝手に働き掛け外科医を補充しようと画策した前科者です。あの時は故中川昭一代議士が絡んだせいで、その経緯を週刊誌「アエラ」にすっぱ抜かれ、その事で北海道の各大学病院の教授たちに大きな迷惑を掛け激怒を買いました。地道な努力を捨て国の権力を利用しようとしたわけです。ところが多くの医師が一番嫌い(表向きでも)嫌いなのは、正にその”国家権力”なんです。それを知らない(学習していない)根室市が地雷を踏んだわけですが、それも未だに気が付いていない・・・これは北方領土問題と医療行政双方をリンクするに関わる話です。
by NO NAME (2012-06-11 09:01) 

ebisu

ははは、ですね。
>根室市はビザ為し交流や人道支援の医療行政で国(特に外務省)に貸しがあり、一方根室市も限定されたその部分に関しては国から支援されている・・・
>つまり持ちつ持たれつの関係です

この国はどこを切っても同じ構造がでてきますね。
オール根室という地元経済界の一部の人々と市政も同じか関係です。仕事や補助金でがんじがらめでモノがいえぬ地元経済界。市議の一部もも同じです。

ところで、福井県の原発に関する専門委員会が「安全が確保されたことを確認した」と宣言しました。西川福井県知事はそれを受けてまもなく原発再稼動にOKを出すのでしょう。
みんな判断を人に預けて責任逃れ。地震大国、四つの大陸プレートがせめぎあい活断層だらけの日本ですから、いずれ第2の福島第一原発事故が起きます。そのときのためにアリバイ作り。

日本中がそういう構造で成り立っています。だから、つぎの原発事故がいずれ起きる。日本人はそういう運命にあるようです。
叡智があれば避けられる事故ですから、次の原発事故は日本人が叡智をなくしたことへの天罰です。

by ebisu (2012-06-11 11:04) 

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